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浅丘ルリ子の夜はふけて その1 共演・小林旭篇
 
芦川いづみの千社札ペタペタをやっておいて、浅丘ルリ子はなしというのではひどい片手落ち、やっぱりルリ子千社札も並べてみます。

1959年から60年という時期では、わたしはあまり日活には行っていないので、「渡り鳥」シリーズには間に合いませんでした。それなのに、なぜか、浅丘ルリ子の記憶は渡り鳥からはじまっています。

シリーズに入れるかどうかは微妙ですが、いずれにしても、渡り鳥シリーズへのステッピング・ストーンとなったのはまちがいない、と先達たちが口をそろえる映画から。

斎藤武市監督『南国土佐を後にして』


タイトルで流れる曲が「ギターを持った渡り鳥」ではないし、敵役のエースのジョーもまだいないとあって、とりあえず心拍数はあがりませんが、中身は、半分ぐらいは渡り鳥の雰囲気でした。

小林旭はまだカウボーイ・スタイルではなく、堅気のような格好をしていますが、職業(ちがうか)は不世出の壺ふり、すなわちギャンブラーです。三回のトライでサイコロを全部縦に積み上げた、というのは、この映画でのことではなかったかと思います。

そりゃ、警察はいろいろいうでしょうし、会社としては、なにかしないわけにはいかないでしょうが、小林旭が「俺がヤクザと飲んで誰に迷惑がかかるんだ」というのも、やはり当然でしょう。

俳優や芸人というのは堅気ではありません。われわれか、あちらの方たちか、どちらに近いのか、といえば、むろん、あちらのほうに近い、というか、ほとんど同業といっていいわけで、だから、「不世出の壺ふり」の役をやって、わずか三ショットで五つのサイコロを積み上げるなんて離れ業だってできたのです。くだらんご清潔病で、芸の世界をつまらなくしないでほしいものです。

閑話休題。浅丘ルリ子の話でした。『南国土佐を後にして』では、まだ垢抜けない感じですが、女性の二十歳前後というのは、どんどん変化していきます。

渡り鳥シリーズ「正式の」第一作である『ギターを持った渡り鳥』は、劇場で撮影したすごい代物しかないので、ちょっと画質がよろしくないものの、シリーズ第二作を。

斉藤武市監督『口笛が流れる港町』


こんどはしっかり西部劇していますし、小林旭の役名も滝伸次です。なぜか宍戸錠の役名は、ファースト・ネームなしのただの「太刀岡」ですが!

浅丘ルリ子は、依然として美少女の延長線上、まだ「女優」への変貌途上というぐあいですが、なにか書かなければならないから、くだらないことをいっているだけで、いやまったく、お美しいことで、と思っています。

斉藤武市監督『大草原の渡り鳥』予告編


再び北海道にもどって、滝伸二は摩周湖のあたりをさまよっています。記憶では、この映画がもっとも完璧に西部劇していて、ジャパノ・ウェスタンの代表作といっていいと思います。

ほかに、日本製西部劇なんかないだろう、という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは勘違い、深作欣二監督、千葉真一主演の『風来坊探偵 赤い谷の惨劇』なんて、タイトルからして西部劇、中身も西部劇でした。

この『大草原の渡り鳥』でしたかねえ、いつもならキャバレーで踊っているはずの白木マリが、なぜか堅気で、牧場で働いているという設定だったのは。

おかしいなあ、と思っていると、どこかで会ったはずだと考え込んでいた宍戸錠が「そうだ、あの女だ!」と思いだし、回想シーンになって、やっぱりキャバレーで踊っちゃうというのは。

しかし、浅丘ルリ子と小林旭のコンビも忙しいことで、渡り鳥シリーズのかたわら、「流れ者」シリーズという、ほとんど渡り鳥そっくり、たんにカウボーイ・スタイルではないだけ、というのをつくっています(最後に西部劇シーンありだが)。

山崎徳次郎監督『海から来た流れ者』


舞台は大島、浅丘ルリ子はバスガイド、ヘア・スタイルやメイクのせいでしょうが、こちらのほうが大人っぽく、色気があります。

つづいてシリーズ第二作のエンディングのあたり。

山崎徳次郎監督『海を渡る波止場の風』


日活アクションのヒーローは、ヒロインと結ばれることはまずないので、エンディングは、ほとんどつねにヒーローがヒロインに背を向けて去っていくシーン、どう去らせるかで、脚本家と監督はあれこれ工夫しました。

わたしは古い建築が好きで、写真を撮って歩いたりしましたが、古い映画にはしばしばすでにない建物が映っているもので、そういうのが見えるたびに、ポーズ・ボタンに手が伸びます。

しかし、考えてみると、鉄道の好きな方たちにとっても、映画はめずらしい車輌の宝庫にちがいありません。

小津安二郎のキャメラマン、厚田雄春は鉄道が好きで、そういうシーンを入れようと何度か小津をせっついたそうです。たしかに『晩春』には長い長い横須賀線のシーンがありますし、『東京物語』のエンディングも原節子と彼女を乗せた汽車でした。

小津安二郎『東京物語』予告編


小津安二郎『晩春』パート1(10:30あたりで鎌倉駅、その後横須賀線)


あるいは、野村芳太郎の『張込み』の冒頭は横浜駅から宮口精二と大木実が列車に乗るところで、その後、延々と佐賀までの道中が描写されます。

野村芳太郎監督『張込み』オープニング


日活アクションにも、たとえば『錆びたナイフ』をはじめ、鉄道のシーンがたくさんあり、列車というのは画面に躍動感を与えるものなので、監督、撮影監督はみな工夫を凝らしたにちがいありません。

それにしても、この『海を渡る波止場の風』のエンディングは、一発でOKがでないと、列車は戻さなければいけない、浅丘ルリ子はまた走らなければいけないで、えらいことだったでしょうねえ。

この「野村浩次」を主人公とした流れ者シリーズで、いちばん印象が強いのは第三作です。

山崎徳次郎監督『南海の狼火』


「ギターを持った渡り鳥」ほど好きではないのですが、「さすらい」もけっこうな曲で、結局、歌手・小林旭の未来はこの曲で定まったと感じます。

この映画での宍戸錠の役名は「坊主の政」、その名の通り、数珠をもって登場には大笑いです。こういうところが好きで、子どものころから、親に隠れて日活に宍戸錠を見に行ったのであります。

浅丘ルリ子の登場までにちょっと時間がかかりますが、これまた渡り鳥のときより大人びたメイクで、けっこうな美女ぶりです。

旭「で、踊り子の名前は?」
ル「たしか、ジェニー・ハルミといったはず」

なんていう台詞が出れば、日活ファンは、そら来た、てえんで、白木マリ登場に備えます。

渡り鳥シリーズにしても、流れ者シリーズにしても、脚本家のひとりは、当時の衆院議長である原健三郎となっていて、堀久作社長の影の面がほの見えます。暴力団は駄目で、政治家はOKって、それはないと思うのですがね。

浅丘ルリ子と小林旭は、この時期に、さらにもうひとつ、「銀座旋風児」シリーズでも共演しています。こちらは映画のクリップはないので、せめて主題歌だけでも。これが好きなんですわ。

小林旭 - 銀座旋風児


歌詞カードには「旋風児」のところに「マイトガイ」とルビがふってあります。「生まれたときから旋風児[マイトガイ]」なのです。小林旭の映画的ペルソナをこれほど端的にあらわした歌詞はありませんぜ。一度歌ってご覧なさいな。メロディーも歌詞も脳裏にこびりついて、逃げることができなくなること請け合いです。

小林信彦の「オヨヨ大統領」シリーズのどれか、たしか、『大統領の晩餐』で、鮎川哲也の「丹那刑事」をモデルにした「旦那刑事」が突然、俺は旋風児なのだ、と叫ぶのは笑いました。いや、日活ファンにしかわからないジョークですが。

矢作俊彦監督の日活名場面集『アゲイン』で見たときから、これはいつかちゃんとみないとな、と思っただけで、まだ実現していない映画。舛田利雄監督『女を忘れろ』、と思ったら、エンベッド不可というケチくさいクリップでした。気になる方はご自分で検索なさってみてください。

かわりに、こちらは大昔にテレビで見た石坂洋次郎原作もの『丘は花ざかり』の浅丘ルリ子歌う主題歌を。共演は二谷英明だなんてことはすっかり忘れていましたが。

浅丘ルリ子 - 丘は花ざかり


手をつけたときから、一回では無理かなあ、と思っていましたが、なんのことはない、1959年と60年の映画だけで終わってしまいました。これは二つか三つに割るしかないようで、つぎもたぶんルリ子の夜をやります。


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by songsf4s | 2011-11-30 23:55 | 映画
芦川いづみデイの日は暮れて
 
特段の理由はないのです。たんに、つい、うかうかと芦川いづみのクリップをたぐってしまい、本日、手元にあるのはこの話題だけとなってしまったのでした。

いやはや、ひとたび見はじめると止まらないもので、至福の時となってしまいます。まず、美男美女ばかりぞろぞろ出てきて、いい加減にしろよ、といいそうになるクリップから。長いのでクリックするならそのおつもりで。

西川克巳監督『東京の人』 - 芦川いづみ、月丘夢路、新珠三千代


男優のほうは滝沢修、葉山良二、青山恭二を確認できます。月丘夢路と葉山良二が会う場面の背景はいったいどこなんでしょうか。イタリア・ロケ、なんていわれたら信じてしまいそうな建築。

月丘夢路というのはちょっと妖艶というイメージだったのですが、大人になってから小津安二郎の『晩春』を見過ぎて、印象が変わってしまいました。しかし、こういう映画を見ると、やはり年増女の魅力を発散していて、ほほう、です。『鷲と鷹』のときより、こちらのほうがずっといいのではないでしょうか。

いちおう、テーマ曲(らしい)のほうも貼りつけておきます。やはり映画からのショットが使われています。

三浦洸一 - 東京の人


『東京の人』は未見ですが、こちらは再見したくて、かつてVHSを買いました。

中平康監督『あした晴れるか』


冒頭にやっちゃ場が出てきて、石原裕次郎がカメラマン、担当編集者が芦川いづみという映画はどれだっけ、なんてことをチラッと思ったことがあったので買ったのですが、明朗闊達単純明快、楽しい映画でした。

ご存知ない方のために注釈しておくと、やっちゃ場というのは東京青果市場のことで、かつて秋葉原駅のすぐまえにありました。いまや高層ビルが建ち並ぶ馬鹿馬鹿しさ。東京でもっともイヤな場所のひとつに変じました。

裕次郎扮するカメラマンが「東京探検」というテーマで写真を撮るという展開なので、あの時代の東京風景をたっぷり見られます。時がたつにつれて、その面でも価値が高まった映画です。

酔っぱらった芦川いづみが、「こんどは血まみれメリーちょうだい」といい、裕次郎に「血まみれ?」といわれ、「ブランデー飲むと回虫わかないの」というのに笑いました。いまや、「回虫ってなによ」という人も多いのでしょうが。

西河克己監督『青年の椅子』


藤村有弘が芦川いづみの婚約者という設定は無理無理で、観客は即座に、これは破談になるな、と卦を立ててしまいますなあ。

浅丘ルリ子は沈鬱な表情の多い役がずいぶんありましたが、芦川いづみは「明るく朗らかに」を絵に描いたような役柄が多かったような記憶があります。

石坂洋次郎原作ものからくる印象なのでしょうが、「わたし、これからの女というものは、これこれこういうことが大事なのではないかと思います。男女のことも、いままでのようなじめついた日陰のものとしてではなく、明るい太陽の下で考えるべきなのではないでしょうか」などといった意見を正面から述べたり、ポンポンと男をやりこめるような役も似合いました。石坂洋次郎的な戦後民主主義を具現した存在と、すくなくともわたしは見ていました。

そういう民主主義という抽象観念の肉体化の極北は、この映画での役かもしれません。やはり石坂洋次郎原作。

中平康監督『あいつと私』


60年安保を(あまり目立たない)背景にした、裕福な家庭の子女が通う私立大学の学生たちの話ですから、自然と女の自立といったテーマが忍び込んで、芦川いづみはしきりに政治観、人生観、社会観を一人称で(!)陳述します。まあ、彼女がやると、角が立たず、そういう女性像も魅力的に見えます。

脈絡もなく、いま目についてしまったので、貼りつけます。アクションの日活としては、やけくそみたいに異質な映画でした。

森永健次郎監督『若草物語』


大昔、テレビで見たときは、芦川いづみが長女で、その下が浅丘ルリ子、という設定がちょっと意外でした。まあ、微妙なところですが、どちらかというと、浅丘ルリ子は長女的と感じます。

結局、石原裕次郎や小林旭でまわしていくことが苦しくなり、松竹かよ、という日活にはありえないような女性映画が生まれることになったのでしょう。

美女たちが妍を競うのは麗しいのですが、しかし、なんだか物足りない映画でした。キャスティングがまわらなくて、苦肉の策としてこういう映画をつくるのはやはり賢明ではないのでしょう。男優の粒が小さくて、女優の豪華さが生かされていませんでした。

それにしても、いつもの文脈から脱出したはずだった吉永小百合は、またここにも浜田光夫が待っていて、なーんだ、だったのでしょうねえ!

もう一本。これまた、ポンポンまくしたてる戦後的女性を演じています。

牛原陽一監督『堂堂たる人生』


日活はタイプ・キャスティングというか、そんなことをする余裕すらなく、主演ははじめから決まっていて、それに合わせて話を選んだり、つくったりしていたわけで、『若草物語』のように不安定なキャスティングは例外中の例外、この『堂堂たる人生』も、いつもの安定したキャスティングです。

とはいいながら、桂小金冶がまた寿司屋のオヤジというのは笑ってしまいます。この人はほかの役ができる気がしません!

わたしのもっとも好きな芦川いづみ出演作品は『あじさいの歌』ですが、これは残念ながらクリップがありませんでした。以前はあったのですけれどねえ。もっとユーチューブを活用してくれるといいのですが。

それにしても、なぜ、昭和30年代の日活映画を見ていると、こうも幸せな気分になるのでしょうか。わがことながら、じつに不可解千万です。


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by songsf4s | 2011-11-29 23:44 | 映画
now listening ジュディー・コリンズ Cook with HoneyとSomeday Soon
 
先日、「お嬢さん、失礼ですが、お名前は?――スターの向こうのガール・シンガーたち」という記事で、ハウディー・ムーンの、というか、ヴァレリー・カーターのCook with Honeyを貼りつけたとき、ジュディー・コリンズのヴァージョンもあったはずなのに、と思ったのですが、クリップが見あたりませんでした。

ではやむをえない、自分のを聴こう(落語「しわい屋」シテュエイション!)と思ったのですが、ファイルを発見できず、ついにその日は聴けませんでした。やっと見つけだしたので、本日はまず、そのジュディー・コリンズ盤Cook with Honeyから。

サンプル Judy Collins "Cook with Honey"

うろ覚えですが、たしか、ヴァレリー・カーターはこのヴァージョンでバックグラウンドを歌ったのだと思います。

しかし、ヴァレリー・カーター/ハウディー・ムーンのセルフ・カヴァーにくらべると、こちらは軽いというか、緊張がないというか、ハウディー・ムーンから逆算すると、ちょっと物足りない出来に感じます。

いや、楽曲というのは、はじめのうちはどうアレンジするのが適切か、見えない場合があるので、ジュディー・コリンズ盤ができたおかげで、ヴァレリー・カーターはやりやすくなったのかもしれません。

このブログのごくごく最初のほうで取り上げましたが、ジュディー・コリンズといえば、まずこの曲が指折られるでしょう。

Judy Collins - Both Sides Now


これまた、ジョニ・ミッチェルのセルフ・カヴァーにくらべると、軽いポップな仕上がりで、偶然なのか、そういう傾向があるのか、どちらなのだろうと首を傾げます。こちらについては、ジュディー・コリンズ盤には相応のよさがあり、いっぽうでジョニ・ミッチェル盤にもやはりおおいなる美点がある、と考えています。

Both Side Nowも好きでしたが、昔いちばん好きだったのはこちらの曲。

Someday Soon - Judy Collins


久しぶりに聴いて、なんだか溜息が出ました。ジュディー・コリンズもけっこうなのですが、バンドが、控えめなのに、実力おおありムードで迫ってきて、なんだよ、だれなんだよ、と驚きました。

すごくてあたりまえのメンバーでした。ドラムはわが愛するジム・ゴードン、ペダル・スティールはバディー・エモンズ、ベースはクリス・エスリッジ、ギターはジェイムズ・バートンとアルバムにはクレジットされています。これでは悪いサウンドなんかつくりたくてもつくれません。いやはや、名手がやると、軽く流しても、うまさがにじみ出てしまうなあ、と呆れました。

もう一曲、昔から好きなのがあります。いい音のものはないので、このアナログ起こしを。やはりジョニ・ミッチェルの曲です。

Judy Collins - Michael from Mountains


わたし自身は宗教的なものは、それだけの理由で十分に嫌いなのですが、日本ではいつのまにか、ジュディー・コリンズの代表作はつぎの曲になってしまったようです。

Judy Collins - Amazing Grace


なんか、うそっくせえー、と思います、偽善の悪臭紛々たる仕上がりでしょうに。こういう面が嫌いで、この人を聴かなくなったのですが、正しい選択だったと、いま聴いて改めて納得しました。

最後に、ジュディー・コリンズに捧ぐラヴ・ソング。この人も、当時はいろいろあったでしょうが、あとで、Amazing Graceが似合うような歌手はやめにしてよかったと思ったのではないでしょうかねえ!

Crosby, Stills & Nash - Suite: Judy Blue Eyes


ウッドストック・ヴァージョンもそれなりに印象的でしたが、スティーヴ・スティルズのベースが入っている、ダラス・テイラーのドラムが入っているという理由で、わたしはこちらのほうが好きです。

しかし、スティルズのアコースティック(この曲では左チャンネルにおかれている)というのは、どうしてこういう音になってしまうのでしょうか。昔も首を傾げ、いまもまた首を傾げました。

以前にも書いたと思いますが、スティーヴ・スティルズのベースもラインの取り方が独特で、それなりに好きでした。ジュディー・コリンズやジョニ・ミッチェルの曲でもベースをプレイしていましたが、どの曲だったか。あ、思いだしました。

いつもそうですが、では、「最後の曲」をもうひとつ!

Joni Mitchell - Carey


なんのことはない、以前、この曲のことを記事(Carey by Joni Mitchell)にしたことがあり、そのときにベースにもふれました。ボケ老人への道を着実に歩んでいるようです!


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ジュディー・コリンズ
the very best of judy collins
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ジョニ・ミッチェル
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クロスビー・スティルズ&ナッシュ
Crosby Stills & Nash
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by songsf4s | 2011-11-27 23:57 | その他
The Best of Jim Gordon補足8 Gabor Szabo、バッファロー・スプリングフィールド、トム・スコット
 
今日はすでに笑ってしまうほどわずかな時間しか残っていないので、ちょっとジム・ゴードンの曲を聴くことにします。

もうまもなくシンデレラ・タイム、迷い箸をしている余裕はないので、1967年のアルバムに限定しました。

まず、おう、これもそうだったかと、ディスコグラフィーを見て思いだした曲から。たしか、ライノから出たボックス・セットにジム・ゴードンのクレジットがあったと思いますが、記憶曖昧なり。

調べずに書きますが、オーケストレーションはジャック・ニーチーだったと思います。それでフィル・スペクター風の音になったのか、はたまたゴールド・スター録音だったのか、悩んでいる暇はないので、さあ聴いた!

The Buffalo Springfield - Expecting to Fly


はじめて聴いたとき(日本ではリリースがおそろしく遅れ、はっぴいえんどよりあとで聴いたと思う。いや、つまり、はっぴいえんどのデビュー盤の献辞にバッファローの名前があるのを読んだあとで、バッファローの盤がパイオニアから遅れてリリースされ、それ、というので買った、という記憶なのだ)、これはすげえサウンドだ、と思いましたが、いま聴いても、さすがはジャック・ニーチー、と思います(いや、ニーチーじゃなかった場合、すごくバツの悪いことになるがwww)。

ジム・ゴードンのプレイについては、やはり「プリンス」といわれただけのことはあると感服します。アール・パーマーやハル・ブレインといった「キング」たちが、フィル・スペクターのセッションで見せた、「大きなドラミング」をジミーもやっています。

つづいて、Gabor Szaboとカリフォルニア・ドリーマーズ。ガボール・ザボって発音はないのですが、適切と思われる音訳をすると(そもそもハンガリー人は、姓、名の順だから、逆転しなければいけないし)、だれのことかわからなくなるので、原綴許されよ。

Gabor Szabo & The California Dreamers - White Rabbit

この盤を買ったときは、ジャズ系のエンジニアはドラムの録り方を知らないなあ、と呆れました。いや、正確にいえば、ドラムを強調したバランシングと、スネア・ドラムをシャープに鳴らすのがうまくない、という意味ですが。ジム・ゴードンが下手に聞こえたので驚きましたよ。

でも、まあ、その印象の半分は、このアルバムでちょっと叩いているジョン・グェランのトラックをジミーなのかと勘違いしたせいでもあるのですが。聴いてみます? 下手だから、頭を聴けば十分です。それだけで、このドラマー駄目だ、と結論が出せます。

Gabor Szabo & The California Dreamers - A Day in the Life


この三連! ドラムがあとから入っていく場合、最初のフィルインをカッコよく聴かせられないようでは、そのドラマーは望みはありません。舞台中央でおもいきりみえを切る場面なのに、そこでコケてどうするんですか。

ハル・ブレインやジム・ゴードンなら、そういう場面で、はずしてしまうようなトンマは絶対にしません。そこがホンモノとニセモノの決定的な違いです。

同じインパルスの、初期ジャズ・ロック・シリーズ、とでも名づけたくなる一連のアルバムでも、トム・スコットのほうが、いくぶんかましなサウンドでした。

と思ったのですが、ユーチューブにはこのアルバムのつまらない曲か、ひどい音のしかなくて、立ち往生してしまいました。しかたないので、すでにThe Best of Jim Gordonに入れた曲だし、音はよくないのですが、このトラックを。

Tom Scott with the California Dreamers - Blues For Hari


やっぱり、スネアの音がきちんと録れていなくて、タコなエンジニアです。これじゃあ、ドラマーが泣きますよ。

音質がよくなると、少しマシになるので、サンプルをアップしました。

サンプル Tom Scott "Honeysuckle Breeze"

なんだかあわただしいのですが、もうギリギリ、あと数分しかないので、これにて本日は幕。


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バッファロー・スプリングフィールド
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トム・スコット
HONEYSUCKLE BREEZE
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by songsf4s | 2011-11-25 23:58 | ドラマー特集
いまさらのようにPet Soundsを聴きなおしてみる その13 You Still Believe in Meセッション
 
Pet Sounds再訪、あと二曲まできて長らく足踏みしてしまいました。立ち向かうには気力の必要なアルバムで、ちょっと気を抜くと、戻れなくなってしまいます。

かくてはならじ、今日は残った二曲のうち、相対的に楽なほうを検討します。さっそく完成版のステレオ・ミックス。

The Beach Boys - You Still Believe in Me


何度も書いているように、Pet Soundsの特徴のひとつは、耳慣れない音が聞こえることです。このYou Still Believe In Meも例外ではありません。

なんのヴィデオだったか、ブライアン・ウィルソンが、フィル・スペクターからなにを学んだか、ということを、明解に語っていました。ブライアン曰く、スペクターが呈示したことでなによりも重要なのは「第三の音」なのだそうです。

第三の音とはなにか? ギターとピアノをいっしょに鳴らす、このとき、われわれの耳に響くのは「ギターの音」と「ピアノの音」という二種類の別々の音ではない、この二つが合成されたべつの音、「第三の音」である、とブライアンは説明していました。

スペクターはカスタネットだ、と考えた愚人や、スペクターはエコーだ、という凡人とは、やっぱり、ブライアン・ウィルソンは出来がちがいます。

たとえば、ブライアン・ウィルソンが昔も今も愛してやまないBe My Babyはどうなっているでしょうか。

The Ronettes - Be My Baby


人それぞれ異なるでしょうが、わたしが最初に感じるのは、コードです。昔から、Be My Babyを聴くと、まずそのことを感じてきました。

最初はよくわからなかったのですが、必死で聴き、また、スペクターの汎用的手法がわかってきた現在の場所でいうなら、複数のアコースティック・ギター(12弦もあるかもしれない)、ピアノ、それにひょっとしたらハープシコード、という組み合わせだと想像します。

ブライアンも、このモワモワしたスープ状の音を分析したのだと思います。そして、この「第三の音」をスペクター以上に大々的に利用したアルバムがPet Soundsなのだ、といっていいでしょう。

Pet Soundsではつねにそうだといっていいでしょうが、You Still Believe in Meも、はじめから「第三の音」が利用されています。

イントロの楽器は、作詞のトニー・エイシャーがピアノの弦にクリップをとめて鳴り方を変え、ブライアン自身がプレイしたと伝えられています。ブライアンは、それだけではなく、ここにヴォーカルを重ねて、独特の響きをつくっています。

音の重なり方を解きほぐす参考に、パーソネルを書き写しておきます。

ドラムズ……ハル・ブレイン
パーカッション……ジェリー・ウィリアムズ
ティンパニー、ラテン・パーカッション……ジュリアス・ウェクター
アップライト・ベース……ライル・リッツ
フェンダー・ベース……キャロル・ケイ
ギター……ジェリー・コール、バーニー・ケッセル、ビリー・ストレンジ
ハープシコード……アル・ディローリー
ベース・クラリネット……ジェイ・ミグリオーリ
サックス……ビル・グリーン、ジム・ホーン、プラズ・ジョンソン

歌がはじまったときに背後で鳴っているのも「第三の音」です。アル・ディローリーのハープシコードがいちばん目立つ音ですが、そのすぐ上に接着するように、ハープシコードと一体になって、ひとつの構造物を構成するかのごとき形で、ギターがおかれています。二本かと思ったのですが、このクレジットでは三本になっています。

Pet Soundsの異常さには馴れてしまったので、改めて、この違和感、いや、そういうネガティヴな意味ではなく、「異質感」とでもいえばいいのか、それまでに経験したことのないものに出合った感覚を思いだすのはむずかしくなってしまいました。

しかし、あの時代、いや、いまでもそうかもしれませんが、ポップ・フィールドで、このようなギターの使い方をしていたのは、ブライアン・ウィルソンただひとりではないでしょうか。

ポップ/ロックの世界では、ギターというのは、コードを弾くものであり、単独でオブリガートを入れるものであり、そしてなによりも、ソロをとるものでした。これはいまでもほとんど変わっていないでしょう。

しかし、ブライアンのPet Soundsでのギターの使い方は、アンサンブルを構成する楽器のひとつとして、隅々までアレンジして、全体のなかにとけ込ませる、というものでした。

これはやはりノーマルではありません。ブライアンはそのことを明確に意識していたにちがいありませんし、そういうギターの使い方にさまざまな工夫を凝らしています。

この曲で気になるのは、あとはパーカッションと管です。

調べてデータを起こしてくれたのに、こんなことをいっては申し訳ないのですが、こういう風にデータを書いていて、それでなにも疑問に思わないのかなあ、と文句をいいたくなってしまいます。

この曲にドラムといえるようなものは入っていないので、ハル・ブレインがプレイしたのは、たぶんパーカッションでしょう。

とはいえ、いっぽうで、ジュリアス・ウェクターがプレイした「ラテン・パーカッション」ってなんだよ、とも思います。そんなものも見あたりません。

目立つのは自転車のベルのような音。これはチーンとやるだけのものと、チリリンとやるものの二種類のように聞こえます。ただし、チンと一発だけのほうは、ひょっとしたら、パーカッションなのかもしれません。

ひとつはつぎの曲と同じ楽器かもしれず、だとしたら、自転車のベルではなく、なにかのパーカッションかもしれません。

The Beach Boys - She Knows Me Too Well


しかし、チリリンのほうはまちがいなく自転車のベル、だれがプレイしたのやら、です。

結局、ジュリアス・ウェクターはティンパニー、ハル・ブレインは得体の知れないチリン、ジェリー・ウィリアムズが自転車のベル、という役割分担でしょうか。

エンディングの豆腐屋のラッパみたいなものは、昔読んだものではオーボエと書かれていた記憶があるのですが、このクレジットではどうもそうではないようです。昔の車のクラクション? いや、スティーヴ・ダグラスのクラリネット、と考えておきます。

時間切れなので、ホーンについては簡単に。

ハリウッドには、ビリー・メイやショーティー・ロジャーズやニール・ヘフティーのように、ホーン・アレンジの世界ではそれと知られた人がたくさんいました。ブライアン・ウィルソンのホーン・アレンジは、そういうビッグ・ネームたちのものとは性質が異なります。

ブライアンのホーン・アレンジは、ちょうどオーティス・レディングのように、コーラス・グループのヴォーカル・アレンジャーが、歌の延長線上でつくるタイプのものでした。

だから、ビリー・メイのアレンジのように、スウィング感を追求するわけではなく、和声的な響きの美しさを主眼としたものでした。このYou Still Believe in Meは、そうした「歌うホーン・アレンジ」の典型で、何度か、うーむ、美しいなあ、という瞬間があります。

もう置き場所をつくっている余裕がなくなってしまったので、脈絡もなく、最後に、あとで置こうと思ってアップしておいたサンプルを貼りつけておきます。

トラッキング・セッションのテイク9から22までです。ブレイクダウンやホールドが多いのですが、その理由がそれぞれに異なっていて、音楽が生まれていく過程の面白みに満ちた断片です。

サンプル The Beach Boys "You Still Believe in Me" (take 9 through 22)


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by songsf4s | 2011-11-24 23:54 | 60年代
そして、メル・テイラーもいなかった+鈴木清順、宍戸錠語る
 
本日は休日にしては、ツイッターのタイムラインが静かで、「日活100年」アカウントから流れてきた、先日の鈴木清順監督と宍戸錠の対談というか、舞台挨拶のようなものを読んで、ふむふむ、がっはっは、などとやっていました。

日活サイトの「『鈴木清順 再起動!』 トークショーは立ち見ファンでいっぱい!」

いくつか面白い話が出てきましたが、このくだりが、モスト・フムフムでした。

宍戸錠「今年は日活のプレ100年祭で、先日NYのリンカーン・センターへ行って挨拶したんですよ。通訳をつけるから日本語で大丈夫と言われたので、『絶対に英語でやってやる!』と思ってね。英語なんか喋れないんだけど、そういう時は喋っちゃうんだよね。
舞台に出たら『ピストル持った格好をして下さい!』と言われて、写真を撮られたんだけど、リンカーン・センターにはポラロイド写真が貼ってあってね。最初に貼ってある人がクリント・イーストウッドで、その次の俳優がちょっとわからなくて、その次の俳優が……俺なんだよ! ヤッター! と思いましたね。日活でも石原裕次郎がいて、小林旭がいて、三番目に宍戸錠がいた。だから、『ああ、俺はいつも3番手なんだなあ』と思いながら、それでも3番目に自分が写っている写真を見た時には感謝感激で涙が出るくらい嬉しかったです。その写真が 『Gate of Flesh』、つまり鈴木先生の 『肉体の門』 なんですよ。あれはニューヨークでも、ものすごくウケているんです!」

日活には「ダイアモンド・ライン」なんていうのがあって、これは石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎、和田浩二という顔ぶれでした。むろん、宣伝用に会社が考えたもので、つまり「会社が売りたい順」です。

しかし、赤木圭一郎の早逝で、こんな売り文句は吹き飛んでしまいます。裕次郎の骨折が重なって、主演男優不足に悩んだ会社は、エースのジョーを主役に起用します。あれこれ考え合わせると、「三番目」というエースのジョーの認識は、日活の歴史全体で捉えれば、そのとおりかもしれない、と思ったのでした。

ピストルをもつ格好をしてください、とはまた、NYのプレスも日本とノリはいっしょ! こういうとき、照れずにさっとやってくれるのがエースのジョーのすばらしさです。

談志の死にショックを受けて、いや、そのまえから、仕事も一段落だから飲むぞ、というツイートをしていた人が、だいぶ聞こし召され、エースのジョーについてあれこれツイートされていました。

おまえ、俺より抜き撃ちが早くなったら、二代目を継がせてやるといったくせに、いざ勝ったら、お前は早いだけだ、殺しの美学がない、といって継がせてくれなかった、なんておっしゃっていて、ニヤニヤしてしまいました。

いや、つまり宍戸錠という人は、照れるも照れないも、抜き撃ちの早さをおおいに誇りにしているのでして、そういうところが、やはりたまらなくエライと思うのであります。

ふつうじゃないというのは、偉大です。たしか、昔、銃刀法違反で取り調べられたりしたことがおありだったと記憶しています(呵呵)。けっこう、映画を地で行く人なのでしょう!

もうひとつ。

宍戸錠「ある撮影の時、『今日は屠殺場で牛を殺してもらうから、眉間に完璧にバカーンッと入れろ』と言われたので、『堪忍して下さい。牛肉はステーキにしないと食えなくなります。殺すのは無理です』とお願いしたことがありました。それが『肉体の門』 という作品で、英語で言うと『Gate of Flesh』 と言います。understand?」

ちょっと意味不明のところもありますが、むろん、牛を殺せといった人は鈴木清順監督です。映画監督というのは、こういう無慈悲なところがあるからなあ、と笑いました。

『肉体の門』予告編(ちょっと露骨な描写があるので、プレイする前にご一考を)


いや、いまは動物愛護団体がうるさいので、ほんとうに殺したりするとまずいことになります。なら、牛肉食うなよ、と思うのですが、まあ、みなさん、菜食主義者なのでありましょう。

いや、馬が倒れたりすると、無事であってくれよ、と思いますけれどね。骨折したらおしまいですから。

足立正生監督が、処女作で、ほんものの××を使ったという話を聞いて、うひゃあ、とのけぞったことがあります。いや、この話はやめておきます。映画の世界はとんでもない、というか、足立監督がとんでもないだけかもしれませんが。

談志の死を悲しみ、ふと、エースのジョーが死んだら、悲しいではすまないぞ、と狼狽した方のツイートを読んでいて、わたしも、ジョーが健在で、いまも、拳銃を撃つ格好をしてくれ、という注文に嬉々として応じている、というのは、なんともありがたいことだと思いました。それがリンカーン・センターでの出来事だというのだから、なおさらです!

今回の鈴木清順シネマテーク「鈴木清順 再起動!」は12月16日までつづくそうです。

わたしは今回は行かないだろうと思いますが、高校のときに池袋文芸座地下のシネマテークで見たきりになっている『密航0ライン』がちょっと気になります。伊勢佐木町と元町でロケをしていた記憶があり、そのあたりをもう一度見てみたいのです。

◆ Just another instrumental project from L.A. ◆◆
静かな休日は、立川談志没の未確認情報が流れたあたりから、だんだん騒然としてきて、談志師匠とは無関係なことでも、おや、ほう、というツイートが流れはじめ、昼下がりから忙しいことになってきました。

当家にもときおりコメントをお寄せくださる、われらが「長老」(いつのまにやらお互い「アラカン」となり、洒落にならなくなってきた!)キムラセンセが、つぎのようなことをつぶやいて、談志に気を取られていたわたしは、虚をつかれてしまいました。センセ、外交電報送りましたが、開戦に間に合わず、結果的に事後承諾とさせていただきますので、どうかあしからず。

「本を読みながら、Media Monkeyにシャッフルさせて音楽を流していたら、Mel Taylor & The MagicsのThe In Crowdが流れてきた。途中から流れるギターに驚いた。グレン・キャンベル80%、ビリー親分20%の確率。もうけた気分。」

このツイートのときは、ほう、それはありそうな話、と思っただけなのですが、そのつぎで、ええ、となりました。

「気になったので、アルバムを聴き直している。Bullseyeのギターは間違いなくビリー親分。というか、そもそもこのアルバムのドラムはメルなのか?違うんじゃないか。プロデューサーがディック・グラッサーだし。違うという方にぜんざい1杯賭けとこう。」

あたしなんか、すぐに、首をかけるの、腹を切るのと、軽々しくいっちゃうのですが、さすがにセンセはぜんざい一杯、穏当というか、腹が据わっていないというか、命を大事にするというか。

いや、そんなことはどうでもよくて、メル・テイラーのアルバムなのに、メル・テイラーが叩いていないのかよ、まあ、サンディー・ネルソンの盤で叩いているのがアール・パーマーだったという例もあるからな、と思ったのです。

ともあれ、ユーチューブにあったメル・テイラー名義のトラックを貼りつけます。

Mel Taylor & the Magics - The "In" Crowd


おお、かっこいいギター、だれなのか5秒以内に札を張れ、といわれたら、目をつぶってビリー・ストレンジへと。しかし、センセがこちらだと主張するグレン・キャンベルも、トミー・テデスコもありそうで、悩ましいところです。

センセがあげられているBullseyeはクリップがないので、サンプルをアップしました。アナログ・リップ、低音質です。

サンプル Mel Taylor & the Magics "Bullseye"

こちらのリードギターはストレートなトーンなので、The "In" Crowdより明解にビリー・ストレンジじゃん、といえます。ビリー御大は、あまりワイルドなプレイをしませんが、たまにやると、The "In" Crowdみたいな感じなのです。でも、グレン・キャンベルといわれると、たしかに、グレンはよくこういうプレイをしているな、とも思います。今日は歯切れが悪いなあ>俺。

いや、もう時間切れで、この話題をまとめる余裕がなくて、焦っているのです。

さきほど引用したツイートのつぎに、キムラセンセからは追って書きが届きました。

「あとから、日本盤に付いている山下達郎のライナーを読むと、『メルテイラー・本人が演奏メンバーや選曲の経緯などに関して全く記憶が無いと再三コメントしている(何か彼にとって不快な要因があったのかもしれない)』とあります。キック踏ませてもらえなかったのが…。」

これには大笑いでした。やはり、ご当人とは関係ないところで企画が進み、名前と引き替えに金をもらっただけ、というパターンだったようです。いくつか、メル・テイラー風のドラムもあるのですが、ぜんぜんちがうじゃん、というトラック(たとえばWatermelon ManやA Taste of Honey)もあります。

もうひとつクリップを。

Mel Taylor and the Magics - Skokiaan


メル・テイラーではないとして、ではだれだ、といわれると、わたしにはなんともいいかねます。アール・パーマーとハル・ブレインの線はまずないでしょう。

すでにジム・ゴードンは活躍しはじめていますが、あまりジミーのような雰囲気もありません。ジム・ケルトナーの線もゼロ。もうちょっとクラスの落ちる人ではないでしょうか。ジョン・グェランのように突っ込んではいませんが、おみごと、というプレイもありません。

メル・テイラーのソロだなんて、あの突っ込むドラムを聴かされるのはかなわんなあ、と思っていたのですが、まじめに聴いてみれば、とくにタイムが早すぎて気分が悪くなるようなトラックはなく、タイムは訓練で改善されるのだな、と納得したのでした。ん? ちがうか。

本文の趣旨とはかけ離れた、とってつけたような結論をとってつけてしまい、どうも失礼しました。今日は談志没と、粋人、もとい、酔人の宍戸錠談義で消耗してしまったのでした。


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メル・テイラー
イン・アクション
イン・アクション
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by songsf4s | 2011-11-23 23:52 | 映画
SMiLE気分になってみる――ブライアン・ウィルソンとSMiLEショップほか
 
今日はPet Soundsの残りをなんとかしようとちょっと聴いたり、書いたりしたのですが、ブライアン・ウィルソン病にかかったのか、どうもうまくいかず、ワードローブを着て、自然食品の店に立ってみたりしました(ウソ)。

世間はPet SoundsというよりSMiLEだなあ、なんて思い、チラッとそっちを聴いてみたりしました。だいたい、昼間に岸井明を聴いたあたりから、今日はズレてしまい、うまくいかない予感がしたのですが。

ロング・ビーチのSMiLEショップとブライアン・ウィルソン


やっぱり、日本にいちゃ駄目だなあ、というクリップでした。ロング・ビーチにいれば、これですからね。

ビーチボーイズ・ファンはおわかりでしょうが、このクリップの冒頭、「Release Day」の文字が出るときに、Graduation Dayがかかっています。

しかし、あの飾りつけはすばらしい。あれを売ってみたらどうでしょうかね。壁のシミ隠しには最適でしょう。

またしても「BeachBoysさん」がアップした宣伝クリップばかりになってしまって恐縮ですが、もうひとつ。

The Beach Boys An Introduction to "SMiLE Sessions"


Pet Soundsは「すばらしい曲」と「いい曲」のミクスチャーで、駄目な曲というものがないアルバムでした。ああだこうだと細かいゴタクをいう以前に、「いい曲ばかりのいいアルバム」だったのです。

SMiLEはちょっとちがいます。楽曲も重要なのですが、それ以上に、サウンド、アレンジに強く依存した造りと感じます。その一点で、この両者は、じつは、ずいぶんと性質の隔たったものではないでしょうか。

ごちゃごちゃいっていないで、また「BeachBoysさん」のクリップをいってみます。

The Beach Boys SMiLE Sessions - Heroes and Villains Music Video


今日は時間を空費してしまったし、相手はSMiLE、なにか意味のあることをいう余裕などないのですが、聴いていると、やはりいろいろなことを思ってしまいます。

SMiLEはしばしばビートルズのSgt. Pepperと比較されます。たしかに、Sgt. Pepperの誕生を促した時代の気分が、SMiLEの向こう側にもあると思います。

しかし、SMiLEを聴いていてわたしが連想するのは、Sgt. Pepperではなく、Abbey Road(いま、このアルバムのタイトルを思い出せず、笑ってしまった。いかに親しまなかったかがわかろうというものだ!)のほうです。

Abbey RoadのB面、独立した曲としては未完成のものを、想像力と構成力とスタジオ技術だけで、組曲として一貫性のようなものを無理にでも感じさせてしまうレベルにまで、強引にもっていってしまった、ジョージ・マーティンという人物のすごみを思わずにはいられません。

いや、ブライアン・ウィルソンの曲です。Pet Soundsとは意味が異なるとはいえ、レベルのちがう場で、ブライアンはやはりSMiLEのために「いい曲」を書いています。たんに、ポップ・フィールドで45回転盤としてリリースし、ビルボード・チャートの上位を狙えるタイプのものは見あたらないだけです。

容赦なく時刻は迫っているので、できるだけたくさん千社札をペタペタしてみます。SMiLEのもので、もっともふつうの意味で「いい曲」なのは、これかもしれません。

Beach Boys - Surf's Up (Smile Sessions ver.)


この曲はサルヴェージされ、同題のアルバムに別エディット・ヴァージョン(と理解しているが、再録音というべきなのか?)が収録されました。そちらのほうだって、楽曲として美しいとは思いますが、やはり、本来の場所はSMiLEだと、強く思います。

Pet Sounds Sessionsのときも感じましたが、やはりSMiLE Sessionsでも、楽曲がどうとか、アレンジがどうとかいう前に、いい音が鳴っているのを耳にするのは気持がいい、結局、いちばん重要なのはそれではないか、なんて思います。

Wind Chimes- 1080p The SMiLE Sessions Version


すくなくとも、これだけははっきりしています。ブライアン・ウィルソンは、最終的には構想の大きさと精神の消耗に負けて、このアルバムを放棄してしまいます。だから、それなりの苦しみはあったのでしょう。でも、これだけの音を鳴らしたのです。音楽家として、日々、深い快感を味わっていたにちがいありません。いい音を出すのはすごいことだ、とつくづくと思います。

The Beach Boys - Cabin Essence


いつだったか、キャリアが下り坂になってから、苦し紛れにスタンダード・アルバムやクリスマス・アルバムをつくるのは愚かだ、ということを書きました。

ニルソンは、湯水のように金を注ぎ込んで、絶頂期にスタンダード・アルバムをつくりました。こういうところで、できあがったものに差がつくのです。

SMiLEのように、とほうもないコストをかけたアルバムが、あやうくテープのままで収蔵されつづけるだけになったのは、無駄といえば無駄です。しかし、金のかかったものは、やっぱりいい音になるなあ、音を出すのに無駄金なんてものはない、と思ったのでした。

The Beach Boys - SMiLE Sessions Surfboard


いつか、SMiLEに正面から取り組みたいと思いますが、もうちょっと時間がかかりそうです。


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by songsf4s | 2011-11-22 23:51 | 60年代
お嬢さん、失礼ですが、お名前は?――スターの向こうのガール・シンガーたち
 
昨日、アリサ・フランクリンを聴いていて、ほら、これじゃなくて、あの曲、と頭のなかでジタバタしてしまいました。思いだしたかったのはこの曲。

Aretha Franklin - Respect


もうひとつ続けて、わたしが「同系統」と感じるアリサ・フランクリンの曲を。

Aretha Franklin - I Say a Little Prayer


ユーチューブも最近は馬鹿にならないようで、ここまでくれば盤と同じ音質、イチニッパだなんて呆れた超低音質ファイルが、いっぱしに値段をぶら下げ、ウェブを駆けめぐっていますが、こうなるとユーチューブは立派な「配信バスター」です。

いや、この曲、もとの録音自体、かなりハイレベルで、これがトム・ダウドなら、やっぱり腕はたしかだったのだ、と思います。こういう立体感があり、クリアな音はもっとも好むところです。

それはともかく、タイトルに書いたように、本日の主役はうしろで歌っている女性シンガーたちです。

フロントのシンガーより、そういう人たちの声が気になることがしばしばあります。前回、アリサ・フランクリンを聴いているうちに、そちらのほうに気が流れました。

Respectでアリサといっしょに歌っているのは、妹だというのを昔読んだ記憶があったのですが、調べると、キャロライン・フランクリンという名だそうです。いくつか盤がありますが、姉さんのようには成功しなかったようです。

ついでにいうと、ドラムはジーン・クリスマン、ベースはトミー・コグビルです。Memphis Undergroudもコグビルだったような気がしますが、調べるのはネグッてつぎへ。

バート・バカラックとハル・デイヴィッドのI Say a Little Prayerをヒットさせた(たぶんオリジナルでもある)のはディオーン・ウォーウィックですが、このアリサ・フランクリン・ヴァージョンも、FENではよく聴きました。

どちらかというと、ウォーウィック盤より、アリサのほうが好みでしたが、その理由のいくぶんかはバックグラウンド・ヴォイスでした。こちらもクレジットがあります。スウィート・インスピレーションズが歌っているそうです(ドラムはロジャー・ホーキンズ)。

グループ名と同じタイトルという変な曲がヒットしましたっけ。

The Sweet Inspirations - The Sweet Inspiration


スウィート・インスピレーションズは、シシー・ヒューストン(娘がウィットニー、姪がディオーンとディー・ディーのウォーウィック姉妹)がつくったグループで、Just One Lookのドリス・トロイや、ジュディー・クレイも在籍したことがあるそうですが、I Say a Little Prayerのころのメンバーはよくわかりません。

スウィート・インスピレーションズのベースはたぶんNYで、バックグラウンドやデモで引っ張りだこだったとか。ちょうどハリウッドのブロッサムズのような存在だったようです。

アリサ・フランクリンが嫌いなわけではないのですが、声量があって、なおかつうまい、というのはわたしのおおいに好むところではなく、うしろで歌っているキャロライン・フランクリンやスウィート・インスピレーションズのほうに、強く耳を引っ張られました。

同じような、といっていいかどうかは微妙ですが、ギター・インストなどの女声コーラスというのも、同様の魅力があります。そういうことを意識するきっかけになった曲。

The Ventures - Lolita Ya Ya


これはスタンリー・キューブリックの映画『ロリータ』のテーマで、音楽監督と作曲はネルソン・リドルでした。サントラではなく、リドル自身による再録音なのだろうと思いますが、ともかく、元のほうをどうぞ。

Nelson Riddle - Lolita Ya Ya


これを聴いたときは、ふーん、でした。アレンジとしてはヴェンチャーズはかなり忠実にリドルの譜面をギター・コンボに置き換えていると思います。しかし、出来はヴェンチャーズのほうが数段上です。

それはなぜかといえば、ひとつはリード・ギターを重ねた音色のすばらしさ。レッキング・クルーの技量の高さが如実にあらわれたトラックです(この時期には、ツアー・バンドのメンバーはスタジオではプレイしていない)。

そしてもうひとつ、女性コーラスもヴェンチャーズ盤のほうがずっとチャーミングです。この二つで、勝負はついた、といっていいでしょう。

さらに魅力的な女声コーラス入りギター・インスト。

The T-Bones - No Matter What Shape (Your Stomach's in)


これまたレッキング・クルーの仕事で、ドラムはハル・ブレイン、ギターは不明ですが、この時期のTボーンズのリードはしばしばトミー・テデスコがプレイしていました。初期にはグレン・キャンベルが派手なプレイをしているLPもあります。

ギター・インストというのは、ご存知のように、ギンギラギンのギター・プレイを聞かせるものではありません。楽曲とサウンドで勝負するものです。

だから、たとえばシャドウズは、低音弦でスタートして、ひとまわりするとオクターヴ上げたり、ミュートに切り替えたり、半音移調をしたりといった工夫をしました。

Tボーンズが、というか、プロデューサーのジョー・サラシーノが、というべきでしょうが、女声コーラスを入れたのは、当然、そういう意図でしょう。

こういうタイプのサウンドがお好みならば、右のリンクから、Add More Musicにいらっしゃり、「レア・インスト」ページで、TボーンズのNo Matter What Shape (Your Stomack's In)とShippin' Chippin'をお聴きになるといいでしょう。とくに後者は女声コーラスのアルバムといってもいいほどです。

こうした女声コーラスをやった人たちの名前というのは、すごく気になるのですが、Tボーンズについては、いまだに判明していません。

また、日本ではむしろ、No Matter What ShapeよりヒットしたShippin' Chippin'のシングル・ヴァージョンも、女声コーラスが魅力的なのですが、これはクリップをエンベッドできないので、ご自分で検索なさってみてください。

f0147840_004868.jpg小学校のときは、どういうわけか女声コーラスが好きで、つぎの曲もやはり映画を見ておおいに気に入り、つづけて二度、映画館に行きました。

依然としてクリップはないようなので、以前アップしたサンプルをもう一度貼りつけます。映画『黄金の男』のテーマ。

サンプル Martial Solal "Generique"

いやはや、だれがいけないのか、全体にピッチが狂って聞こえます。主犯はベースだと思いますが、それだけではないような……。

Tボーンズのほんわりとした味とはかけ離れた、強い歌ですし、インストというより、ほとんど歌のほうが主役に聞こえますが、気分はTボーンズと同じようなものなのだと思います。

アメリカのほんわりとしたものに戻ると、すでに記事にしたものですが、これが代表のような気がします。

Robin Ward - Wonderful Summer


フロントのロビン(ジャッキー)・ウォードは、本邦にはファンが多いようで、LPでもリイシューがあり、CD化もされました。ドラムはほとんどハル・ブレインで、その面でも楽しめるアルバムでした。

ただ、純粋に声だけでいうと、わたしはロビン・ウォードより、バックグラウンドで歌っているジャッキー・アレンのほうが好きです。まあ、フロントを食ってはいかんのですが、そういうことはまま起きるものです。ジャッキー・アレンは全編で大活躍しています。

最後に、ちょっと毛色の違うものを。女声コーラスなしだとドンと価値の落ちてしまう曲です。

James Taylor - Long Ago and Far Away


うしろで歌っているのはジョニ・ミッチェルです。いまじゃ、アン・マレイと並ぶ魔女声おばばになってしまいましたが、若いころは可憐な声をしていました。

いや、でも、彼女は本質的に、フロントで歌うより、こういうふうにうしろに下がったときに、フロントを食ってしまう、魔女タイプのシンガーだと思いますが。

ジェイムズ・テイラーは完全にジョニ・ミッチェルの引き立て役になっています。いや、わたしがこのシンガーをあまり好かないから、そう思うのかもしれませんが。

ヴァレリー・カーターなんかも、若いころはそういうタイプだったと思うのですが、これだ、という決定的な録音が思い浮かびません。バックグラウンドの仕事はけっこうやったと思うのですがね。

ジョニ・ミッチェルでおしまいと思ったのですが、もうひとついっちゃいます。そのヴァレリー・カーターが、バックグラウンドではなく、フロントで歌っているトラックでお別れとまいりましょう。コーラスも彼女のオーヴァーダブでしょう。ジュディー・コリンズのヒットのオリジナル。

Howdy Moon - Cook with Honey


なんともはや、かくも可憐なりしに、時は残酷な死神、彼女もまた魔女への道を歩みつつあります。


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アリサ・フランクリン
Now
Now


アリサ・フランクリン
I Never Loved a Man the Way I
I Never Loved a Man the Way I


スウィート・インスピレーションズ
Sweet Inspirations
Sweet Inspirations


Tボーンズ
No Matter What Shape (Your Stomachs In)
No Matter What Shape (Your Stomachs In)


Tボーンズ(中古)
No Matter What Shape/Sippin And Chippin
No Matter What Shape/Sippin And Chippin


マルシャル・ソラル(『勝手にしやがれ』と『黄金の男』のOST)
A Bout de Souffle
A Bout de Souffle


ロビン・ウォード(MP3アルバム)
The Very Best Of
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by songsf4s | 2011-11-21 23:59 | 60年代
The Best of Jim Gordon補足7 E.C. was NOT there again
 
k_guncontrolさんのコメントを拝見して、すこしトム・ダウドが卓についたものを聴いていました。

アリサ・フランクリンのLady Soul、オーティス・レディングのOtis Blue、k_guncontrolさんがあげられたダウドのものは、どちらもいい盤で、とりわけ前者はロジャー・ホーキンズとジーン・クリスマンのドラミングが印象的です。

しかし、フェイム・スタジオやアメリカン・サウンド・スタジオというのは、それ自体が独立した特殊な世界(たしかトム・ダウドは、フェイムの機材に愕然としたということを書いていた記憶あり)で、なかなか他と比較するのはむずかしいと感じます。

アメリカン・サウンドで、ダウドがエンジニアリングではなくプロデュースをしたハービー・マンのヒット・アルバムから。ドラムはジーン・クリスマン。

Herbie Mann - Memphis Underground


ガキのころからこれが好きでしてね。ドラムというのは、ちゃんと録らないとカッコよく聞こえないのだから、だれがエンジニアにせよ、いい録音なのだと思います。

こちらはエンジニアリングもダウドなのだと思います。まだヤング・ラスカルズといっていた時期のヒット・シングル。

The Young Rascals - A Girl Like You


アリサ・フランクリンもいきましょう。いちばん有名な曲。ドラムはロジャー・ホーキンズ。

Aretha Franklin - Chain Of Fools


たしかに血沸き肉踊ります。ただ、わたしには、それがエンジニアリングの力なのか、フェイム・スタジオ本来の鳴りなのか、そのあたりがどうもよくわかりません。

まあ、考えてみると、ハリウッドの場合も、スタジオとエンジニアを混同しているのかも知れません。

わたしがもっとも好きなエンジニアはリー・ハーシュバーグです。

ユーチューブのクリップでどこまで伝わるか不安ですが、ハーシュバーグの代表作を。ドラムはもちろんハル・ブレイン、彼にとっても代表作のひとつ。ベースはキャロル・ケイ。

Harpers Bizarre - Anything Goes


はじめて聴いたとき、スティック・トゥ・スティック・プレイに目を丸くし、ハーパーズのドラマーってビッグバンド出身かよ、と感心しちゃいました。ものを知らないと安心して音楽が聴けますw

いや、録音の話。こういう立体感を追求したオーケストラのステレオ録音と、ドラム、ベースの太さを親柱としたR&B的音作りというのは、同じ平面で比較してもあまり意味がなさそうです。わたしはコンボの録音に対するセンスが鈍いような気がしてきました。

本日は、トム・ダウドがプロデュースした、デレク&ザ・ドミノーズの唯一のスタジオ録音アルバム、Layla and Other Assorted Love Songsです。って、ほとんど時間切れになってからこんなこといってどうするのか、ですが。

ということで、遠回りはせずに、まっすぐに行きます。

当時の印象としては、とくにすごくはないけれど、そこそこは聴けるアルバム、というところでした。ジム・ゴードンのプレイについても、まだ惚れ込むにはいたっていませんが、うまいなあ、と思いました。

Derek & The Dominos - Keep on Growing


というように、前のアルバム、いや、クラプトンのソロ・デビューとはまったくちがう、ジム・ゴードンらしさが出たプレイです。なぜ、ソロではこのプレイができなかったのか不思議です。

ドラムの録音は、よくもないけれど、ひどくもない、といったところでしょうか。いや、わたしはちゃんと盤(というかFlacだが)を聴いて書いていますよ。ユーチューブのクリップを聴いてあれこれいっているわけじゃありません。

もう一曲。

Derek & the Dominos - Little Wing


Why Does Love Got to Be So SadやLaylaなどにもいえるのですが、こういうトラックを聴くと、このアルバムの好ましからざる側面が明らかになります。

なんで、ギターの音がこうごちゃごちゃしてるの、なんか誤魔化したいのかよ、という不満です。

それと、ドゥエイン・オールマンのあつかいはこれでいいのか、ということも感じます。これではゲストじゃなくて、下男でしょうに。ゲストなら、もっと丁重なミキシングをします。このあたりの偉ぶり方には反感を抱きます。

というか、ウィンウッドのときと同じで、オールマンにもショックを受けてしまい、だれのプレイだかわからないように、麻雀牌みたいに混ぜてしまったのかも知れません。

まあ、ジミーといっしょにラリパッパしていただけで、なにがなんだかわかっていなかったのだろうと、好意的に(呵呵)解釈しておきます。

で、結局、このアルバムでいちばんいいと思ったのは、じつはこの曲でした。もちろん、クラプトンへの嫌がらせで貼りつけるのだから、そのへんを誤解しないでいただきたいと思いますが。

Derek & the Dominos - Thorn Tree in the Garden


クラプトンがいないので、ほんとうに清々しいサウンドです(いや、歌っていない、というだけで、右チャンネルのギターはクラプトンだろう)。この曲が好きだったので、のちにボビー・ウィットロックのソロを見たとき、即座に買いました。

Bobby Whitlock - A Game Called Love


もう一曲、ボビー・ウィットロックのデビュー盤から。こちらはジム・ゴードンの凄絶なドラミングつき。以前のThe Best of Jim Gordonに入れました。

Bobby Whitlock - Song for Paula


いや、話を戻します。

Laylaというアルバムは、じつにごちゃごちゃとスッキリしない代物です。いっそ、クラプトン抜き、ボビー・ウィットロックをフロントに立て、ドゥエイン・オールマンのギターだけでつくったら、いいアルバムになったかも知れない、と思います。ジム・ゴードンのドラムにカール・レイドルのベースなんだから、悪い盤をつくるほうがむずかしいくらいです。

上記のKeep on Growingを聴いても、Little Wingを聴いても、ボビー・ウィットロックが入ってくると、おお、いいな、と思います。ジム・ゴードンもするどいビートで攻め込みます。

これで文句を言ったらバチが当たるというものですが、音がごたつくなあ、とやはり不満を感じます。結局、はっきりいって、ひとり多いのです。

いらない人を削れば、いい盤になったかも知れませんが、いらないのは、削ってはいけない看板の人だったから、秀作になり損ね、まあ、ジミーのプレイでも聴くか、というアルバムに留まってしまったのでした。

ドミノーズにはもうひとつ、当時リリースされたアルバムがあるのですが、そこまでやるかどうかは、明日になってから考えます。


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エリック・クラプトン
Eric Clapton: Deluxe Edition
Eric Clapton: Deluxe Edition


デレク&ザ・ドミノーズ(デラックス版2枚組)
Layla & Other Assorted Love Songs
Layla & Other Assorted Love Songs


デレク&ザ・ドミノーズ(セッションズ拡大版3枚組)
The Layla Sessions : 20th Anniversary Edition
The Layla Sessions : 20th Anniversary Edition


アリサ・フランクリン
レディ・ソウル+4
レディ・ソウル+4


ハービー・マン
Memphis Underground
Memphis Underground


(ヤング・)ラスカルズ
Groovin
Groovin


ハーパーズ・ビザール
Feelin Groovy: Best of Featuring 59th St Bridge So
Feelin Groovy: Best of Featuring 59th St Bridge So
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by songsf4s | 2011-11-20 23:59 | ドラマー特集
The Best of Jim Gordon補足6 E.C. was NOT there
  
今日こそはPet Soundsのゴールを目指そう、などと思っていたのですが、昨夜の k_guncontrol さんのコメントにお答えしようとしているうちに考えが変わりました。

Pet Soundsはまた棚上げ、ジム・ゴードンがプレイしたエリック・クラプトンのエポニマス・タイトルド・ソロ・デビューをやります。

まず、k_guncontrol さんのコメントをコピーしておきます。三つのパラグラフがありますが、本日検討するのは第一パラグラフのみ。

「Delaney and Bonnieのアルバム、特に "On Tour" で強烈な躍動感が聞けますが、同じ様なメンバー構成のEC某のファースト・ソロは何故あれほど躍動感に乏しい凡作なのか、ということが昔から今日まで一貫して不思議です。楽曲が不出来ということは無いと思うのですが」

f0147840_23554791.jpg

先にお断りしておきます。エリック・クラプトンについてわたしが感じるのは、不快感と憐憫の混合物です。不快感はギターについて、憐憫は歌について。

これほど歌えない人が、ギターを弾く仕事のついでに歌うようになったのは、ご本人にとってはじつに、そしてリスナーにはそれに倍する不幸だったと思います。

ということで、前の段落でファンにはお帰りいただけたでしょうから、ここから先はリラックスして「うちうち」の話を書きます。まあ、できるだけ偏見と侮蔑と不快感を捨て、冷静に書くつもりですけれどね。

わたしがクラプトンの関係した盤を聴く理由は二つ。ブラインド・フェイスにはスティーヴ・ウィンウッドがいた、ソロ・デビューとドミノーズ時代にはジム・ゴードンがいた、です。

まあ、最近は寄る年波、ひどく寛容になってきて、中三のとき、クリームのOutside Woman Bluesを聴いて、Sunshine of Your Loveはダサダサだけど、こっちは悪くないじゃん、と思ったことを書いておきます。

Cream - Outside Woman Blues


ありゃ? 記憶のなかでは悪くないんですが、現物はやっぱりダサダサじゃないですか。クラプトンもひどいけれど、ドタンバタン暴れているだけのドラムのひどさはその数段上をいっています。

まあ、中三の小僧が、Sunshine of Your Loveよりはマシじゃん、といったにすぎず、たいしたことじゃないので、ご放念あれ。I Feel Freeもそこそこじゃないかと思ったのですが、もうやめておきましょう。

ブラインド・フェイスは軽い失望でした。スティーヴ・ウィンウッドはまずまずなのですが、トラフィックのときのように、隅々までウィンウッド的なもので満たされていたわけではありませんでした。

クラプトンのほうは、天才少年と同じバンドでやってみたら、かつてのクラブでのジャムの子どもっぽいライヴァルではなく、とほうもないシンガーが出現していたことに気づき、すっかり萎縮してしまったため、バンドのダイナミズムというものが生まれませんでした。ジム・カパーディーやデイヴ・メイソンのような図太さはなかった、繊細で小心な人間なのだ、と褒めておきましょうかね。

かくしてウィンウッドはひとりになり、John Barleycornという、地味ながら、大人への道を歩みはじめたことを示す、チャーミングなアルバムをつくり、クラプトンはウィンウッド・ショックと道ならぬ恋にさいなまれて、ディレイニー&ボニーのたんなる雇われギタリストになることに心の平安を見出します。

以上、講釈師の見てきたような嘘っぱちでした。ここからが本題。

最初のソロ・アルバムを聴く前に、まずラジオからこの曲が流れてきました。

Eric Clapton - After Midnight


悪くないと感じました。いま聴いても、これだ、なんて叫んだりはしませんが、そこそこの出来だと思います。

リズム・セクションは、ピアノがリオン・ラッセルであることをのぞけば、デレク&ドミノーズと同じ、ジム・ゴードン、カール・レイドル、ボビー・ウィットロック(オルガン)です。しかし、ホーンやコーラスのせいもあって、ドミノーズとはずいぶん距離のあるサウンドになっています。

いちおう、J・J・ケイルのオリジナルを置きます。大人としては「悪くない」と思いますが、子どものときに聴いたら、あまり面白いとは思わなかったでしょう。

J.J. Cale - After Midnight


そのあと、アルバムを聴きました。ハイスクールの寮で、後輩が買ってきたのをざっと聴いただけだから、通り一遍の印象ですが、面白くないな、と思いました。

これはシングルになったのだったか、そのソロ・デビューから一曲。

Eric Clapton - Let It Rain


こちらは、管もなければコーラスもなし、ドミノーズに近いノーマルなコンボです。しかも、曲も、ドミノーズのレパートリーとして、やがて何度もプレイされ、In Concertでは、ジム・ゴードンが圧倒的なプレイをすることになります。

しかし、このスタジオ・ヴァージョンにはなにかが足りません。ドゥエイン・オールマンだ、というご意見には、相応の正当性を認めつつ、それはここでは除外します。

簡単にいえば、足りないのはジム・ゴードンです。まったくの別人のように聞こえます。それはなぜなのか? そこがよくわかりません。

人間だから、好不調というのはあるでしょう。ジミーもまだ、未熟なところがあった、ともいえるかもしれません。しかし、すでにすごいプレイをした盤がいくつかあり、まさに才能が輝きはじめた時期です。

ジム・ゴードンの特徴は軽快さです。アール・パーマー、ハル・ブレイン、ジム・ケルトナーといった、ハリウッドの同時代のドラマーに比較して、もっとも軽快なサウンドをもっていました。

それが、Let It Rainや、このアルバムに収録された他の多くの曲では、ひどく鈍重に聞こえます。だるいビートです。

これがいちばんましなビートでしょうか。

Eric Clapton - Bottle Of Red Wine


Eric Claptonというアルバムは、録音場所がよくわかりません。二枚組デラックス盤には、LAはヴィレッジ・レコーダー、ロンドンはアイランドとオリンピック・サウンドの二カ所となっていて、どのトラックがどこというクレジットはありません。

エンジニアは、スタジオとは関係なく、ビル・ハルヴァーソンひとりがクレジットされています。プロデュースとアレンジはディレイニー・ブラムレット。

ボーナスとして収録されたトラックはいずれもハリウッドで、A&Mとサンセットがクレジットされています。

そのボーナスから、キング・カーティスとの共演をいってみます。カーティスのアルバムに収録されたものです。ボビー・ウィットロックのいないドミノーズに、ディレイニー・ブラムレットがリズム・ギターで入った形で、録音はLAのサンセット・サウンド。

King Curtis - Teasin'


やはり、ジム・ゴードンのベストに入れるような出来ではありませんが、すくなくともLet It Rainよりは上出来です。いや、それにしても、やはりジミーのプレイとサウンドが重い。なぜこの時期のスタジオ録音はこうも重いのか、謎です。

うーむ。よくよく考えたのですが、セットを替えてみた、ぐらいしか解釈を思いつきませんでした。スネアのチューニング自体、ふだんよりやや低めです。

そのつぎのLaylaは、しばらく借りて、数回、聴きました。曲としていいと思ったのは、Why Does Love Got to Be So Sad。

Derek and The Dominos - Why Does Love Got To Be So Sad


あらら。改めて聴くと、やっぱりセットが違うのではないかと感じます。スネアもフロアタムも、クラプトン・デビューとは、まったく違う音です。こちらはドラム・デヴィルが誕生しつつあることを感じるドラミング。

いやはや、うんうん唸ってばかりで、いっこうにタイピングが進まず、思案投げ首です。これほど不思議なアルバムはありません。

いつまでも考えていてもしかたがないので、はじめのk_guncontrol さんのコメントに戻ります。クラプトン・ソロ・デビューは「なぜあれほど躍動感に乏しい凡作」なのか?

わたしの観点からは、浅いレベルではいたって単純な現象です。ジム・ゴードンのプレイが冴えない、これだけしか理由はありません。

しかし、なぜあれほどプレイヤーがこんなくすんだビートばかり叩いているのか、ということについては、さっぱりわからない、としかいいようがありません。

それはエンジニアリングのせいなのか? イエス&ノーです。エンジニアリングもいいとはいえませんが、それだけで、これほど鈍重なサウンドになるとは思えず、やはり、プレイ自体にも、セットないしはチューニングにも、おおいに問題があったと考えます。

念のために記しておきます。今回は2種類のミキシングを収めた2枚組デラックス版を参照しました。Let It Rainなどは、ディレイニー・ブラムレットのミキシングのほうがいいと思いますが、しかし、それは些末なことにすぎず、ミックスが違ったからといって、ジム・ゴードンのプレイの印象がよくなることはありませんでした。

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ひとつ、思いだしたことがあります。当時、このクラプトンのデビューは評判が悪く、いまでは名盤とされている、とk_guncontrol さんがおっしゃっていますが、その点について。

われわれ子どもの印象は、なんだか爺むさい、というあたりでした。クリームは、よかれ悪しかれ、好こうが嫌おうが、きわめてロック・バンド的で、ティーネイジャーにはわかりやすく、ちょっと聴けば、好きか嫌いかすぐに答えが出ました。

しかし、ソロ・デビュー盤は、あまりロック的な手触りがなく、われわれの知らない別種の音楽のように感じられました。ちょっと聴いただけで、「関係ない音楽」と思いました。

いま聴いても、クラプトンの盤に共通する、色気のない、悪い意味で乾いた手触りが明白で、ガッツとハートのない、無意味無価値な音の並びにしか思えません。

だから、当時、評判が悪かったというのは、ごく当たり前の現象だと思います。k_guncontrol さんのおっしゃるとおり、その後、評価がひっくり返ったことのほうが間違いです。

これまたよくある現象で、後年の名声と人気から、昔の作品を逆算してしまうという過ちにすぎないでしょう。


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by songsf4s | 2011-11-19 23:56 | ドラマー特集