カテゴリ:ブリティシュ・インヴェイジョン( 28 )
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇9 1963年の9
 
マーク・ルーイソンのThe Beatles Complete Recording Sessionsには、序文がわりにポール・マッカートニー・インタヴューが収録されている。

そのなかで、まだライヴ・バンドだったころ、将来をどう考えていたかという質問に、ポールは、レコーディング・アーティストになることが目標だったと答え、さらにこう云っている。

It was the currency of music: records. That's where we got our repertoire from, the B-sides, the 'Shot Of Rhythm And Blues', the lesser known stuff that we helped bring to the fore, the R&B stuff.

細かいことはどうでもよくて、「たとえばShot Of Rhythm And Bluesのように、われわれはB面からレパートリーを見つけた」と云っていることと、lesser known stuff、あまり知られていない曲、と云っていることが目を惹く。

なぜB面なのかということを、ポールは説明していないが、それは了解事項だからだろう。A面またはヒット曲をカヴァーするのは垢抜けないことだったからに決まっている。

わたしだって、中学の時ですら、B面やアルバム・トラックをやろうという意識はあったくらいで、すでにヒットした曲をカヴァーするのは野暮、というのは、バンドをやった人間の多くが思っていたことだ。

むろん、ヒットしたばかりの曲は、聴き手の誰にでもすぐ了解できるので、そういう曲もやるべきであり、レパートリーは単純な構成にはならないのだが、しかし、B面曲、アルバム・トラック、lesser known stuffはつねにヒット曲以上の価値があった。

サーチャーズも当然、ポール・マッカートニーと(そして、しいて云うなら、我々日本の子供とも)同じ感覚を共有していたに違いない。

プレイする人間というのは、多くの場合、ヴェテランのリスナー、根性の入ったリスナーである。ふつうの音楽ファンより深く音楽に入り込んだ結果として、自分でもやってみようと思い立つ。

だから、当然、ふつうのリスナーが知らないような曲をやるのは、プライドの問題として、きわめて大事なことだった。

◆ Hey Joe ◆◆
Hey Joeといったって、ジミ・ヘンドリクスが有名にした、ビリー・ロバーツの曲ではない。ケイデンス時代のエヴァリー・ブラザーズの「座付き作者」同然だったブードロー・ブライアント作で、オリジナルは1953年のカール・スミス盤らしい。

サーチャーズ盤のクリップはないので、サンプルにした。イントロがWhat'd I Sayそっくりだが、ちゃんとHey Joeになるので、ご心配なく!

サンプル The Searchers - Hey Joe

Carl Smith - Hey, Joe!


カール・スミス盤は大ヒットしたそうだが、どうもピンとこない曲で、じゃあ、歌詞かな、と思うのだが、これが面白いかなあ、昔は面白く感じたのか、という微妙な話だ。

ジョーという友だちに向かって、その娘はすごいな、どうだ、俺に譲らないか、とかなんとかいう品のない歌詞で、その品のなさがウケたのか、なんだったのか。

カール・スミス盤がアメリカでヒットしたのと同じ1953年に、イギリスではつぎのヴァージョンが大ヒットしたのだそうな。

Frankie Laine - Hey Joe


こちらのほうが、きちんとアレンジされていて(プロデューサーのミッチ・ミラーのアレンジか)、華やかな雰囲気があり、まだしも納得のいく「ヒット曲」である。ペダル・スティールの間奏も魅力的だし、バッキング・コーラスも、おお、いいな、と思う一瞬がある。

たんなる状況からの判断だが、サーチャーズは、オリジナルのカール・スミス盤ではなく、フランキー・レイン盤か、またはいまでは忘れられてしまったイギリスのローカル盤を元にしたのではないかと想像する。

◆ Always It's You ◆◆
もう一曲つづけて、ブードロー・ブライアントの曲で、こちらはHey Joeより新しく、オリジナルはエヴァリー・ブラザーズ。

サーチャーズ盤は、一応クリップはあるのだが、エンベッド不可なので、サンプルにした。

サンプル The Searchers - Always It's You

The Everly Brothers - Always It's You


この曲についてはややこしいことも、紆余曲折もなく、うちのHDDを検索しても、エヴァリーズ盤が数種類と、サーチャーズ盤しか出てこない。

エヴァリーズのオリジナルは、WB移籍後2枚目のアルバム、A Date with The Everly Brothersに収録されたもので、シングル・カットはされていない。WB移籍後にしては、作者もケイデンス時代と同じブライアント夫妻、サウンドもケイデンス時代のようにシンプルで、WBのアルバムのなかではちょっと据わりが悪い。アウトテイクを利用したのか?

◆ Hully Gully ◆◆
ほとんどがオブスキュアな曲で、タイトルを見ても、オリジナルがそらで出てきたりしないアルバムなので、昔からよく知っている曲が出てくると、ホッとする。

作者はフレッド・スミスとクリフ・ゴールドスミスで、オリンピックスを共同プロデュースしていたといった程度のことしか判明しなかった。後者はLAのワッツの生まれとあるから黒人だろう。のちにジョニー・テイラーをプロデュースしたこともあるとか。

オリジナルを歌ったのはスミス=ゴールドスミスのコンビがプロデュースしていたLAのオリンピックス。ヤング・ラスカルズのビルボード・チャート・トッパー、Good Lovin'のオリジナルを歌ったのも彼らだ。

The Searchers - Hully Gully (live)


The Olympics - Hully Gully


オリンピックスのオリジナルはたいしたヒットではなく、ホット100の下の方に潜り込んだ程度。それでもハリーガリーというダンスステップは流行し、多くのカヴァーが生まれた。

したがって、オリンピックスのHully GullyとサーチャーズのHully Gullyのあいだには多くのヴァージョンがあり、出自がはっきりしているわりには、考えどころには事欠かない。しかも、サーチャーズないしはイギリスのビート・グループが聴いていたであろうシンガーやグループが多い。

まずは前回も登場したこのスタジオ・グループ。

The Hollywood Argyles - Hully Gully


ハリウッド・アーガイルズと関係の深かったスキップ&フリップ(前者はのちにバーズでベースをプレイするスキップ・バッティン)のヴァージョンもあるが、クリップがないので飛ばし、つぎはトゥイストで売れに売れたこの人。

Chubby Checker - The Hully Gully


気になるのは、サーチャーズのライヴと同時期に、やはりハンブルクのスター・クラブで録音された、イギリスのグループ、クリフ・ベネット&ザ・レベル・ラウザーズのカヴァー。

Cliff Bennett & the Rebel Rousers


クリップは間違ってビートルズとクレジットしている。ビートルズのブートに収録されたかららしいが、これを聴いて、ビートルズじゃないとすぐにわからないのも、いわゆるひとつの才能かもしれない!

こういうライヴ向けの曲は、誰かが取り上げると、あっという間に他のバンドもレパートリーにしていくもので、イギリスのバンドでどこが最初にやったか、もはやなんとも言い難い。

イギリスで誰が最初にやったにせよ、まったくの山勘だが、ハリウッド・アーガイルズのヴァージョンが参照されたのではないか、と思う。

サーチャーズのこととは関係ないが、この曲がその後も聴かれたのは、つぎのカヴァーのおかげのような気がする。ボンゴはハル・ブレイン(ボンゴをやってもすごい!)、ベースはジョー・オズボーン。

The Beach Boys - Hully Gully


ドラムレスなのに、ざまざまなヴァージョンのなかでこれがもっともソリッドなビートで、なんだかなあ、と溜息が出る。

◆ What'd I Say ◆◆
なにも考えずにすむ曲は嬉しい。作者はレイ・チャールズ、オリジナルを歌ったのももちろん作者自身。わたしが子供のころは、しじゅうラジオから流れてきた。

サーチャーズのクリップは、63年のスター・クラブでのものはなかったので、別のもので代用した。

The Searchers - What'd I Say


Ray Charles - What'd I Say


山ほどカヴァーがあり、サーチャーズと同時代のブリティッシュ・ビート・グループに限っても、ビートルズ、ジェリー&ザ・ペースメイカーズ、ビッグ・スリーのヴァージョンがある。

あれこれ聴きはじめると話は長々しくなるだけなので、ひょっとしたら、イギリスの子供たちはこのヴァージョンではじめてこの曲を聴いたのかもしれない、というものだけを。

Cliff Richard & the Shadows - What'd I Say


ハンク・マーヴィンのギターがなかなか魅力的で、案外いいじゃないか、である。

わたしはレイ・チャールズのEPを買うはるか以前にこの曲を知っていたが、日本では誰が歌っていたのか、いちおう考えてみたものの、まったく思いだせなかった。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


サーチャーズ
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

サーチャーズ
Meet the Searchers
Meet the Searchers

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Live at the Star-Club Hamburg
Live at the Star-Club Hamburg

マーク・ルーイソン(書籍)
The Complete Beatles Recording Sessions: The Official Story of the Abbey Road Years 1962-1970
The Complete Beatles Recording Sessions: The Official Story of the Abbey Road Years 1962-1970

カール・スミス
20 All Time Greatest Hits
20 All Time Greatest Hits

フランキー・レイン
The Collection
The Collection

オリンピックス
Doin' the Hully Gully/Dance By the Light of the Mo
Doin' the Hully Gully/Dance By the Light of the Mo

ハリウッド・アーガイルズ
The Hollywood Argyles featuring Gary Paxton
Hollywood Argyles Feat.

チャビー・チェッカー
Five Classic Albums Plus
Five Classic Albums Plus

ビーチボーイズ
Party / Stack-O-Tracks
Party / Stack-O-Tracks

レイ・チャールズ
Ray Charles The Ultimate Collection [Import]
Ray Charles The Ultimate Collection [Import]

クリフ・リチャード
Seven Classic Albums
Seven Classic Albums
[PR]
by songsf4s | 2014-03-04 23:21 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇8 1963年の8
 
前回の補足。

サーチャーズのSick and Tiredを聴いて、ああ、サム&デイヴのあの曲からイントロをいただいたのね、と納得してから、それでは時間的順序が合わないことに思い至り、首をかしげた。

Sam & Dave - I Take What I Want


もう一度、サーチャーズのSick and Tiredを貼り付けておく。

The Searchers - Sick and Tired (live at The Star Club, Hamburg)


どう考えても同じリックなのだが、サーチャーズは63年、サム&デイヴは65年リリースの45である。

アイザック・ヘイズとデイヴ・ポーターがサーチャーズのライヴ盤を聴いた、という線はどうにも考えにくい。ひょっとしたら、両者が土台に利用したのが同じ曲で、いとこ同士の関係なのだろうか。とりあえず、疑問はまったく解消せず。

◆ Mashed Potatoes ◆◆
マッシュ・ポテトというダンス・ステップが流行した関係で、60年代はじめには、タイトルにMashed Potatoと入った曲がむやみにある。いちばん有名なのは、ビルボード・チャート・トッパーになったディー・ディー・シャープのMashed Potato Timeで、わたしも、真っ先にこれを思いだす。

サーチャーズのマッシュ・ポテトはこれとは異なる曲で、たぶんジェイムズ・ブラウンがDessie Rozierの変名で書き、彼のバンドのドラマーであるナット・ケンドリックの名前で1969年にリリースした45回転盤をベースにしている。

The Searchers - Mashed Potatoes (Live)


Nat Kendrick and The Swans - (Do The) Mashed Potatoes


しかし、サーチャーズが参照したヴァージョンは、こちらの可能性もある。ジョーイ・ディー&ザ・スターライターズのヒット・アルバム、Doin' the Twist at the Peppermint Loungeより。

Joey Dee and the Starliters - Mashed Potatoes


しかし、以下の曲のように、基本的にはほとんど同じものがほかにもある、という込みいった事情もある。ドラムはハル・ブレイン。豪快なギターは、グレン・キャンベルかトミー・テデスコあたりだろう。

サンプル Bruce Johnston - Hot Pastrami, Mashed Potatoes, Come on to Rincon Yeah!!!

スターライターズのほうのソングライター・クレジットはRozier、すなわちジェイムズ・ブラウンになっているが、ブルース・ジョンストンのほうは、むろんタイトルが違うからでもあるが、ジョンストン自身の名前がクレジットされている。

もともと、曲と云うほどの特徴的なメロディーまたはリックがあるわけではなく、3コードと「Mashed potatoes!」という叫びを組み合わせただけのものなので、これを変形して自分の曲と云っても、原曲の作曲者だって、いや、それは俺の曲だとは云いにくかろう。

f0147840_20275090.jpg

どうであれ、こういう曲は、ライヴ用に、歌詞を覚える必要もなければ、コードを間違える怖れもない、楽な曲としてレパートリーに組み込まれていたのだろう。Hanky Pankyみたいなものだ。

さらに加えて、マッシュ・ポテトのブームはまだ続いていたはずで、こういう曲をやれば、ごくお手軽に客の共感を得られたにちがいない。そもそも、ジェイムズ・ブラウンは、ライヴの客がマッシュ・ポテトによく反応するので、この曲を録音したそうだし。

◆ I Sure Know a Lot About Love ◆◆
めずらしくも、アメリカの曲のカヴァーではない。イギリス人であるアラン・クラインが、映画化もされた芝居「What a Crazy World」(1963年)のために書いた曲のカヴァー。といっても、オリジナルはクリップがないし、わたしももっていないので、聴けなかった。

The Searchers - I Sure Know A Lot About Love (live)


結局、サーチャーズがめずらしくもイギリスの曲をカヴァーしたケースとして、スコアボードに「イギリス1点」と書き込んでおけばいいのかもしれない。

だが、疑問のトゲが残る。それは、この曲には以下のヴァージョンがあるからだ。

The Hollywood Argyles - Sho Know a Lot About Love (1960)


ハリウッド・アーガイルズというのは、キム・ファウリーとゲーリー・パクストンがでっちあげたスタジオ・グループ。Alley Oopという曲をリリースするためにつくったといっていいほどで、すぐに消滅した。

しかし、そのAlley Oopはビルボード・チャート・トッパーになってしまった。そして、その大ヒット・シングルのB面がほかならぬSho Know a Lot About Loveだったのだ。

ハリウッド・アーガイルズはタイトルをすこし変えているし、ソングライター・クレジットも、アラン・クラインではなく、パクストン=マイズとなっているが、これを別の曲と言い張るのは無理がある。事実上、同一の曲だ。

こうではないだろうか。サーチャーズは、Alley OopのB面として、ハリウッド・アーガイルズのヴァージョンを聴き、カヴァーしようと思った。しかし、著作権管理団体で調べると、この曲はイギリス人、アラン・クラインの作として登録されていた――。

それほどたいした曲ではないのだが、ポール・マッカートニーが何度か繰り返して云っている「馬鹿げたものへの情熱」ということと関係してくるようにも思う。サーチャーズのライヴを聴いていると、しきりにこのポール・マッカートニーの言葉が思いだされるので、いずれ、この点もまとめて検討しようと思う。

ハリウッド・アーガイルズ盤もひどいが(ひどいはずだよ、ドラマーはサンディー・ネルソン!)、さらに後年のこのカヴァーもひどさもひどし、ゲラゲラ笑ってしまった。

The Rainbows - I Sure Know a Lot About Love


レインボウズは、Balla Ballaのインターナショナル・ヒット(といっても欧州止まりで、アメリカではダメだったが)だけが有名で、あれはそれなりにやっているのだが、ライヴのクリップなど見ると、ドラムばかりでなく、リード・ギターもベースもタイムがめちゃくちゃで、なかなか楽しい。いや、馬鹿笑いしておしまいで、まじめに聴くほどのなにかがあるわけではないが!

◆ I Can't Go On (Rosalie) ◆◆
allmusicはいつものボケで、ソングライターをコール・ポーターとしていたため、あさはかなわたしは、「ええ? コール・ポーターがこういう曲を書くのかよ」なんて思ってしまい、ひとりで赤面した。

それは、Rosalieという同題異曲、戦前のミュージカルのテーマ曲であり、サーチャーズがやった曲とはまったく無関係。

いやはや、allmusicのチョンボは毎度面白くてけっこうだが、データベースとしては役立たずの域を超えて、これはもう有害というべきではないか。

サーチャーズがカヴァーしたRosalieは、ファッツ・ドミノと彼のプロデューサーであるデイヴ・バーソロミューの共作、歌ったのもむろんファッツ自身。

サーチャーズのライヴ・ヴァージョンはクリップがないので、かわりにデモを。

The Searchers - Rosalie (demo)


Fats Domino - I Can't Go On (Rosalie)


サーチャーズは歌詞もメロディーもずいぶんと変えている。基本的には泥臭いファッツのレンディションを、軽快なロックンロールに再構成しようと試みたのだと思う。いや、デモではなく、ライヴ・ヴァージョンについてだが。

以前にも書いたが、サーチャーズのドラマー、クリス・カーティスはファッツ・ドミノが大好きだったそうで、リード・ヴォーカルは当然カーティス、「俺が歌う」といってカヴァーしたのだろう。スタジオ盤では、べつにファッツ・ドミノ・ファンという印象は受けないのだが、このあたりがやはりライヴの面白いところだ。

なお、この曲にはほかにディオン&ザ・ベルモンツのカヴァーがある。おっと、そういうアレンジかよ、と戸惑わせるところが愉快なので、いちおう貼り付けておく。

Dion And The Belmonts - I Can't Go On (Rosalie)


ドゥーワップ・グループというのは、じつにいろいろなナンセンス・シラブルを思いつくものだ!

◆ Learning the Game ◆◆
なんだか今回は、あっちに傾き、こっちに揺れ、出自に疑問が生まれて、どうも落ち着かないのだが、最後はすっきりとバディー・ホリーの曲。

The Searchers - Learning The Game (live)


Buddy Holly - Learning The Game


コード進行はいかにもバディー・ホリーという感じで(ただし、チェンジのタイミングはいつもより早いが)、例によって非常にやりやすそうな曲で、サーチャーズもそのつもりでカヴァーしたのだろう。ライヴ向きである。

バディー・ホリー自身のものもいくつかのヴァージョンが出回っているが、カヴァーも面白いものが多い。もっともドラスティックに変化させたのは、つぎのアンドルー・ゴールドのヴァージョン。

Andrew Gold - Learning the Game


なんだかひどく懐かしい音だ。70年代はじめのシンガー・ソングライター時代の音に重めのバックビートをつけたという雰囲気。リリースは78年だったと思うが。これは2枚組ベストに入れるべきだっただろう。

ほかに、サー・ヘンリー&ヒズ・バトラーズも、いわゆる「バロック・ロック」風のバラッド・アレンジでなかなか面白いのだが、クリップがないので省略。ボビー・ヴィーのカヴァーも悪くないのだが、これまたクリップがない。

アンドルー・ゴールドやサー・ヘンリーとは逆方向の解釈をしたバンドもある。ストーンズだ。といっても、ミック・ジャガー抜きで、キース・リチャーズが歌っているのだが。

The Rolling Stones - Learning The Game - Live


キース・リチャーズのヴォーカルがこれでいいかどうかは、ストーンズは昔からこうだからとサラッと通り過ぎ(呵々)、アレンジの方向性はよくわかる。

バディー・ホリーの曲の特長は、このLearning the Gameのように、バラッドにしても面白いし、ストレート・ロッカーにしても面白い点にあることを、アンドルー・ゴールドとストーンズの両極端の解釈は教えてくれる。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


サーチャーズ
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

サーチャーズ
Meet the Searchers
Meet the Searchers

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Live at the Star-Club Hamburg
Live at the Star-Club Hamburg

サム&デイヴ
Very Best of Sam & Dave (Reis)
Very Best of Sam & Dave (Reis)

ナット・ケンドリック&ザ・スワンズ
Nat Kendrick & The Swans
Nat Kendrick & The Swans

ジョーイ・ディー&ザ・スターライターズ
Peppermint Twist
Peppermint Twist

ブルース・ジョンストン
Surfin' Around The World/Going Public
Surfin' Around The World/Going Public

ハリウッド・アーガイルズ
The Hollywood Argyles featuring Gary Paxton
Hollywood Argyles Feat.

ファッツ・ドミノ
Eight Classic Albums
Eight Classic Albums

ディオン&ザ・ベルモンツ
6 Classic Albums Plus
6 Classic Albums Plus

バディー・ホリー
Six Classic Albums Plus
Six Classic Albums Plus

アンドルー・ゴールド
Andrew Gold/What'S Wrong With This Picture/All This And Heaven Too/Whirlwind [Box Set]
Andrew Gold & What's Wrong With This Picture & All

ローリング・ストーンズ
ザ・ビッゲスト・バン(ブルーレイ・ヴァージョン) [Blu-ray]
ザ・ビッゲスト・バン(ブルーレイ・ヴァージョン) [Blu-ray]
[PR]
by songsf4s | 2014-03-01 22:23 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇7 1963年の7
 
先日は、次回からサード・アルバムへ、と書いたのだが、ハンブルクのスター・クラブでのライヴ盤も63年にドイツでリリースされたようなので、先にこちらを検討する。

それが終わったらサード・アルバムへと進むかというと、これがまた微妙で、ほかに同時期のBBCやスウェーデンのラジオ・ライヴも盤になっていて、収録曲を検討したうえで、そちらも取り上げるかどうか、後日決める。

スター・クラブのライヴ盤は、LPの時代とCDになってからでは、曲数が異なっているので、ここでは手元にあるCDヴァージョンの収録曲にしたがって見ていく。

いちおう、最初のLPヴァージョンの構成をDiscogsから以下に引き写した。

Sweets For My Sweet - The Searchers At The Star-Club Hamburg

Sweets For My Sweet
Ain't That Just Like Me?
Listen To Me
I Can Tell
Sick And Tired
Mashed Potatoes
I Sure Know A Lot About Love
Rosalie
Led In The Game
Hey, Joe
Always It's You
Hully Gully
What I'd Say

f0147840_2240268.jpg

今回検討するCDヴァージョンは以下のような構成。

Complete Live at The Star-Club Hamburg

Sweets For My Sweet
Ain't That Just Like Me
Listen To Me
I Can Tell
Sick And Tired
Mashed Potatoes
I Sure Know a Lot About Love
Rosalie
Led in the Game
Hey Joe
Always It's You
Hully Gully
What'd I Say (uncutted long version)
Beautiful Dreamer
Sweet Nothin's
Shakin' All Over
Sweet Little Sixteen
Don't You Know
Maybelline

オリジナルLPが13曲なのに対して、CDのコンプリート・ヴァージョン21曲構成になっている。しかし、ライヴだから、すでに検討したスタジオ盤と重なる曲もあり、そういうものは省略する。

なお、盤のライナーには録音日時が記載されていないのだが、こういうものはレーベルと正規の契約を結ぶ以前のものと決まっているので、62年または63年前半の録音だろう。

◆ I Can Tell ◆◆
最初の3曲、Sweets For My Sweet、Ain't That Just Like Me、Listen To Meはすでにこのシリーズで取り上げているので、4曲目のI Can Tellへ。

作者はイーラス・ベイツ、すなわちボー・ディドリーで、オリジナルを歌ったのもディドリー自身。

The Searchers - I Can Tell (live)


Bo Diddley - I Can Tell


ほとんど別人28号と化していて、好みからいえば、スピードアップしたサーチャーズ盤がいい。ディドリーのオリジナルはそこらによくあるブルース崩しにしか思えない。

とはいえ、それもまた考えようで、オリジナルに隙があるとカヴァーは多くなる傾向がある。ボー・ディドリーの曲はそのパターンが多い、という偏見を持っている。

サーチャーズ盤のリード・ヴォーカルは、いつもの二人の声とは違うので、クリス・カーティスなのだろう。メロディックなものはトニー・ジャクソンとマイク:ペンダーに任せ、自分はロック系、ブルーズ系と思っていたのだろうか。

イギリスでは、サーチャーズより早く、または同時期にこのグループもカヴァーしている。

Johnny Kidd & The Pirates - I Can Tell


サーチャーズのカヴァーは、ボー・ディドリーのオリジナルより、こちらのほうにずっと近いので、ディドリー盤直接ではなく、ジョニー・キッド経由でカヴァーした可能性もあると思う。

ほかにゼファーズ(サーチャーズと同時代のイギリスのマイナー・グループ)のものもある。ゼファーズはほとんど盤がないにもかかわらず、クリップが上がっていたので、これも貼り付けておく。

The Zephyrs - I Can Tell


惜しかったねえ、ささやかなヒットがあれば、アルバムを出すぐらいのところには行けたのに、という感じだが、それにはヴォーカルの魅力が不足していたかもしれない。

サー・ヘンリー&ヒズ・バトラーズという60年代のデンマークのグループのものもちょっと面白いのだが(ギターとドラムがいい)、クリップはないし、サンプルをアップするほどのものでもないので、割愛。

I Can Tellなどという変哲もないタイトルなので、HDDに検索をかけると、同題異曲がずいぶんヒットしてしまう。レスリー・ゴア、ハニーカムズ、レパラータ&ザ・デルロンズ、ベイカー・ナイトなどのものは別の曲である。

それで通り過ぎられれば問題なかったのだが、以下の曲は引っかかった。同じ曲ではないのだが、共通点があって、まったく無関係の曲とはにわかに断定できない。

サンプル The Youngbloods - I Can Tell

こちらの作者はボー・ディドリーではなく、チャック・ウィリスで、作者自身のヴァージョンはクリップがあった。

Chuck Willis & The Sandmen - I Can Tell


曲の構造はブルーズだが、スタイルは典型的なドゥーワップである。

結局、これも古い歌がベースになっているということではないか。それぞれに変形して歌っていて、アダプトした人間が作者としてクレジットされる、といういつものパターンで、同題にしてかつ共通点がありながら、作者名が異なるヴァリエーションが存在するのだろうと考える。

◆ Sick and Tired ◆◆
サーチャーズの曲はシンプルなものが多いが、ライヴになるといよいよ3コードばかりになっていく。つぎはアール・パーマーが単純きわまりないといったファッツ・ドミノの、じつに単純な曲。

The Searchers - Sick and Tired (live at The Star Club, Hamburg)


Fats Domino - Sick and Tired


やりやすそうだからか、オブスキュアな曲のわりにはカヴァーが多い。それぞれに味があって面白いのだが、たとえば、このヴァージョンはどうだろうか。

The Righteous Brothers - Sick and Tired


フィレーズ時代の録音だが、アルバム・トラックなので、スペクターは無関係、ビル・メドリーのプロデュースだろう。トラックはストレートでそれほど面白くないが、デュエットでやるのもまたいいな、と感じさせる。

つぎはファット・ドミノと同じニューオーリンズ録音。4つの4分音符のあつかいが平等ではない、うねるグルーヴがファッツのオリジナルと共通する。

Chris Kenner - Sick and Tired


テンポが違いすぎて比較しにくいかもしれないが、もう一度、ニューオーリンズとは異なるストレートなグルーヴのヴァージョンを。

Ronnie Hawkins - Sick and Tired


わたしはどうもホークス(ロニー・ホーキンズのバンド)が苦手なのだが、これはタイムが安定していて、危なっかしい感じがなく、もしもこれがホークスのプレイなら、「どうもお見それしました」である。

サム・ブテーラや、エディー・コクランがプロデュースしたボブ・デントンのもの、ドゥエイン・オールマンがプレイしたロニー・ホーキンズのリメイクなど、それぞれに面白いのだが、クリップがないので割愛する。

また、グレイトフル・デッドもやっているが、うちにはWBからのデビュー前の、あらま、と困惑するようなヴァージョンしかないので、これもなかったことにする! ヴォーカルはピグペンで、結局、その後、レパートリーからはずされたのだろう。

まだ二曲だけだが、聴くべきヴァージョンは山ほどあり、調べに手間取った疑問もあり、長くなったので、以下は次回へと。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


サーチャーズ
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

サーチャーズ
Meet the Searchers
Meet the Searchers

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Live at the Star-Club Hamburg
Live at the Star-Club Hamburg

ボー・ディドリー
His Best : The Chess 50th Anniversary Collection (紙ジャケット)
His Best : The Chess 50th Anniversary Collection (紙ジャケット)

ジョニー・キッド&ザ・パイレーツ
The Best of Johnny Kidd & The Pirates
The Best of Johnny Kidd & The Pirates

ヤングブラッズ
The Youngbloods/Earth Music/Elephant Mountain
The Youngbloods/Earth Music/Elephant Mountain

チャック・ウィリス
Chuck Willis Wails-Complete Recordings 1951-56
Chuck Willis Wails-Complete Recordings 1951-56

ファッツ・ドミノ
Vol. 3-Imperial Singles
Vol. 3-Imperial Singles

ライチャウス・ブラザーズ
ふられた気持(紙ジャケット仕様)
ふられた気持(紙ジャケット仕様)

ロニー・ホーキンズ
RONNIE ROCKS
RONNIE ROCKS

クリス・ケナー
I Like It Like That (THE DEFINITIVE CHRIS KENNER COLLECTION 1956-1968)
I Like It Like That (THE DEFINITIVE CHRIS KENNER COLLECTION 1956-1968)
[PR]
by songsf4s | 2014-02-25 22:48 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇6 1963年の6
 
◆ Saints & Searchers ◆◆
B面3曲目の作者はSugar and Spiceと同じくフレッド・ナイティンゲール、すなわちトニー・ハッチなので、サーチャーズがオリジナルと考えて大丈夫だろう。Sugar and SpiceのB面としてリリースされた。AB面両方いただいて、プロデューサー冥利に尽きるというものだ!

クリップはフランス語版しかなく、これが笑っちゃいそうな、どうにもこうにも気分の出ないヴァージョンなので、まともな英語版をサンプルにした。

サンプル The Searchers - Saints and Searchers

しかし、この曲は純粋なオリジナルではなく、タイトルからもわかるように、そして、歌詞の冒頭がそのまま引き写しになっていることからわかるように、このスタンダード曲を下敷きにしている。

Fats Domino - When the Saints Go Marchin' In


クレジットを見なくても、アール・パーマーとたちどころにわかるプレイで、彼の発明になる「スツチャカ」リズムが楽しい。

あまたある「聖者が町にやってくる」のなかでも、とくにファッツ・ドミノ盤を貼り付けたのは恣意的な選択ではない。ドラムのクリス・カーティスがファッツ・ドミノのファンで、サーチャーズはこのヴァージョンを下敷きにしてSaint and Searchersをアレンジしたからだ。

◆ Cherry Stones ◆◆
この曲のタイトルは、本来はCherrystoneと一語で、しかも単数形なのだが、サーチャーズは転記の際に間違えたのか、どの盤でもCherry Stonesとしている。

タイトルが間違っているせいで同定を過ったのか、あるいはサーチャーズの盤のどれかがすでに誤記していて、それを引き写しただけなのか、Discogsはソングライター・クレジットを間違え、Cherry Stonesという曲の作者であるジョン・ジェロームという人をクレジットしている。こちらはジョージア・ギブスとボブ・クロスビー(ビングの兄)がオリジナルらしく、販売サイトで試聴したが、やはりぜんぜん違う曲だった。やれやれ!

しつこく繰り返すと、正しいタイトルはCherrystone、作者はドナルドとリチャードのアドリシ・ブラザーズ、オリジナルを歌ったのもこのデュオ。アドリシ・ブラザーズはこの曲をタイトルにしたアルバムを1959年にデルファイからリリースしている。

アドリシ・ブラザーズというと、アソシエイションがヒットさせたNever My Loveが有名だが、50年代にはまだそういう雰囲気ではなかったようだ。

The Searchers - Cherry Stones


The Addrisi Brothers - Cherrystone 1959


サーチャーズ盤はアドリシ兄弟盤のストレート・カヴァーで、手触りを変えずにやっている。明らかにエヴァリー・ブラザーズ・スタイルの模倣だが、エヴァリーズにあてて書かれたわけではないらしい。

「ロックンロール・ニュアンスを強めたエヴァリーズ」という雰囲気が気に入って、サーチャーズはこの曲をカヴァーしたのではないだろうか。

◆ All My Sorrows ◆◆
All My Sorrowsも由来がちょっとねじ曲がった曲だ。そのせいで記憶違いをし、一瞬、おおいに戸惑った。たくさんヴァージョンを知っているつもりだったのだが、HDDを検索したら、サーチャーズのほかには、キングトン・トリオとシャドウズのヴァージョンしか見つからなかったのだ。

どれをオリジナルとみなすかはさておき、サーチャーズがベースにしたのはキングストン・トリオのヴァージョンではないかと思う。

The Searchers - All My Sorrows


The Kington Trio - All My Sorrows


All My Sorrowsは、そもそもAll My Trialsから派生したもので、わたしがいっぱいもっているような気がしたのは、この二種類の曲の両方を合わせてのことだった。それで、検索結果に3ヴァージョンしか出てこず、ビックリしたのである。

捜索範囲をAll My Trialsにまで広げると、たちまちヴァージョンは増える。

PP&M - All My Trials


Joan Baez - All My Trials


歌詞も雰囲気も「漕げよマイケル」Michael Row the Boat Ashoreによく似ている。トラッドというのは、あっちで融合し、こっちで分離し、ということを繰り返しているのだろう。

The Highwaymen - Michael (Row the Boat Ashore)


こういうものの場合、誕生の経緯もよくわからないのだから、著作権もあいまいだったりして、誰を作者と呼べばいいのかよくわからない。

サーチャーズのAll My Sorrowsの作者はライムライターズのグレン・ヤーブロウとなっているが、ヤーブロウのヴァージョンも、ライムライターズのヴァージョンも見つからなかった。

イギリスで最初にこの曲をカヴァーしたのはつぎのグループだった模様。1961年リリースの彼らのデビュー・アルバムThe Shadowsに収録された。

The Shadows - All My Sorrows


シャドウズのAll My Sorrowsの場合は、デイヴ・ガード、ボブ・シェイン、ニック・レイノルズ、すなわち、キングストン・トリオの三人が作者としてクレジットされている。

こういうことだろう。

作者不明のトラッド曲は、アレンジないしはアダプトをした人間がソングライターとしてクレジットされる。だから、シャドウズの四人の名前だってかまわなかったのだが、彼らはそうとは考えず、キングトン・トリオの三人がほんとうの作者だと思ったのだろう。同様に、サーチャーズは著作権管理団体などで調べて、グレン・ヤーブロウが作者だと信じたと考えられる。

ということで、いろいろゴチャゴチャしたが、All My Sorrowsは、All My Trialsと同じ根から出てきた異なる像にすぎない。サーチャーズはここでもまた、「フォーク・ロックの始祖」への準備をしたわけで、その面において意味のあるカヴァーといえる。

いい曲なのだが、どのヴァージョンもくそ真面目で、へこたれてしまう。よって中和剤を投入する。各種ノヴェルティー・ソングでヒット・アフター・ヒット、頑固一徹、生涯一お馬鹿シンガーを貫いた偉人のヴァージョンを。

Ray Stevens - All My Trials


ワウ・ギターの間奏というアイディアがすんばらしいのことあるよ!

◆ Hungry for Love ◆◆
サーチャーズのセカンド・アルバム最後の曲は、イギリスのソングライター、ゴードン・ミルズの作で、オリジナルは確定できなかったものの、サーチャーズのヴァージョンと同年にシングルとしてリリースされた、ジョニー・キッド&ザ・パイレーツ盤がオリジナルである可能性が高い。

The Searchers - Hungry for Love


Johnny Kidd & The Pirates - Hungry for Love


またしても一聴明らかなことを書くが、対照的なスタイルのバンドが、それぞれの持ち味を出したヴァージョンが並んだ。サーチャーズはあくまでも軽快に、パイレーツはベースを強調し、サーチャーズより重いサウンドにしている。

まだ小学生だったせいかもしれないが、当時、ジョニー・キッド&ザ・パイレーツなんてバンドは、盤を見たこともなければ、ラジオで流れたのを聴いたこともなく、名前すら知らなかった。

日本では、ビートルズ以前は、イギリス音楽というのはクリフ・リチャードに指折って、あとは誰がいるの? ぐらいの感じだった。ジョニー・キッド&ザ・パイレーツは50年代終わりから活動していたせいで、「イギリスの侵略」後も、日本では顧みられなかったのかもしれない。

しかし、そういうキャリアだから、このシリーズの対象となる資格は十分にもっている。いずれ詳しく検討することになると思う。

以上でサーチャーズのセカンド・アルバム、Sugar and Spiceを完了し、次回からサード・アルバムに入る。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


サーチャーズ
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

サーチャーズ
Meet the Searchers
Meet the Searchers

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

ファッツ・ドミノ
Eight Classic Albums
Eight Classic Albums

キングストン・トリオ
Nine Classic Albums
Nine Classic Albums

シャドウズ
The Shadows / Out of the Shadows
The Shadows / Out of the Shadows

ピーター・ポール&マリー
In the Wind
In the Wind

ジョーン・バエズ
Joan Baez
Joan Baez

レイ・スティーヴンズ
Turn Your Radio On: Misty
Turn Your Radio On: Misty

ジョニー・キッド&ザ・パイレーツ
The Best of Johnny Kidd & The Pirates
The Best of Johnny Kidd & The Pirates
[PR]
by songsf4s | 2014-02-21 23:13 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇5 1963年の5
 
サーチャーズの30周年記念3枚組というものに、そこそこ詳しいライナーノーツが付属しているのだが、この盤のディスコグラフィーでも、デビューLPはMeet the Searchers、セカンド・アルバムはSugra and Spiceとしている。

前回、allmusicのディスコグラフィーでは逆になっていると書いたが、ほかに逆順のディスコグラフィーは見つけられなかったので、多数決で、Meet the Searchersのほうをデビュー盤と確定する。いつものallmusicのデタラメにすぎないようだ。

◆ Listen to Me ◆◆
サーチャーズのセカンド・アルバム、Sugar and SpiceのA面5曲目は、バディー・ホリーのロッカ・バラッド。作者はホリー自身とプロデューサーのノーマン・ペティー。

The Searchers - Listen to Me


Buddy Holly - Listen to Me


バディー・ホリーの両輪のひとつはPeggy Sue、Not Fade Away、Rave Onに代表されるような、パワー・コードのロックンロールだが、もうひとつの車輪は、このListen to Meや、ビートルズがカヴァーしたWords of Love、映画『スタンド・バイ・ミー』でも使われたEverydayといった、シンプルなコードのロッカ・バラッドである。

バディー・ホリーの曲は、速いのも、遅いのも、おおむね3コードだし、歌いやすいし、ほんとうにパフォーマーに「やさしく」できていると思う。呵々。

サーチャーズは例によって、オリジナルよりすこしスピードアップしているが、これはテンポの変更がいい結果につながった例だろう。ちょうど、ビートルズのWords of Loveと同じぐらいの速さだ。

◆ The Unhappy Girls ◆◆
A面の最後におかれたThe Unhappy Girlsは、おそらくカール・パーキンズがオリジナル。作者はフレッド・バーチとマリジョン・ウィルキン、前者はカントリー系のソングライターで、代表作はトーマス・ウェイン&ザ・デルロンズやフリートウッズがヒットさせたTragedy。後者はナッシュヴィルで活動したシンガー兼ソングライター、といった程度のことしかわからなかった。

The Searchers - The Unhappy Girls


Carl Perkins - The Unhappy Girls


聴けばわかることを書いて恐縮だが、カール・パーキンズのヴァージョンは、ロカビリー・スタイルで、カントリーに半分重心がかかっている。そのあたりはBlue Swede Shoes以来、変わっていない。

サーチャーズ盤は、主としてトニー・ジャクソンのトレブルをきかせたギターのせいで、カール・パーキンズ盤よりロックンロール・ニュアンスが強くなっていて、これはこれで好ましい。

しかし、トニー・ジャクソンというプレイヤーも、ナメていると、期待以上のプレイをすることがあって、あらら、と思う。この曲なんか、わたしがジャクソンに期待するものの5割増しぐらいの出来である。呵々。

ほかに、ジェイ・チャンス&ザ・チャンセラーズという、ロンドンはソーホーのグループのヴァージョンがみつかった。

Jay Chance & The Chancellors - The Unhappy Girls


録音、リリース時期がはっきりしないのだが、50年代から活動していたそうだし、音からいっても60年代はじめのスタイル、サーチャーズとほぼ同時期のものと推測できる。こちらのヴァージョンのほうが先で、サーチャーズはチャンセラーズ経由でカヴァーした可能性もある。ドラムのタイムは不安定だが、ギター・プレイはなかなか魅力的。

余談。

カール・パーキンズのThe Unhappy Girlsを聴こうとしてフォルダーを開いたら、前回あつかったOne of These Daysをパーキンズも歌っていたことに気づいた。

このカール・パーキンズ・セッショノグラフィーによると、パーキンズのOne of These Daysは1964年10月8日の録音で、サーチャーズよりあと、したがって、重大なミスではなかったのだが。

Carl Perkins - One of These Days


このヴァージョンもなかなか好ましい。パーキンズのヴォーカル・レンディションとギターがいい。

◆ Ain't That Just Like Me ◆◆
B面トップのAin't That Just Like Meはコースターズがオリジナル、作者はキャディラックスのリード・シンガーで一時期コースターズにも在籍したアール・キャロル。プロデューサーは例によってジェリー・リーバー&マイク・ストーラー。

サーチャーズのクリップはライヴしかなかったので、スタジオ録音をサンプルにした。

サンプル The Searchers - Ain't That Just Like Me

The Coasters - Ain't That Just Like Me


たんに慣れているだけなのかもしれないが、コースターズよりもサーチャーズのテンポのほうがいいと感じる。

ライヴを見るとヴォーカルの分担がわかる。

The Searchers - Ain't That Just Like Me [The ES Show - 1964]


後半でシャウトしている聴き慣れない声は誰かと思ったら、ドラムのクリス・カーティスだった。いや、クリス・カーティスの声はサーチャーズ・ファンなら知っているが、それはあのハイ・ハーモニーであって、こんな低い音域で歌うのはめずらしい。トニー・ジャクソンもマイク・ペンダーも、シャウトはイヤだといって、カーティスが歌うことになったのかもしれない。

この曲はホリーズのヴァージョンがもっとも人口に膾炙しているのではないだろうか。パーロフォンからの彼らのデビュー・シングルだった。

The Hollies - (Ain't That) Just Like Me


オフィシャル・ホリーズ・ウェブサイトのディスコグラフィーによれば、彼らのAin't That Just Like Meは1963年3月1日リリースなので、サーチャーズより早いことになる。サーチャーズは、コースターズ盤ではなく、ホリーズ盤に依拠してテンポを決めた可能性が高いと思う。

ボビー・カムストックのカヴァーというのもあるが、このディスコグラフィーが正しければ、カムストック盤は1964年3月14日リリースで、ホリーズないしはサーチャーズのヴァージョンをベースにしているのではないだろうか。

Bobby Comstock - Ain't That Just Like Me



◆ Oh My Lover ◆◆
B面の2曲目はまたオブスキュアなもので、オリジナルはシフォーンズ、作者はシフォーンズの生みの親であり、彼女たちの大ヒット、He's So Fineを書いたロニー・マック(Memphisのヒットがあるギター・プレイヤーのロニー・マックとは別人。RonnieとLonnie)。

The Searchers - Oh My Lover


The Chiffons - Oh My Lover


この曲自体はまったく有名ではないが、シフォーンズはHe's So Fineの大ヒットがあり、イギリスの連中はみなガール・グループを聴いていたのだから、B面かアルバム・トラックとして知り、カヴァーしたのだと推測できる。

ロニー・マックはHe's So Fineのプロデュースをし、このシングルがチャートを上昇しはじめた時までは生きていた。彼の雇い主であったトークンズが急いでゴールド・ディスクを手配したが、出来上がった時には、マックはガンに斃れていたという。

ジョージ・ハリソンは後年、My Sweet LordはHe's So Fineの盗作であると、ロニー・マックの楽曲出版権をもつトークンズの会社に訴えられ、敗訴しているが、まあ、それほどまでに、あの時代のイギリスの連中はガール・グループをよく聴いていたのだ、と云える(苦しいw)。

ということで、サーチャーズはまたしても、人気のあるシンガーの非有名曲を選択し、他のバンドに「渋いじゃん」といわせようとしたのだと思う。あはは。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


サーチャーズ
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

サーチャーズ
Meet the Searchers
Meet the Searchers

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

バディー・ホリー
The Very Best of Buddy Holly
The Very Best of Buddy Holly

カール・パーキンズ
The Classic
Classic

コースターズ
Four Classic Albums Plus
Four Classic Albums Plus

ホリーズ
The Hollies Greatest Hits
The Hollies Greatest Hits

シフォーンズ
Sweet Talkin Girls: The Best of
Sweet Talkin Girls: The Best of
[PR]
by songsf4s | 2014-02-18 21:51 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇4 1963年の4
 
サーチャーズは1963年にもう一枚、Sugar and SpiceというLPをリリースしている。

と思ったのだが、順番が逆と主張しているソースもあり、こちらがデビュー盤で、すでに3回にわたって書いたMeet the Searchersのほうがセカンド・アルバムといっている。

サーチャーズ全曲集の順番にしたがって書いてきたし、Discogsやウィキも、Meet the Searchersのほうをデビュー盤にしている。

シングルの順序から考えると、やはりMeet the Searchersがデビュー盤に思えるし、タイトルもいかにもデビュー盤らしい。反対意見をいっているのは、デタラメなデータとお話にならないレヴューで有名なallmusicだし(嫌いなのだ)、たぶん、大丈夫だろうと思う。

これについては、後日、裏がとれたら確定するつもりだが、たとえ当方の順番が間違っていたことが判明しても、いまさらさかのぼって修正するのは煩瑣なので、順番は入れ替えない。どうかあしからず。

◆ Sugar and Spice ◆◆
では、セカンド・アルバムに突入する。そのオープナーはタイトル・カットのこの曲。シングル・カットされて、イギリスでは大ヒットした。

The Searchers - Sugar and Spice


ソングライター・クレジットはフレッド・ナイティンゲイルとなっているが、これはトニー・ハッチの変名。クレジットが見あたらないのだが、このセカンド・アルバムもトニー・ハッチのプロデュースだと思われる。

したがって、Sugar and Spiceはサーチャーズが封切りと考えて大丈夫だろう。サーチャーズ以前のヴァージョンは発見できなかった。

サーチャーズは、後年はさておき、同時代にあっては強い影響力があった。その影響はアメリカのバンドのサウンドにもっとも顕著にあらわれたし、ストレートにサーチャーズをカヴァーしたアメリカのバンドもあった。

The Cryan' Shames - Sugar and Spice


ドラムがかなり突っ込み気味なのが気になるが、この時期としてはめずらしいことに、セッション・プレイヤーではなく、バンドのメンバーがプレイしたのだろう。アメリカではこのカヴァーがヒットした。

◆ Don't Cha Know ◆◆
セカンド・アルバムの2曲目は、バディー・ホリーが抜けたあとのクリケッツの曲のストレート・カヴァー。作者はデイヴィッド・ボックスとアーニー・ホール。

ユーチューブには、サーチャーズ盤はライヴしかないので、スタジオ録音をサンプルにした。

サンプル The Searchers - Don't Cha Know

The Crickets - Don't Cha Know


作者のデイヴィッド・ボックスはソニー・カーティスの後釜としてクリケッツに入ったシンガー。共作者のアーニー・ホールは、ボックスがそれ以前にやっていたレイヴンズというバンドのドラマーで、クリケッツのジェリー・アリソンの実家のすぐ近くに住んでいた縁により、ボックスがクリケッツに加入することになったのだそうだ。

Don't Cha Knowも、ボックスとホールがレイヴンズ時代に書いた曲で、のちにそれをクリケッツで録音した、というしだい(参考「デイヴィッド・ボックス略伝」)。

サーチャーズはいつものようにDon't Cha Knowも少し速くしているが、その結果、バディー・ホリーの風味は消えている。アルバム・トラックとして、たいした手間はかけずに録ったものという印象。

クリケッツのオリジナルは、バディー・ホリーがいないにもかかわらず、バディー・ホリーの雰囲気が濃厚にある。デイヴィッド・ボックスはホリーの大ファンだったそうで、ソングライティングにもそれが反映されたのだろう。バディー・ホリーのムードが漂うクリケッツ盤のほうが好ましい出来である。

しかし、問題は出来不出来ではなく、やはりサーチャーズもバディー・ホリー関連の曲をカヴァーしていた、ということ。イギリスでのホリーの影響力は絶大で、ホリーがいない彼のバックバンドにも後光を与えるほどだったようだ。

◆ Some Other Guy ◆◆
3曲目は前回もふれたリッチー・バレットの曲のカヴァー。前回登場したTricky Dickyはバレットの45ではB面で、Some Other GuyのほうがA面だった。作者はジェリーリーバー&マイク・ストーラー、およびリッチー・バレットの三人。

The Searchers - Some Other Guy


Richie Barrett - Some Other Guy


前回も書いたように、もともとはヒットしなかったR&Bチューンで、リッチー・バレットもシンガーとしては目立ったものがない。

にもかかわらず、Some Other Guyはマージーサイドの複数のグループがレパートリーにしていた。その種を蒔いたのは誰か? 確証はないが、やはりこの四人組らしい。

The Beatles - Some Other Guy live at the Cavern 1962


ちょうどドラマーがピート・ベストからリンゴに交代した直後で、テイク2の終わりに、客が「We want Pete!」と叫んでいるのが聞き取れる。

めずらしくもジョンとポールがユニゾンで歌っているが、なぜそうなったかというと、二人ともリードをとりたがり、譲らなかったために、二人ともリードを歌うことにしたのだという!

ピート・ベストが首になった理由はいろいろ云われているが、たとえ人間関係の問題があったにせよ、「ドラマーとして十分な能力がなかったから」という公式声明も本音だろう。

ジョージ・マーティンがピート・ベストのプレイが気に入らないと云ったのも、嘘ではないだろうと思う(「ドラマーを替えろ」と「命じた」わけではないようだが)。

本番の録音には、マーティンはアンディー・ホワイトというプロフェッショナル・ドラマーを用意していた。テストの時に、ピート・ベストは使い物にならないと見切りをつけたから以外に、そんなことをする理由などあるわけがない。音楽ビジネスの論理である。

Some Other Guyに話を戻す。マーク・ルーイソンのThe Complete Beatles Chronicleで最初にこの曲が登場するのは、1962年8月、グラナダ・テレビが上記のクリップを撮影し、結局、お蔵入りにした事実に言及している箇所でのこと。

手元の資料ではこれ以上はさかのぼれなかった。おそらく、ビートルズの誰かがこのオブスキュアな曲を見つけてレパートリーにし、その結果、マージーサイドのグループの「共有財産」のようになっていったのだろうと想像される。

ジョンが家を出て行ったためにシンシア・レノンのもとに残されたジュークボックスには、リッチー・バレットのSome Other Guyのみならず、当時、リヴァプールで活躍していたこのグループのカヴァーも入っていた。

The Big Three - Some Other Guy


ビートルズはついにSome Other Guyをシングルにしなかった。ジョン・レノンはビッグ・スリーのヴァージョンを「あの時代」を偲ぶよすがにしていたのかもしれない。

◆ One of These Days ◆◆
つづいてはロニー・ホーキンズのロックンロール・チューン、といいたいが、それほどヘヴィーではなく、ロカビリー寄りの軽い仕上げの曲。

作者はロニー・ホーキンズ自身とジャクリーン・マギル。後者については、ほかにForty DaysやThirty Daysなどをロニー・ホーキンズと共作しているということぐらいしか判明しなかった。

The Searchers - One of These Days


Ronnie Hawkins - One of These Days


サーチャーズがこの曲を知ったのは、Forty DaysのB面としてだろう。Forty Daysはヒットしたので、見つけるのが困難な盤ではなかった。

Ronnie Hawkins - Forty Days


B面を狙う気持は、バンドをやったことがある人にはよくわかるだろう。周囲との競争意識があるので、A面を避け、B面を上手くやってみせ、「渋い」と云わせたいのだ。呵々。

ほかに、同じマージーサイドの仲間、スウィンギング・ブルー・ジーンズもこの曲をカヴァーしている。

The Swinging Blue Jeans - One of These Days


このスウィンギング・ブルー・ジーンズのアレンジが、いちばん趣味がいいと感じる。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


サーチャーズ
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

サーチャーズ
Meet the Searchers
Meet the Searchers

サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

クライアン・シェイムズ
Sugar & Spice (a Collection)
Sugar & Spice (a Collection)


サーチャーズ
Sugar & Spice
Sugar & Spice

クリケッツ
Fought the Law
Fought the Law

ジェリーリーバー&マイク・ストーラー(リッチー・バレットのTricky Dickyを収録)
The Leiber & Stoller Story Volume 3: 1962-1969
The Leiber & Stoller Story Volume 3: 1962-1969

ジェリーリーバー&マイク・ストーラー(リッチー・バレットのSome Other Guyを収録)
The LEIBER & STOLLER STORY VOL.2
The LEIBER & STOLLER STORY VOL.2

ビッグ・スリー
Cavern Stomp: The Complete Recordings
Cavern Stomp: The Complete Recordings

ロニー・ホーキンズ
Ronnie Hawkins & The Hawks + Mr. Dynamo (Bonus Track Version)
Ronnie Hawkins & The Hawks + Mr. Dynamo (Bonus Track Version)

スウィンギング・ブルー・ジーンズ
Good Golly Miss Molly: The Emi Years 1963-1969
Good Golly Miss Molly: The Emi Years 1963-1969

ビートルズ
On Air-Live at the BBC Volume 2
On Air-Live at the BBC Volume 2
[PR]
by songsf4s | 2014-02-14 22:33 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇3 1963年の3
 
ビートルズはどこかの段階、たとえば、セカンド・アルバムWith the Beatlesあたりで、アメリカ市場を意識した気配があるが、サーチャーズ以下、同時代にファブ4のすぐ近くで動きまわっていた他のバンドはどうだったのだろうか?

彼らはしばしばアメリカ音楽をカヴァーしたが、その意図は、まず第一に、やはり日本の子供たち同じように、純粋に「格好いい」と感じたからだったのだろう。

一歩進んで、録音し、リリースするという段階におよぶのは、それを受け入れるリスナーが存在し、したがって商品として価値があったからに違いない。

日本の場合、それは明白で、ビートルズ登場以前の日本の音楽番組、とりわけ「ザ・ヒット・パレード」では、主としてアメリカのヒット曲に日本語の歌詞をつけて、日本人が歌ったものが流された。

「ザ・ヒット・パレード」から生まれた典型的なヒット曲をひとつ。もちろん、オリジナルはジェリー・ゴーフィン&キャロル・キング作、リトル・エヴァが歌った大ヒット。

伊東ゆかり「ロコモーション」


ドラムを中心にサウンドがきわめて弱いのがこの時代の日本の盤の特長だが、これでも十分に需要があり、ヒットした。

このような現地の言葉に訳したローカル盤は、日本以外にも例があり、たとえば、イタリアではそれなりの数がリリースされたらしい。ボビー・ソロなど、60年代に活躍したイタリアの歌手のベスト盤を聴いて、それを感じた。

イギリスの場合、同じ英語なのだから、このようなローカル盤は必要ないのではないかと思ってしまうが、いろいろな盤を眺めると、やはり、一定の需要はあったのだろうと推測できる。

言語の壁はないのに、なぜローカル化の必要があったのか?

たぶん、親近感の問題だろう。テレビで日常的に見られ、サーキットに組み込まれて、しばしばツアーで近所のクラブにやってくるシンガーたちのヴァージョンのほうを好む気分はよくわかる。

初期ブリティッシュ・ビート・グループがアメリカの曲をカヴァーしたのは、「内向き」だったのだろうと思う。国内市場のみを意識した「ローカル盤」だ。63年いっぱいは、ビートルズをのぞいて、そういう意図だったのだと見なしている。

◆ Since You Broke My Heart  ◆◆
サーチャーズのデビュー・アルバム、残りは4曲となった。B面の3曲目は、エヴァリー・ブラザーズの曲、作者は兄のドン・エヴァリー。

The Searchers - Since You Broke My Heart


The Everly Brothers - Since You Broke My Heart


完コピかい、と笑ってしまう。異なるのは、ドンとフィル・エヴァリーの声か、トニー・ジャクソンとマイク・ペンダーの声かという点だけ、と云いたくなる。

エヴァリーズはイレギュラーなハーモニー・ラインをつくることは稀なのに対して、サーチャーズは変なヴォーカル・アレンジを何度かしている、という違いはあるのだが、それでも、こういう曲を聴くと、やっぱりエヴァリーズが根っこにあって、あのハーモニーが作られたのだということに得心がいく。

◆ Tricky Dicky ◆◆
つづいてのTricky Dickyは、またもしてもジェリー・リーバー&マイク・ストーラーの作&プロダクション、歌ったのはリッチー・バレット。

The Searchers - Tricky Dicky


Richie Barrett - Tricky Dicky


サーチャーズがどういう経路で、このようなあまり有名ではないシンガーのノン・ヒット曲にたどり着いたかは、容易に想像がつく。リッチー・バレットのTricky Dickyはこの曲のB面としてリリースされたからだ。

Richard Barrett - Some Other Guy


作者はジェリー・リーバー&マイク・ストーラーおよびリッチー・バレット自身。プロデュースもおそらくリーバー&ストーラーだろう。

このSome Other Guyはリヴァプール勢が好んでカヴァーし、ビッグ・スリーのヴァージョンがイギリスではヒットすることになった。後年、売却されて有名になったジョン・レノンのジュークボックスには、オリジナルとビッグ・スリーのカヴァーの両方が収まっていた。

このシングルのB面としてTricky Dickyを知り、それをカヴァーしようと考えたのはいいとして、では、なぜSome Other Guyにたどり着いたかと根問いすると、ううむ、となってしまう。

なにしろSome Other Guy自体がノン・ヒットだから、どこから出現したのかと思うが、例によって、あの4人組が見つけた可能性が高い。ではあるものの、ではビートルズはなんだって、Some Other Guyを拾い上げたのか、そのへんはよくわからない。

いずれにしても、サーチャーズはこのシングルのA面、B面双方をカヴァーしているので、後日、Some Other Guyにたどり着いた時に再考する。

また、シンガーではなく、裏方としてのリッチー・バレットというのはちょっと興味を惹かれるのだが、あまりにも煩瑣なので、ここでは控える。いつか後日に。

◆ Where Have All the Flowers Gone ◆◆
こんどは、このアルバムの中ではちょっと変わり種の曲、といっても、昔は日本の子供でも知っていた有名曲だが。作者はピート・シーガー、オリジナル録音もやはりシーガー自身。

The Searchers - Where Have All the Flowers Gone


Pete Seeger - Where Have All the Flowers Gone


やはりMoneyなどと比べると、サーチャーズのキャラクターには、こういう曲のほうがはるかに合っている。のちに、彼らはフォークロックの始祖と目されることになるが、その出発点がこの曲だった。いや、まだ意識はしていなかったのだろうが。

サーチャーズが依拠したヴァージョンは、しかし、ピート・シーガーのものではないだろう。イントロから、このヴァージョンをベースにしたことがわかる。どうでもいいことだが、わたしも子供の時、このキングストン・トリオのヴァージョンを持っていた。

The Kingston Trio - Where Have All the Flowers Gone


どういう加減か、日本ではキングストン・トリオよりブラザーズ・フォーのほうが受けがよかったが、いま聴いても、キングストン・トリオのハーモニーは好ましく感じる。当時のカレッジ・フォーク・グループのなかでも抜きんでた売れ方をしたのも当然だと思う。湿度が低く、あっさりしていて、厭味がない。

サーチャーズはもちろん、もうひとつのヒット・ヴァージョンも聴いていただろう。日本ではこちらのほうが好まれた。

Peter, Paul & Mary - Where Have All the Flowers Gone


PP&Mのハーモニーはきわめてイレギュラーで興趣尽きないが、しかし、この曲に関しては、キングストン・トリオのほうが格段にすぐれていると思う。

やはりサーチャーズは自分たちの柄に合ったヴァージョンに依拠したことが、これでおわかりだろう。

◆ Twist and Shout ◆◆
サーチャーズのデビューLP、Meet The Searchersの最後の曲は、またまた例の4人組のデビュー盤であるPlease Please Meのラスト・ナンバーと同じ曲である!

ライターはバート・ラッセル(バート・バーンズ)とフィル・メドリー、オリジナル盤はトップノーツというフィリーのブラック・コーラス・グループ、プロデューサーはアトランティックと契約したばかりだったフィル・スペクター。フィルとしてもごく初期の仕事で、まだ見習い中という雰囲気が濃厚だが。

The Searchers - Twist and Shout


The Top Notes - Shake It Up, Baby (Twist and Shout)


はじめて聴いた時の脱力感を引きずって、長いあいだ、トップノーツのヴァージョンはダメ、と決めつけていたが、これだけ時間がたち、コンテクストから切り離されると、そして、ジョン・レノンの圧倒的ヴォーカル・レンディションを棚上げするなら、これはこれで悪くないか、という気がしてきた。

フィル・スペクターの意図はじつに明快だ。タイトル通り、トゥイストのグルーヴで、というのが前提にあり(踊れなければ無意味だ)、そこに、師匠であるジェリーリーバー&マイク・ストーラーの得意技である、ラテン・パーカッションの味つけを施してみた、というところだろう。

結果的にドリフターズのムード、たとえば、Sweets for My SweetやSave the Last Dance for Meのような感触になり、冷静に見れば、エチュードとしては成功している、というほうに、当方の見方は180度変化してしまった!

作者のひとりであるバート・ラッセル(バート・バーンズほか変名無数)は、誰もがそうだったように、たぶんフィル・スペクターが嫌いだったのだろう、俺の曲を台無しにしやがって、と怒ったと伝えられている。

バート・バーンズは、あの思い上がりの小僧に手本を見せてやる、というので、自分でプロデュースをやり直し、そのヴァージョンがヒットすることになった。

じつにめでたい。お前はダメだ、俺が手本を見せるといって、それが失敗したら、格好がつかないではないか。そのバーンズ先生のお手本盤。しだれ尾の長々しキャリアを誇るアイズリー・ブラザーズのごく初期のヒット。

The Isley Brothers - Twist and Shout


なるほど。バーンズ先生のおっしゃることもよくわかる。タイトルなんかに気をとられて適切なテンポを見つけられないヤツは阿呆だ、グリージーな感覚がゼロだから、お前の盤は音も立てずに消えたのだ、と云いたかったのだろう。

後年、バート・バーンズは黒っぽい感覚のソングライティングとプロダクションで成功し、フィル・スペクターは黒さを洗い流した音でチャートを席捲することになる。立場の違い、考え方の違いにすぎない。

さて、この曲は如何にして英国に伝播したのか? やはり、ここでもあの4人組がリーダーシップをとったと推測するしかない。

ジョン・レノンとビートルズのレンディションは、バート・バーンズがやってもまだ残ってしまった甘さを殺し、この曲の深いところに組み込まれたセックスの暗喩を強調したものになっている。お手本というなら、ジョン・レノンのレンディションこそが理想的なものだ。

では、締めはそのファブ4ヴァージョン。スタジオ録音ではなく、最初のアメリカ・ツアーでのホットな、ホットな、ホットなパフォーマンスを。

The Beatles - Twist and Shout [HD] Live at the Washington Collisium, 1964



Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


サーチャーズ
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

サーチャーズ
Meet the Searchers
Meet the Searchers

伊東ゆかり
決定版 伊東ゆかり
決定版 伊東ゆかり

リトル・エヴァ
Locomotion
Locomotion

エヴァリー・ブラザーズ
Five Classic Albums
Five Classic Albums

ジェリーリーバー&マイク・ストーラー(リッチー・バレットのTricky Dickyを収録)
The Leiber & Stoller Story Volume 3: 1962-1969
The Leiber & Stoller Story Volume 3: 1962-1969

ジェリーリーバー&マイク・ストーラー(リッチー・バレットのSome Other Guyを収録)
The LEIBER & STOLLER STORY VOL.2
The LEIBER & STOLLER STORY VOL.2

Pete Seeger
エッセンシャル・ピート・シーガー
エッセンシャル・ピート・シーガー

キングストン・トリオ
Capitol Collectors Series
Capitol Collectors Series

ピーター・ポール&マリー
Peter, Paul And Mary (1st LP)
Peter, Paul And Mary (1st LP)

フィル・スペクター(トップ・ノーツのTwist and Shoutを収録)
ANTHOLOGY '59-'62
ANTHOLOGY '59-'62

アイズリー・ブラザーズ
Twist & Shout + 15 Bonus Tracks
Twist & Shout + 15 Bonus Tracks

ビートルズ
On Air-Live at the BBC Volume 2
On Air-Live at the BBC Volume 2

ビートルズ
Please Please Me (Dig)
Please Please Me (Dig)

ビートルズ(DVD)
The Beatles In Washington D.C. Feb. 11th, 1964 / (Dol) [DVD] [Import]
The Beatles In Washington D.C. Feb. 11th, 1964 / (Dol) [DVD] [Import]
[PR]
by songsf4s | 2014-02-10 22:50 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇2 1963年の2
 
用語のことを少々。

わたしが「初期ブリティッシュ・ビート」または略して「ブリティッシュ・ビート」と呼んでいる音楽は、われわれが子供のころの日本では「リヴァプール・サウンズ」と呼ばれた。

リヴァプール・サウンズという言葉を使わない理由は自明で、この一群の音楽をになったグループやシンガーはリヴァプール出身とはかぎらない、という一点に尽きる。

また、イギリスでは「マージー・ビート」という言葉がよく使われるが、これも「マージー河周辺のビート・グループ」という意味で、要するに日本語の「リヴァプール・サウンズ」の謂いにほかならず、同様に地域が狭く限定されている。

この用語は、地元の人々が好むものとして尊重はするが、われわれが使うのに適した言葉ではない。まあ、たまに気分転換として使うかもしれないが。

つまり、ロンドンやらグラスゴーやらトテナム(!)やらマンチェスターやら、そうした細かい差違はすっ飛ばし、イギリス全体を包含する用語が必要で、アメリカでよく使われる「ブリティッシュ・ビート」を選択した。

「初期ブリティッシュ・ビート」と、わざわざ「初期」というのにも理由がある。

65年あたりからのストーンズやヤードバーズの台頭以後、ブルース・ベースのグループが「表側」でも一大勢力となり、マージー勢を中心とする「イギリスの侵略」(「ブリティッシュ・インヴェイジョン」)の先鋒となったグループの(相対的に)ハーモニー重視のスタイルは、やがて押しのけられていくことになる。

この二大勢力は、重なる部分をもっているのだが、大きくニュアンスの異なる面もある。じっさい、ヤードバーズから語り起こすような「ロックな人」たちは、たとえば、ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスには興味を示さないだろう。

The Yardbirds - Jeff's Blues


Billy J. Kramer & the Dakotas - Bad to Me


後年になると、仕切り線が引かれて、わたしが「初期ブリティッシュ・ビート」と呼ぶ一群のグループは、切り捨てられていった。あるいは「別扱い」にされた、といえばいいだろうか。

歴史的に見て、なんの影響力をもたなかった、一過性の商業主義音楽、というように扱われたような印象をもっている。ストーンズ、ヤードバーズ、フーといったあたりから線を引っ張ったものが「ブリティッシュ・ビート」とされたようだ。

それはそれでいいのだが、そのために一群のシンガー、プレイヤーたちが、「まつろわぬ民」として、荒野に放り出されたことには、異議を唱えておきたい。

◆ Stand by Me ◆◆
それでは前回のつづき、デビュー・アルバムMeet the SearchersのA面の5曲目は、ドリフターズのリード・テナーだったベニー・キング独立後の大ヒット。作者であるジェリー・リーバーとマイク・ストーラーがプロデュースもした。

The Searchers - Stand by Me


Ben E. King - Stand by Me


あまりくどくどいう必要のない曲だろう。この録音の時はもうフィル・スペクターがリーバー&ストーラーに弟子入りしていた。この曲にハル・ブレインのヘヴィー・バックビート加えると、スペクターのスタイルができあがりそうな気がチラとする。

サーチャーズのヴァージョンはあまりしっくりこないが、たぶんこのデビュー盤は、ビートルズ同様、当時の彼らのステージでのレパートリーを再現したものなのではないかと思う。

ストレート・ロッカーと、このStand by Meのようなバラッドは、昔のバンドの両輪だった。チーク・タイム(などというものがリヴァプールのクラブにあったかどうかは知らないが)にこの曲をやっていたのだろうと想像する。

◆ Money (That's What I Want) ◆◆
デビュー・アルバムA面の6曲目は、バレット・ストロングのヒット、というより、モータウンのオーナーであるベリー・ゴーディーがジェイニーブラッドフォードと書いた、モータウン・レコード最初のヒットのカヴァー。

The Searchers - Money (That's What I Want)


Barrett Strong - Money (That's What I Want)


会社設立後まもないので、作者でもある社長の陣頭指揮の録音なのだろう、バレット・ストロングのオリジナルも、時代を考えれば、なかなかのサウンドだ。いいビートがあり、ちょっとした薬味程度のえぐさもあり、それでいて、白人市場から閉め出されない程度には洗練されている。

歌詞が歌詞なので(いや、それがこの曲のポイントだが)、あまりグリージーにやるわけにはいかず、そのへんの匙加減はわかっていたのだろう。そうでなければ、モータウンは成功しなかった。

サーチャーズはバレット・ストロングのオリジナルに依拠したのだろうか? たぶんそうではない。例によってこの四人がやっているのに刺激されたのだろう。

The Beatles - Money (With Pete Best, at the Cavern)


ビートルズはブライアン・エプスタインのネムズでバレット・ストロング盤を見つけたといわれている。エプスタインがファブ4を「発見」するに至るあの有名なエピソードをよもやお忘れではあるまい。ネムズは充実の品揃えを誇っていたのだ!

ビートルズがこの曲をやった結果、リヴァプールのキャヴァーンやら、ハンブルクのスター・クラブあたりをぐるぐる廻っていたバンドのあいだで、このMoneyは共有されるに至ったのだろうと想像する。

このようなシンプルなダンス・チューンというのは、ライヴ・バンドには必須のもので、やる側から云えばやりやすく(酔っぱらっていてもなんとかなるだろう!)、客の側から云えば、盛り上がりやすく、踊りやすい。

サーチャーズのキャラクターに合った曲だとは思わないが、以上のような事情から、彼らもこういう曲をレパートリーに入れておく必要があったに違いない。

以上三者のほかに、わが家には、エヴァリー・ブラザーズ、ルー・クリスティー、バディー・ガイ、ジュニア・ウォーカー、ハイ・ナンバーズ(ザ・フー)、トッド・ラングレン、スタンデルズ、ランディー&ザ・ラディアンツ、アンダーテイカーズ、リチャード・ウィリー&ヒズ・バンド、ローリング・ストーンズなどなど多数のカヴァーがあるが、やはり、With the Beatlesの最後に収録された彼らのスタジオ録音がベストだと思う。

以上のなかでは、このカヴァーがなかなか好ましい。やはりモータウンのロースターだが、このヴァージョンはヒットしなかった。

Richard Wylie & His Band - Money 1961


◆ Da Doo Ron Ron ◆◆
B面のオープナーは、フィル・スペクター・プロデュースによるクリスタルズの大ヒットのカヴァー。ジェフ・バリーとエリー・グリニッジ夫妻、およびフィル・スペクターの共作。すばらしい4分3連のライド・シンバル・プレイはもちろんハル・ブレイン。

The Searchers - Da Doo Ron Ron


The Crystals - Da Doo Ron Ron


とくにサーチャーズに合った曲には思えないし、ハーモニーの面白さもあまりない。アルバム・トラックとして、さしたるアレンジも施さずに録音したものだろうから、フィル・スペクターの金も時間もかけたプロダクションと比較しては気の毒だ。これまた、アメリカのヒット曲の軽いローカル盤のつもりだったか、あるいはライヴでのレパートリーだったのだろう。

フィル・スペクター=クリスタルズのDa Doo Ron Ronオリジナルは、ビルボード・チャート3位までいく大ヒットになった。チャート・トッパーになったクリスタルズの前作He's Rebelには、チャート・アクションの面では劣ったが、スペクターのプロダクション・テクニックはこの曲でさらに深まり、巨大な音のボールはサイズと強さを大きく増した。

He's a Rebelでフィル・スペクターが惚れ込んだハル・ブレインは、Da Doo Ron Ronでは正確で美しい4分3連のライド・シンバル・プレイでわれわれを圧倒する。

派手なフィルインは、ハル・ブレインのフロアタムではなく、ニーノ・テンポがマレットでキック・ドラムを叩いたと云われる。

フィル・スペクターにとっても、ハル・ブレインにとっても、文句なしの生涯の代表作である。

◆ Ain't Gonna Kiss Ya ◆◆
Ain't Gonna Kiss Yaはオリジナルを確定できなかった。

リボンズというLAベースのガール・グループのものがオリジナルである可能性が高いと感じるが、ノン・ヒットなので、さらにそれ以前に、誰も注目しなかった盤があった可能性は残る。

ソングライター・クレジットはJames Marcus Smithとなっていて、これはP・J・プロビーの本名。プロビー自身の盤は当時はないようで、ずっと後年の懐古的なアルバムで歌ったらしい。

プロビーはアメリカ人だが、シンガーとしてはイギリスで成功することになる。しかし、それは64年のこと。この時はまだアメリカ、おそらくはLA住まいだろう。

その根拠は、プロビーという芸名をつけたのがシャロン・シーリーであり、イギリスに渡ったのはジャッキー・デシャノンの紹介による、ということ。LAのソングライター・サークルと付き合いが深かったことがわかる。

The Searchers - Ain't Gonna Kiss Ya


The Ribbons - Ain't Gonna Kiss Ya


リボンズについてはほとんどなにも発見できない。LAのグループであり、メンバーはEvelyn Doty、Arthetta Gibson、LovieおよびVessie Simmonsの四人といった程度の記述しか見あたらなかった。

Discogsのリストには、Ain't Gonna Kiss Yaを含む2枚の45があるのみ。「のちにシークィンズ、サンドペイパーズになった」とあるが、「紙ヤスリ」なんてヤケクソな名前を選ぶようでは、もう先がなかったのがわかる。

リボンズ盤Ain't Gonna Kiss Yaのプロデューサーはマーシャル・リーブ、すなわち、テディー・ベアーズでのフィル・スペクターの相棒である。レーベルはMarshとなっている。マーシャル・リーブの会社なのだろう。

テディー・ベアーズのLPではアール・パーマーがドラム・ストゥールに坐ったが(最初のシングルのドラマーはサンディー・ネルソン!)、リボンズのAin't Gonna Kiss Yaも、どうもアール・パーマーのプレイに聞こえる。

ハリウッドのサウンドにはなってはいるものの、ハリウッド的洗練が強く感じられるものではないし、あまり叮嚀なアレンジでもなく、インスピレーショナルな録音とはいえない。マイナー・ヒットの可能性はあっただろうが。

惜しい、と思って拾い上げる気持はわかるが、サーチャーズの録音もそれほどインスピレーショナルとはいえない。少し速くしようという考えはけっこうだが、ちょっと速すぎて、かえって印象が薄くなった。

こんなノン・ヒットのオブスキュアな曲をどういう経緯で見つけたのやら。偶然、リボンズのシングルを聴いたのか、あるいは、パブリッシャーからデモがまわってきたのか……。

サーチャーズのヴァージョンは63年、それも秋のリリースらしいが、同年にはもうひとり、レイ・ピルグリムというイギリスのシンガーが、You'll Never Walk Alone b/w Ain't Gonna Kiss Yaというシングルをエンバシーからリリースしている。のちにスターリングスというグループ名でも再リリースしたようなのだが、逆の可能性なきにしもあらず。

レイ・ピルグリムの盤はサーチャーズとほぼ同時で、しかもシングルだが、B面ではあるし、この人のディスコグラフィーを見ると、ほとんど後追いばかりで、なんだか、パチモン専門のように感じられる。誰かがヒット・ヴァージョンと間違えて買うのを期待していたのか、なんて、厭味なことを思ってしまうほどだ。

興味が湧いてしまった方は、仕方ないから、ウィキのレイ・ピルグリムのエントリーの63年から64年ぐらいのリストをご覧あれ。この臆面のなさ。月に2枚ぐらいのペースで他人のヒットをじゃんじゃんリリースしている!


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう


The Searchers
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

The Searchers
Meet the Searchers
Meet the Searchers

The Yardbirds
Yardbirds Story (4CD Box Set)
Yardbirds Story

Billy J. Kramer & the Dakotas
Very Best of
Very Best of

ビリー・J・クレイマーとダコタス
ビリー・J・クレイマーとダコタス

Barrett Strong
Collection
Collection

The Beatles
On Air-Live at the BBC Volume 2
On Air-Live at the BBC Volume 2

Ben E. King
Stand By Me
Stand By Me

The Crystals
Da Doo Ron Ron: the Very Best of the Crystals
Da Doo Ron Ron: the Very Best of the Crystals

The Ribbons - Ain't Gonna Kiss Yaを収録、4枚組ボックス
Girl Group Sounds: One Kiss Can Lead to Another
Girl Group Sounds: One Kiss Can Lead to
[PR]
by songsf4s | 2014-02-08 22:43 | ブリティシュ・インヴェイジョン
【ブリティッシュ・ビート根問い】サーチャーズ篇1 1963年の1
 
今回からしばらくのあいだ、というか、オン&オフでかなり長々と、「ブリティッシュ・ビート根問い」と題して、初期ブリティッシュ・ビート・グループがカヴァーした曲の戸籍調べをする。

正月いっぱいかかった、「大滝詠一、フィル・エヴァリー、そして2パート・ハーモニー」というシリーズで、影響関係の毛糸のかたまりをそこそこ解きほぐせたように思う。だが、それはあくまでも中間結果、仮説を組み上げたにすぎなかった。

それを半歩進めて、「ブリティッシュ・ビート・グループがカヴァーしたのは、これこれの系統の曲が多い」と云うときに、統計的に依拠できる程度までは数字を確定したいと考え、くどい根問いをしようと思い立った。

すべての曲を集めたわけではないのだが、できるだけ省略せずに、彼らのカタログがどのような構成になっているかを検討すれば、なにか思いつくことがあるのではないか、という了簡のシリーズである。

まずは、カヴァー専門バンドと云いたくなるほど、カヴァー曲の選択とアレンジの上手さが特長だった、サーチャーズから取り掛かる。

◆ Sweets for My Sweet b/w It's All in Dream ◆◆
サーチャーズのことは概ねわかっているつもりだったのだが、いざ一曲一曲仔細に見ていくと、この曲はそもそもどこから出現したのか、と首をひねるものがずいぶんあった。

わかっていたのはヒットした曲ばかりで、B面やアルバム・トラックになると、本籍地がどこなのかさっぱり知れないものがかなりある。

イギリスはシングル曲がLPに収録されないことがしばしばあって、アルバム順というわけにはいかず、まずパイからのデビュー45。

イギリスではチャート・トッパーになったA面のSweets for My Sweetは、ドク・ポーマスとモート・シューマン作、オリジナルはドリフターズで、そちらもアメリカでヒットしている。

The Searchers - Sweets for My Sweet


The Drifters - Sweets for My Sweet


63年には、いわゆる「英国の侵略」はまだはじまっていないので、サーチャーズのカヴァーは、純粋に「ローカル盤」という意図だったのだろう。

サーチャーズの魅力の過半は彼らの声のミックスにあり、このデビュー盤でも、純粋なメイジャー曲であるにもかかわらず、彼らの特質である、ほどのよいメランコリーが加えられている。

ドリフターズのオリジナルは、彼らのトレイドマークになっていたラテン・パーカッションによる飾りつけがにぎやかで、ヒットも当然と感じる出来。残念ながら手元の盤にはプロデューサー・クレジットがない。いちおう検索したが、とりあえず判明しなかった。

ドリフターズのスタッフはみな白人で、こういうタイプのグループやシンガーというのが50年代から60年代にかけてはずいぶんあり、単純にR&Bないしはドゥーワップと色分けするのはためらわれる。初期ブリティッシュ・ビートに関係する曲にはこういうタイプがかなりあるので、いずれ数が揃ったところで再考するつもりだ。

B面のIt's All Been a Dreamの作者はChris Crummyとなっているので、検索したら、クリス・カーティス、すなわちサーチャーズのドラマーの別名とわかった。

カヴァー曲ではないので、この記事の対象ではないのだが、クリス・カーティスがデビュー盤のためにこういう曲を書いて、すでにこのようなヴォーカル・アレンジをし、スタイルを確立していたことは非常に興味深いので、いちおうクリップを貼り付ける。

The Searchers - It's All Been a Dream


◆ Alright ◆◆
つづいてデビューLP、Meet The Searchersへ。

アルバム・オープナーはすでに見たSweets for My Sweetなので飛ばして、2曲目のAlrightへ。ライター・クレジットは、Ross, Vanadoreとなっている。

これはJerry RossとLester Vanadoreのことで、前者はもちろんスパンキー&アワー・ギャングやカウシルズのプロデューサー。

後者は経歴不明で、Discogsには、Alrightのほかに数曲のクレジットがあり、どうやらアメリカのカントリー系のソングライター(あるいはパブリッシャーも兼業?)らしい。

Alright(またはAll Right)をやったのは、サーチャーズのほかに、スプートニクス、ゲス・フー、フレッシュトーンズとなっていて(ほかにペブルズという日本のグループもあるが)、後二者は明らかにサーチャーズよりあとの録音だから、オリジナルの可能性のあるのはスプートニクスのみ。

ではあるものの、山勘で云うと、その可能性は低い。アメリカのシンガーによるAlrightは発見できなかったが、ヴァナドーアの本籍地であるカントリーないしはロカビリー・シンガーのヴァージョンがあるのではないかという気がする。情報をお持ちの方はコメント欄かツイッターでお知らせいただけるとありがたい。

The Searchers - Alright


スプートニクスのヴァージョンはカヴァーだと思うが、いちおうサンプルを。

サンプル The Spootnicks - Alright

◆ Love Potion No. 9 ◆◆
これはイギリスではシングル・カットされず、65年になってアメリカでリリースされて、ビルボード・チャート3位までいく大ヒットとなった。

その余波は日本にまでおよび、日米において、サーチャーズの代表作とみなされている。わたし自身、子供のころにラジオで聴いた記憶のあるサーチャーズのヒットはこの曲のみ。

作者はアトランティック・レコードのドリフターズやコースターズをスターに押し上げた、ジェリー・リーバーとマイク・ストーラー、オリジナルはやはりアトランティックのクローヴァーズ。

クローヴァーズの盤ではプロデューサー・クレジットは発見できなかったが、There's a Riot Goin' On! The Rock'N'Roll Classics of Lieber and Stollerというライノの編集盤では、この曲はプローデュースもリーバー&ストーラーとされている。

The Searchers - Love Potion No. 9


The Clovers - Love Potion No. 9


こちらが色眼鏡をかけて見るせいなのか、歌詞はかなり濃厚にブードゥーの雰囲気があり、クローヴァーズのヴォーカル・レンディションもそれを前提にした、やや粘っこいものに感じる。

アップライト・ベースのオクターヴ上に、ギターで同じラインをかぶせる、クローヴァーズ盤におけるリーバー&ストーラーの手法は興味深い。これは60年代にハリウッドでしばしば利用される。リーバー&ストーラーに弟子入りしたフィル・スペクターによって、ハリウッドにもたらされたのかもしれない。

サーチャーズ盤は、例によって彼らの特質が明瞭にあらわれている。クローヴァーズ盤にあった、ややダーティーな味わいはきれいに洗濯され、ユーモラスな側面にアクセントのおかれた、軽い仕上がりだ。それがヒットの要因だろう。

サーチャーズ以降のヴァージョンをここにいちいち書くことはしないが、わたしの考えでは、そうしたカヴァーの大部分は、クローヴァーズではなく、サーチャーズ盤をベースにしている。クローヴァーズのオリジナルをはるかにしのぐ大ヒットとなり、サーチャーズの曲として記憶されたのだから、当然のことだが。

◆ Farmer John ◆◆
つづいてデビュー・アルバムの4曲目。作者はドン・“シュガーケイン”・ハリスとデューイ・テリー、すなわち、ドン&デューイの名でシンギング・デュオとして活動した二人であり、オリジナル録音も彼ら自身の歌。プロデューサーは木管プレイヤーのハロルド・バティスト。

The Searchers - Farmer John


Don & Dewey - Famer John

音がよくないのだが、これしか見当たらなかったのであしからず。手元にあるスペシャルティー・レコードのボックスに収録されたヴァージョンはまともな録音である。

ドン&デューイはR&Bではなくロックンロール・デュオと呼ばれることが多いようだが、やはり歌い方はブラック・シンガーのスタイルだし、ドラムのアール・パーマーを中心としたプレイヤーたちも、R&Bスタイルでやっている。

サーチャーズはこの曲をシングル・カットせず、アメリカでは以下のヴァージョンがヒットすることになった。

The Premieres - Farmer John


チャン・ロメロのHippy Hippy Shakeと並び、LAチカーノ・ロックの編集盤にはかならずといっていいほど収録されている曲で、このディック・クラークのアメリカン・バンド・スタンドの映像を見ると、はっきり彼らがチカーノであることがわかる。

しかし、これは1964年のリリース、サーチャーズよりあとの録音と考えて大丈夫だろう。

先は長いので、今回はここまで。これまでの曲を見ても、「ある傾向」を読み取れるのだが、その点もまた、もっと先にいってから、ゆっくり検討する。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう

The Searchers
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection

The Searchers
Meet the Searchers
Meet the Searchers

The Drifters
5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET
5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET

Jerry Leiber & Mike Stoller
(The Clovers - Love Potion No. 9を収録)
The Songs Of Leiber & Stoller [Import]
The Songs Of Leiber & Stoller [Import]
[PR]
by songsf4s | 2014-02-05 23:05 | ブリティシュ・インヴェイジョン
サーチャーズとクリス・カーティスのドラミング、選曲眼、そしてヴォーカル
 
今朝、ツイッターのタイムラインを見ていたら、ある方が「恋のマジック・ポーション」という曲のことをツイートしていて、似たようなタイトルのべつの曲を思い浮かべました。

The Searchers - Magic Potion


マジック・ポーション309番と、だいぶヴァージョン番号(?)は進んでいますが、もちろんこの曲はサーチャーズにとってはアメリカでのブレイクスルーになった大ヒット、Love Potion No. 9の続編です。

もっとも、正編のほうはアメリカのドゥーワップ・グループ、クローヴァーズのヒット(作者はジェリー・リーバーとマイク・ストーラー)がオリジナルだったの対して、こちらはルー・ジョンソンがオリジナルです(作者はバート・バカラックとハル・デイヴィッド)。

なぜ、続編が正編とは異なるライターによって書かれ、関係のないシンガーによって歌われたのか、そのへんの事情は知りません。しかし、歌詞を聴けば、どう考えても、Love Potion No. 9の続編であることは明かです。

Lou Johnson - Magic Potion


I'm keep on mixing that magic potion to stimulate her emotionという脚韻を踏んだラインがなかなかキュートな歌詞です。

以前、オフィシャル・キャロル・ケイ・ウェブサイトの「顧客リスト」(?)に、サーチャーズの名前があるのを見て、ちょっと先入観をもってしまったため、本気で検討したことがなかったのですが、Magic Potionを聴いていて、再び、ドラムはだれだったのかというのが気になってきました。

メイジャー・デビューのときのドラマーはクリス・カーティスという人です。デビュー・ヒットのSweet for My Sweet(ドリフターズのヒットのカヴァー)は正しいクリップがないので(近年の再録音やライヴばかり)、そのつぎのヒット、ジャッキー・デシャノンのカヴァー。

The Searchers - Needles and Pins


Magic Potion同様、精確なショットばかりで、文句なしのドラミングです。半小節分のフィルの使い方もMagic Potionに似ていて、同一のドラマーと措定して矛盾を感じません。

ドラムを叩いたことのない人は、手数の多いプレイヤーを「うまい」と思う傾向があるようですが、わたしはそうは思いません。ドラムはタイム・キーピングが第一の仕事です。昔のドラマーの多くは、走るか突っ込むかするもので、そういう人はどれほど速く叩けようと二流です。正しくないビートは、いくら数を積み重ねても、正しいビートには変換できないのです。

めったにいませんが(ドラマーに限らず、たいていのプレイヤーはタイムが早い)、タイムが遅れるのは最悪で、そういう人は三流ないしは論外です(ザ・バンドのドラマーが代表。異常に遅くて待ちきれず、気分が悪くなる。凡人はライヴでは心拍数があがり、タイムが少し早くなるので、ザ・バンドの場合、ライヴ盤はタイムが改善されている。めったにない奇怪な現象!)。

さらにいうと、ハード・ヒットに慣れたリスナー(わたしもそのひとり)は、ソフトなバックビートを聴くと、なんとなくうまくないような印象をもってしまう傾向もあるようです。

しかし、じっさいには逆です。たしかメル・テイラーが、はじめてヴェンチャーズのセッションで叩いたとき、ハード・ヒットはするなといわれて、むずかしかったといった趣旨のことをいっていましたが、ある程度の強さで叩いたほうがタイム・キーピングが楽で、弱く叩くとミスをしやすいものです。

後年のハード&へヴィーなドラミングの時代から振り返ると、サーチャーズのドラムはうまくないように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、タイムの面でミス・ショットがほとんどない精確なプレイで、同時代のイギリスやアメリカのバンドのドラマーの多くよりずっとすぐれていると考えます。

The Searchers - Don't Throw Your Love Away


Searchers - Someday We're Gonna Love Again


ここまでの四曲、わたしにはすべて同一のドラマーのプレイに思われます。クリス・カーティスが在籍した66年までのシングル曲に関するかぎり、違和感のあるトラックはありません。改めて、このタイムの安定感が、サーチャーズの魅力的ハーモニーの土台だったのだと、強く感じました。つねに、グッド・フィーリンがあるのは、安定したタイムの賜物です。

あれこれクリップを漁っていて、BBCライヴに遭遇しました。これでサーチャーズのドラマーに関する疑問は消えました。エンベッド不可クリップではあるし、アップローダーのコメントをご覧になっていただきたいので、ご面倒でもユーチューブのほうにいらしていただくしかありません。

The Searchers - Magic Potion (live, Chris Curtis on lead vocal)

この「ChrisCurtisFan」というハンドルのアップローダーのコメントによれば、1960年から66年まで、クリス・カーティスはサーチャーズのリーダーであり、シングルA面曲の選択をおこない、B面曲の多くを書き、アレンジでも中心的役割を果たした、のだそうです。そして、サーチャーズのアイデンティファイアともいえる、あのハイ・ハーモニーを歌っていたのも、クリス・カーティスだというのです。

リーダー兼ドラマーといっても、チャレンジャーズのリチャード・デルヴィーのように、ドラムはハル・ブレインに任せて、プロデュースに専念した人もいますが、ライヴを聴いても、タイムは安定していて、クリス・カーティスはスタジオでもプレイしたと、今回、改めて検討して、結論を出しました。

ブリティッシュ・ビートの第一波集団で比較すると、カーティスのタイムはトップでしょう。60年代中盤にはB・J・ウィルソンが登場しますが、タイムだけで云うなら、BJと比較しても、カーティスのほうが精確です。

サーチャーズ・ファンの多くは、彼らの安定感、品のよいサウンド、すばらしい選曲、そして、独特のハーモニーに魅力を感じているはずです。こうしてみると、結局、それは、クリス・カーティスのキャラクターだったのだという結論になります。

ということで、サーチャーズのハーモニーの特徴がよくあらわれた曲を。

The Searchers - It's In Her Kiss


このハイ・ハーモニーはわがフェイヴなのですが、クリス・カーティスの声だったわけです。そのへんのことをよくわかっていなかったのだから、我ながら驚き、また恥じ入りますが。

ライヴ・クリップを少々。

The Searchers - When I Get Home


なるほど、でした。この曲の場合、おおむねマイク・ペンダーとクリス・カーティスのデュエットで、ハイ・パートはカーティスが歌っています。

16分はすこし寸詰まる傾向がありますが(アール・パーマーといっしょで、「それがスタイル」という感じ)、よけいな力を入れず、リラックスして安定したバックビートを叩いていて、この時代のバンドのドラマーとしては異例といっていいでしょう。

The Searchers - Farmer John/Don't Throw Your Love Away (live)


クリス・カーティスは、ハーモニーでフラットしていますし(モニターがないうえに、ドラムを叩いているのだから、同情の余地はおおいにある)、ドラミングは、やはり16分ですこし拍を食っている(とくにストップからの戻りのフィルインの入りが微妙に早い)のがすこし気になりますが、当時のレベルでいえば、そんなのは小さな、小さなキズにすぎず、安定感のある、いいグルーヴをつくっています。

サーチャーズは子どものころに知っていたのはLove Potion No.9だけで、LPは後年の再発で買ったので、後追いなのですが、それにしてももう30年以上聴いてきたことになります。不思議なことに、その間ずっと、音だけで満足し、きちんと歴史を調べたことがありませんでした。

調べてみれば、サーチャーズの魅力というのは、じつは、マイク・ペンダーではなく、クリス・カーティスが中心になって生みだされたものだということがよくわかりました。無精はよろしくありません。

66年にサーチャーズを離れたあと、クリス・カーティスはジョン・ロードと親しくなり、サーチャーズのときのように、卓越した選曲眼を発揮することになります。

ジョン・ロードがディープ・パープルをつくり、この曲をカヴァーすることになったのは、クリス・カーティスの示唆によるものなのだというので、またまた驚きました。

Deep Purple - Hush


自分のバンドがなくなっても、まだ選曲眼のよさは十全に発揮していたわけで、「ぶれない」というのは、国民のすべてがウソだと見破っているいることを承知で、一貫してぶれずにデタラメを言い続けている大うそつき親玉政治屋ではなく、クリス・カーティスのような人に使うべき言葉でしょう。


Click and follow Songs for 4 Seasons/metalside on Twitter
metalsideをフォローしましょう



サーチャーズ(3枚組)
Definitive Pye Collection
Definitive Pye Collection


サーチャーズ
Sounds Like Searchers
Sounds Like Searchers


ルー・ジョンソン
Incomparable Soul Vocalist Big Top Recordings
Incomparable Soul Vocalist Big Top Recordings


ディープ・パープル
ハッシュ(K2HD/紙ジャケット仕様)
ハッシュ(K2HD/紙ジャケット仕様)
[PR]
by songsf4s | 2012-01-26 23:50 | ブリティシュ・インヴェイジョン