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Play the Game by Matthew Fisher その1
タイトル
Play the Game
アーティスト
Matthew Fisher
ライター
Matthew Fisher
収録アルバム
Journey's End
リリース年
1973年
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今日、猫ブログのために、ルーフトップ・シンガーズのTom Catを聴いて、自分の勘違いに気づきました。これと、シャドウズのTime Passes by Real Slowは「ほぼ同じ」曲だと思っていたのですが、まったくの赤の他人でした。

いったいどこでどう取り違えたのか、そのへんはいまもって見当もつきませんが、とにかく、なにかの加減で記憶ちがいをしたらしいので、『太陽をつかもう!』の記事の該当部分は修正しました。

全然すっきりしないので、この件はもうちょっと考究してみます。どこで勘違いが起こったのかが判明しないと安眠できません!

◆ 歌詞を地でいく「顔面蒼白」 ◆◆
わたしの頭のなかではアラン・プライスのすぐ隣には、マシュー・フィッシャーがいます。両者ともに、R&B系のブリティッシュ・ビート・グループ(プロコール・ハルムをこういうカテゴリーに入れる人間はすくないかもしれないが、表皮をはがした下にあるのはやはりR&Bバンド、つまりはその昔のパラマウンツの血が脈々と流れいていると感じる)のキーボード・プレイヤーだという共通点があります。

しかし、それだけならどうということはないのですが、アラン・プライスがBetween Today and Yesterdayをリリースしたのとそれほど離れていない時期に、マシュー・フィッシャーもソロ・アルバムを出し、さらに、両者とも、簡単にジャンルに収まらない微妙な音だったせいで、わたしの頭のなかでの並び順は決定されました。

アラン・プライスのBetween Today and Yesterdayのことを書いたのだから、つぎはマシュー・フィッシャーのJourney's Endだなと思って、じつに久しぶりにマシューのオフィシャル・サイトにいってみました。

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おやおや。まあ、苦しい裁判に勝ったのだから、やはりこういう感じでしょうかね。感情的に激しく対立したのでしょうから。

状況をご存知ない方のために説明すると、A Whiter Shade of Pale(「青い影」のこと。以下、プロコール・ハルムのオフィシャル・サイトにならってAWSoP=オウソップと略す)の著作権を巡る裁判が結審し、マシュー・フィッシャーに(たしか)今後、この曲から生じる著作権使用料の40パーセントが与えられることになったのです。

イントロに著作権があるか、といったようなむずかしい争点になったようですが、法律問題を抜きにして、音楽的に云えば、AWSoPという曲は、あのイントロに尽きるわけで、ほかの部分は、ないと曲にならないから必要といった程度の価値しかないでしょう。だから、イントロに著作権があるかどうかではなく、あの曲の本体、肝心要の部分はどこか、というのなら、マシューがつくったとゲーリー・ブルッカー自身が宣誓のうえで認めたという、冒頭の数小節のハモンドのフレーズにあるわけで、わたしだったら「あれはマシューの曲」と断言します。

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いや、バッハの曲だろう、というご意見もありましょうが、バッハの著作権はとうの昔に消滅しているわけで、そうなれば、アダプテーションをした人間に著作権が生じます。

そもそもですね、ハモンドの曲の成否を決めるのはドロウバー・セッティング、つまり音色です。ハモンド・プレイヤーは、プレイそれ自体よりも、ドロウバー・セッティングで飯を食っていると云ってもいいくらいです。

だれがあの曲のドロウバー・セッティングを考えたか? もちろん、マシュー・フィッシャーです。こんなことを理解するのに法律など無用、たんにブルッカーとリードがマシューを利用し、著作権法を盾にとって、彼に正当な対価を支払わなかっただけにすぎません。だれがヒットに貢献をしたかを考えれば、マシューの取り分が(今後の収益の)40パーセントは低すぎるでしょう。

◆ 双子のケース ◆◆
しかし、以前にも書きましたが、この判決はやはり興味深いですねえ。たとえば、アニマルズのHouse of the Rising Sun(朝日のあたる家)の著作権は、アダプテーションをしたアラン・プライスがもっています。

これについて、ギターのヒルトン・ヴァレンタインは、あの曲のアレンジャーはオレだ、ギターのアルペジオはオレがつくった、それなのに、アランが著作権を持っていったと不満を漏らしていました。他人の曲だから、著作権のことなど頭になく、虚をつかれてしまったのかもしれません。トラッドの場合、アダプテーションをした人間に著作権が与えられるというのは、なかなか微妙な問題だと思います。

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ヒルトン・ヴァレンタイン(左)とチャズ・チャンドラー

またしても、法律的な問題を忘れ、音楽として、あの曲のヒットを決定づけた要素はなにか、と考えると、ヒルトン・ヴァレンタインのアルペジオでしょう。

プロデューサーのミッキー・モストは、この曲をEMIにもちこんだとき、プレイング・タイムが常識はずれに長いのが難点だ、といわれたそうです。モストはなんといったか。「そんなことは関係ない。曲などだれも聴かない。イントロを聴いただけで、みんなレコード屋に駆け込んでいる」

誇張はありますが、わたしもモストの考えは正しいと思います。あの曲の決定的な要素はイントロのギター・アルペジオです。事情はAWSoPとほぼ同じです。ちがうのは、この場合は曲はトラッドだというニュートラルな位置にあるということだけです。

うーん、こんな生臭い話をするつもりではなく、清らかにマシュー・フィッシャーのソロ・アルバムの曲を聴くつもりだったのですが、もはやタイム・イズ・タイト、今日はここまでとして、清談は次回ということにします。
by songsf4s | 2009-10-02 23:57 | その他