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The Best of Jim Gordon 補足1 エヴェリー・ブラザーズ、インクレディブル・ボンゴ・バンドほか
 
季節はずれの鬼の霍乱だかなんだか、今日はちょっと体調を崩して、ブライアン・ウィルソンに立ち向かうのはむずかしいため、Pet Soundsは一休みして、夕方から聴いていたものを取り上げます。

いつだったか、ベスト・オヴ・ジム・ゴードンをまた公開すると予告しました。その後、状況が変化したこともあって(婉曲にいっているので、よろしくご賢察あれ)、ああいうものはやりにくくなってしまいました。

しかし、つぎの公開のときには、すこし曲を追加しようと思い、それなりに準備は進めてありました。また、あちこちでディスコグラフィーを見かけるようになって、いままで知らなかった盤もずいぶん判明しました。

そこで本体の再公開はペンディングにしたまま、オン&オフで補足をしようと思います。今日は一回目、まずエヴァリー・ブラザーズから。ロジャー・ミラーの曲のカヴァーです。

The Everly Brothers - Burma Shave


1962年の録音だそうで、ジム・ゴードンはこのとき、16歳か17歳でしょう。日本でいえば高校一年か二年、天才少年でしたからね。ジミーにとって、エヴァリーズはプロとしての初仕事だったようです。なにしろ、ご本尊はいまだ塀の中、オフィシャル・バイオも、オフィシャル・サイトもないので、確認ができないのですが。

つぎは同じ曲の初期テイクを。テンポがまったく異なります。

サンプル The Everly Brothers "Burma Shave" (take 2)

つづいて十年以上時間が飛んで、ハリウッドのエース・ドラマーになってからの録音。ワン・ショットのスタジオ・プロジェクトのものです。

The Incredible Bongo Band - Let There Be Drums


この曲のオリジナルはアール・パーマーのプレイでした。いや、名義はサンディー・ネルソンですが、じっさいにドラムをプレイしたのはアール・パーマーでした。

Sandy Nelson (Earl Palmer on drums) - Let There Be Drums


さすがはアール、改めてそのつもりで聴くとニューオーリーンズ・フィールの横溢したプレイです。ゴールド・スター・スタジオのオーナー、スタン・ゴールドだったか、デイヴ・ロスだったかに「ひどい下手くそ」といわれたサンディー・ネルソンにできるプレイではありません。

干支が一回りするだけの時間がたって、ジム・ゴードンが同じ曲をプレイしたわけですが、やはり、時代が異なり、プレイヤーが異なるので、同じハリウッドのスタジオ・プロジェクトでありながら、ずいぶんと感触が違います。まあ、ジミーとしても、この盤はちょっと異質な音楽スタイルだったのですが。

もうすこしサンプルをあげるつもりだったのですが、今日、このあたりの曲を、と思ったものは、ほとんどクリップがあって、最後もクリップです。

Cecilio and Kapono - Someday


では、次回は体調を整えて、ブライアン・ウィルソン・シリーズに復帰するつもりです。


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エヴァリー・ブラザーズ
New Album
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エヴァリー・ブラザーズ(ボックス)
The Price of Fame
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Bongo Rock (Rmxs)
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セシリオ&カポーノ
エルア(紙ジャケット仕様)
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by songsf4s | 2011-10-30 23:56 | ドラマー特集
いまさらのようにPet Soundsを聴きなおしてみる その5 Wouldn't It Be Niceセッション
 
1997年のThe Pet Sounds Sessionsは、予想したとおり驚異に満ちたボックスでした。前回も書いたように、ヴォーカルなどの下敷きになって埋もれていた音が山ほど浮上してくるし、アレンジの変更過程がわかるし、ブライアン・ウィルソンの指揮ぶりも伝わってきて、60年代のハリウッドのスタジオのあり方について、飛躍的に知識を増大させ、理解を深める役割を果たしてくれました。

The Pet Sounds Sessionsを聴いて、ドラムに関していちばん驚いたのは、Wouldn't It Be Niceでした。まずはリリース・ヴァージョン。

The Beach Boys - Wouldn't it be Nice (official release, mono)


オフィシャルといったって、LPとはぜんぜんちがうじゃないか、ですがね。ハル・ブレインの一打目は、LPのときはこんな派手な音ではありませんでした。

つづいてテイク1から数テイク。最初の一分ほどでやめていただいても、話の筋道には影響しないので、ご随意に。

The Beach Boys - Wouldn't it be Nice (some takes)


ブライアン・ウィルソンは、イントロでいきなりホールドして、ハル・ブレインに指示を出しています。入り方が違うというのです。

ハルは、4小節構成のイントロの最後の小節の後半2分音符分を使って、スネアの4分3連プラス4分1打のフィルインで入っています。これはいたってノーマルな入り方です。多くのドラマーが、こういうイントロだ、適当に入ってくれ、といわれたら、こういう形で入ろうとするだろうと思います。

ハル・ブレインはHal Blaine & the Wrecking Crewのなかで、以下のようにいっています。

「プロデューサーたちは、プロダクションへのわれわれの関わり方も、他のミュージシャンたちとはちがうことを承知していた。アレンジャーというのは、十のうち九は、チャートをわたすときに『自分でも気に入らないんだけどね』というものだし、プロデューサーも『このスコアで満足しているわけじゃないんだが』という。チャートはあくまでもガイドにすぎず、それ以上のものではないと思ってくれ、というのがつねなのである。われわれはチャートに襲いかかり、書かれているもののはるか彼方にまで突き進むことを求められた」

これが彼らの日常でした。管や弦のプレイヤーはアレンジャーから譜面を渡されるのですが、ドラム、ベース、ギターなどのリズム・セクションのプレイヤーはコード・チャートだけを渡され、リハーサルのあいだに自分でアレンジし、譜面を起こしました。むろん、グレン・キャンベルやジェイムズ・バートンのように読譜能力のないプレイヤーは、ラインを記憶するしかありませんが。

f0147840_233197.jpg

しかし、ブライアン・ウィルソンはふつうのアレンジャーではありません。Pet Soundsに関しては、ギターは音を聴けばアレンジされたラインを弾いているのはすぐにわかります。

ベースについては、キャロル・ケイがはっきりと、譜面を渡され、ほとんどすべてブライアンの指示通りにプレイした、自分が考えたラインはわずかにすぎない、と証言しています。あのモータウンのヒット曲のベースラインを書いた人が、ほとんどなにもアレンジしなかったのです。

このWouldn't It Be Niceの初期テイクを聴くと、ブライアンがどういうフレーズで入るのかをハル・ブレインに何度も説明しなおしています。

サンプル The Beach Boys "Wouldn't It Be Nice" (take 1 through 6)

さまざまなセッションを聴けばわかりますが、ハル・ブレインはプロデューサーやアレンジャーの意図をすばやく掴む能力を持ったプレイヤーで、そのおかげで不動のエースになったのではないかと思うほどです。それがこの曲では、なかなかブライアンの意図が伝わりません。それだけ、ドラマーの観点からは尋常ではない入り方だったということです。

譜面があれば早いのですが、ブライアンはあまり譜面を書かないので、「イントロの4小節目の最初の拍でバン、ワン、トゥー、スリー、ババン」などと口で説明しています。これでどこで叩くかはわかるのですが、それぞれのビートをなにで叩くかはわかりません。

だからはハルは、テイク4では、最初の「バン」をスネアとキックで、つぎの「ババン」をスネアのみでやって、またホールドされてしまいます。

テイク6では、バンもババンもキックのみでやりますが、これも駄目。ブライアンは、スネアで、とも、タムタムで、とも、なんともいわずに、ノー、というだけです。ひょっとしたら、ビートはわかっていても、どれで叩けばいいかということは、ブライアンもまだ決めかねていたのかもしれません。

結局、イントロのドラムが落ち着くのはテイク7です。ハル・ブレインにとっては忘れられないセッションになったのではないでしょうか。

譜面を使わずにいうと、いや、譜面に書いても、ちょっと面倒な入り方です。確認のために書いておきます。

f0147840_118334.jpgイントロの4小節目の1拍目をキックと(たぶん)スネアでまず1打。これがブライアンのいう「バン」です。その小節の4拍目の裏拍の8分をキックで1打、つぎの小節の頭の拍をスネアとキックとシンバルで同時に1打。

と思うのですが、キックを強く踏み込むと、スネアワイア(響き線。スネアの裏に張られている)が共鳴を起こして、スネア自体が鳴ったように聞こえることもあるので、たしかなことはわかりません。

しかし、重要なのはその点ではなく、「ババン」のほうです。「バ」は4小節目の最後の拍の裏拍(表拍ではないことに注意)、つまり、頭に8分休符が入っているので、細かくいうと、「ババン」というより、「ンババン」なのです。

「バン」は5小節目の頭なので、この「ババン」はふたつの小節にまたがっています。この点も、困難とはいわないまでも、自明ではありません。譜面なしでこれをやらせようとしたために、ちょっと混乱が起きたのでしょう。

しかし、このまったく自明ではないドラムの入り方に、アレンジャーとしてのブライアン・ウィルソンの能力の高さが端的にあらわれています。こういう、ドラマーがすぐには理解できないようなフレーズを使ったリズム・アレンジをできるアレンジャーは、綺羅星のごとく大編曲家がいたハリウッドにあっても、ほんの一握りだったと思います。彼らのほとんどは弦や管のアレンジャーであって、リズム・アレンジは守備範囲外でしたから。

パーソネルを書き写しておきます。

ドラムズ……ハル・ブレイン
ベル、ティンパニー、パーカッション……フランク・キャップ
アップライト・ベース……ライル・リッツ
フェンダー・ベース……キャロル・ケイ
ギター……ジェリー・コール、ビル・ピットマン
マンドリン……バーニー・ケッセル、レイ・ポールマン
ピアノ……アル・ディローリー
オルガン……ラリー・ネクテル
アコーディオン……カール・フォーティーナ、フランク・マロコ
サックス……スティーヴ・ダグラス、プラズ・ジョンソン、ジェイ・ミグリオーリ
トランペット……ロイ・ケイトン

Pet Soundsのメンバーについては、エディションによって異なっているなど、複数の意見があって、どれも百パーセントは信用できません。上記のメンバーも、隅々まで納得がいくものではありません。

たとえば、オルガンの音は聞こえないし、マンドリンではなく、ギターとしているソースもあります。

そもそも、いろいろ不思議な音がたくさん鳴っているPet Soundsのなかでも、Wouldn't It Be Niceは、最初に聴いたときは、どういう楽器編成なのかさっぱりわからず、目が回りました。

ヴィデオPet Storyのなかでブライアンが、あれはアコーディオンを重ねたんだ、あの音がスタジオに鳴り響いた瞬間、みんな、『うわ、なんだこの音は』と大騒ぎさ、と楽しそうに語っています。

つまり、ブライアンの意図はそういうことだったのでしょう。いや、Wouldn't It Be Niceだけでなく、このPet Soundsというアルバム全体が、「うわ、なんだ、この音は」とビックリさせるためのものだったのです。

だから、と開き直りますが、ずっとアコーディオンとマンドリンの組み合わせとは思っていませんでした。いや、マンドリンについては異論もあります。じっさい、マンドリン、ギター、それに、そのどちらでもないなにかの音が、テイクの合間に聞こえてきます。

アコーディオンがアコーディオンに聞こえなかったのは、ああいうリズムでスタッカートでコードを弾いていたからでしょう。アコーディオンのよくある弾き方ではありません。

ギターについていうと、一本は、

You know its gonna make it that much better
When we can say goodnight and stay together

という、ヴァースでもブリッジでもないから、コーラスと思われる箇所と、スロウダウンする、

You know it seems the more we talk about it
It only makes it worse to live without it
But lets talk about it
Wouldn't it be nice

というブリッジで、フェンダー・ベースのオクターヴ上を弾いています。このエレクトリックはその役割専用です。

こういうほとんど聞こえない細部へのこだわりは、Pet Sounds全体に見られるものですが、その淵源はまちがいなくフィル・スペクターです。

f0147840_23314979.jpgこのWouldn't It Be Niceでも卓についたラリー・レヴィンが回想していました。ある曲の録音で、バランスをとっていった結果、ギターが不要になってしまったので、あの音は聞こえない、帰ってもらったらどうだ、といったら、スペクターは、ダメだ、聞こえなくても、いなくなれば全体のバランスが崩れて音が変わる、と拒否したのだそうです。スペクター・セッションにしばしば顔を出していたブライアンは、そういうフィル・スペクターの、ディテールを大事にする音作りをつぶさに目撃したことでしょう。

話は途中のような気もするのですが、時間切れが迫っているので、もうひとつサンプルをいくことにします。こんどは音のいいものを。

サンプル The Beach Boys "Wouldn't It Be Nice" (tracking session, edited, from The Pet Sounds Sessions Box)

The Pet Sounds Sessionsに収録された、セッションのハイライトです。これを聴いて、ここまで書いてきたようなことをあれこれ思ったのですが、もうひとつ、4分3連のフィルインでスロウダウンしてからの部分で、あっと思いました。

上掲の歌詞でいうと、talk about itのあと、フランク・キャップのティンパニーとハル・ブレインのスネアやタムタムのフィルインで元のテンポにもどり、Wouldn't it be niceというフレーズになります。

しかし、このセッション・ハイライトを聴くと、ティンパニーとドラムのフィルインの部分は、いきなり元のテンポに戻らず、スロウから元に戻る遷移過程になっていて、しかも、フランク・キャップとハル・ブレインのタイミングが合わず、ハルが遅れた形になっています(フランキーが早すぎるともいえるが)。

f0147840_0142125.jpgこのズレをきれいに修正することができず、結局、このフィルインの段階でいきなり元のテンポに戻すという選択をしたのではないかと推測します。なんにせよ、ハル・ブレインにとっては、ひどい魔日でした!

小さなことですが、途中でまた自転車のベルが使われていることにも、ニヤリとします。自転車のベルはほとんどペット・サウンズの象徴といえるのではないでしょうか。ブライアン・ウィルソンから見れば、この世界そのものが音楽であり、あらゆるものが楽器だったのであり、それをわれわれに知らせたかったのだと思います。

トラッキング・セッションも難航しますが、ヴォーカル・セッションも大難航だったと伝えられています。じっさい、セッションを聴くと、じつにいろいろなヴォーカルが重ねられていることがわかります。

しかし、この記事も大難航で、すでにギリギリ一杯、それに、そもそも、ヴォーカル・ハーモニーの分析はわたくしの手には余るので、本日はここまで、Wouldn't It Be Nice完です。


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The Pet Sounds Sessions
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ハル・ブレイン回想録(英文)
Hal Blaine and The Wrecking Crew
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by songsf4s | 2011-10-28 23:59 | 60年代
いまさらのようにPet Soundsを聴きなおしてみる その4 Pet Soundsセッション
 
ちょっと紛らわしいのですが、本記事のタイトルのPet Soundsは、アルバムのことではなく、タイトル・カット、Pet Soundsという曲のほうです。

アルバムPet Soundsには2曲のインストゥルメンタルが入っていますが、Pet Soundsはそのうちのひとつ、12曲目、クローザーのCaroline, Noの直前に置かれています。

わたしの解釈では、11曲目のI Just Wasn't Made for These TimesでPet Sounds本体はおしまい、コーダ、お別れとして、インスト曲、Pet Soundsがおかれ、13曲目の、シングルではブライアン・ウィルソンの名義でリリースされたCaroline, Noは、いわばボーナスです。

というわけで、重要なのだか、重要でないのだか、よくわからない曲ですが(たしかThe Pet Sounds Sessionsのライナーでだった思うが、キャロル・ケイは、このトラックはアルバムの他の曲より劣る、といった趣旨の発言をしていて、ええ、そうなんですか、と独り言をいった)、わたしはけっこう好んできました。

まずはリリース・ヴァージョン。

The Beach Boys - Pet Sounds


お読みになるのは面倒でしょうが、いちおうパーソネルを書き写しておきます。

ピアノ……ブライアン・ウィルソン
ドラムズおよびコーク缶……リッチー・フロスト
フェンダー・ベース……キャロル・ケイ
アップライト・ベース……ライル・リッツ
ギター……トミー・テデスコ、ジェリー・コール
レズリー・リード・ギター……ビリー・ストレンジ
バリトン・サックス……ジェイ・ミグリオーリ
テナー・サックス……プラズ・ジョンソン、ジム・ホーン、ビル・グリーン
トランペット……ロイ・ケイトン

他の曲と目立って異なるのは、ブライアン自身がピアノをプレイしたことと、ドラムがハル・ブレインではなく、リッチー・フロストだということでしょう。

リッチー・フロストは50年代終わりから60年代はじめまで、リック・ネルソン・バンドのドラマーでした。ジェイムズ・バートンやジョー・オズボーンのバンドメイトだったことになりますが、キャリアはもっと長く、スタジオ・プレイヤーとして大成功はしなかったので、リック・ネルソンの週給のほうを選び、スタジオからステージへというコースをたどったのだと思います。タイムは安定しています。

Ricky Nelson - The Very Thought Of You

(Ritchie Frost on drums; James Burton on guitar; Joe Osborn on bass)

「コーク缶」(coke can)とあるので「ママ」としましたが、どうでしょうか。1、3拍目の、1は4分、3は8分2打に割っている(つまりBe My Babyのキック・ドラムと同じパターン)パーカッションがそれなのでしょうが、缶の音かなあ、と思います。

Caroline, Noでは、大きなプラスティック・ボトルをハル・ブレインが叩いたという話を読んだことがありますが、こちらも缶ではなく、プラスティック・ボトルだというなら、素直に納得するのですがね。まあ、テープかなにかでミュートすれば、缶でもこういう音になるかもしれません。

キャロル・ケイは、この曲を買っていないというわりには、さすがは、というクールなプレイで、またまた惚れます。

プロのプレイヤーにとっては退屈でしょうが、ギターの単調なリックをプレイアロングすると、けっこう楽しめます。いや、たんなる変態の倒錯心理かもしれません。Memphis Undergroundのドラムなんかやってみたいと思う人間ですから。

当然ながら、エディションごとに鳴りがずいぶんちがっていて、サンプルは、どれにしようかな状態ですが、まずはPet Sounds Sessionsに収録された、OKテイク(たぶんテイク3)の、リズム・トラック・オンリーをいってみます。ビリー・ストレンジのレズリー・リード抜きの状態です。

サンプル The Beach Boys "Pet Sounds" (backing track only)

ジェイムズ・ボンド映画のサントラのつもりで書いたもので、"Run James Run"というワーキング・タイトルだったというのだから、アルバムの他の曲とは、ちょっとテンションがちがっていたのでしょう。

そのリラックスした軽さがこの曲のよさだと思います。テイク3でOKということは、レッキング・クルーメン&ア・ウーマンにとってもパイのように楽なトラックだったのでしょう。

今回、改めてさまざまなエディションを聴いて、あれ? こんなだったのかよ、と思ったのは、つぎのミックスでした。

サンプル The Beach Boys "Pet Sounds" (first mono mix)

OKであるテイク3の最初のモノ・ミックスだそうです。このトラックの1:42あたりからの数秒間、アコースティック・ギターのコードが聞こえて、ええ! でした。

こんなの知らなかったぞ、と思って、いろいろなミックスを聴きました。失礼! たしかに、ヘッドフォンで注意深く聴けば、The Pet Sounds Sessionsのバックトラック・オンリーの段階で聞こえていました。

しかし、ビリー・ストレンジのリードが載ったノーマルなミックスでは、モノ、ステレオ、ともにこんなギターの音は聞こえません。

f0147840_23545775.jpg

後年のリミックスで、かつては聞こえなかったものが姿をあらわすのはめずらしいことではありませんが、それにしても、やはりPet Soundsは、尋常ではないほど多数、そういう音があります。

4ピースのギターバンドだと、オーヴァーダブをしたといっても多寡は知れています。たいていの音はノーマルなミックスで聞こえます。Pet Soundsの場合、編成が大きく、そして、トラックの上に分厚いハーモニーが載せられてしまうせいで、多くの音が埋もれてしまったのでしょう。

もうひとつサンプルを。こんどは、リード・ギターのオーヴァーダブのさらにオーヴァーダブ。こちらも当然、ビリー・ストレンジ御大によるものでしょう。

サンプル The Beach Boys "Pet Sounds" (second guitar overdub)

当家でも「ギター・オン・ギター」というシリーズをオン&オフでやっているぐらいでして、わたしはギターを重ねるのは大好きです。ブライアンの頭のなかでも、レズリー・ギターを重ねたサウンドが鳴っていたのでしょう。

でも、それをきれいに取り出すことができず、ビリー・ストレンジにとにかく弾いてもらって、最終目的地にたどりつこうとしたけれど、ついにイマジネーションの爆発は起こらず、安全なところでまとめることにして、撤退した、なんてあたりではないでしょうか。

書き忘れていましたが、このギターの音は、本来はハモンド・オルガンの付属品として生まれた回転スピーカー、レズリー・スピーカーにギターを通したものです。

レズリー・ギターのもっとも有名な例は、ビートルズのSomethingでしょうが、それ以前に、ブライアンがこの時点ですでにやっていました。まあ、ビートルズのほうは、この時点より以前に、Tomorrow Never Knowsで、ジョン・レノンのヴォーカルをレズリーに通すという無茶をやっていますが!

しかし、レズリーのハモンド以外への利用は、さらに時を遡行できます。

Shelley Fabares - He Don't Love Me (1964年)


このレズリー・ギターもビリー・ストレンジのプレイといわれています。ドラムはハル・ブレインだということまではわかりますが、あとは不明です。

The Ventures - Slaughter on 10tn Avenue


イントロからすでに入っていますが、途中、セカンド・ヴァースから薄く入ってきて、やがてはっきり聞こえるようになる、単音しかやらないオルガンのような音の楽器は、スティーヴ・ダグラスのサックスにピックアップを取り付け、レズリー・スピーカーに通したものだそうです(ブリッジに使われている、和音が出る楽器はオルガンなのでお間違いなきよう)。

Pet Soundsというのは、タイトルが示すように、「サウンド」の一大実験場です。ブライアンはじつにさまざまな音色を蒐集し、それをどう展示するかに腐心した、というように言い換えてもかまわないと思います。ビリー・ストレンジがプレイしたレズリー・ギターも、ブライアンが昆虫を集めるようにして集めた音色のひとつでした。

これでアップしようとしたら、下調べのときにみつけておいたクリップを忘れていたことに気づきました。2004年のライヴです。

Brian Wilson - Pet Sounds (live)


そろそろ逃げ切れなくなってきたようで、つぎからはむずかしい曲に挑戦かもしれません。自分ではじめておいて、逃げるものなにもあったものではありませんが!


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The Pet Sounds Sessions
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by songsf4s | 2011-10-27 23:19 | 60年代
いまさらのようにPet Soundsを聴きなおしてみる その3 Trombone Dixieセッション
 
前回のSloop John B.では、最後は時間がなくてとんでもない駆け足になったことを反省して、今日はよけいなことをいわずに、本題へ。

といいつつ、また周囲をぐるぐるするというか、熱そうな温泉に足先をちょっと入れてみるようで恐縮ですが、今回は、完成されず、Trombone Dixieという仮題しかない曲です。

では、まずOKテイクから。ヴォーカルはありません。バッキング・トラックしかこの曲には存在しないのです。

The Beach Boys - Trombone Dixie


このトラックが最初にオフィシャル盤に収録されたのは、Pet Soundsの初CD化だった、東芝盤CDのボーナスとしてだと思います。ボーナスの、アウトテイクのといったって、その多くはボツ、期待するほうが馬鹿を見ますが、このトラックは、未完成とはじつに惜しい、と思いました。

イントロが8小節、ヴァースも8小節という構成ですが、ヴァースの5小節目、ティンパニーの二打とギターのスライド・ダウンの組み合わせによる風変わりなオブリガートが入っていて、最初に聴いたときは、うわあ、こんなのを思いつくのはブライアン・ウィルソンぐらいしかいないぜ、と感嘆しました。

こんな奇妙なオブリガート、しかもヴァースとコーラスのつなぎ目といったキリのいいところではなく、ヴァースの途中にはさみ、それきりで二度と出てこないものをおいた以上、すでにメロディーの、すくなくとも腹案ぐらいはできていたのではないかと思いますが、どのテイクを聴いても、まったくヒントはありません。

ギタリストのハワード・ロバーツは、フィル・スペクターのようなポップ系のプロデューサーは、スタジオでバンドを鳴らしながら音を作っていった、それ以前の巨匠たちは、スタジオに入る前にそういう作業を済ませていた、といった趣旨の批判をしています。

いいたいことはよくわかりますが、わたしは、そういう作り方だって、かならずしも悪いとはいえないと思います。プレイヤーとしてロバーツが、若いプロデューサーたちのそういう試行錯誤につきあうのはイヤだったというのは、容易に想像できますけれど。

コード・チェンジとサウンドのアイディアが先行し、メロディーができないまま、スタジオに入ってしまう、というのはありうることです。これだけいいサウンドとコード・チェンジがあれば、ほかならぬブライアン・ウィルソン、いいメロディーを載せるぐらいのことは朝飯前だったでしょうに。なぜ、ヴォーカルを載せないまま棚上げにされてしまったのか、謎です。

そうなると、後年、ここにメロディーを載せてみようという人があらわれても、なんの不思議もありません。

Sean Macreavy - Why Why Winona (Trombone Dixie) / Mona Kani


まったく知識がないのですが、ヴォーカルは女性なので、Mona Kaniという人がシンガーなのでしょう。ショーン・マクレヴィーのほうはソングライター、プロデューサーということでしょうか。

残念ながら、この時期のブライアン・ウィルソンらしいコード・チェンジの妙を生かしたメロディーとはいいかねますが(ブライアンはこういう平板凡庸なメロディーは書かない)、こういう試みがもっと増えてくれればいいのにと思います。

Unsurpassed Masstersによると、Trombone Dixieは11テイクで完成しています。ほとんどは途中でブレイク・ダウンしているか、ブライアンないしはプレイヤーがホールドしているので、二度目のコンプリート・テイクでOKになっています。

f0147840_23583417.jpgむろん、このまえにブライアンの長い「口移し」(各パートをまわって、どういうプレイをするかを指示する。譜面を書かない人だったので、歌ってきかせたらしい! キャロル・ケイだけは、譜面をもらったと証言している)とリハーサルがあるのですが、それにしても、テイクに突入してから完成までの早さは、それが仕事とはいえ、さすがはレッキング・クルーです。

ブライアンはテーブルを叩いて、あと1テイクの時間しかない、いいテイクを頼むよ、などとプレッシャーをかけますが、そんな状況は彼らにとっては日常茶飯事、いや、オーヴァータイムになれば割増料金、むしろ望むところ、いっこうに動ずる気配もなく、ふつうにプレイしています。

さて、Unsurpassed Mastersのほうを聴いてみましょう、と最初のほうのテイクを聴いて、ありゃ、でした。昨日だったか、あれこれファイルの整理などしながら聴いていて、ブライアンがまたジェリー・コールをからかっている、などとツイートしたのですが、他の曲とまぎれて、いい加減なことをいってしまったようです。

この曲では、テイク1をホールドして、いまのはジェリーが入っていなかった、マイクがデッドだったのでやりなおし、といっているだけです。しかし、わからないのは、ジェリーがジェリー・コールで、彼がいつものようにギターを弾いているとしたら、デッド・マイクではない、ということです。テイク1でも、ギターは二本とも録れています。

ジェリーがコールではないか、またはギターを弾いていなかったとか? テイク1でオフマイクになっているのは、自転車のベルなのですが、ジェリー・コールはベルをやったのでしょうか?

f0147840_005352.jpg

いわずもがなかもしれませんが、説明しておきます。ブライアンは自分の自転車のベルの音が気に入り、この時期、何度かパーカッションとしてそのベルを使っています。Trombone Dixieでも、そのベルが鳴っています。自転車ごとスタジオに入れたそうです。

どのテイクがいいか、ちょっと悩みました。アレンジの変更などはなく、たんにいいテイクが録れるまで繰り返すだけの直線的なセッションだからです。すぐにブレイクダウンしてしまったテイク8と、最初のコンプリートであるテイク9にしました。

サンプル The Beach Boys "Trombone Dixie" (take 8 and 9)

California Girlsが典型ですが、ブライアン・ウィルソンはいいイントロをたくさんつくっています。このTrombone Dixieのイントロも盛り上がります。片や管とアップライト・ベースのコンビネーション、片や自転車ベル、ジングルベル、カスタネット、ハル・ブレインのドラム、そしてギターを重ねたサウンドのなんたる心地よさ!

40周年記念盤の付属DVDにPet Storyというヴィデオが入っているのですが、そのなかで、ブライアンはこんなことをいっています。

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「いろいろな人が、Pet Soundsは史上最高のアルバムだといってくれるのは大変嬉しい。でも、自分にとっての史上最高のアルバムはフィル・スペクターのクリスマス・アルバムだ」といい、さらにつづけます。

「I liked the way he [Phil Spector] sat at the piano, I liked the way he talked, I liked his voice, I liked his face, I liked the way he looked, I liked him! What can I tell you?」

ブライアン・ウィルソンがフィル・スペクターに傾倒していた、いや、いまも傾倒しているのは有名なことですが、それにしても、そこまでいうかあ、です。

フィル・スペクターになりたくて、自分なりの新しいウォール・オヴ・サウンドをつくろうとした、それがPet Soundsだった、フィリップはすばらしいミュージシャンといっしょにやっていた、だから自分も同じミュージシャンでPet Soundsを録音した、とブライアンは明言しています。

ものをつくる人というのは、こういう影響関係というのを率直に語らない傾向があるのですが、ブライアンのなんと素直なこと、ファン気質丸出しで、率直に、スペクターごっこをしたかったのだと明かしてしまうのだから、驚くというか、惚れ直します。

しかし、ブライアン・ウィルソンの名誉のためにいっておきます。フィル・スペクターになりたい一心でつくったアルバムかもしれませんが、やはり飛び抜けた才能のある人が物真似をすると、物真似を超えてしまうということを、Pet Soundsは証明しています。

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左からブライアン・ウィルソン、ひとりおいてフィル・スペクター、その背後にサングラスをかけて顔が半分隠れているのがジャック・ニーチー、ひとりおいてマイク・ラヴ、ボビー・ハットフィールド。1965年、ゴールド・スター・スタジオで。

スペクターから出発して、ブライアン・ウィルソンは、スペクターがたどり着けなかった場所まで(結果的に、かもしれないが)行ってしまったのです。そういうことは、作者自身には見えないものです。

たとえば、ブライアン・ウィルソンのパーカッションの使い方は、フィル・スペクターより複雑で、深みのあるものへと変化していきます。その一例がTrombone Dixieのパーカッション・アレンジです。

フィル・スペクターについてブライアン・ウィルソンが語っていることのなかには、もう一点、重要な概念があるのですが、それはべつの機会に、べつの曲で。


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The Pet Sounds Sessions
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by songsf4s | 2011-10-25 23:17 | 60年代
いまさらのようにPet Soundsを聴きなおしてみる その2 Sloop John B.セッション
 
Pet Soundsにはさまざまなエディションがありますが、もっとも画期的だったのは、初のリアル・ステレオ・ミックスや、トラッキング・セッション、バックトラックなどを収録した、1997年のThe Pet Sounds Sessionsボックスでした。

このボックスではじめて、ヴォーカルがなくなり、トラックがどれほどすごい音で鳴っていたかがわれわれにもわかりました。「スペクターのミュージシャンたち」が、スペクター・セッション以上に、遺憾なく力量を発揮したことが明らかになったのです。

同じころ、Pet Sounds Sessionsの直後ぐらいでしょうが、Unsurpassed Mastersというブート・シリーズのリリースがはじまりました。60年代のビーチボーイズのアルバムのトラッキング・セッションやオルタネート・ミックス(とくにリアル・ステレオ)を収録したもので、Vol. 12のディスク1、および13と14のすべてのディスク、合わせて8枚がPet Soundsにあてられています。

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当然、テイク数も、Pet Sounds SessionsよりUnsurpassed Mastersのほうが多いので(ちょっと多すぎるのだが!)、このシリーズでは、トラッキング・セッションについては主としてこちらを参照するつもりです。

今回はLPに先立ってシングル・リリースされたSloop John B.です。これはトラッド曲で、たとえば、わたしがもっていたものでは、キングストン・トリオのヴァージョンがありました。

となれば、当時流行りのフォーク・ロック・スタイルで、ということになりそうなものですが、12弦ギターがそれらしい雰囲気をつくってはいるものの、すくなくともわたしは、たとえば、バーズやママズ&ザ・パパズやP・F・スローンの同類とは、よかれあしかれ、感じませんでした。

いや、ビーチボーイズのSloop John B.でプレイしたハル・ブレインは、バーズやママズ&ザ・パパズやP・F・スローンのトラックでプレイしましたし、他のパートもずいぶん重なっているはずですが、そういう印象は持ちませんでした。

まずは完成品のクリップから。といっても最近のステレオ・リマスターなので、わたしが子供のころに聴いたものとはかけ離れたサウンドです。

The Beach Boys - Sloop John B.


子どものころは、たいした曲じゃねえな、とナメていましたし、アルバムのなかで聴くようになってからも、それほど好きではありませんでした。楽曲の構造が単純すぎて、アルバムの他の曲と乖離しているように感じました。

置かれた場所もA面のラストなので、ちょうど都合がよく、その前のLet's Go Away for a Whileまででピックアップを上げて、B面に移るのがつねでした。

それがブライアン・ウィルソンの意図だと思ったからです。つまり、Pet Soundsは本来、12曲構成のLPだったのに、会社の要請でシングル曲を無理やり押し込むことになり、やむをえず、もっとも無害なところに配置することで、ダメージを最小限に抑えた、ということです。

そんな調子で、何十年ものあいだ、Sloop John B.は、ブライアン・ウィルソンの乾坤一擲のアルバムの小さな汚点、と思ってきました。

しかし、Pet Sounds Sessionsに収録されたステレオ・ヴァージョンと、トラッキング・セッション、そして、ファイナル・バッキング・トラックを聴いて、のけぞりました。

わたしが知っているSloop John B.とはまったくちがう音でした。とくに、ヴォーカルをとったトラックでの、ハル・ブレインのドラムとキャロル・ケイのベースのプレイとサウンドにはほんとうに驚きました。

ちょうどこの直前ぐらいに、キャロル・ケイとは何十通ものメールを交換し、さまざまな曲のディテールについて質問していたので、なおのこと、このサウンドは「さもありなん」でした。

彼女は繰り返し、「わたしは一度も女っぽいプレイなどしたことがない」といっていますが、まさにそういう人にふさわしい、じつにマッチョな、野太いサウンドです。

タイムの善し悪しは複雑なプレイよりも、シンプルなプレイにあらわれるもので、ドラムでいえば、16分のパラディドルをきれいに聞かせられる人なら、たいていのプレイに適応できるとみなして大丈夫です。

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キャロル・ケイについていえば、4分音符で押しまくるプレイ(たとえば、ハーパーズ・ビザールのThe Biggest Night of Her Life)には、いつも感服します。精妙なタイムに裏付けられた、豪快なプレイです。不十分な技術しかないプレイヤーは、4分音符だけを弾きつづけたら、すぐにボロを出します。

Unsurpassed Mastersに行く前に、Sloop John B.の最善のエディションである、The Pet Sounds Sessionsに収録された、トラック・オンリーを貼りつけておきます。このエディションではじめて、Sloop John B.のときも、ハル・ブレインは眠ってはいなかったことがわかりました。

サンプル The Beach Boys "Sloop John B." (final backing track from "The Pet Sounds Sessions")

このころのキャロル・ケイはフェンダー・プレシジョン(ジョー・オズボーンも初期のプレシジョン)を弾いていますが、ふつうはこんな音にはなりません。

ブライアン・ウィルソンのセッションにかぎらず、フィル・スペクターや、スナッフ・ギャレットのセッションで、さらにはさまざまなプロデューサーのセッションで、フェンダーとアップライトを重ねる手法はしばしば使われていました。

わたし自身が確認したかぎりでは、スペクター以前にスナッフ・ギャレットが(たしか)ジーン・マクダニエルズの曲で複数ベース手法を採用しています。

LPでは、おそらくはカッティングの関係で、アップライト・ベースの音は抑えがち、沈みがちなミックスでした。しかし、CDでは針飛びがないせいだと思うのですが、多くの場合、アップライトの音は太く、重くなる傾向があります。むろん、ディジタル・マスタリングの特性でもあるのでしょう。

最近のエディションではベースをいっそう前に出していますが、そもそも、前に出そうといって出せるのは、フェンダーのみならず、アップライトでも同じフレーズを弾いているからにちがいありません。それで、なかにはギョッとするようなリミックスがあるのでしょう。

順序が前後してしまいましたが、この曲のパーソネルは(ときおり修正されるが)以下のようになっています。

ドラムズ……ハル・ブレイン
フェンダー・ベース……キャロル・ケイ
アップライト・ベース……ライル・リッツ
ギター……アル・ケイシー、ジェリー・コール
ギター(オーヴァーダブ)……ビリー・ストレンジ
オルガン……アル・ディローリー
グロッケンシュピール……フランク・キャップ
タンバリン……ロン・スワロウ
フルート……スティーヴ・ダグラス、ジム・ホーン
クラリネット……ジェイ・ミグリオーリ
バリトン・サックス……ジャック・ニミッツ

わからないことがいろいろあります。タンバリンの音は聞こえませんが、かわりにウッドブロックかなにか、木製のパーカッションがずっと聞こえています。ロン・スワロウ(聞かない名前だ!)という人は、そちらをプレイしたのではないでしょうか。

オルガン・ベースが入っていると、なにかで読んだ記憶があるのですが、そうなるとバリトン・サックスが宙に浮くので、このクレジットが正しいなら、あれはバリトンか、あるいはバリトンとオルガン・ベースを重ねたものなのでしょうか。ふつうのオルガンの音は鳴っていないと思います。

ジェイ・ミグリオーリがクラリネットをプレイしたとありますが、さまざまなテイクを聴いても、クラリネットの音はわたしには拾い出せません。テイク4と5のあいだで、フルートだけに音を出させるとき、ブライアンが「ムーヴ・イン、ジェイ」といっているので、フルートをプレイした可能性が高いでしょう。

サンプル The Beach Boys "Sloop John B." (tracking session take 3 through 5 from "Unsurpassed Masters vol. 12" disk 1)

Unsurpassed Mastersには、Sloop John B.のほとんどのテイクが収録されています。とくにトラックに関しては、テイク1からOKのテイク14まで、すべてが入っています。

それを通して聴いて、あれ、と首を傾げたことがあります。ビリーストレンジの12弦のオーヴァーダブというのはどれのことなのだ、です。イントロで聞こえる12弦はテイク1から入っています。12弦と6弦の2本でスタートしているようです(あとですくなくとも一本、コード・ストロークが重ねられていると思う)。

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ビリー・ストレンジ(右はナンシー・シナトラ)

Unsurpassed Mastersに収録された、オーヴァーダブ・セッションのテイク5aを聴いて、やっと、ビリー・ストレンジがどういうプレイをしたのかがわかりました。

サンプル The Beach Boys "Sloop John B." (take 5a, guitar overdubbing from "Unsurpassed Masters vol. 12" disk 1)

でも、このビリー・ストレンジの12弦のプレイは、リリース・ヴァージョンではほとんど聞こえないくらいにミックス・アウトされてしまいます。そういうことはよく起こります。驚くようなことではないのかもしれません。

でも、ブライアンは、週末、子どもたちを連れてハリウッドに買い物に来ていたビリー・ストレンジを町で捕まえ、いまからオーヴァーダブをやってくれ、といったのだそうです。

ビリー・ストレンジが、ギターをもってきていない、といったら、ブライアンは楽器屋(サンセット&ヴァインのWallichs Music Cityか?)に連れて行き、フェンダーの12弦とアンプを買い、ビリーをスタジオに押し込んでオーヴァーダブをしたと伝えられています。しかも、セッションが終わると、ギターとアンプはもっていっていい、といわれたので驚いた、とビリー・ストレンジは回想しています。

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そうまでして録音したのが、リードでもなんでもなく、ミックス・アウトされてほとんど聞こえなくなるリックだったというのだから、おやおや、です。でも、これはブライアンのサウンド構築手法と密接に結びついていることかもしれないと感じます。まあ、そのへんの詳細はこのシリーズのあとのほうで書くつもりですが。

子どものころは、それほど面白いと感じず、大人になっても、あまりSloop John B.を聴かなかったのは、たぶん、非ロック的なニュアンスが強すぎたからだと思います。

The Pet Sounds Sessionsの新しいマスターのSloop John B.にショックを受けたのは、ひとつにはもちろん、90年代なかばに、ハル・ブレインやキャロル・ケイのプレイを徹底的に聴きこむ作業をしたからでしょうが、もうひとつは、やはりドラムとベースが前に出て、よりロック・ニュアンスが強まったためでした。

また、LPのときには、他のトラックとちがって、楽器が少なく、サウンド・レイヤーが薄く感じられましたが、ヴォーカルがなくなり、トラックだけが姿をあらわしたら、すでにアルバム・トラックと同じような、サウンド・レイヤー構築がはじまっていたことがわかり、連続性があったのだと納得がいきました。

いやはや、やってみれば、やっぱりPet Soundsは手強く、われながら隔靴掻痒の記事になりましたが、懲りずに、次回はいよいよ、アルバムのほうのセッションへと入り込みます。


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The Pet Sounds Sessions
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by songsf4s | 2011-10-24 23:58 | 60年代
いまさらのようにPet Soundsを聴きなおしてみる その1
 
正直にいうと、60年代の音楽がいまも商品として売られているのは、どうも違和感があります。

自分が粗野であることをいいふらすようですが、高校までは、昔の音楽になどほとんど関心がありませんでした。日々サウンドが変化する忙しい時代を生きていたので、過去のことなどかまっていられなかったのです。

わずかに、中学三年のとき、チャック・ベリーのことが気になり、当時、日本では手に入らなかったので、横浜の日本楽器に輸入盤の注文したことがあった程度です。あとはひたすら「今日を生きよう」でした。

いま、古い音楽をお聴きになっている若い方のことをどうこうというわけではないので、そのあたりは誤解のないようにお願いしますが、古い音楽がこのようにいまも生きている状況を改めて認識するたびに、こんなはずではなかった、と思います。

ギター、ベース・プレイヤーのキャロル・ケイは、はっきりいっています。ああいう音楽を録音するのは、日々の仕事にすぎず、その場かぎりで忘れられるものをつくっているのだと思っていた、まさか、何十年もたって、歴史的な遺産とみなされるようになるとは想像もしなかった、と。

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これは、聴く側のわれわれも似たようなものでした。つくる側ではなく、聴く側なので、彼女よりは音楽的に重要性があると考えていたと思いますが、それも五十歩百歩、基本的には、毎日、ラジオから流れてきては、消えてゆくヒット曲、という見方であって、それ以上でも、それ以下でもありませんでした。

これからしばらく、ビーチボーイズの、というか、ブライアン・ウィルソンのPet Soundsのことを書こうと思います。

Pet Soundsは、リリースのときはシングルしか知らず、アルバムを買ったのはずっと後年、例のCarl & The Passions So Toughと抱き合わせの二枚組という、おそろしく変な版で買いました。72年、いや73年リリースでしたか。

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だから、アメリカの文化遺産になると予想するも、予想しないも、あったものではないようなものですが、しかし、73年の時点でもまだ、Pet Soundsは「ビーチボーイズのヒットしなかった地味なアルバム」だったのではないでしょうか。

一学年上の友人が、大学在学中から音楽評論を書いていて、ときおり原稿に詰まると電話してきました。あるとき、おまえ、Pet Soundsをどう思うというから、ビーチボーイズのアルバムのなかでいちばんいいと思う、と答えました。

彼は、俺はどうも好きじゃないな、管のアンサンブルとヴォーカル・ハーモニーが衝突して、音がスッキリしないのがイヤだ、といいました。

むろん、昔からサウンド・レイヤーの美を偏愛するわたしは、あの管のアレンジがいいのに、とぶんむくれました。じゃあ、どの盤が好きなの、ときいたら、そうだなあ、15 Big Onesなんかいいな、というので、ダアー、とコケました。

たとえば、LAを憎悪しているRoling Stone誌なんかも似たようなもので、昔出ていたBuyer's Guideとかなんとかいうものでは、Pet Soundsは、エーと星印だったか、ポイントだったか忘れましたが、たとえば65点とか、星二つ半とか、そういった調子の、凡庸なアルバムという評価になっていました。政治雑誌に転向して正解です。彼らにはタイムもピッチもサウンド・レイヤーも理解できないのです。

とまあ、かつてはその程度の評価だったので、Pet Sounds支持派はちょっと力みかえってしまいましたが、ピッチもタイムもわかーんない、ロックンロールはパワーコード一発ガーンだ、という方たちもいらっしゃれば、アイツはピッチが悪くて気持ち悪い、タイムがボロボロで聴いていると吐き気がする、なんていうわたしのような人間も片方にはいるのでして、あちらの人たちが洗練されたLAのサウンドを理解できなくても、まあ、お互い様というあたりでしょう。

f0147840_093097.jpgどこかで見かけたのですが、賢明なミュージシャンは、Pet Soundsについてあれこれ贅言を弄さない、たんに「いいアルバムだと思う」などと簡潔にいうだけで、深入りは避ける、なんて書いている人がいました。

これはよくわかります。キジも鳴かずば撃たれまいに、物言えば唇寒し、てな決まり文句が脳裏に浮かぶわけですよ。半端な気持で、ふつうより一層下を掘ったりすると、墓穴だったりするのがPet Soundsというアルバムです。研究者にとっては、ポップ史上もっとも手強いサウンドです。

一度もPet Soundsを正面から取り上げていないな、いろいろ書くべきことはあるのに、なんてことを思ったのですが、君子危うきに近寄らずだぞ(今日はクリシェ連打だ)とも思いました。

しかし、学術論文を書くわけではあるまいし、ちょっとぐらい間違いがあったって、仕事を失うわけではなし、ミュージシャンでもないのだから、見当違いなことをいって、あいつ、音痴なんじゃないの、などと面目を失墜することもありません。

ということで、いつものように、好きな音楽のことを、ちょっと斜めから眺めてみるというスタイルで、お気楽にやろうと決めました。

とはいえ、聴くべきソースは多く、この数日、暇をみて棚卸しをやっていたのですが、いまだ整理整頓にはいたらず、今日は一曲だけ、おやまあ、と思ったものを貼りつけるに留めます。いきなり、とくに重要ではない曲で、恐縮ですが。

サンプル The Beach Boys "That's Not Me" (mono, from "Pet Sounds 40th Anniversary Edition)

今回、いくつかのエディションを聴き直したのですが、いちばん変化が大きいのは、最新のエディションである(と思う)、40周年記念盤のCD(DVDもある)に収録された、このThat's Not Meのモノ・ミックスでした。

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一聴、この太いベースはどこから出てきたのよ、と思いました。イヤ、存在しないものが突然あらわれるはずがなく、どこかにあったはずですが、こんなものの記憶はありませんでした。

古いLPも、初期のCDももうもってはいないのですが、そんなところまで遡行しなくても、近年のマスタリングと比較するだけで違いがわかります。Pet Soundsの伝説化にもっとも大きな役割を果たした、The Pet Sounds Sessions収録の初のステレオ・ミックスをどうぞ。

サンプル The Beach Boys "That's Not Me" (stereo, from "The Pet Sounds Sessions")

40周年記念のモノの00:17あたり、「I could try to be big in the eyes of the world」のところのベースを聴いた瞬間、ギョッとしました。

以前のステレオ・ミックスの同じ部分をお聴きになっていただければ、はっきりおわかりと思います。こんなところで、ブーンとベースが入ってきたりはしないのです。

後半、ドラムレスになって、1:52あたりからのI once had以下の部分でも、40周年記念盤モノでは、ベースがブンブンいっています。こんなミックスは、LP以来、過去のPet Soundsにはまったくなかったものです。

おっと、時間切れなので、本日はここまでにします。先日のビートルズのときと同じように、Pet Soundsを隅から隅まで何度も聴いたことがないと、たぶん面白くもなんともない話になるだろうと思います。まあ、当家ではいつものことですが。


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by songsf4s | 2011-10-22 23:57 | 60年代
バディー・リッチのThis One's for BasieとBuddy and Sweets
 
(10月22日08:00追記: Barney's Bugleのリンクを修正しました。どうも失礼しました)

今日もブライアン・ウィルソンを聴いていたのですが、これを書くのはむずかしいなあ、と思いながら、ちょっとメモをとっただけで疲れ果ててしまいました。

ブライアンのことを話すハル・ブレインを見ているうちに、ふと、バディー・リッチが聴きたくなり、おなじみのヤツをプレイヤーにドラッグしました。

しかし、バディー・リッチに関するかぎり、いまだに、これだ、という盤は手に入れていません。どういうのが聴きたいかというと、以前にも貼りつけたことがありますが、こういうのです。音は最低ですが、プレイはベストのなかのベストです。

Buddy Rich


左手で片手ロールをしながら、そのスティックを右手のスティックでカンカン叩きまくるスティック・トゥ・スティックの技に呆気にとられます。スプラッシュ・シンバルのカシャカシャを挟むシンバル流しもじつに楽しい演出です。

レニー・ブルースは、まだ駆け出しだったハル・ブレインといっしょにステージに立ったことがあったそうです。ハルがHal Blaine & the Wrecking Crewのなかで懐かしげに語っています。

もうひとつ、バディー・リッチの高速プレイを。こんどは、お得意のシンバル両面打ち、往復ビンタ技にご注目を。

Buddy Rich


なんだかんだいっても、ドラマーは運動能力が重要、バディー・リッチの身体能力の高さはつぎのようなプレイによくあらわれています。キース・ムーンなんか知らないね、ジンジャー・ベイカーってだれよ、というキック技。

Buddy Rich


まるでスティックで叩いているような速度と正確さとニュアンスで、二つのキック・ドラムを叩いています。これが1949年、昭和24年、小津安二郎が『晩春』を撮った年だっていうのだから、呆気にとられます。

60年代にダブル・バスドラがどうこうなどといっていたわれわれは、ものを知らないドアホでした。あちらはもう40年代に極限のプレイをしていたのですから。

ド派手なものばかり並べてしまいましたが、渋めのものだっていいのがあります。ヴィデオは派手な曲のほうがいいのですが、音だけの場合は、地味なもののほうに味わいのある人です。

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まずはもっとも好きなアルバム、This One's for Basieから一曲。

サンプル Buddy Rich "Jump for Me"

ベースのタイムがいいからだと思いますが、これはバディー・リッチのアルバムのなかでも、もっとも気持のよい盤です。リッチはほとんど見せ場がありませんが、彼のタイムがよくわかりますし、エンディングにかけてのアクセントには、やはり「らしさ」が出ています。いや、ハイハットを聴いているだけで気持がいいのですが。

もう一枚は、ハリー・スウィーツ・エディソンとの共演盤、Rich and Sweetsからです。

サンプル Buddy Rich and Harry 'Sweets' Edison "Barney's Bugle"

メンバーを確認しないまま、久しぶりに聴いて、ギターがいいねえ、と思ってクレジットを見たら、バーニー・ケッセル。タイトルの「バーニー」は彼のことです。

バディー・リッチはスウィングの時代のプレイヤーなので、後年にいたっても、しばしばビッグ・バンドを組みました。しかし、ビッグバンドにフェンダー・ベースは好きではないので、その時代よりも、わたしは、50年代後半から60年代はじめのもので、コンボのものがいいと思います。

しかし、そういう条件に合う盤というのはめったになくて、いまだに、これだ、というものに当たりません。どなたか、詳しい方がいらしたらご教示をお願いします。

いや、動く姿がいっしょにあれば、ビッグバンドだって楽しめます。しかも、最晩年になってもいいプレイをしていたことに、またまた驚かされます。

Buddy Rich


すげえ、の一言。晩年、ブラシのプレイに磨きがかかって、こちらも神業の領域に入っていくのですが、時間がないので、本日はここまで。


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バディー・リッチ(MP3アルバム)
This One's for Basie
This One's for Basie


バディー・リッチとハリー・スウィーツ・エディソン
Buddy & Sweets (Dig)

Buddy & Sweets (Dig)
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by songsf4s | 2011-10-21 23:54
ビートルズのヴァリアント Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band Sessions
 
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandというのは、わたしにとっては変なアルバムです。

1967年の夏休みの直前に買ったのだと思います。わたしは全寮制の中学高等学校の生徒で、夏休みはむろん家に帰っていたのですが、クラブの合宿など、寮でもいろいろやることがあり、しばしば横浜南部の里山を切り開いたキャンパスに戻っていました。

寮には二カ所にオーディオ・セットがあり、暇な時間は、われわれはつねにスピーカーの前のソファに陣取って、ビートルズを聴いていました。ラジオでも、町中でも、ビートルズが流れていました。あれほどどこにいっても、ビートルズの新作が流れていた時期というのはありませんでした。

後年、ジョニー・リヴァーズの曲を聴いて、そうだったなあ、と思いました。クレジットは忘れましたが、ドラムはハル・ブレイン、ベースはジョー・オズボーン、この二人だけは聞き誤りようがありません。

Johnny Rivers - Summer Rain


このクリップの1:20あたりにAnd the jukebox kept on playing Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandというラインが出てきます。これだけで、1967年の夏、いわゆるSummer of Loveを回顧した歌だということがわかります(Summer Rainは68年にヒットした)。これを聴いて、ほんとうにどこにいってもペパーズが流れていたあの夏が鮮明によみがえりました。

しかし、人生は生きてみなければわかりません。あれほど興奮し、あれほど繰り返し聴いたペパーズは、いつのまにか、めったに聴かないアルバムになっていました。

つまり、あの時代をみごとに体現したということなのでしょう。そのときをすぎてしまうとリアリティーを失い、ビートルズのこれまでのスタンダードに照らし合わせれば出来のよくない楽曲に、びらびらのドレスを着せて厚化粧させただけに思えてきました。落ち着いてよく見れば、美人というわけでもないのね、という、あれです。

むろん、化粧と衣裳は女の命、もとい、アレンジとサウンドは盤の死命を制します。しかし、アレンジとサウンド「だけ」では、エヴァーグリーンにはなれないのだと、いまペパーズを聴くと索然たる思いをします。

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レコーディング技術の面では興味深いことがたくさん起こりますし、いわゆる「ビートルマニア」が女の子のものだったのに対して、ペパーズが巻き起こした、やはりある種のヒステリアのようなものは、男の子と男のものでした。そう考えるなら、ペパーズは彼らの「アイドル廃業宣言」といっていいでしょう(それでも同世代の少女のなかにはまだ熱烈なファンがたくさんいたが!)。

驚くべきことに、というか、当然というべきか、いまになってペパーズを聞き返すと、とくに好きな曲というのはありません。懐かしくはあるものの、それ以上のものではないのです。

しいていうと、Anthologyに収録されたこのテイクにはちょっと心惹かれました。

The Beatles - Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) (Take 5)


この曲も、いま聴いても、うんざりはしません。

The Beatles - Getting Better (Only Vocals,Bass & Drums)


このアニメーション、ほかの曲もあるのですが、要所要所できっちり音と手の動きをシンクさせてくるところが楽しめます。そういうディテールにこだわる人は多くはないですから。

このミックスは、クリップに説明のあるとおり、ドラム、ベース、ヴォーカルだけを使って、ギター、エレクトリック・ピアノ、シタールなどはオミットしています。

べつのマイナス・ミックス・クリップを貼りつけます。こんどはベースがオミットされています。

The Beatles - Getting Better down mix


完成品はとくに好きなわけではないのですが、つぎの曲は、バックトラックのみだと、なかなか楽しめます。

The Beatles - She's Leaving Home (track only)


こういうことというのは、マルチ・トラック・テープ、いや、ファイルをもっていれば、比較的簡単にできてしまいます。

ということで、そっと最後に、4トラックのうち、リード・ヴォーカルをのぞいた三つのトラックをおいておきます。

サンプル The Beatles "With a Little Help from My Friends" (track 1)

サンプル The Beatles "With a Little Help from My Friends" (track 2)

サンプル The Beatles "With a Little Help from My Friends" (track 4)

1はベースとタンバリン、2はドラム、ギター、ピアノなど、4はジョンとポールのバックグラウンド・ヴォーカルおよびギターのオブリガートです。

ふつうのマルチ・トラック・サウンド・エディターは、MP3ファイルではダメでしょうから、ここからWAVなどを起こさなければ、もう一度、ミックスすることはできません。差し障りがあるので、わざと音質を落とし、そして敷居を高くしているので、そのあたりはご賢察のうえ、ご容赦を願います。

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いずれにしても、自分でミックスをやってみたい、という方はほんの一握りでしょうし、これだけのトラックしかないと、バランシングについてはできることはそれほどたくさんはなく、各トラックをイコライザーなどで加工しないと、面白い別ミックスは作れないでしょう。

また、コンソールなら両手で操作できますが、ソフトウェアの場合、マウスでフェイダーの上げ下げをするのがふつうなので、リアルタイムの操作は困難です。キー・アサインによって、キーボードでフェイダー操作の可能なソフトウェアもあるかもしれませんが。

ブライアン・ウィルソンとGod Only Knowsについて話しながら、コンソールを操作するジョージ・マーティン


ジョージ・マーティンも、曲を分析するにはストリップ・ダウンするのが一番だといっているので、再構築をしないまでも、トラックをべつべつに聴いてみれば、なにか発見があるかもしれません。


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ビートルズ(オフィシャル・リリース盤)
Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band
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ビートルズ
アンソロジー(2)
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ビートルズ(DVDボックス)
ザ・ビートルズ・アンソロジー DVD BOX 通常盤
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by songsf4s | 2011-10-20 23:54 | ブリティシュ・インヴェイジョン
ビートルズのヴァリアント Revolver Sessions
 
ビートルズのAnthologyは、フランク・ザッパのBeat the Bootシリーズと同じで、山ほどどころか、星の数ほども出まわっているブートの息の根を止めるための、ブート・バスターだったのでしょう。つまり「オフィシャル・ブート」です(もうひとつの目的はジョージ・ハリソンを経済的に援助するためともいわれていた)。

たしかに、ブートでおなじみのもの、たとえば、How Do You Do Itであるとか、Strawberry Fields Foreverの合成前テイクといった上澄みはもれなく、最高の音質で収録されましたし、さすがは本家のブート(ちがうか)と感心するものも出てきました。

いちばん気に入ったのは、この曲のこのヴァージョン。

The Beatles - And Your Bird Can Sing (vocal overdubbing onto take 2)


聴けばわかることを説明して恐縮ですが、つまり、ヴォーカルまで含めていちおうできあがったテイク2に、さらにふくらませるために、ジョンとポールだけでヴォーカル・オーヴァーダビングをおこなっているところです。

右チャンネルは二人のヴォーカルが完了しているもので(ジョンのヴォーカルはすでにダブルになっている)、新しい「ヴォーカル」(になりそこねた!)はセンターに定位されています。

どこに感銘を受けたかというと、元からあるジョンのヴォーカルの「When your prized possessions start to weigh you down」のdo-o-o-o-wnというジョンの声とヴォイス・コントロールです。思い起こせば、ジョンのこういうところが子どものころはたまらなく好きでした。

感傷とは異なったレベルでいうと、このアレンジはリリース・ヴァージョンよりずっとポップで、あとちょっとでシングルというところまでいっているのに、とも思いました。とくに12弦が効果的ですし、6弦のプレイを積み上げたレイヤーの響きもおおいに魅力的です。

おそらく彼らは、この万国旗びらびらの満艦飾ギター・レイヤーのきらびやかさが気に入らなかったのだろうと思います。Revolverで、彼らは実験的な音をめざしたのであって、ポップであることは過去に属していたのですから。

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どうであれ、わたしのほうは、こんな時期になってもまだ、ジョン・レノンはその必殺技を捨てていなかったことを知って、こりゃすげえ、と叫びました。つぎは、この失敗したオーヴァーダブ以前のものを聴きたいとせつに願いました。

ということで、つぎはそのオーヴァーダブ以前のテイク2を聴きます。こちらもユーチューブにあがっているのですが、このヴァージョンについては音質を重視したいので、サンプルにしました。

サンプル The Beatles "And Your Bird Can Sing" (take 2)

耳がビートルズに過適応しているのかもしれませんが、これを聴くと、なるほど、ヴォーカル・レイヤーはもう一層必要だ、と思います。すでにジョンはダブルですが、ここにジョンとポールのヴォーカルをもう一層載せれば、ギター・レイヤーとも釣り合いがとれ、じつに厚いサウンドになるにちがいありません。

このヴァージョンにたどりついて、あれ? と思ったことがあります。吹いてしまったテイク2では、ジョンはWhen your bike is brokenと歌っています。Anthologyのテイク2を聴いたときは、元々はbikeだったのが、のちに変更されてbirdになったのだと納得したのですが、笑い声なしのテイク2では、birdと歌っています。

bikeとしたのは、思いつきの冗談だったのかもしれません。あるいは元々はbikeだったのをbirdと変更して録音したのに、オーヴァーダブでまちがえて変更前に戻ってしまったのかもしれません。

ユーチューブに、このヴァージョンの「完成予想図」がありました。

The Beatles - And Your Bird Can Sing (take 2, fan mix)


ジョンとポールがオーヴァーダブ・セッションで吹かなければ、こういうものができあがっていたのではないか、というわけです。気持はよくわかります。ひどい音ですが、将来、ソフトウェアの改善によって、もっといい音でこういうことができるようになるかもしれません。

それでふと、ずっと昔、PCに関する論文(著者はアラン・ケイという人だった!)を読んだとき、いろいろ夢想したことを思いだしました。そのひとつは、いずれ、オリジナル・マルチ・トラックが売られるようになり、われわれは自分で好みのミックス・ダウンをして音楽を聴けるようになる、というものでした。

こんなこと、いまではその気になれば、すぐにできます。マルチ・トラックのファイル形式はサウンド・エディターによって異なりますが、たとえば、Audacityのようなフリーウェアをスタンダードにしようと定めてしまうか、ファイルにAudacityを同梱すればいいだけのことです。

ウェブでの配布でもいいし、先般のビートルズの24/96ファイルのように、USBなどのメディアでもかまいません。だれかやりませんかね? いや、どこかの会社でひそかに企画が進行しているかもしれません。

閑話休題。これにはいろいろな仮名がふられますなあ。「むだばなしはさておき」が多数派でしょうか。「それはともかく」というのも見た記憶があります。

てなことはさておき、もう一曲ぐらいはなんとかしましょう。とはいっても、もうサンプルにしたいものも見あたりません。ユーチューブを使って、好みのヴァリアントを少々あげるにとどめます。

The Beatles - Here, There and Everywhere (Take 14)


オーヴァーダブをする前に放棄したヴァージョンか、と思っていると、あとになってジョンとジョージのハーモニーが入ってくるところが、ちょっと感動的ですらあります。おおむねポールがひとりで歌うこのアレンジも悪くないと思います。

いまさらAnthologyのテイクを持ち出すのは気が引けますが、つぎの曲も最初に聴いたときは、これがボツは惜しいと思いました。

The Beatles - Got to Get You into My Life


あたくしはジョンのバッキング・ヴォーカルが大好きなので、この場合も、サウンドがどうとか、アレンジがどうとか、ポールのヴォーカル・レンディションがどうとかといったことは考えていなくて、ジョンがいいなあ、と思っただけです。

Revolverは微妙なアルバムだと昔も思ったし、いまも同じように感じます。まあ、あのような状態はいつまでもつづけるわけには行かず、ここらで大きな転換が必要だったことはたしかです。時代の要請もありました。

だから、変化したこと自体はけっこうだと思います。さはさりながら、デビューからRubber Soulまでの楽曲のレベルの高さを当然のことのように考えていたファンの多くは、Revolverで、やはり「あれ?」と感じただろうと思います。

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このあとにSgt. Pepper'sがあることがいまではわかっているので、たとえRevolverそれ自体には納得がいかなくても、Pepper'sへの助走と見ることができますが、リリースの時点では、なんだか中途半端なものに感じました。

Rubber Soulまではかならずあった、ジョンのきわめてすぐれた曲というのが、このアルバムにはないというのも、気に入りませんでした。She Said, She Saidなどは子どものときにはそれなりに気に入っていましたが、それも相対的なことにすぎません。たとえば、A Hard Day's Nightに収録されていたら、目立たなかったでしょう。

驚いたことに、ジョンは自分の声が嫌いだったそうで、このアルバムあたりから、ジョージ・マーティンに声を加工するように要求するようになったとマーク・ルーイゾーンは書いています。

RainやTomorrow Never Knowsに、それがストレートに反映されることになりますが、ポップなAnd Your Bird Can Singが改変されてあのようになったのもまた、「チャーミングなジョン」をジョン自身が否定した結果ではないかという気がします。

かくして、わたしにとっては、ここからは「神々の黄昏」、長い下り坂となります。次回は、下り坂でぐっと一踏ん張りし、持ちこたえようとした四人の音楽を聴きます。Against the Fall of the Nightといいたくなりますが。


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by songsf4s | 2011-10-19 23:56 | ブリティシュ・インヴェイジョン
ビートルズのヴァリアント Rubber Soul Sessions
 
ブライアン・ウィルソンをやろうなんて考えもあったのですが、とても二、三時間の準備ではとりかかれず、前回までの延長線上で、Rubber Soul収録曲と同時期のシングル、アウトテイクを聴きます。

今回利用するのは、主としてユーチューブ、さらにThe Beatles Artifacts、The Beatles Mythology、などのシリーズです。

前回まで依拠してきたThe Beatles Studio Sessionsはそれなりに整理されてわかりやすいのですが、今回はデータが不備なものもあります。できるだけ、マーク・ルーイゾーンのThe Complete Beatles Recording Sessionsとつきあわせるつもりですが、未確認のまま貼りつけることになるかもしれないので、そのへんはご容赦を。

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◆ 森を見て木を見ず ◆◆
woodの第一義は森ではなく、「1 木質, 木部; 材木, 木材, 材; 薪」です。

彼女は、ねえ、これ、いいでしょう? ノルウェイの森なのよ、なんていうと思いますか? とーんでもない。「ねえ、これいいでしょう、ノルウェイの木なのよ」といったのです。といっても、暖炉のそばに薪ざっぽうが積んであったわけではないでしょうけれど!

それでは「鳥は飛び去った」のテイク2から。バックビートありです。

The Beatles - This Bird Has Flown (Take 2)


ドラムが入っているのもちょっとびっくりしますが、最大の驚きは、エンディングの手前、So I lit the fire(ジョンはaといったり、theといったりしている。部屋に火をつけた? なんて歌詞があるとは思えないが!)のところにハーモニーがつけられていることです。

一瞬なので聴き誤っているかもしれませんが、ジョン自身のダブル・トラックでしょう。最終的に、よけいな装飾はオミットということになったのかもしれません。

Norwegian Woodは、This Bird Has Flownのワーキング・タイトルで、Rubber Soulセッションの初日、1965年10月12日に1テイクだけ記録されています。同月21日リメイクがおこなわれ(リメイクとするほど大きな転換とは思えないが)、テイク2から4までが録音されました。

よけいなことを書いて混乱させて申し訳ないのですが、マーク・ルーイゾーンは、take 2は「has a heavy sitar introduction and was recorded without drums or bass」と書いています。

はて? 上掲のクリップがほんとうにテイク2だとすると、ルーイゾーンのいう裸のテイク以外に、ドラムとベースとヴォーカルがオーヴァーダブされたものも存在する、ということだろうと考えられます。

こんどはほんとうにドラムもベースもなし、それどころか、シタールもないアコースティック・ヴァージョン。

The Beatles - Norwegian Wood (This Bird Has Flown) Take 3


ノーマン・スミスは、シタールはイヤなピークが出たりして、じつに録りにくい楽器だったと回想しています。シタールなしヴァージョンはノーマン・スミスのリクエストでしょう(嘘)。

つぎのテイク4が最終的にリリースされたものなので、この曲はこれでおしまいですが、謎が残りますなあ。ノルウェイの木とはなんなのか? ポールによると、壁や床も木でできた部屋なのだそうです。当たり前みたいな気がしますが。

So I lit the fire, isn't it good, Norwegian wood

朝早く、彼女は仕事に出かけ、部屋にとり残された男は、火をつけて、ノルウェイの木か、とひとりごちます。火をつけて? まあ、ストーヴかなにかと解釈しておきますが、謎の残る歌詞です。

◆ オーヴァーダブ多くしてテイク少なし ◆◆
なんだか、今回はすべてクリップがありそうな気がしたのです。まだすべて確認したわけではないですが、ここまでで狙ったものはみなクリップがありました。たとえば、

The Beatles - Nowhere Man (track only)


ヴォーカルがあると隠してくれるのですが、トラックのみだと、リンゴのロールが中途半端なのが気になります。ハル・ブレインのようなプロフェッショナルは、陶然となるほど美しいロールを聴かせてくれるのですが、バンドのドラマーは基礎ができていないものなのです。

本来ならリテイクするべきでしょうが、どうせヴォーカルが載る、気にするな、というあたりでOKとなったと思われます。じつにタイトなスケデュールのセッションでしたから。

つぎは手元のブートには収録されていないトラック・オンリー。

The Beatles - What Goes On (track only)


これは楽曲がどうこうというより、ジョンとポールがそろってバッキングにまわっているところがすばらしい(とくにジョンがおいしいところをいただいている)ので、バックトラックだけになってしまうと、そんなものか、ですがね。

それにしても、ポールのベースのグルーヴはすごいものだなあ、と毎度のように感心しちゃいます。リンゴのタイムがよくなっていくのは、ポールのおかげでしょう。

すごく面白い、というわけでもないのですが、いろいろ検索して、クリップを発見できなかったので、好き者のために貼りつけておきます。間奏がぜんぜんちがいます。たぶん、多くの方はコケると思うので、足下ご注意。

サンプル The Beatles "In My Life" (with alt. instrumental break)

これではどうもよろしくないよなあ、というので、後日、ジョージ・マーティンがあのピアノを弾くことになりますが、ピアニストではないので、ああいうものはうまく弾けないとご本人が認めているのでありまして、あれはスロウダウンしてオーヴァーダブしました。そのピアノの部分、スピード・アップ前の姿。

サンプル The Beatles "In My Life" (slowed-down piano break)

あとはとくにめずらしいものは発見できないので、つぎの曲でおしまいにします。

このヴァリアントは、ブートには何度も採録されていますし、めでたくAnthology入りも果たしています。しかし、(突然、プライヴェートな話になるが)中学時代のバンドメイトが、リリース・ヴァージョンよりこっちのほうがいいと思うといっていたのを思い出したので、貼りつけます。

The Beatles - I'm Looking Through You (take 1)


ヴァースのギター・アルペジオが入っている部分に強く感じますが、こちらのほうがリリース・ヴァージョンよりリリカルで、メロディーのよさが生かされています。

You're not the sameなどという、つなぎ目の部分は、逆にリリース・ヴァージョンよりラウド&ヘヴィーになっていて、これはこれでヴァースと対照的な味があります。

問題は、イントロではっきり聞こえるパーカッションに代表されるように、よけいな飾りを入れたことでしょう。いじりすぎてスッキリしなくなったので、いったんチャラにして、あのヴァージョンができあがったということじゃないでしょうか。ちょっと惜しかったと思います。

ブライアン・ウィルソン山脈登攀の準備はまだ整わないので、たぶん、この調子でSgt. Pepper'sまではやることになるだろうと思います。


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by songsf4s | 2011-10-18 23:57 | ブリティシュ・インヴェイジョン