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Dancing in the Streetの各種音源まとめ、および、ラウド&へヴィーはバブルガムの荒野を目指すか?
 
このところ、Locomotionと並行して、コメント欄と記事本文(「Dancing in the Street伝説とヒッツヴィル・スタジオの床」)で話題にしてきた、マーサ&ザ・ヴァンデラーズのDancing in the Streetですが、気になる方のために、音源をまとめておきます。

まずはステレオ・ミックスのクリップ。

マーサ&ザ・ヴァンデラーズ Dancing in the Street


つぎはモノ45ミックス。これはサンプルで。

サンプル Martha & the Vandellas "Dancing in the Street" (mono 45 version)

さらに、マーサ・リーヴズのヴォーカルのない、トラック・オンリー。

サンプル Martha & the Vandellas "Dancing in the Street" (track only)

k_guncontrolさんも石原さんも、結論として、打楽器とベース、それに複数のパーカッシヴなギターが生み出す、ポリリズミックな感覚が、このトラックの色褪せぬ魅力の源泉である、という結論のようです。

むろん、わたしも同様に考えています。過去の記事にも書いたことですが、モータウンの歴史のなかで、Daning in the Streetは三本指に入る重要曲です。その理由は、力強さと繊細さの幸運な同居です。

シンプル&ストレートフォーワードなバックビートとフィルインはすばらしいし、その周囲で複雑なアクセントをつけている複数のギターの配置は、いまも魅力を失っていません。

以前、この曲のカヴァーのなかで面白いのはグレイトフル・デッドのもの、それもTerrapin Stationに収録された二度目のスタジオ録音だけだと書きました。そのときもサンプルをアップしたのですが、毎度申し上げるように、divshareが不調なので、今回、box.netにデッドのリメイク・スタジオ・ヴァージョンをアップしなおしました。

サンプル Grateful Dead "Dancing in the Street" (1978 studio ver.)

デッドはWBからデビューする以前に、すでにこの曲をレパートリーにしていましたが、十数年プレイしつづけてたどり着いた「結論」のアレンジが、これだったのでしょう。Wake of the Floodからはじまった、複数のギターをパーカッシヴに、そしてポリリズミックに配置する試みの「結論」でもあったと感じます。

f0147840_22593075.jpg

デッドのフィル・レッシュはいかにベースの音を軽くするかに腐心したプレイヤーで、デッドの子会社であるアレンビックがレッシュのためにつくったベースは、リズミックにではなく、メロディックかつハーモニックに鳴らすためのものでした。第一の条件はコードを弾いたときに音が割れない、だったそうです。

そういうベース・プレイヤーのいるバンドだから、デッドの波形は「幽霊」になります。低音部がなく、波形を見ると、下半分が消えているように見えるのです。Dancing in the Streetもレッシュは高音部を多用し、浮遊するラインを使っていますし、ビル・クルツマンのキックもごく控えめにミックスされています。Dancing in the Streetでも、デッドはいつものように「重さを排除する」サウンド作りをしているのです。

Dancing in the Streetぐらいの曲になると、カヴァーなんか馬鹿馬鹿しくて聴けたものではないのですが、唯一、デッドだけは、オリジナルから切り離したところで、自分たち固有のサウンドとして実現しています。

◆ 真説グランド・ファンク・レイルロード ◆◆
以上を枕にして、今日はゲーリー・チェスターのつづきをやるつもりだったのですが、枕が長すぎて、その余裕がなくなりました。

さきほど、Add More Musicのキムラさんもコメントをポストされ、なんだかエラくにぎやかなことになってきました。グランド・ファンクに対して冷たい前回の記事をお読みになり、ちょっと側面援護、という気分でしょうかね。

じつは、わたしは、キムラセンセが出てきそうだと、グランド・ファンクの記事を書きながら思ったのです。直感ではなく、根拠があって卦を立てたのです。その卦は「バブルガム」です。

キムラセンセとわたしは、西と東で並行進化したと思うほど、よく似た道筋をたどっているのですが、大きく異なるのは、バブルガムとリズム&ブルーズです。わたしはバブルガムをあまり聴かず、キムラさんはR&Bをあまり聴かないのです。

わたしの思考の道筋はもうおわかりでしょう。昨日はグランド・ファンクのことを「ラウド&ヘヴィーの味付けをしたポップ」と書きましたが、よりスペシフィックにいえば、「ラウド&ヘヴィーの味付けをしたバブルガム」なのだと思います。だから、わたしは聴かず、バブルガム擁護派であるセンセはグランド・ファンクをお聴きなったのだと思います。

わたしの耳には、We're an American Bandというよくできたポップ・チューンのなかで、イントロのドラム・リックの馬鹿馬鹿しさは大きなキズに聞こえます。当時のわたしは、あのキックの使い方に失笑しました。でも、それはたぶん、わたしがあのとき大学生だったからです。小学生だったら、カッコいいじゃん、と思ったのではないでしょうか。

グランド・ファンクは小学生のためのハード・ロック入門書の役割を果たした、という結論はいかがでしょうか。って、ご両所ともお気に召さないでしょうが、わたしはああいう音とは基本的には無縁な人生を送ってきたのでありまして、グレイトフル・デッドあたりの話をするほうがずっと楽しいのです。


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マーサ&ザ・ヴァンデラーズ CD
Gold
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マーサ&ザ・ヴァンデラーズ LP
Dance Party [12 inch Analog]
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グレイトフル・デッド
Terrapin Station (Dig)
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グランド・ファンク
Greatest Hits (W/Dvd)
Greatest Hits (W/Dvd)


グランド・ファンク
We're An American Band
We're An American Band
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by songsf4s | 2011-05-31 23:51
人もすなるグランド・ファンクなるものを吾もせむとや
 
散歩ブログを更新しました。

「紅白のブラシの木──横浜・金沢自然公園と動物園」

◆ Loco-Motionのドラミング設計 ◆◆
この曲ではじめると、またグランド・ファンクに入りそこなうかもしれませんが、昨日の「祝 オフィシャル・ゲーリー・チェスター・ウェブサイト誕生」という記事に寄せられた石原さんのコメントへのレスとして、今日も最初はLoco-Motionです。

リトル・エヴァ Loco-Motion


問題は、この曲のドラムはどうなっているのか、です。石原さんの分析は上記コメントをご覧になっていただくとして、ここではあたくしのヴァージョンを。

まずはっきりしていることは、ひとりのプレイヤーによる1パスではないということです。ひとりで2パスやったか、二人で1パスだったか、最低限二人ないしはひとりによるオーヴァーダブが必要です。たぶん延べ人数=3だと想像します。

メイン・プレイヤーは主として、右手はスネアで8分、左手はやはりスネアで2&4、というパターンをやっているのだと思います。アール・パーマーがニューオーリンズ時代を中心にしばしば使ったパターンです。

シンバルの8分の刻みもあります。でも、これ、ヘッドフォンで聴くとやや変なサウンドです。ライド・シンバルというのはふつう、もっとringするものなのですが、この曲のシンバルは残響がほとんどないので、片手でミュートしながら叩いているのかもしれません。となると、両手が必要で、このプレイヤーはほかのことはできません。

それからほとんどのバックビートに、タムタムかフロア・タムが重ねられていると思います。メイン・プレイヤーは両手でスネアを叩いているし、シンバルのプレイヤーがミュートをしているとすると、このタム類のために第三のプレイヤーが必要で、延べ三人という計算をしました。

ずいぶん面倒なことをしたものです。この曲のプロデューサーは、ジェリー・ゴーフィンとキャロル・キングというライター・チーム自身だったと思いますが、こういうことはどちらが考えたのか……。わたしの偏見でしょうが、キャロル・キングという人にすぐれたリズミック・センスは感じないので、ジェリー・ゴーフィンのアイディアかもしれません。

ついでといっては失礼かもしれませんが、こういうのもありましたな。

大滝詠一 恋の汽車ポッポ


ドラム・ストゥールに坐ったのはシンガー自身でした。

◆ 仄聞グランド・ファンク ◆◆
さて、もともとの話題であるグランド・ファンクにもどり、再び彼らのLoco-Motionを貼り付けます。

グランド・ファンク Locomotion


うーむ。当家のお客さんはすでにご存知でしょうが、わたしはラウド&ヘヴィー方面にはあまり縁がなく、ゼップのWhole Lotta Loveあたりで縁が切れています。

年をとってしまえば、数歳の年齢差などというのはあってなきがごとしですが、十代の一、二年というのは大きく、軽音の後輩たちがグランド・ファンクをカヴァーしているころ、わたしはぜんぜんべつのところにいて、ああいう音は子ども向けと考えていました。彼らの曲で覚えているのは数えるほどです。

グランド・ファンク・レイルロード Inside Looking Out


まあまあの出来なのではないでしょうか。とりたてて魅力を感じるわけではありませんが、不快ということもありません。ただ、わたしらの世代にとっては、この曲はグランド・ファンクには関連付けられていません。

アニマルズ Inside Looking Out


子供のころのほんの一、二年のちがいは大きい、というのはこういうことです。わたしは、オリジナルを聴きゃあいいじゃねえか、と思ったのですが、後輩たちはアニマルズなんか朝日の当たる家だけだと思っていたのです。ヒルトン・ヴァレンタインのリッケンバッカーがバキバキいっていて、アニマルズ・ヴァージョンは楽しいと思うのですがね。

つぎにイヤでも耳についたグランド・ファンクの曲はこれ。

グランド・ファンク・レイルロード Heartbreaker


メタルやラウド&ヘヴィー方面の人たちって、プレイヤーもリスナーも、不思議にマイナーが好きだなあ、と思います。ゼップのStairway to Heavenがそうですし、たまたま目にするメタルのグループはよく湿っぽい曲をやっています。マイナーは客に受けるし、ギターでインプロヴするのも楽だからでしょうか。

で、わたしはマイナーとスロウはあまり得意ではなく、なんでロックンロール・バンドが演歌を歌うのかな、と思ったりしたわけです。ゼップの天国の階段とやらも、大嫌いです。

この時期、わたしはどのあたりを徘徊していたかというと、毎度申し上げるように、スティーヴ・ウィンウッドとマイケル・ブルームフィールドがアイドルでした。

キンクスをはじめて買ったのは1967年だったと思いますが、本格的に「人生の友」になるのは、このころからだったと思います。レイ・デイヴィスとグランド・ファンクは距離があります。なんといってもレイは言葉の人で、わたしもその傾向が強いのでして。

Heartbreakerがリリースされた1970年には、グレイトフル・デッドがWorkingman's Deadでドラスティックな変貌を遂げ、以後、わたしは、この年までほとんど休暇なしにデッドヘッドをつづけています。

また、ハイティーン特有の傾向でしょうが、ディランのカタログをほぼすべて聴き(Self Portraitまでしか出ていないのだから、楽なものだった。いまは死ぬ思いだろう!)、ジャズもすこし聴きはじめていました(すぐに興味を失うが)。

◆ ラウド&ヘヴィー・ポップ ◆◆
それで終わっていれば、こんな記事は書かずに、すみません、わたしの人生とグランド・ファンクは交叉しませんでした、と書けばいいだけです。嵐の後楽園の大騒ぎは憫笑で終わりましたが、それからしばらくたって、へえ、と思う曲に遭遇しました。

グランド・ファンク We're an American Band


イントロのドラム・リックなんかは、子どもっぽく聴こえましたが、総じてよくできたポップ・チューンといってよく、意外な才能があるのね、と感心しました。しかし、すぐにトッド・ラングレンのプロデュースとわかり、なーんだ、じゃあ、トッドの音か、でした。

いま定義するなら、これは「ラウド&ヘヴィーの味付けをしたポップ・ソング」です。のちにパワー・ポップなんていうものも出てきますが、あれよりもさらにロックバンドのニュアンスが勝っています。そこがトッドのセンスだと感じます。

トッド・ラングレン Could't I Just Tell You


アコースティック・ギターをこういう風に使う人もあまりいないでしょう。この曲に見られるように、ポップな曲にラウド&ヘヴィー味をまぶすのは、デビューのときからすでにトッド・ラングレンの特質でした。

ナズ Open My Eyes


この曲ではトッドはリード・ギターだけで、ヴォーカルは他のメンバーですが(中間部で、一瞬、トッドらしい声がリードをとるが)、トッド・ラングレンらしさがすでに濃厚にあらわれています。

ハリウッド製のウェル・メイドなポップばかり聴いていると忘れそうになりますが、イギリスのバンドを中心に、こういう傾向は60年代のひとつの大きな潮流を形作っていたわけで(キンクス、フー、スモール・フェイシーズに代表させていいだろう)、かろうじて60年代に間に合ったトッド・ラングレンは、その遺伝子を濃厚にもったまま70年代に入ったと感じます。

シンデラレ・タイムなので、ここまででひとまずアップします。

そして、このあとにロコモーションがくるわけですが、これはWe're an American Bandほど面白くは感じませんでした。なんたって伊東ゆかりの曲ですからね。ロック・バンドがやるのは、○×をちょんぎって性転換するようなものと感じました。

伊東ゆかり ロコモーション


いくらサウンドを変えたって、この音はわたしの頭で鳴っていたわけで、うへえ、そりゃねーだろー、でした。

もうひとつ、グランド・ファンクのヴァージョンはピッチが狂っていて(いろいろおかしくて、犯人を特定できないが、ベースが主犯か)、強い違和感があります。それがプロデューサーの狙いであり、ヒットしたのだから、お見事、というべきかもしれませんが、わたしには面白いはずし方には感じられませんでした。タイムに関しては狭量、ピッチに関しては太っ腹なのですが、それでもこれは許容範囲外でした。

でも、つぎにヒットした(記憶がある)曲のほうは、いかにもロックバンドらしいシングルで、好ましいものでした。

グランド・ファンク Some Kind of Wonderful


ストレートで演歌的なところがなく、フリーのAll Right Nowやディープ・パープルのSmoke on the Waterのような位置にある、ロックバンドらしいポップ・チューンだと感じます。

フリー All Right Now


眠くなってきたので、つぎの曲で終わりにし、あとは明日にでも書き足します。

わたしは不思議なことに記憶していなくて、あとからベスト盤で知ったのですが、グランド・ファンクの最後のトップ10ヒットは、人まちがいしそうなほど「らしく」ない、ひどくポップな曲でした。

グランド・ファンク Bad Time


こんなフェビアンかフランキー・アヴァロンが歌うような、大甘のポップソングでは、長年のファンはがっかりしたでしょうな。長いあいだにはいろいろなことがあり、バンドは変容し、得体の知れないものに化けて消えていくのでありました。


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B.O. Little Eva
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グランド・ファンク
We're An American Band
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グランド・ファンク
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Animalisms
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Something / Anything
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Open My Eyes: The Anthology
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三人娘(園まり・伊東ゆかり・中尾ミエ)
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グランド・ファンク
Greatest Hits (W/Dvd)
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フリー
Fire & Water (Dlx)
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by songsf4s | 2011-05-30 23:53
祝 オフィシャル・ゲーリー・チェスター・ウェブサイト誕生
 
またしてもk_guncontrolさんのコメントに対するレスを拡大して、記事にさせていただきます。主体性なしというのも、楽でいいものでしてね。

そのコメントは、つい先だっての「Dancing in the Street伝説とヒッツヴィル・スタジオの床」という記事に対するもので、バックビートの強調ないしは補強というのがポイントです。

k_guncontrolさんは、グランド・ファンクのLocomotionを例にあげていらっしゃいます。

グランド・ファンク Locomotion


もちろん、オリジナルはリトル・エヴァです。



で、こちらのヴァージョンのドラマーはゲーリー・チェスターだったはずで、そのことを確認しようと検索したら、おお、というものにぶつかりました。ついに登場、オフィシャル・ゲーリー・チェスター・サイト。

The Official Gary Chester Website

The Gary Chester Discography

彼の教則本「New Breed」に付されたディスコグラフィーそのままで、とくに補足はされていないようですが、検索できるようになったので、利便性は飛躍的に増大しました。もっとも、こんなに少ないはずはないので、これはあくまでも生前、チェスター自身が重要と考えたものをピックアップしたにすぎないと受け取ったほうがいいでしょう。

NYのエースですから、重要曲が目白押し、目移り、迷い箸ですが、強引に代表作をあげます。あえて、耳タコ曲連打。

ペット・クラーク Downtown


ペットは、50年代にもビリー・メイなどのアレンジで、ハリウッドで録音し、アメリカ進出をはかったことがあるからでしょう、60年代なかばのアメリカ市場再挑戦でも、NY録音でスタートしました。イギリスからはトニー・ハッチだけがついてきて(そしておそらくは彼自身のコンダクトで)、ベルあたりで録音したのだろうと推測します。

結局、最近は、クウィンシー・ジョーンズなんか二流、アレンジャーのクラウス・オーゲルマンが、プロデューサーごときに左右されないほど有能だから成功したのだと考えるようになったのですが、そのコンビによるレスリー・ゴアのデビュー曲にしてビルボード・チャート・トッパー。

レスリー・ゴア It's My Party


テレビ番組のモンキーズはもちろんハリウッドで制作されていましたが、ドン・カーシュナーが一枚(というか数枚、というか、数百万枚というべきか)噛んだせいで、多くの楽曲がオールドン・ミュージックのソングライターたちによって書かれ、NYから送られました。

それどころか、完パケ状態で送られてきて、あとはモンキーズの歌でデモ・ヴォーカルをオーヴァーライトすればいいようになっていたこともしばしばだったそうです。そのNY完パケ曲の代表にして、ビルボード・チャート・トッパー。

ヒア・ゼイ・カム、ザ・モンキーズ、I'm a Believer


一転して、渋いところへ。ただのアルバム・カットです。悪魔は空腹だった。

ローラ・ニーロ Gibson Street


このGibson Streetを収録したローラ・ニーロのアルバム、New York Tenderberryはリリース当時に買いましたが、Gibson Streetをはじめ、印象に残るドラミングがいくつかありました。しかし、機が熟していないというのは仕方がないというか、まだ資料のない時代だったからでもありますが、この人がレスリー・ゴアのドラマーだったとは知らないまま、チェスターの名前を忘れてしまいました。

星の数ほどあるゲーリー・チェスターのトラックのなかでも、多面的にもっとも好ましいもののひとつ、ふたたびレスリーとクラウス・オーゲルマン。

レスリー・ゴア Look of Love (original mix)


この曲はさまざまなミックスがあって困るのですが、これがいちばんドラムがよく聴こえます。わたしがもっとも好きなレスリーの曲です。

ドラミングとしては、まずイントロとヴァースのつなぎ目のフィルインがけっこうです。タムタムにいったあとで、ふつうならもう一二打、なにか入れるところですが、それを抑えて、ふっと「余り」ができているところで、耳を引っ張られます。

ブリッジ(Here I am all by myselfのところ)の入口での、オープン・ハイハットにぶつかってしまったようなフィルインも意外性がありますし、ブリッジの出口のタムタムによる力強いフィルインも好みです。この曲はタムタムがすごくいい音で録れています。

よけいなことですが、このクリップにつけられた絵は『いつも二人で』のようですね。もう何十年も見ていないので、たしかではありませんが。音楽監督はヘンリー・マンシーニでした。

つづいて、同じレスリー・ゴアのLook of Loveですが、ドラムが聴き取りにくい、スペクター風闇鍋ミックス、もとい、クリスマス・ミックス。

レスリー・ゴア Look of Love (Xmas mix)


ベア・ファミリーのボックスでこのミックスに出合ったときは驚きました。下品といえば下品ですが、ギターのストロークが前に出たおかげで、シャッフル・フィールが強くなり、その点は好ましく感じます。梅にウグイス、シャッフルにはギター・コードです。たとえばこれが典型。

ビーチボーイズ Why Do Fools Fall in Love


こちらのドラマーはハル・ブレイン。四分三連のフィルインが冴えわたるハル・ブレイン畢生のドラミングですが、それはそれとして、どなたのプレイか(勝手にキャロル・ケイさんがあのエピフォンでプレイしたと想像して楽しんでいる)、アコースティック・コードもすばらしく、これぞシャッフルという気持のいいグルーヴになっています。

わたしとしては守備範囲のちょっと外になるグランド・ファンクを聴こうということで書きはじめた記事だったのですが、いきなりゲーリー・チェスターのオフィシャル・サイトなんてものにぶつかって、思いきり脇道に入り込んでしまいました。

チェスターもまだぜんぜん終わりではないし、もちろん、グランド・ファンクは入口を書いただけ、次回以降、どちらもつづけます。ひょっとしたら、またゴチャゴチャになるかもしれませんが。

ということで、グランド・ファンク一件はもう少々お時間をください>k_guncontrolさん。


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グランド・ファンク・レイルロード
Shinin on
Shinin on


リトル・エヴァ
B.O. Little Eva
B.O. Little Eva


レスリー・ゴア
Essential Collection
Essential Collection


レスリー・ゴア box(ベア・ファミリー)
It's My Party
It's My Party
(相変わらず値段が下がらないが、後悔しなかったボックスのひとつ。充実している。)


ペトゥラ・クラーク
Essential
Essential


モンキーズ
ファイヴ・オリジナル・アルバムズ(完全生産限定盤)
ファイヴ・オリジナル・アルバムズ(完全生産限定盤)
(5枚もいらないというご意見もありましょうが、このシリーズはすばらしい。ライノのマスタリングなのに廉価版なのです。)


ローラ・ニーロ
New York Tendaberry (Exp)
New York Tendaberry (Exp)


ビーチボーイズ
Surfer Girl / Shut Down 2
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by songsf4s | 2011-05-29 23:02 | ドラマー特集
宵待草、ラテンでやるせなさも中ぐらい哉──またもエキゾティカ・ジャポネ
 
いつもかわりばえのしない書き出しで恐縮ですが、散歩ブログを更新しました。

「コアラのサービス・ショットとウォンバットのスキル──金沢動物園オセアニア区」

◆ けっこうやるせないヴァージョン ◆◆
今日はヴァン・モリソンを聴いていたのですが、そのことはまた後日書かせていただくことにして、ここでは、「宵待ち草のやるせなさ、といって、俺のことではなし」という記事でチラッとふれたまま、宙ぶらりんになってしまった話を終わらせます。

竹久夢二作詞、西條八十補詞、多忠亮(おおの・ただすけ、大変な家系だが、その話は長くなるのでべつの機会に)作曲のこの「宵待草」のもっとも有名なヴァージョンは、たぶん昭和13年に映画化された際に、主演女優によって歌われたものでしょう。

高峰三枝子 宵待草


こんなヴァージョンもありました。

李香蘭 宵待草


リーガル・ジャズ・バンド 宵待草


リーガル・ジャズ・バンドというのは、リーガル・レーベルのハウス・バンドという意味でしょう。実体はフリーランスのプレイヤーかもしれませんが、戦前の日本のそういう方面については知識がありません。

◆ それほどやるせなくもないヴァージョン ◆◆
ここまではノーマルな、「宵待草」という曲の、いわば「表の顔」でした。当然ながら、当家の場合、主役は、そういうものとは異なる、王道を行かない変なヴァージョンです。

先日、「ここに幸あり、どこにあり──再びポール・マークのエキゾティカ・ジャポネ」という記事で、「会津磐梯山」をご紹介した、オール・スター・オーケストラのヴァージョンがあるのです。

サンプル All-Star Orchestra "Yoimachi-Guza (bolero)"

ピアノとパーカッションの使い方が好ましいアレンジで、ほう、と思いました。どういうわけか、このアルバム「A Far East Fantasy」(いやはや、なんとも胡散臭いタイトル)には、二種類の「宵待草」が収録されています。

サンプル All-Star Orchestra "Yoimachi-Guza Variation (Cugat Style)"

「クガート・スタイル」と注記が入っていますが、銅鑼の鳴るイントロは、由緒正しい「エキゾティカ・ジャポネ」です。いや、こんなものに由緒もなにもあるわけではござんせんが!

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オール・スター・オーケストラについては、さっぱりわかりませんでした。国籍すら不明なので、日本製スタジオ・プロジェクトの可能性もあります。ステレオなので、50年代末以降のものでしょう。どなたかご存知の方がいらしたらご教示を願います。

デザインや編集をなさる方はご存知でしょうが、このオール・スター・オーケストラのアルバムに使われているフォントは、Japanという名で呼ばれることがあります。ついでなので、フォント関係のサイトをいくつかあげておきます。

Japanフォントセット

日本語フォント・セット

フリー・フォント「Karate」「Shanghai」ほか

Karate dingbat

フォントの世界にも、けっこうエキゾティカ・ジャポネがあるのだな、と感心してしまったのでした。


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高峰三枝子
高峰三枝子/湖畔の宿
高峰三枝子/湖畔の宿


李香蘭
決定盤 李香蘭(山口淑子)大全集
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by songsf4s | 2011-05-28 23:49 | Exotica
Dancing in the Street伝説とヒッツヴィル・スタジオの床
 
散歩ブログを更新しました。本日の外題は、

「所詮、高嶺の花──金沢自然公園・動物園のホオノキとユリノキ」

です。いつまでも10の20のというお客さんの数なのも気がきかないので、せめて当家の十分の一ぐらいで安定させたい、それにはコンスタントな更新あるのみと思い、このところ、あちらに力を入れています。

◆ 床が問題なのか ◆◆
マメなところもないわけではないのですが、かなり無精でもあって、訂正しなければいけないと思いつつ、ほったらかしにしてあることも多く、また、『狂った果実』のように、訂正したのに、元記事に、訂正記事へのリンクを張るのが面倒で、そちらだけ読んだ方に、間違いを指摘されたこともあります。

先日、「Cast Your Fate to the Wind その2 by Billy Strange & the Challengers」という記事に対し、 k_guncontrolさんからコメントをいただきました。

マーサ&ザ・ヴァンデラーズのDancing in the Streetでは、バックビートの補強に、自転車のチェーンでスタジオの床を叩いた、という説を書いたことに対し、それはないだろうというご意見で、「Songfacts」のDancing in the Streetのページを参考としてあげられていました。

マーサ&ザ・ヴァンデラーズ Dancing in the Street


なにを調べていたときか、わたしもこのSongfactsのページに行き当たり、チェーンを使ったという伝説を否定するコメントが寄せられているのを読み、どこかにそのことを書いたつもりでいました。ところが、当家の記事ではなく、ツイッターに書いただけらしいのです。

さらにところが、Twilogまで登録して、過去のツイートを調べたのですが、そちらにも見当たりませんでした。ぼんやりと思いだしたのは、一度ツイートしたけれど、なにか間違いを見つけて、いったん削除し、修正したものをツイートしようとしたけれど、なにか邪魔が入って、面倒になり、そのままにしてしまったようです。

Songfactsのコメントのポイントは、チェーンでコンクリートの床を叩いたというが、デトロイトのヒッツヴィル・スタジオの床は、コンクリートではなく、マホガニーである、という点です。

さらにその投稿は、「The sound was dubbed in after the initial recording and is a tire iron hitting an anvil.」といっています。tire ironというのは、タイアをはずすのに使うレンチのようです。

これに対し、k_guncontrolさんは、「こちらのほうがやや信憑性がありそうな気もしますが、何もそんな特殊な工具で叩かなくとも、普通に金槌で叩くほうが簡単じゃないのか、という気もするのですが。ノーマルなスネアの上にピッコロスネアを重ねる、などという普通そうな発想ではダメなのでしょうか。」

とおっしゃっています。

以前、「ローラ・ニーロのR&Bカヴァーとオリジナル 3の後編 Dancing in the Street」という記事に、ヴァンデラーズ・ヴァージョンのカラオケをつけたのですが、近ごろ、divshareは不調で、わたしの環境では音が割れるため、今回、box.netにアップしなおしました。

サンプル "Dancing in the Street" (track only)

それほど高音質ではありませんが、ヴォーカルがないので、バックビートがよくわかります。

この曲について、キャロル・ケイさんに質問したことがあります。以前、Add More Musicに載せた「モータウン・ミステリー」という記事に書いたことですが、彼女は、たしかにこの曲を録音した記憶がある、でも、自分の記憶にあるものと、盤になっているものはずいぶん異なっている、とおっしゃっていました。

ここからひとつの推測ができます。ベーシックはハリウッドで録音され、そのセッションで彼女はなにか(ダノの可能性がある)をプレイした、その後、どこかはわからないが、彼女が呼ばれなかったセッションで、さまざまなオーヴァーダブが施された、という推測です。

おっと。シンデレラ・タイムなので、ひとまず、ここまででアップし、残りは順次追加することにします。

Songfactsへの投稿はマホガニーの床をチェーンで叩いたというのは論理的にいってありえない、じっさいには鉄床をレンチのようなもので叩いた、といっていますが、k_guncontrolさんは、これもすんなり腑に落ちるわけでもない、という立場をとっています。わたしも、鉄床説だって、チェーン説といい勝負だと考えます。

まず第一に、この投稿は、ヒッツヴィルの床がマホガニーである、ということを、チェーン説否定の根拠にしていますが、ここからして、そんなことはなんの説明にもなっていないと感じます。

なぜならば、いつも申し上げているように、モータウンの曲の多くは、デトロイトのヒッツヴィル・スタジオではなく、TTGをはじめとするハリウッドのスタジオでバッキング・トラックが録音され、そのテープがデトロイトに運ばれて、ヴォーカル・オーヴァーダビングがおこなわれたからです。

ヒッツヴィルの床がマホガニーだろうが、コンクリートだろうが、グラス・ウールだろうが、鋼鉄だろうが、綿菓子だろうが、そんなことはなんの説明にもなりはしないのです。モータウン=デトロイトというドグマはそろそろ忘れるべきです。

といって、わたしの手元に、Dancing in the Streetで、スネアのバックビートにかぶせられている音はなにかという他の信頼に足る説明があるわけではありません。

他人のいうことを読まずに、音を聴いただけでなにか書くとしたら、単純に、タンバリンというでしょう。いや、手にもって、手で叩くわけではなく、ハイハットに取り付けるタイプのものを、スティックで叩き、かなり深くリヴァーブをかけて録音した、といったあたりです。

スネアの2&4にタンバリンを重ねた例としてすぐに思い浮かぶのは、バーバラ・ルイスのMake Me Your Baby。ドラムはゲーリー・チェスター。



なにか書き忘れがあるようにも思うのですが、そろそろなにを書いているのかわからなくなる時刻なので、このうえミスの上塗りをする前に退散します。


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マーサ&ザ・ヴァンデラーズ CD
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Dance Party [12 inch Analog]
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バーバラ・ルイス
Best of-Hello Stranger
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by songsf4s | 2011-05-27 23:52
散歩ブログ更新のお知らせ+now listening: Hal Blaine
 
散歩ブログを更新しました。本日の外題は、

レアなダーウィン・レアとアゲハチョウのメイティング──金沢自然公園と動物園

当家のほうにお知らせは書きませんでしたが、散歩ブログのほうは昨日も更新しています。

ツバメの夜更し九時四十四分

まだ話は終わっていませんが、とりあえずここまででアップ。

今日の夕食後は、ビート欠乏症の兆候を感じ、ハル・ブレインを補給していました。たとえば、

ハル・ブレイン Topsy 65


あるいはこれとか。

カーペンターズ We've Only Just Began


絵はカレン・カーペンターですが、もちろん音はハル・ブレイン。この前年に導入されたと思われる、オクトプラス・セットのコンサート・タムが派手な音を立てています。回想記で、ハルはバラッドでのプレイが好きだといい、とくにこの曲をフェイヴァリットにあげていました。わたしも年をとったので、ドラマーが自分の代表作にバラッドでのプレイをあげる気持がわかるようになってきました。

このアルバムもハル・ブレインの代表作でしょう。エルヴィス・プレスリーComeback Specialより、Jailhouse Rock



しかし、エルヴィスとハルという組み合わせでは、やはりこの曲がベストかもしれません。映画『スピードウェイ』より、そのテーマ曲。



エルヴィスが派手だって? 派手っていうのはどういうもののことか、俺が教えてやろうじゃないか、といった感じのプレイですな。

ただし、映画では変なものがオーヴァーダブされ、ハルのすさまじいプレイはミックスト・アウトされています。すごすぎて、エルヴィスのヴォーカルがかすんじゃったのがまずかったのでしょう。この曲に関する限り、エルヴィスはハル・ブレインの引き立て役、脇役にすぎません。

弁慶と小町は馬鹿だなあと義経いい、てなもんで、こういうビートを聴いていると、クラシックやジャズしか聴かない人たちは、よく退屈もせずに生きているものだ、と思います。こういうものがあるかぎり、わたしはもっとずっと爺になっても、やっぱりロックンロール・ドラミングを聴きつづけているでしょう。

しかし、ひよこジジイも、一人前のジジイのように早寝なので、これにて今夜は店仕舞い。


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ハル・ブレイン
ドラムス!ドラムス!ア・ゴー・ゴー
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カーペンターズ
Close to You
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カーペンターズ
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by songsf4s | 2011-05-26 23:59
更新のお知らせをしながらバターフィールド・ブルーズ・バンドを聴く
 
散歩ブログを更新しました。本日の外題は、

「ブルー・レディーに紅い薔薇」

ではなく、

「ボードウォークに紅い薔薇──横須賀ヴェルニー公園のバラ」

です。

タイトルをいただいた元歌はこれ。

ウェイン・ニュートン Red Roses for a Blue Lady


ウェイン・ニュートンはほとんどハリウッド録音なので、なにやら聞き覚えのあるサウンドです。

しかし、今日、何度か聴いたのは、かなり系統のちがう曲です。

サンプル The Paul Butterfield Blues Band "One More Heartache"

これはマイケル・ブルームフィールドが抜けた直後で、ホーン・セクションを導入して、セカンドまでとはまったく異なるサウンドになったPBBBの三枚目のアルバム、The Resurrection of Pigboy Crabshawのオープナーです。

One More Heartacheのオリジナルはマーヴィン・ゲイです。



とりあえずここまででアップし、残りは後刻ということに。

バターフィールドはスタジオ録音をするだいぶ前からこの曲をレパートリーにしていたことが、ブートレグに収録されたいくつかのヴァージョンでわかります。まだマイケル・ブルームフィールドがいて、ホーン・セクションがなかった時期のヴァージョン。

ポール・バターフィールド・ブルーズ・バンド One More Heartache (live)


とはいえ、ブートやユーチューブのクリップを聴くかぎり、ライヴにはあまりいいものがなく、この曲の彼らのベスト・テイクは依然として、上掲のスタジオ録音です。

いま振り返ると、PBBBはつねにブルーズの枠組からはみ出そうなところがあり、それが子供には面白く感じられたし、いまだに聴いているのも、ひとつにはその多様性のせいだろうと思います。典型的な非ブルーズは、彼らの代表作でもあるこの曲。

ポール・バターフィールド・ブルーズ・バンド East-West


すごく長い曲なので適当に切り上げてください。3コードのブルーズではなく、コード・チェンジなしの、モーダルな曲です。「ラーガ・ロック」なんて言葉がありましたが、そのたぐいです。

ライノのOriginal Album Seriesという、安価な5枚組CDボックスのおかげで、またしてもひとりでPBBBブームになっているので、近々、またべつの曲を取り上げることにして、本日はここまで。


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バターフィールド・ブルーズ・バンド 5CD box
The Paul Butterfield Blues Band (Original Album Series)
The Paul Butterfield Blues Band (Original Album Series)


マーヴィン・ゲイ(2CDベスト盤)
The Best of Marvin Gaye (Motown Anthology Series)
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by songsf4s | 2011-05-24 23:28
Remembering Tommy Tedesco 2: Out of Limits (The Marketts)
 
本題の前に、例によって、お知らせです。散歩ブログを更新しました。外題は、

「ツバメの電線音頭」

です。前回は、こちらとツイッターの両方に更新情報を書いたら、本来は閑散たるはずのわが散歩ブログとしては前代未聞の多数のお客さんがいらしたので、今回はツイッターはなし、こちらだけにしました。プレッシャーがかかるのは当家だけで十分、あちらはまだしばらく、気ままにやりたいと思っています。

◆ 二の枕: 長門裕之 ◆◆
すでにご存知のように、長門裕之没だそうです。かつて日活で活躍した俳優ではありますが、当家で取り上げた映画で、長門裕之が出演したのはたった一本、『狂った果実』だけです。

いちおう、リンクを張っておきましたが、ご覧になるほどのことは書いていません。なにしろ、この映画の長門裕之はあくまでもカメオ・アピアランス、『太陽の季節』と出演者やスタッフが重なるからという理由と、映画初出演の弟・津川雅彦への激励という意味で登場しただけでしょう。

もうひとりの出演者の兄・石原慎太郎といっしょに、不良学生として登場し、石原裕次郎たちと浜辺でもめて、あっさりのされてしまいます。あちらの記事を開くのも面倒だという方のために、その部分をコピーしておきます。写真とそのキャプションでしか言及していないのです。

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カメオ・アピアランスと特別出演は、『太陽の季節』に主演した(というより津川雅彦の兄としてか)長門裕之と、裕次郎の兄で、この映画の原作、脚本を書いた東京都知事。海岸の遊園地で岡田真澄にからんだばかりに、裕次郎たちとゴロをまくハメになり、二人ともあっさり片づけられてしまう。痛そうかつ悔しそうな顔の都知事は、素人にしては演技派!

以上、ペースト終わり。

◆ プレイヤー、トム・テデスコ ◆◆
今日もトミー・テデスコについて少々。

まず、ウェブ上でもっともたくさんトミー・テデスコのトラックが聴ける、オオノさんのブログへのリンクを。右のサイド・バーにあるリンクと同じものですが。

オオノさんのブログ

オオノさんのブログのトミー・テデスコ・タグ

このタグで引っかかるページにおかれたサンプルを聴けば、トミーのプレイの概要は簡単にわかります。わたしの記事ではまだるっこしいという方は、直接、オオノさんのサンプルをお聴きになってください。

先日、ご紹介したAdd More Musicの「レア・インスト」および「50ギターズ」、さらに上記のオオノさんのブログを合わせると、相当なトラック数になるので、トミーの紹介はそれで十分かもしれません。でもまあ、わたしなりに、好きなトラックもあれば、ちょっと書きたいこともあるので、いろいろダブりはありますが、しばらくは、Remembering Tommy Tedescoシリーズをつづけようと思います。

とりあえず一曲、オオノさんがユーチューブにアップされたものを。

トミー・テデスコ Dee Dee's Dilemma


オオノさんがクリップに注記されていますが、これはトミー・テデスコとピート・ジョリー・トリオの共演です。わたしはピアノを聴かない人間ですが、ピート・ジョリーとリオン・ラッセルは例外で、ピアノ単体でも面白いと感じます。

ピート・ジョリー・トリオのベースはチャック・バーグホーファーで、この人もまたジョリー同様、ハリウッドのスタジオでセッション・プレイヤーとして活躍しました。二人ともクリス・モンテイズ・セッションの常連でした。

また、バーグホーファーはハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスのメイン・ベース・プレイヤーでもあったそうで、二人ともA&Mレコードとのつながりが強かったことになります。ピート・ジョリー、チャック・バーグホーファー、ともにタイムがいいのでスタジオ・ワークの適性がありました。

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写真上 右からピート・ジョリー、ひとりおいてハル・ブレイン、ジェリー・マリガン。写真下 チャック・バーグホーファー(中央)

ドラムのニコラス・マーティニスというプレイヤーは、ピート・ジョリーの盤でしか見た記憶がありませんが、マックス・ローチやグレイディー・テイトのような、ひどいタイムではなく、安定しています。タイムのいい人は、概してタイムの悪いプレイヤーを嫌うものなので、ピート・ジョリーとチャック・バーグホーファーのいるところには、やはりそれにふさわしいドラマーがやってきたのでしょう。

トミー・テデスコは、このトラックでは当然、L5あたりのギブソン・ジャズ・ギターを使っていると思われます。テレキャスターのときとはちがって、ギブソンをもったときのトミー・テデスコはまじめに弾きます。

このGuitars of Tom Tedescoというアルバムは、企画者側の考え(すなわちセールス重視)と、トミーの考えが入り混じったような選曲に見えますが、この曲はトミーの考えで選ばれたのではないでしょうか。

◆ 雇われガンマン、トミー・テデスコ ◆◆
トミー・テデスコは、自伝のなかで、「マーケッツのギタリスト」などとは呼ばれたくないと明言しています。嫌がらせをするわけではないのですが、実物を聴くと、トミーのコメントの意味がより明確になるので、おひとつどうぞ。

マーケッツ Out of Limits


こちらはテレキャスターでしょう。バーニー・ケッセルやハワード・ロバーツなど、ジャズ・プレイヤーがセッション・ワークにしばしばテレキャスターを使っているのを不思議に思ったことがあります。ケッセルがいっていたのだと思いますが、その理由は、軽くて持ち運びが楽だからだそうです!

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フェンダー・テレキャスターとバーニー・ケッセル

トミーがなぜマーケッツでのプレイを嫌ったかは、たちどころにおわかりでしょう。ギター・プレイヤー、などと胸を張れるような仕事はしていません。アレンジャー(このアルバムはギタリストでもあるレイ・ポールマンが譜面を書いたのだろう)に指定されたとおりに弾いているだけです。彼は読譜と運指とピッキングの技術を提供したのであって、音楽的な意味では貢献していません。

このあたりはひとそれぞれですが、トミーは傍観者的タイプだったのだと思います。要求されたことはなんでもする(あるいは「できる」)かわりに、要求されないことはまったくしないタイプだと考えています。

しかし、できあがったアルバムをトータルで見れば、プロデューサーのジョー・サラシーノの意図したとおりになったのだと感じます。ハル・ブレインが叩きまくっていることや、管のアレンジやレズリー・ギターの効果的な使用などのおかげで、なかなか楽しめるものになっています。

もう一曲いこうと思い、ユーチューブを検索したら、インチキな再録音ヴァージョン(そんなものがつくられるほど売れているのか?)が転がり出てしまったので、正しいヴァージョンを自分でアップしました。同じく、アルバムOut of Limits収録のトラックです。

サンプル The Marketts "Twilight City"

イントロでハル・ブレインがBe My Babyビートを使っているのが笑えます。セッションによってメンバーはちがいますが、アップライト・ベース=ジミー・ボンド、ピアノ=リオン・ラッセル、パーカッション=アール・パーマー、ギター=トミー・テデスコおよびレイ・ポールマン(および不明のギタリスト)、ダンエレクトロ6弦ベース=ビル・ピットマンといった編成の写真がCDには収録されています。

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このTwilight Cityは、上記パーソネルに近いと感じます。ギターは4本、テレキャスター、レズリー・ギター、アコースティック(ないしはアンプラグドしたフルアコースティック・ジャズ・ギター)、ダンエレクトロ(AFMのコントラクト・シートでは、ベースではなく、ギターと記載される習慣だった。つまり、ベースではなく、1オクターヴ低くチューニングするギターとみなされたので、パーソネルを読むときには注意が必要)=ビル・ピットマンでしょう。

トミーはこの曲でも、譜面に書かれたラインを弾いただけに聴こえます。ポップの世界はジャズやクラシックと違うので、自己主張をするのはプロデューサーひとりだけで十分なケースがしばしばあります。この盤はジョー・サラシーノのものであり、プレイヤーはみな雇われガンマンにすぎません。ハル・ブレインがやりたい放題に叩いているのは、たんに結果というか、サラシーノがそう望んだからにすぎないのだと想像します。

あと二曲用意してあったのですが、長門裕之関連記事のことを書き足したので、今日はここまでで切り上げます。


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マーケッツ
Out of Limits
Out of Limits
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by songsf4s | 2011-05-22 18:04 | Guitar Instro
更新のお知らせとトミー・テデスコ少々
 
(5月22日追記: サンプルHeartacheのリンクを修正しました。こちらを聴こうとして、Moonglowにたどり着いてしまった方には、お詫びを申し上げます。今度はちゃんとHeartacheにつながります。楽しいトラックなので、ぜひ御一聴を。)

 
昨夜、散歩ブログを更新しました。今回の外題はなんのひねりもなく、名を体をあらわす、そのままで、

鎌倉・腰越の写真館

としました。眠くて、シャレも出なかっただけですが。昭和戦前のモダニズム建築、商店建築のお好きな方はぜひどうぞ。ツイッターで、鎌倉在住の方に「穴場」といわれましたが、あと数十メートルで藤沢という場所なので、鎌倉観光のスポットには勘定されないでしょう。でも、わたしは腰越の通りが好きです。江ノ電撮影ポイントですし。

てなことだけで終わりにできない悪い癖、ちょっとサンプルをアップしました。

サンプル Tommy Tedesco "Moonglow"

サンプル Tommy Tedesco "Heartaches"

どちらも、先日ご紹介した12 Twangin Great Hitsに収録されたもので(好き放題に切り取って再利用させていただき、相すみませぬ>キムラセンセ)、やはり管といっしょにテーマを弾くところにおおいなる魅力があります。

この組み合わせ、なさそうで、やっぱりほとんどないのです。ブルースのほうであったような記憶がありますが、あっちの人たちは、きっちりアレンジにしたがってプレイしたりはしないので、この盤のような気持のいいものは、まあ、原理的にないだろうと思います。こんな風にきっちりやったらブルースじゃなくなってしまいますから。

で、トミー・テデスコという人が読譜の第一人者、初見、ワン・テイクでOKという人だから、ホーンとのアンサンブルがきれいで、じつに気持がいいのです。純粋にトミーのプレイを楽しむならほかの盤のほうがいいでしょうが、この盤にはアンサンブルの楽しみがあるのです。

このアルバムは、全体をAdd More Musicの「レア・インスト」ページで聴くことができるので、サンプルがお好みに合えば、右のサイド・バーにあるAMMへのリンクをご利用になって、あちらをご訪問されてみるといいでしょう。

本日五月二十一日もまた、昨日同様、鎌倉のあたりを跋渉するので(昨日はウォーキング、今日はトレッキングというニュアンス)、たぶん当家の更新はできません。できるとしても、散歩ブログのほうでしょう。週末なので、できれば、当家のほうは明日の日曜、いつもとは異なり、昼間に更新したいと思っています。

それでは、よい週末を。
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by songsf4s | 2011-05-21 09:29 | Guitar Instro
ここに幸あり、どこにあり──再びポール・マークのエキゾティカ・ジャポネ
 
前回、つぎはトミー・テデスコの続きをやるようなことを書きましたが、例によって気が変わり、今回はエキゾティカ・シリーズの続きをやります。

『紳士は金髪がお好き』も途中になっているし、いろいろなものが宙ぶらりんですが、だいたい、フィクションとちがって、現実世界は万事つねに宙ぶらりんなものだから、しかたがないのです(と居直る)。どのほつれ糸も、思い出したように結びなおすときがあるかもしれません。

◆ エキゾティカの灰色領域 ◆◆
先週、「To Ryan Seとは俺のことかと「通りゃんせ」いい──ポール・マークのエキゾティカ・ジャポネ」という記事を書き、ポール・マークのアルバム、East to Westに収録されたAizu Ban Dai San、すなわち、「会津磐梯山」をサンプルにしました。

今日、box.netアカウントをチェックしたら、この曲にアクセスが集まっていて、驚きました。さんざん調べてもキャリアがさっぱりわからないぐらいなので、ポール・マークという名前で聴かれているとは思えません。なにかべつの理由によるのでしょう。

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会津だから聴かれているだけで、それ以上の意味はないのかも知れず、だとしたら、ほかの曲をアップしても意味はないでしょうが、会津磐梯山をお聴きになった方の半分ぐらいは関心をもたれるかもしれないので、同じアルバムEast to Westから、もう一曲どうぞ。

サンプル Paul Mark "Kokoni Sachiari" (ここに幸あり)

とくにアレンジがすぐれているとか、興味深いということではなく、楽曲として好きだという理由で選びました。こういうオルガンのサウンドは、すぐに陳腐化するのですが、この時点では、まだ新鮮だったのだろうと想像します。

オリジナルの映画ヴァージョンかどうかは不明ですが、ユーチューブにあったものでは最古と思われるものを貼り付けておきます。

大津美子 ここに幸あり


この曲を主題歌とした同題の松竹映画は昭和31年の封切だそうです。いかにもあの時代を感じさせる音で、イントロを聴いていると、小津映画がはじまりそうな気分になってきます。

「ここに幸あり」は、海外の日本人、ないしは日系人のあいだで人気があったのか、ほかにもアメリカ種の録音があります。

サンプル Spanky Iwamoto "Koko ni Sachi Ari"

スパンキー・イワモトというシンガーについてはまったく知識がないのですが、ハワイの日系二世なのでしょう。このあと、70年代にハワイでは英語詞による「ここに幸あり」がヒットし(Here Is My Happinessという英訳題はそのときのものか)、そのせいもあって、いまでも人気のある曲だそうです。

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アメリカ人が日本の曲をプレイするのは、エキゾティカといって差し支えないと思うのですが、ハワイ生まれとはいえ、日本人がカヴァーするのは、どういったものかな、と戸惑います。まあ、考えはじめるとよくわからなくなるところが、エキゾティカとその周辺音楽を追求する楽しみのだいじな一部なのですが。

さて、時間切れになりつつあるので、あれこれゴタクを並べずに、もう一曲、サンプルを貼り付けようと思います。先日、ポール・マーク盤をご紹介したAizu Ban Dai Sanの、またべつのアメリカ産カヴァーです。

サンプル All-Star Orchestra "Aizu Ban Dai San"

ポール・マーク同様、こちらもバイオを発見できませんでした。ルンバと注記が入っているように、ストレートなラテン・アレンジで、なにやら、妙にしっくり感じます。こういうセンスは、わたしが子供のころの日本の音楽には偏在していました。小林旭の民謡などは、その時代の気分のあらわれでしょう。

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このオール・スター・オーケストラのヴァージョンが、日本のラテン音楽ブームを意識していたとは考えられず、やはり、これは同時代的な「気分」の結果と考えるべきでしょう。アメリカが経験したラテン・ブームを、日本が追いかけたのであり、その結果、たとえば、日活映画のナイトクラブのシーンでは、かならずラテンが流れるパターンができあがったのです。

今日も予定した曲の半分しかご紹介できず、この項も『紳士は金髪がお好き』や「Remembering Tommy Tedesco」同様、さらに延長させていただきます。といっても、次回はどの続きをやるか、まだわかりません。


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ポール・マーク&ヒズ・オーケストラ(MP3)
East To West
East To West


クラブ二世オーケストラ(スパンキー・イワモトの「ここに幸あり」を収録)
Club Nisei
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by songsf4s | 2011-05-19 23:59 | Exotica