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ホーム・ブルー・クリスマス 8ビート篇 その8 ボーナス・トラックス(ビーチボーイズ、レズリー・ゴアほか)

本体は終わったので、今回は残る五曲のボーナス・トラックを一気に書きます。といっても、すでに詳しいことは別の記事に書いてあったり、内容は何もない曲だったりなのですが。

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この記事の末尾に最終版MP3のリンクとトラック・リスティングを置きます。その前に、まずはまだ触れていないボーナス・トラックについて。

◆ Captain Santa Claus by Bobby Helms ◆◆
この曲は歌詞依存のノヴェルティーだし、以前の記事にも書いていないはずなので、ざっと中味を見ます。構成が微妙なのですが、「前づけヴァース」と思われるものがついています。

ヴァースという言葉は昔は違う意味で使われていたので厄介なのです。通常は「《聖歌などの》 独唱部、ヴァース」とリーダーズ英和辞典に書かれている意味で使われます。

たとえば、ビートルズのShe Loves Youなら、「♬She loves you yeah yeah」というところは「コーラス」、「♬You know you should be glad」のところがヴァースです。Please Please Meなら「Please Please Me oh yeah, like I love you」のあたりがコーラス、「♬Last night I said these words」のところがヴァースです。

ママパパのCalifornia Dreamingなら、「♬All the leaves are brown」のところがヴァース、「♬California dreaming on such a winter's day」のところがコーラスです。

これに対してStardustの「♬And now the purple dusk of twilight time」という前書きのような部分をヴァースといいます。通常、これは冒頭で唄われるだけの使い捨てで、二度と出てきません。

では、前書きのあとに出てくる本体、「♬Sometimes I wonder why I spend」は何と呼ぶのか? わたしは知りません! 自分の知識の範囲で判断するなら、これもやっぱりヴァースです。現代ではあまり使われなくなったヴァースと、現代での用法のヴァース、両方がある、としか考えようがありません。だからこの言葉は困るんですよ。

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Bobby Helms - Jingle Bell Rock b/w Captain Santa Claus 45, 1957

それで苦し紛れに、わたしは勝手に古い用法の、前書きのような、MCの紹介のような、香具師の呼込み口上のような、冒頭だけに出てくる古い意味でのヴァースは「前付けヴァース」と名付けて、現代のポップ音楽用語としてのヴァースとは明確に区別しています。長い前置きおしまい。以下にその前付けヴァースを。

The word had spread from town to town
That Santa's sled had broken down
And there would be no toys this Christmas day
When suddenly a cry was heard
Up in the sky, is that a bird?
And all the children shouted hip hurray! (Hip hurray!)

サンタの橇が壊れて、今年のクリスマスは玩具のプレゼントは届けられないという話がひろまりました、その時、空から大声が聞こえて、子供たちはみな「それ行け!」と応援したのです、なんてあたりでしょう。

つぎは第一ヴァース、だと思うのですが、どうも構成があいまいで。

Hurray for Captain Santa Claus
And his reindeer space patrol
His sleigh broke down one Christmas Eve
As he started from the pole

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「がんばれ、キャプテン・サンタ・クロースとトナカイ宇宙パトロール、クリスマス・イヴに北極から出発したとたんにソリが壊れちゃったよ」あたりでしょう。TVアニメの主題歌みたいなものを思い浮かべていただければよいかと。

He said those children's heart would break
If I don't make this trip
But Santa's helpers saved the day
When they built a rocket ship

「『出かけられないと、子供たちはひどく悲しむだろうな』とサンタは困っていたけれど、助手たちが宇宙船をつくって急場を救ったのさ」というあたり。もう馬鹿馬鹿しくなったので、このへんで歌詞の検討は打ち切り。べつにこのあと急展開などしませんし。

以上のような子供、それもかなり幼い子供のための童謡です。クリスマスは子供のためにあるようなものなので、こういう音楽の需要もあったのでしょう。いずれにしてもこれはスタンダードとなったJingle Bell RockのB面としてリリースされた曲なので、A面目当てで買った大人たちは、盤を引っ繰り返して子供に聴かせたことでしょう。

このシングルがリリースされた1957年には、ロシア(まだソ連だった)がライカ犬をロケットに乗せて打ち上げるという(動物愛護の観点からは悲劇的)出来事があり、米ソ宇宙開発競争に火をつけ、最終的にアポロ宇宙船での月着陸へとつながることになります。

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Russ Garcia - Fantastica: Music From Outer Space, 1958

これが映画や小説や音楽にも反映され、さまざまな宇宙ものが生産されることになり、スペース・サウンドのLPなどもラウンジ方面を中心にリリースされました。ロケット、宇宙船の玩具なども当然巷に溢れていました。

ジョー・ミーク/トーネイドーズのTelstarがチャート・トッパーになったのもこれが背景にあるし、60年代になってもその傾向は減衰しながらつづき、人間の月着陸でようやく終息しました。

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The Tornados - Telstar, 1962

この曲の趣向はそういう時代を反映したもので、たぶん、この年、男の子の半分ぐらいは、ロケットだの、光線銃だの、そういう宇宙ものの玩具を欲しがったのではないでしょうか。ボビー・ヘルムズはそこにつけこんだというしだい。

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Esquivel - Other Worlds Other Sounds, 1958

◆ Look of Love (jingle bell mix) by Lesley Gore◆◆
レズリー・ゴーアのLook of Loveは1964年暮れから翌年にかけてヒットしたシングルです。べつにクリスマス・ソングというわけではなく、リリース時期に合わせてジングル・ベルを入れてクリスマス気分を醸成しているだけなので、ボーナス・トラックとして収録しました。

これまで1200本あまりの記事を書いてきて、「危なかった! 調べなかったら、大嘘を書いちゃうところだったぜ」と2400回ほど叫びましたが(ひとつの記事で何度もそういうことがあるので、記事数より多い!)、いまもまた「調べてよかった、命拾いだわ」と胸を撫で下ろしました。

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見出しにジングル・ベル・ミックスと注記したように、このLook of Loveはリリース盤とは異なるオールト・ミックスだと思っていて、その旨を書こうとし、念のために録音日を調べたら、四十数年前からとんでもない勘違いをしていたことがわかって、鞭打ちになるくらい激しくのけぞりました。話は逆で、こちらがオリジナル45ミックス、わたしが長いあいだリリース・テイクだと思っていたものが、じつはアウト・テイクなのだそうです。

なぜ面白くない没テイクがリリースされて、すごく出来のいいヴァージョンがお蔵入りしたのか、ずっと不思議に思っていました。ジングル・ベル・ミックスのほうがサウンドが華やかで、はじまった途端、グッと身を乗り出すのです。

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アレンジャーはいつものようにクラウス・オーガーマン。昔調べたのだが、表記を再考した。しかし、Clausはドイツ語発音で「クラウス」としていたのか、英語発音で「クローズ」としていたかはやはり判明せず。たとえ親が「クラウス」と呼んでも、外に出ればアメリカ人はみな「クローズ」と呼ぶのだから、結局、どっちの読みでもかまわないと考えていたのではないだろうか。なお、Ogermanは、英語、ドイツ語ともに同じオーガーマンである。アクセントは第一シラブルなので、オーと音引きを入れて書くほうがよい。音引きを省略すると多くの日本人はアクセントを第二に移動して発音し、通じない音になってしまう。

バックグラウンド・ヴォーカル(作者のエリー・グリニッジも唄っている)も、ジングル・ベル・ミックスのほうが2パス録音で厚くしてあり、その点でもこちらのほうがずっといいのです。

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レズリー・ゴーア(左)とエリー・グリニッジ(中央)。ということは、レズリーもバックグラウンド・ヴォーカルを唄ったことになる。レズリー・ゴーアの盤のハーモニーには彼女自身の声が混じっている可能性を頭に入れておけ、ということだ。たしかに、思い当たる曲がいくつもある。レズリーがヘッドセットを片耳にしか当てていないのは、他の二人のピッチを聴きとり、自分のピッチを微調整するため。ハーモニーというのは相対ピッチで唄わなければいけないので、これは正しいやり方。やはり才能豊かなシンガーだった。

今日、調べて、派手で華やかなミックスのほうが正しいマスターなのだとわかり、そりゃそーだよなー、それが道理というものだぜ、と苦笑しました。

◆ とりかえばや物語 ◆◆
なぜそういう赤ん坊交換事件が起きたかというと、はるか昔の1965年にリリースされた彼女の最初のベスト盤(わたしが友だちの家で聴いたヤツ)を編むときに、間違って没テイクを使ってしまったためだそうです。後続の盤でもそちらが使われるということが起きてしまい、この間違いが間違いに見えなくなったわけです。

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The Golden Hits of Lesley Gore, 1965 デビューから二年後にもうベスト盤が出たわけで、彼女の人気がしのばれるが、肝心のマスター調査をしくじって、没テイクを収録してしまい、後年の混乱の源となった。主犯!

うちにはLook of Loveが13種あります。このうち4種が没テイクを使っていました。英国製コンプなどはどうせ調査の手間はかけておらず、米国から送られてきたテープやデータを右から左に使っているだけ、まー、所詮、下流、しよーがねーかー、なのですが、最初にこの間違いをやらかしたマーキュリーや、その後の米盤は大バカヤローのコンコンチキです。

マスター取り違えというのは、極めて稀な事故というわけではなく、とりわけシングルとLPで別のマスターが使われた場合などは、この種の間違いが起きやすいようです。マスターが複数ある場合は、ちゃんと注意書きがしてあるはずですが、そそっかしい人間、仕事が雑な人間というのはどこにでもいますからね。いや、わたしもよそさんのことを嗤えませんが。

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没テイク収録駄目盤その1 Da Doo Ron Ron: More From The Ellie Greenwich & Jeff Barry Songbook まあ、英国製米国音楽製品は下流なので、こういうことは起きがち。英国製と承知で買ったほうが悪い。

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没テイク収録駄目盤その2 Lesley Gore - Girl Talk, 1964 (2014 remaster) Look of Loveはオリジナル・アルバムとしてはこのGirl Talkに収録されたのだが、この英国製ボーナス満載リマスター盤はよりによって没テイクを入れている。ボーナスで正しいテイクを入れていれば、わかっていてやったことになるが、然にあらず。十数曲もボーナスを入れているのに、正しいテイクだけは無視された。わかってないのよ、英国人は。もちろん、これも買ったほうが悪い。

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Lesley Gore - Girl Talk, 1964 こちらはボーナスなし、12曲収録のLPのストレート・ディジタル・トランスファーにすぎないが、Look of Loveは正しいテイクを収録している。そりゃそーだよなー、正しいテイクを収録するなんて、当たり前のことじゃんか! である。

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没テイク収録駄目盤その3 The Brill Building Sound これはアメリカ製。「ブリル・ビル・サウンド」というのは、評論家が云いだしたことで、当事者たちは、その呼び方は誤解を招くなんて云っていたが(たとえばドク・ポーマス)、その名称を冠した箱はやっぱり内容的によろしくなかった。安かろう悪かろう箱。やはりマスター調査をないがしろにして、没テイクを収録した。LAの会社のくせして、音楽を知らない野暮天。

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It's My Party! わたしが知る限りではレズリー・ゴーアの唯一のボックス・セット。熊家族製なので、例によって、セッショノグラフィーじみたものが入っているが、どうも不正確な記述で、信用がおけず、有難迷惑な代物だった。しかし、とにかく、Look of Loveには二種類あることをきちんと認識し、両方のテイクを収録しているのだから、英エイスよりはマシ。

ジョージ・マーティンが自伝に書いていたのだと思いますが、ビートルズの初期の没テイクが保存されていないのは、当時はテープが高価で、使わないテイクは上書きされたことがひとつ、また、取り違え事故を予防するため、というのがもうひとつの理由だったそうです。

それでも、Love Me Doなんか、昔は二種類のマスター(リンゴありなし)がランダムに使われて、後年、コレクターを喜ばせることになってしまいましたからね。まあ、人間のやること、to err is human、しゃーねーかー、ですわ。間違いは文化に揺らぎをつくって豊かなディテイルを生む、と肯定的に捉えておくことにしましょう。

ひとつだけ、没テイクには美点があります。1:06あたり、ブリッジの入口で、ゲーリー・チェスターと推測されるドラマーは、不思議なフィルインを入れています。

頭拍を飛ばしたスネアのシンコペートした8分三打からクラッシュ・シンバルというプレイに思えるのですが、これはリリース・テイクではいろいろなものがオーヴァーダブされていて、よく聴こえず、分析不能です。このフィルインを聴くなら、没テイクに限ります。

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It's My Partyボックスのディスク2トラック・リスティング。二種類のLook of Loveが並べて収録されている。しかし、どっちがなんのかは知らなかったのだろう、alternateだの45 mixだのという注記が入っていない。しかも、The Look of Loveと不要な定冠詞をつけている。熊家族のリリースというのは、だいたいこういう感じで、デザインを含めて造りが雑。マスター調査もテキトーで不正確な記述や間違いがあふれている。

◆ New York's a Lonely Town by the Tradewinds ◆◆
これをボーナスとしたのは、明示的なクリスマス・ソングではないし、ありふれているからです。この曲についてはすでに昔のクリスマス・ソング特集の「New York's a Lonely Town by the Tradewinds」という記事に詳細に書きました。

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しいて付け加えることがあるとしたら、昔の記事を書いた時は知らなかった録音パーソネルで、と書こうとしてそのデータを探したのですが、発見できず。後年の編集盤のライナーで、ピート・アンダースかヴィニー・ポンシーアのどちらかが回想していたのを読んだのですがねえ。いや、それは記憶違いで、どこかのウェブ・サイトでインタヴューを読んだのかもしれません。

べつに重要なことは出てこなかったし、すごい人がプレイしていたわけでもありません。たんに、NY録音であることが明言されていただけで、そのことだけ記憶しました。昔、これがハリウッド録音だと云っている人がいて、それはないでしょう、と思ったので、こちらの推測がコンファームされ、よしよし、と思い、あとのことは忘れちゃいました。NYのプレイヤーにはすごい人はあまりいませんし。

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♬From Central Park to Pasadena is such a long wayで、パサディーナまで行って写真を撮るわけにはいかないから、近場のセントラル・パークでパブ・ショット・フォト・セッションをした、のだろうと思う。

◆ Little Saint Nick by the Beach Boys二種 ◆◆
この二曲については、ひとつ前の記事、「ホーム・ブルー・クリスマス 8ビート篇 その7 ビーチボーイズ、Booker T. & The MG's」で書いたばかりです。いくらなんでも、もう書き加えることはありません。

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◆ ソング・リスティング(たぶん)最終版 ◆◆
以上、話はおしまい。かくして、選曲はこうなりました。

01. Ann-Margret - Christmas Greetings
02. Claudine Longet - I Don't Intend to Spend Christmas without You
03. The 4 Seasons - Jungle Bells
04. James Brown - Go Power at Christmas Time
05. The Avalanches - Winter Wonderland
06. The Ventures - Silver Bells
07. Clyde McPhatter & The Drifters - White Chrismas
08. The Avalanches - Winter Evening Nocturne
09. James Brown - Soulful Christmas
10. Bobby Helms - Jingle Bell Rock
11. The Ventures - Blue Christmas
12. The Temptations - Rudolph The Red-Nosed Reindeer
13. Booker T. & the MG's - Silver Bells
14. The Beach Boys - Little St. Nick
15. Booker T. & The MG's - We Wish You a Merry Christmas

bonus tracks:
16. Bobby Helms - Captain Santa Claus
17. Lesley Gore - Look of Love
18. The Tradewinds - New York's A Lonely Town
19. The Beach Boys - Little Saint Nick (alt)
20. The Beach Boys - Little Saint Nick (track only)

リンク⇒Home Brew Xmas 2025 disc 2 2nd edition mp3

昔と違っていまはメディアがたくさんあり、需要は多くないはずなので、パーマネントなホストではなく、ほうっておくと自然にファイルが消滅するところにアップしました。クリスマスまでは持つと思いますが、エピファニー(顕現祭)のころには消滅しているでしょう。

順序が逆になりましたが、次回からディスク1に移ります。いや、こちらは昔、記事にした曲ばかりなのですが。

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# by songsf4s | 2025-12-11 17:37 | クリスマス・ソング | Comments(0)
ホーム・ブルー・クリスマス 8ビート篇 その7 ビーチボーイズ、Booker T. & The MG's

このホーム・ブルー=自家醸造クリスマス・コンプは、シリーズ冒頭の記事に書いたように、2010年に過去2シーズンのクリスマス・ソング特集で取り上げた曲のサンプラー・アルバムをつくったのを起源にしています。

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今年は久しぶりにそのサンプラーを復活させようと考えたのですが、やはり時間がたつと考えは変わるものです。このまま復活させるのはつまらないと感じました。そこで、まず、昔のエディションではオミットした8ビート系の曲による新しいコンプをつくることにし、これを「ディスク2」としました。

ディスク2があるのだから、ディスク1もなければいけないのですが、こちらは昔の選曲をベースにしつつも、手を加えようと考えたものだから、難航しました。だんだんクリスマスが迫ってきてやっと、さまざまな配慮から入れておいた曲もコンテクストに合わなければオミットしよう、と腹が固まりました。

それで、かつては必要だと考えたナット・コールやヘンリー・マンシーニなどを外し、少しだけ追加することで、なんとか格好がついてきました。スターはディノ、ジュリー・ロンドン、アル・カイオラ、そしてジョニー・マーサー、これだけが必須、あとはサウンドスケープのバランスをとるための素材、という割り切りです。

高い峰があり、ちょっと低い峰があり、なだらかな裾野があり、夜空には月煌めき星輝き、手前には湖水が広がり、右手の樅の木には梟が止まっている――そういうサウンドスケープをつくるには、いろいろな役割を担った素材が必要なのです。

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順序が逆になりましたが、構成はほぼ固まったので、これでディスク1テスト版をつくり、何度か聴いて違和感がなければ、まもなく配布にこぎつけるだろうと考えています。

◆ Little Saint Nick by the Beach Boys ◆◆
ビーチボーイズのクリスマス・アルバムは1964年のリリースですが、このLittle Saint Nickは63年のクリスマス向け45で、録音時期が一年ズレています。

Little Saint Nickは4シーズンズのJungle Bellsやアンドルーズ・シスターズのChristmas Islandなどと同じ、ノヴェルティー・クリスマス・ソングなので、歌詞に相応のアクセントが置かれているため、ざっと眺めてみます。いや、シャレなので、たいしたものではありません。

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The Beach Boys - Christmas Album, 1964

コーラスから入る曲ですが、そこは飛ばして第一ヴァース。

Well, way up north where the air gets cold
There's a tale about Christmas that you've all been told
And a real famous cat all dressed up in red
And he spends the whole year workin' out on his sled

たいした意味のある連ではなく「北のほうではすごく有名な奴が真っ赤な服でめかしこんで、一年中、橇の整備に励んでいる、という誰もが知っている伝説がある」てなあたりでしょう。workin' outを「整備」としたのは、これがホットロッド、当時流行の高速改造車(彼らは「カスタム・マシーン」と呼んでいる)に材をとったものだからです。

車体の軽量化のためによぶんなものをとり、エンジンを交換しているので、エンジン・カヴァーがなく「熱いロッド」が剥き出しになっているから、そう呼ばれたようです。サーフィンと対になっている遊びだったので、両者をまとめた「サーフ&ロッド」という言葉もありました。初期のビーチ・ボーイズはこの両方を曲の素材にしています。

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第二ヴァース。

Just a little bobsleigh, we call it old Saint Nick
But she'll walk a toboggan with a four speed stick
She's candy-apple red with a ski for a wheel
And when Santa hits the gas, man, just watch her peel

それは小型の橇で、名前は「セイント・ニック」、真っ赤な塗装で、車輪のかわりにスキーを履き、四速シフト・レヴァーで急斜面も軽く走れる、サンタがアクセルを踏み込んだとたんにすっ飛んでくぜ、ぐらいの意味でしょう。ヴァースはこの二つだけ、トナカイの橇をホット・ロッドに見立てただけの唄です。

日本ではそう呼ばれることはめったにないのですが、セイント・ニックとは、セイント・ニコラス、すなわちサンタ・クロースのことです。聖ニコラスに向かって「ニック」などと気安気安に呼びかけちゃうところが、ロック・エラの新しいクリスマス・ソングらしさで、讃美歌とは縁を切ったところで成立している曲です。

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◆ ふたつのLittle Saint Nick ◆◆
この曲のパーソネルは昔からミステリーで、いまだにはっきりしません。昔読んだビーチボーイズの本か何かには、ドラム・ストゥールにはデニス・ウィルソンが坐ったと書かれていました。納得がいきませんでした。

スネアのチューニングはいつもより低いのですが、それ以外はハル・ブレインに聴こえるのです。1:12から14にかけてのストップ・タイムからの戻りで聴ける、スネアのフラムの微妙な遅らせ方なんて、ハルのタイミングにしか思えません。

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後年のUltimate Christmasという編集盤が初出だと思うのですが、Little Saint Nickというタイトルの別の曲があります。リリース・ヴァージョンは1963年10月10日にユナイティッド・ウェスタンで録音されていますが、この没ヴァージョンはその二日前、1963年10月08日にレイディオ・リコーダー(エルヴィスのハリウッドでのホーム・グラウンドであり、リック・ネルソンの本拠地でもあった)で録音されています。

ブライアンはうちに帰り、ラッカー盤のラフ・ミックスを聴いて、気が変わったのでしょう。それで、あっという間に別のタイプのミディアム・テンポの曲を書き上げ、すぐにスタジオを押さえ、録音して、そちらをリリースすることにした、という経緯だと想像します。

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没になったほうのLittle Saint Nickは翌年、別の歌詞をつけて、Drive-Inというタイトルでリリースされます。分類するならやはりホット・ロッド・ソングでしょう。

で、この没Little Saint Nickのドラムは百パーセント確実にハル・ブレインです。もちろん、10月08日にハル・ブレインを押さえられたからと云って、翌々日にも彼をブッキングできる保証はありません。しかし、音がぜんぜん違うならともかく、ハルにそっくりのタイミングに聴こえるとあっては、やはり、両日ともストゥールに坐ったのはハルだと考えるほうが自然でしょう。

もうひとつ云うと、デニス・ウィルソンはこの時期、スタジオではドラムを叩いていないはずなのです。ごく初期には彼が叩いていましたが、すぐにダニー・デヴィートなどのプロが呼ばれるようになります。

彼が再びスタジオでドラム・スティックを握るのは、ビートルズ旋風以後、すなわち64年2月以降です。ビートルズを聴いて、彼らが自分たちで演奏していることに対抗心を燃やしたブライアンが方針を変え、トラックを自力でつくることにしたため、デニスはあまり好きではないスタジオ・ワークをさせられるはめになったのです。これも昔からLittle Saint Nickがデニスのドラミングだという説を肯定できない理由のひとつです。

◆ Stack-O-Tracks ◆◆
ふつうの人は買わないのであまり知られていませんが、ビーチボーイズにはStack-o-TracksというLPがあります。ヴォーカルだけでなく、トラックだって真面目につくっているのだから、皮をはがして剥き出しにしたのを聴いてほしい、という考えのもとにリリースされた、ヴォーカルを消したトラック・オンリーを集めたものです。

Little Saint Nickリリース盤のトラックがこのLPに収録されています。これがいいんです。ドラムズ、フェンダー・ベース、ピアノ、グロッケンシュピール、ジングル・ベルのみ、ギターすらないシンプルな編成なのですが、それが幸いして、じつに気持のいいサウンドなのです。

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The Beach Boys - Stack-O-Tracks, 1968

この気持のよさは、たぶん、コード進行の良さから来ているのでしょう。ピアノとドラムを聴いているだけで十分に楽しいのです。ピアノ・コードはそのままヴォーカル・ハーモニーに反映されているのですが、ピアノで聴いたほうがわたしにはコード・チェンジの面白みがストレートに感じられます。

ということで、またディスク2の構成を変更し、この没Little Saint Nickとトラック・オンリーをボーナスとして加えることにしました。

◆ We Wish You a Merry Christmas by Booker T. & The MG's ◆◆
最後の曲に辿り着きました。MG'sもこれが二曲目ですが、前のSilver Bellsよりさらに彼ららしいプレイで、ほぼ本領発揮です。

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なぜ「ほぼ」かというと、いつもフィンガリングのダック・ダンがこの曲ではフラット・ピッキングでやっているからです。いや、べつに悪いプレイではないのですが、しかし、MG'sらしさは減殺されます。

いつもより薄くミックスされているのですが、アル・ジャクソンのドラミングはこのトラックでも素晴らしいのです。ジャクソンは、われわれにシンコペートした、ないしは、拍を細かく割ったキック・ドラムの使い方を教えてくれた人ですが(Soul Manのドラミングにはノックアウトされた)、この曲でも、やはり面白いタイミングでキックを入れています。

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いま、まじめにカウントしてみました。「1」を8分音符ひとつ分遅らせているようです。言い方を変えると、小節の頭の「1」の表拍を飛ばして、裏拍を使っている、ということです。いやあ、変なことをするなあ!

ベーシックな8ビート・ドラミングを単純化すると、右手のシンバルはストレートに8分音符を八つ、左手のスネアは2、4拍(ドラマーの言葉では「2&4」と呼ぶ、バックビート、ダウンビートのこと)を叩き、キックは1、3拍に入れます。

右足の1&3のあとのほう、「3」の4分音符を8分音符ふたつに割ると、ロネッツのBe My Babyの有名なキック・パターンになります。しかし、これは単純な拍の割り方です。表拍をちゃんと入れているからです。

表拍を飛ばして、裏拍だけにすると、シンコペーション感覚が強まります。アル・ジャクソンのWe Wish You a Merry Christmasでのプレイは、このタイプ、表拍を飛ばし、裏拍だけ残してシンコペートさせているのです。

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ドラマーにしか通じない話ばかりになってしまいましたが、これは「ホーム・ブルー・クリスマス 8ビート篇」です。ビート・ミュージックだから、重心はグルーヴにかかります。グッド・グルーヴの源泉はすぐれたドラマーとベース・プレイヤーです。

今回はハル・ブレインとアル・ジャクソンという60年代を支えた傑出したドラマーの顔合わせになり、意図したわけではないのに、やはり、話はグルーヴへと向かってしまったというしだい。

次回、ディスク2ファイナル版が出来上がっているはずなので、上手くすればディスク1暫定版とともにアップできると思います。


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# by songsf4s | 2025-12-09 17:22 | クリスマス・ソング | Comments(0)
ホーム・ブルー・クリスマス 8ビート篇 その6 ヴェンチャーズ、テンプテーションズ、MG's

スティーヴ・クロッパーが亡くなったそうです。だいぶ前に禿鷹、ハイエナはやめたのですが、やはりスティーヴ・クロッパー・クラスになると、何も云わずに通過というわけにもいきません。

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追悼というので、ソロ・アルバムやフィーリクス・カヴァリエーレーとのデュオ盤などに言及されているのも見ましたが、彼の場合、本領はやはりMG'sの単独盤や、他のスタックスのアーティスト、すなわち、サム&デイヴ、オーティス・レディング、エディー・フロイド、ルーファス・トーマス、バーケイズなど、それからウィルソン・ピケット、ドン・コヴェイ、アリサ・フランクリン、アーサー・コンリーなどのメンフィスに来たアトランティックのシンガーたちのバッキングの仕事にあります。

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Sam & Dave - Double Dynamite MG'sのアルバムでもっと繰り返し聴いたのは中学の時に買ったこれ。ただし、米盤ではなく、日本編集の国内盤。あれは素晴らしい選曲でベスト盤になっていた。

面白いのは、彼がインスピレーションとしてあげたプレイヤーです。その名はロウマン・ポーリング、と云われて、ああ、あの人ね、という方は少ないでしょう。わたしは名前をきちんと記憶していなくて、いまDiscogsで確認して書いています。Lowman Paulingというスペルです。そもそもプレイヤーとして有名というわけではなく、彼がファウンディング・メンバーである5ロイヤルズが知られているだけです。

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クロッパーは、しばしば5ロイヤルズの盤にプレイアロングした、ポーリングが俺の師匠だったと云っています。5ロイヤルズのベスト盤は持っていましたが、ちゃんと聴いていなかったので、これを読んでから数枚集め、まじめに聴きました。なるほど、面白いプレイヤーです。スティーヴ・クロッパーに関心のある方は、まず5ロイヤルズをお聴きになるといいでしょう。

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Steve Cropper - Dedicated: Salute to the 5 Royales

◆ 再掲ソング・リスティング ◆◆
このシリーズを順番に読んでこられた方は少ないでしょう。検索でいきなりここに飛びこんだ方のために、今日も選曲をあげておきます。

01. Ann-Margret - Christmas Greetings
02. Claudine Longet - I Don't Intend to Spend Christmas Without You
03. The 4 Seasons - Jungle Bells
04. James Brown - Go Power At Christmas Time
05. The Avalanches - Winter Wonderland
06. The Ventures - Silver Bells
07. Clyde McPhatter & The Drifters - White Chrismas
08. The Avalanches - Winter Evening Nocturne
09. James Brown - Soulful Christmas
10. Bobby Helms - Jingle Bell Rock (45)
11. The Ventures - Blue Christmas
12. The Temptations - Rudolph The Red-Nosed Reindeer
13. Booker T. & the MG's - Silver Bells
14. The Beach Boys - Little St. Nick
15. Booker T. & The MG's - We Wish You a Merry Christmas
16. Bobby Helms - Captain Santa Claus (bonus)

この自家製クリスマス・コンプの曲目を順に説明している途中です。暫定版サンプル⇒Home Brew Xmas 2025 disc 2 mp3(最終版では一、二曲追加する予定)

◆ Blue Christmas by the Ventures ◆◆
すでに申し上げたように、ヴェンチャーズのクリスマス・アルバムは彼らが過去にやった曲や有名な曲のイントロやアレンジをクリスマス・スタンダードに嵌め込む趣向でつくられています。

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・Walk Don't Run⇒Sleigh Ride
・Tell Her No⇒Snow Flakes
・Woolly Bully⇒Santa Claus Is Coming To Town
・What'd I Say⇒Jingle Bells
・Memphis⇒Jingle Bell Rock
・Only the Young⇒Silver Bells
・I Feel Fine⇒Rudolph, The Red-Nosed Reindeer
・Tequila⇒Frosty The Snowman
・The "In" Crowd⇒We Wish You A Merry Christmas
・Stranger On The Shore⇒White Christmas

というぐあいで、Blue ChristmasはWhen You Walk in the Roomのギター・リック「C-E-C-D-A-E-G-E-D-E-D-C」(ヴェンチャーズはAキーでやっているがフラットが煩いのでCキーに移調した)を嵌め込んでいるのです。

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The Searchers - Sounds Like Searchers

ただし、アレンジのベースにしたのは、サーチャーズ盤やジャッキー・デシャノン盤ではなく、ヒット・アルバムKnock Me Out!に収録された彼ら自身のカヴァー・ヴァージョンでしょう。ジャッキー・デシャノン盤のアレンジャーはジャック・ニーチーでしたが、こちらはクレジットはないものの、他の曲と同様、リオン・ラッセルが譜面を書いたものと推測されます。

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The Ventures - Knock Me Out! このアルバムも基本的にはリード・ギター=トミー・オールサップ、ドラムズ=フランク・デヴィートと考えている。

When You Walk in the Roomでは、トミー・オールサップはファズをかけていましたが、Blue Christmasはトレブルを上げるなどの過負荷による「自然な歪み」(歪んだら「自然」ではないのだが、イフェクターを使わないnaturalな歪みという意味)のかかった音色にしています。好みです。小学生のままテイストが変わっていない!

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また、二弦を開放にしてドローン的に弾きつづけたまま、一弦でメロディーを弾くというプレイもなかなかけっこうです。ということはつまり、オープン・チューニングでやっているということかもしれません。When You Walk in the Roomのリフはオープンのほうが弾きやすそうです。

初期のヴェンチャーズ盤のリードを弾いたビリー・ストレンジやトミー・テデスコのようなヘヴィー級ではないものの、トミー・オールサップもなかなか隅に置けません。

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米盤のヴェンチャーズ・クリスマスEPのバック・カヴァー。スリーヴがクリスマス・カードになっていて、贈答品にできる仕組。

◆ Rudolph The Red-Nosed Reindeer by the Temptations ◆◆
テンプスはなんといっても、デイヴィッド・ラフィンとエディー・ケンドリクスの二人が揃っていた時期がすごいのですが、このクリスマス45は微妙なタイミングでリリースされています。

ラフィンのエゴが肥大し、俺がスターなのだから「デイヴィッド・ラフィン&ザ・テンプテーションズ」にしろとか、移動は自分だけリムジンにするとか、そういうことがあって内紛が起こり、結局、彼が独立してソロになったのが1968年、この赤鼻のトナカイはその年のリリースなのです。

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1968年前半と記憶していますが、まだわたしはほんの子供で何も知らない時代、テンプス、ヴァンデラーズ、スティーヴィー・ワンダーというメンバーでモータウン・パッケージ・ショウが日本でおこなわれることになり、ちょうどモータウンに興味を持ったころで、学校の仲間たちと新宿厚生年金に生まれてはじめて行きました。

まだチケットを買う方法を知らず、ぶっつけで当日券を買うつもりだったため、かなり早めに厚生年金に着いたら、入口前に立て看板があり、テンプスは来ていない、ヴァンデラーズとスティーヴィー・ワンダーだけで公演する、前売券は払い戻す、改めてチケットを買ってほしい、全席自由席、一律千円である、と書かれてあり、同じことを口頭で説明していました。

テンプスが来られないのは残念でしたが、前売券なしのわれわれにはこれが幸いして、かなり前のほうの席を千円で買うことができ、やったぜ、とみんなニコニコでした。子供ですからね、二千円も節約できてすごく嬉しかったのです。

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この68年のモータウン・パッケージ・ショウはライヴ録音がリリースされた。ただし、わたしが見た厚生年金の日ではなく、渋谷公会堂での録音らしい。これは結局、CD化されなかったようで、いまだに聴いていない。記憶ではベースが滅法界に上手かったのだが、子供だからそう感じただけかもしれない。

たしか誰かが急病のためにテンプスは来られなかったと説明されましたが、いま思えば、このデイヴィッド・ラフィンのエゴ肥大が理由だったのでしょう。移動の飛行機やホテルのことなんかでゴネるとか、日本なんてどこにあるのかも知らない野蛮国に行くのは御免だ、とか、いかにも云いそうじゃないですか。

このテンプスの赤鼻のトナカイはドリフターズのWhite Christmas同様、リード廻しが最大の魅力です。イントロないしは前付けヴァースのトナカイのあだ名の列挙なんか、なかなか楽しいヴォーカル廻しになっています。

デイヴィッド・ラフィンのソロの集大成を持っているのに、ソロ・シンガーへの関心が薄いものだから積読状態で、声の区別がつかなくて、はてさて思案投げ首。とりあえずの感触を云うと、このリード・ヴォーカルはラフィンに感じるので、彼が在籍しているぎりぎりのタイミングで録音されたのだろう、としておきます。あとでよく聴きくらべてみます。

モータウンの60年代はドラマーがよくわからなくて、聞き分けにサンザン・クロースなのですが(by トニー谷)、この曲も微妙です。しかし、「さあ張った張った」と壺振りに促されたら、アール・ヤングに持ち金の半分を賭けます。(←弱気。昔は強気で行ける時は「持ち金すべてを張る。間違えたら切腹する」としじゅう云っていた!)

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アール・ヤング。こんなにデカいタムタムはほかで見たことがない。このサイズではフロア・タムみたいな音になるだろう。

◆ Silver Bells by Booker T. & the MG's ◆◆
枕はここにつなげるつもりだったので、辿り着けなかったらどうしようと心配しましたが、無事にMG'sまで来ました。MG'sはスタックスのハウス・バンドなので、基本的にストイックで、ヴォーカル・バッキングではなく、単独の時であってもインプロヴの応酬などということはしません。

とくにIn the Christmas Spiritというアルバムは、ブッカー・Tのオルガンがまるで教会にいるような雰囲気をつくっていて、借りてきた猫のような大人しいパフォーマンスです。テネシー州メンフィスですからね。信仰心篤い土地柄だから、冒瀆と受け取られるようなことは昔は避けたものです。

ほとんど讃美歌を聴いているような気分になるアルバムですが(ミシシピー州トゥーペロで生まれ、メンフィスで育ったエルヴィスのクリスマス・アルバムも教会にいるような気分になる)、少しだけMG'sらしさを出した楽曲があり、そのひとつがこのSilver Bellsです。

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いやあ、それにしても地味なプレイです。ダック・ダンとスティーヴ・クロッパーはミュートで同じリフを弾いていて、スタックスのハウス・バンド「ザ・メンフィス・グループ」の「日常業務」という気配が濃厚です。

しかし、それが彼らの姿、その曲が要求することを過不足なく実現することを本分としている、ということです。こういう地味なアレンジ、レンディションでも、彼らのグルーヴの良さはあらわれていますし。

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@tenko11.bsky.social



# by songsf4s | 2025-12-07 16:16 | クリスマス・ソング | Comments(0)
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