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クリスマス映画1のB I'll Be Home for Christmas by Elvis Presley(『リーサル・ウェポン』より)
タイトル
I'll Be Home for Christmas
アーティスト
Elvis Presley
ライター
Kim Gannon, Walter Kent, Buck Ram
収録アルバム
Complete 50's Masters: The King of Rock'n'Roll
リリース年
1992年
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まず、前回の補足から。いや、正確にいうと、一昨年のクリスマス・スペシャルでのJingle Bell Rockの記事の補足ですが、あのときには取り上げなかったヴァージョンについて。

f0147840_074482.jpgまずウェイン・ニュートン盤。もちろんハリウッド録音で、リズム・セクションはレッキング・クルーの面々、なにもしなくてもグッド・フィーリンだけはつくってしまうので、悪くない出来です。ウェイン・ニュートンの薄くて軽い中性的な声がお嫌いでなければ楽しめるでしょう。わたしはそこそこ好きです。

50ギターズ盤もあります。わたしは50ギターズのクリスマス・アルバムはもっていなくて、世界一の50ギターズ・サイトへと成長したAdd More Musicの期間限定公開のときにちょうだいしただけです。

f0147840_08045.jpgキムラさんが、このアルバムはよろしくない、クリスマスをすぎたら公開リストから抹消する、とおっしゃった意味はよくわかります。50ギターズという名前だけを引き継いだ、おそろしく安直な企画盤で、他の50ギターズのアルバムとはいっしょにするわけにはいかない、音楽的にもレベルは落ちる、ということでしょう。

Jingle Bell Rockも、これが50ギターズかよ、というサウンドです。でも、50ギターズという名義は忘れて、正体不明のギター・インストと思って聴けば、腹が立つほどではありません。ペダル・スティールのサウンドは楽しめます。

◆ エルヴィス・プレスリー盤 ◆◆
考えてみると、クリスマスまでひと月を切っているので、磯がないと、いや、ISOがないと、いや、急がないと、ほんの数本見ただけでクリスマスが来てしまい、準備したパーティーのごちそうはみなうっちゃらかさねばならないことになってしまいます。ということで、いつものようには、映画の内容にくわしく踏み込めないかもしれないので、そのへんはご容赦を。

さて、オープニングの曲はもういいとして、つぎはエンディングの曲です。いい曲ではじめたのだから、ここでダサダサな曲だと、九仞の功を一簣に虧くことになってしまいます。こういうときは、安全牌でいくしかないでしょう。

ということで、I'll Be Home for Christmasはぜったいに失敗のない安全牌、妥当な選択です。だれのものにするかは検討の余地がありますが、『リーサル・ウェポン』はエルヴィス・プレスリー盤をもってきました。これも妥当でしょう。



こういう場合、声の持ち主がすぐにわかるほうがいいので、候補はフランク・シナトラ、ナット・キング・コール、ビング・クロスビー、ディーン・マーティンといったあたりかと思います。いずれもプリ・ロックンロール世代のシンガーで、この映画の音楽的コンテクストと合致するのは、やはりエルヴィスしかいないという結論になります。

いま、自分で書いていて、うーん、そうかあ、と唸ってしまいました。ロックンロール以前の時代には、やはり声こそが音楽だったのですねえ。それに、60年代中盤からは、クリスマス・アルバムというのはオッサンがつくるものになってしまい、スクェアの極みとみなされていた、という事情もあります。ファン・クラブ向けのテキトーでいい加減な録音はべつとして、ビートルズがオフィシャルにはクリスマス・ソングをリリースしていないのはなぜか、と考えれば、簡単におわかりでしょう。クリスマス・ソングが「復興」するのは、70年代中期ごろではないでしょうか。

◆ インスト・カヴァー ◆◆
急がないと、といいながら、またよけいなことを書いてしまい、時間はどんどん矢になってどこかへ飛んでいきます。

エルヴィス・プレスリー盤I'll Be Home for Christmasももちろんけっこうですが、この曲はほかにもいいヴァージョンがたくさんあります。以下、一気に各ヴァージョンを走り抜けてみます。

いま流れているというだけの理由で、まずはチェット・アトキンズ盤。シンガーが声だけでそれとアイデンティファイされるのが理想なら、ギタリストはプレイだけでそれとアイデンティファイされるのが理想です。チェット・アトキンズは、だれが聴いても、これはチェット・アトキンズ以外のだれでもないとわかる数少ないギタリストのひとりでしょう。

以前にも、それはどうかと「ダウト」されてしまったので、今回もお手つきかもしれませんが、この曲もノーマルなギターの音には聞こえません。「デル・ヴェッキオ」かどうかはともかくとして、リゾネイター・ギターのサウンドに思えます。

成り行きでインストを先に聴くことにします。もうひとり、最近は盲牌できるようになってきたアル・カイオラも、I'll Be Home for Christmasをやっています。一昨年のクリスマス・スペシャルでもふれた、リズ・オルトラーニとの共演盤に収録されたものです。

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例によって、一音一音をていねいに弾くだけで、インプロヴはゼロですし、速いパッセージもありませんが、うまい人は音の出がきれいだから、なんともいえないグッド・フィーリンがあります。リズ・オルトラーニのオーケストレーションも出しゃばらず、かといって、絨毯に徹して下敷きになりっぱなしでもなく、ほどよい甘みを加えています。

一昨年も、これほどの秀作クリスマス・アルバムがCD化されないのは摩訶不思議だと書きましたが、今年もCD化はされなかったようです。わたしはベスト5に入れます。まあ、いつだって盤を売っている人たちと意見は合わないのですがね。

◆ オーケストラもの ◆◆
一昨年はありとあらゆるクリスマス・アルバムをHDDに載せていたので、検索すると呆れるほどヴァージョンが湧いてきましたが、幸か不幸か、今年はまだファイルをバックアップからHDDに書き戻していないので、オーケストラは2種です。

いつも思うのですが、オーケストラは照れたら負け、臆面もないくらいでないといいサウンドはつくれません。その点、パーシー・フェイスは80パーセントぐらいの力で押しまくるタイプで、それで成功したのだと感じます(100パーセントはだれか? もちろんマントヴァーニ!)。

f0147840_019059.jpgI'll Be Home for Christmasも、前半はヴァイオリンのソロが入って、うひゃー、という感じですが、このうひゃーを乗り越えたところにポップ・オーケストラの魅力というのがあるわけで、この曲の臆面もないヴァイオリン・ソロも成功しています。しかし、オーケストラはなんといってもサウンドの厚味と広がりが勝負、後半、ストリングスが前に出てからが見せ場で、さすがはパーシー・フェイス、ちょっとした快感のサウンドです。

もう一種類、ジャッキー・グリーソン盤があります。コーラスもフィーチャーして、いつものハリウッド共通サウンド、けっこうな広がりのストリングスです。この曲がいつもとちょっとちがうのは、後半、アップテンポのBaby It's Cold Outsideをつなげていることです。なかなかいいドラマーで、このアップテンポ・シークェンスも楽しめます。

◆ 歌もの ◆◆
もっとも好きなのは、やっぱりディーン・マーティン。これはもう文句なしです。わたしにとっての「ミスター・クリスマス」は、ビング・クロスビーではなく、ディーン・マーティンです。ディノのクリスマス・アルバムは不出来な曲、不似合いな曲がありません。



なんですかねえ、こういうときのディノの魅力というのは。四角く歌わず、小さく粒をそろえずに、ざっくりと言葉と音をちぎって、ひょいと投げるようなところがいいのかなあ、などと思うのですが、よくわかりません。大文字ゴチックの「ザ・スタイル」をもっていることだけはたしかで、そのスタイルがクリスマス・ソングになると見事に填るのでしょう。とにかく素晴らしいの一語。

ディノとくればつぎはフランク・シナトラ盤でしょうね、やはり。いつも同じことをいっていますが、ディノと並ぶと、シナトラの歌い方はきまじめにきこえ、損をしています。



ハリウッドにアレンジャー多しといえども、こういう変なラインをつくる人といえば、筆頭はゴードン・ジェンキンズでしょう。わたしだったら、セカンド・ヴァースの頭でぜったいに音をはずします。自信をもって断言しちゃいます。ほとんど不協和音。

おつぎはビング・クロスビー。



時代が時代なので、古めかしいアレンジとサウンドですが、クリスマスの気分にはこういう音は合っています。ギターのオブリガートもなかなかけっこう。

◆ その他 ◆◆
60年代以降というのは、いいクリスマス・アルバムは稀で、やっぱり文化の変容が進んだのだなあ、と実感します。以下、思いきり駆け足で行きます。

近年のもので比較的出来がいいのはドン・マクリーン盤。ストレートなクルーナー・スタイルでやっていますが、それが不似合いではありません。

不似合いなのはブライアン・ウィルソン。Little Saint Nickのほうがずっと楽しめます。ディック・レイノルズによる、縮小版ゴードン・ジェンキンズ・オーケストレーションみたいなものはそこそこ楽しめますが、ビーチボーイズとは水と油で、B面に針を載せたのはほんの数回です(A面はふつうのビーチボーイズ・スタイルでやっている)。

アイズリーズ、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズといったR&B系もまったく水と油に感じます。

グレン・キャンベルは、録音が60年代ではないので、サウンドも含めてあまり好みではありません。期待はずれでした。

ボビー・ヴィーは、十年早いよ、で片づけたいところですが、ギターがうまい。上もの抜きで、ギターだけは聴く価値あり。

最後はまた時代をさかのぼってレノン・シスターズ盤。これは楽しめます。やっぱり、クリスマス・ソングは50年代録音の圧勝のようです。

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by songsf4s | 2009-11-30 00:00 | 映画・TV音楽