カテゴリ:Guitar Instro( 30 )
何のためにというわけでもなくSurf Music Night―ジャック・ニーチー、リッチー・アレン、ホワット・フォー
 
あらすじというのはじつに面倒なもので、うまく、面白く書くには技術を要します。MovieWalker(というか、もとはキネ旬だが)みたいになっては、面白い映画もみな駄作に見える、というか、なにがなんだかさっぱりストーリーがわからなくなってしまいます。

森一生監督『薄桜記』(五味康祐原作)は、プロットが複雑で、しかも、面白みは話の展開にかかっているタイプなので、簡単にあらすじを書くわけにもいかず、ああでもない、こうでもないと頭のなかでこねまわしているうちに疲労困憊して、ツイッターとユーチューブに逃げました。

とりあえず、ジャック・ニーチーを聴いてみました。当たり前の曲で、あえて貼りつけるまでもないのですが、これが起点になったので、いちおう置いておきます。

Jack Nitzsche - The Lonely Surfer


ドラムはハル・ブレイン、ダノ・リードはビル・ピットマン、ギターはトミー・テデスコ、記憶しているのはそれくらいですが、大サーフ・クラシックなので、とくに付け加えるべきことはありません。

リッチー・アレン&ザ・パシフィック・サーファーズがカヴァーしているのかと思って、そのクリップを聴いてみました。

Richie Allen & The Pacific Surfers - The Lonely Surfer


というように、まったくべつの曲ですが、これはこれでなかなかけっこうなサウンドです。ドラムはアール・パーマーでしょうか。スネアのサウンド、プレイがアールに聞こえます。

べつの記事に書いたかもしれませんが、リッチー・アレンとはすなわちリッチー・ポドラー、ハリウッド録音のさまざまなギター・インストなどにクレジットされているギター・プレイヤーです。

当然、パシフィック・サーファーズというのも、スタジオ・プレイヤーたちに決まっています。ドラムはハル・ブレインかもしれません。

しかし、なんだか、聴いたような気もするので、検索してみたら、ちゃんともっていました。たんに記憶からとんでいただけでした。

もうひとつ、The Lonely Surferの関連クリップを聴きました。これが思わぬセレンディピティー、って、予想していてはセレンディピティーになりませんが。

The What Four - Gemini 4


アップローダーの説明によれば、リプリーズ・レコードのリリース、プロデューサーはディック&ディーディーだそうで、つまり、ハリウッド録音、プレイしたのはハリウッドのスタジオ・プレイヤー、ということまでは読みとれます。

ディック&ディーディーをいちおう聴きましょう。

Dick & Dee Dee - Thou Shall Not Steal


この曲のドラムはハル・ブレインでしょう。であるなら、というので、検索してみたら、Vinyl Highway: Singing as Dick and Dee Deeというディーディー・フェルプスの回想記に、ドラムはハル・ブレインかアール・パーマー、ベースはレイ・ポールマンかキャロル・ケイであると、ちゃんと書かれていました。

これでディック&ディーディーとレッキング・クルーの関係ははっきりしました。したがって、ホワット・フォーという、おそらくシングル1枚をリリースしただけで消えたグループも、いつものスタジオ・プレイヤーたちの仕事と考えて問題ありません。

ということで、案外な拾いもの、と思ったのも当然、「あのバンド」だからうまくてあたりまえ、というアンチ・クライマクスでした。

しかし、ほんとうはつぎの曲を聴こうかと思って、似たタイトルの曲に流れてしまっただけなのですが。

The Ventures - Gemini


これだけ完璧にプロフェショナリズムに徹したプレイとなると、ツアー用ヴェンチャーズなんかひとりも参加していないのは見え見えで、悲しいものがありますなあ。わっはっは。


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ジャック・ニーチー
Lonely Surfer
Lonely Surfer


リッチー・アレン&ザ・パシフィック・サーファーズ
Surfer's Slide
Surfer's Slide


ディーディー・フェルプス著
Vinyl Highway: Singing As Dick and Dee Dee
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by songsf4s | 2011-12-28 00:34 | Guitar Instro
スティーヴ・クロッパーの5ロイヤルズ・トリビュート
 
つぎも映画でいこうと思っていたのですが、候補にあげたものの見直しが終わっていないので、それまでのあいだ、最近聴いたスティーヴ・クロッパーのアルバムのことを少々書きます。

もちろん、わたしはブッカー・T&ザ・MG'sのファンなので、スティーヴ・クロッパーはMG'sで聴くのがいちばんいいと思いますが、アル・ジャクソン没してすでに四十年近くがたち、MG's抜きのスティーヴ・クロッパーもずいぶん聴きました。

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MG'sほどタイトに縫い上げられたバンドは稀なので、MG'sという文脈で聴いていては意識しないことがずいぶんあるものだと、MG's以外で聴くと思います。

ネッド・ドヒーニーのバッキングにまわったときのクロッパーも興味深いものでしたし、最近ではFelix Cavariereとの2枚のアルバムでも、なるほどねえ、と思いました。

理屈をこねる前に、スティーヴ・クロッパーの今年リリースされたアルバム、Dedicated a Salute to The 5 Royalesから一曲。これがとくにいいというわけではないのですが、クリップがあまりないのです。

Steve Cropper with Brian May on vocal - I Do


スティーヴ・クロッパーはテクニックで聴かせるタイプのプレイヤーではないのですが、昔から独特のダウン・トゥ・アースな味をもっていて、この最新作を聴くと、そういうことというのは、年をとっても変わらないものだと再確認させられます。

Dedicated a Salute to The 5 Royalesというタイトルが示すように、今回のアルバムは、スティーヴ・クロッパーがつねに称揚していたギタリスト、ロウマン・ポーリングのグループ、ファイヴ・ロイヤルズの曲をカヴァーしたものです。

トリビュート・アルバムなどまったくなんの関心もありませんが(そんなものを聴く時間があったら、トリビュートされたほうの本物を聴く)、この場合は、トリビュートされた客体ではなく、トリビュートした主体のほうに興味があるのであって、トリビュート・アルバムとして聴いたわけではありません。

じっさい、ファイヴ・ロイヤルズの盤は買ったことがなく、もっているのは、オムニバスに収録された数曲だけですし、シレルズのDedicated to the One I Loveのオリジナルをやったコーラス・グループ、というテキトーな認識をしているだけでした。

とりあえず、ファイヴ・ロイヤルズによるI Doのオリジナルを聴いてみましょう。

The "5" Royales - I Do


時期を考慮すれば、なかなかけっこうな仕上がりですが、カヴァーしやすいタイプの曲だということも明らかです。それに、肝心のロウマン・ポーリングのギターが活躍しません。

もう一曲、こんどはストレートなブルーズで、ゲスト・ヴォーカルはなし、スティーヴ・クロッパーのギターのみです。

Steve Cropper - Help Me Somebody


こういうものはどうとでも加工できるので、生まれもつかぬアレンジになっても驚かないのですが、案外、ストレートにカヴァーしていました。

The "5" Royales - Help Me Somebody


しかし、これでもやはりロウマン・ポーリングのギターがどうだったのかはさっぱりわかりません。スティーヴ・クロッパーのカヴァーのクリップはないのですが、たとえば、つぎの曲ではギターが活躍します。

The "5" Royales - Slummer the Slum


なるほど、これなら、スティーヴ・クロッパーが、おおいなる影響を受けた、というのもわかります。サウンド、アプローチがオーソドクスではなく、1959年という時期を考えれば、かなり先鋭的といえます。

クリップがあまりないので、サンプルをアップしました。このアルバムのベスト・プレイというわけではありませんが、オープナーですし、ゲスト・シンガーはほかならぬスティーヴ・ウィンウッドなので、この曲を。

サンプル Steve Cropper with Steve Winwood on vocal "Thirty Seconds Lover"

さすがのスティーヴ・ウィンウッドも年をとったか、と思わなくもありませんが、それはさておき、なかなか魅力的な仕上がりのトラックです。近年のディフォルトだった、うっとうしいまでに重い低音というのは影を潜めはじめたようで、まことに欣快に堪えません。

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こういうプレイを聴いていると強く感じるのですが、結局、ギターという楽器は、速さでも、正確さでもなく、ニュアンスなのでしょう。

スティーヴ・クロッパーより速く弾けるプレイヤー、正確に弾けるプレイヤーは掃いて捨てるほどいますが、彼ほどチャーミングなプレイ、サウンドを聴かせてくれる人はめったにいません。

大看板の落語家の晩年のように、芸が磨かれて、スティーヴ・クロッパーはじつにいい年のとり方をしたと思います。年をとっても十年一日、相も変わらず、ただ正確なだけの、味わいなどなにもない退屈なプレイばかりしているあのギタリストなんかとは、土台、人間の出来が違うのでしょう。。

ギターだけを取り出せば、アルバムDedicated a Salute to The 5 Royalesにはもっとすぐれたプレイがいくつも入っているので、その点は誤解なきよう。ヴォーカルがあまり好きではないものが多く、ウィンウッドが歌うこのトラックをサンプルに選んだだけです。インスト曲も、クリップに選ばれたものより、いいものがあります。Thinkのほうがよほど盛り上がるのに、なぜあんなだるいブルーズにしたのやら……。

最後に、ファイヴ・ロイヤルズのThirty Seconds Loverを。

The "5" Royales - Thirty Second Lover


この記事のために、ほかのスティーヴ・クロッパーのアルバムも参照したので、次回はそのあたりを取り上げる予定です。


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スティーヴ・クロッパー(CD)
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ファイヴ・ロイヤルズ(Thirty Seconds Lover収録)
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by songsf4s | 2011-10-04 23:36 | Guitar Instro
The Instrumental Dave Clark Five ドゥエイン・エディーの落とし子としてのDC5
 
前々回の「ジェイムズ・ボンド・テーマはだれがつくったのか: ヴィック・フリック・ストーリー」という記事に書きましたが、ヴィック・フリックのギターを聴いていて、思い出した曲があります。

The Dave Clark Five - Sweet Memories


これをはじめて聴いたとき、『ア・ハード・デイズ・ナイト』のRingo's Themeみたいだな、と思いました。

じっさい、この曲は彼らの唯一の主演映画『五人の週末』(英題Catch Us If You Can、米題Having a Wild Weekend)の挿入曲だったようです。『五人の週末』は小学校六年のときに一回見ただけなので、記憶から抜け落ちてしまい、後年、CDで聴いたときは、はじめての曲に感じました。

『五人の週末』予告編


なんだか散漫な予告編ですが、映画の出来自体もどうというほどのものではなく(十数年前、アメリカの友人がVHSを見つけてくれて再見できた)、DC5の熱心なファンと、スウィンギング・ロンドンのファッションに興味のある人、そして、断簡零墨までほしいというジョン・ブーアマン・ファン以外には用のないものでしょう。『ポイント・ブランク』から入ったブーアマン・ファンはがっかりすると思います。

しかし、63年から66年までのDC5はつねにハイ・レベルのアルバムをつくっていて、OST盤の出来はちょっとしたものです。Catch Us If You Can、Having a Wild Weekend、Whenの三曲が入っているだけで十分に価値がありますが、New Kind of Love、I Said I Was Sorry、Don't You Realiseといった歌ものはいずれも文句なし、さらに、他のアルバムでは一曲ぐらいしか聴けないインストが五曲も入っていて、その面でも好ましいものになっています。

Sweet Memoriesは、オーセンティックなDC5サウンドとはいえず、映画の挿入曲ということもあって、セッション・プレイヤーの録音をDC5名義にしたのではないか、という疑いが頭をもたげますが、とりあえず判断はできません。

ひとつだけいえることがあります。彼らがEMI(レーベルはColumbia)と契約する以前に、Ember(チャド&ジェレミーの最初のレーベルだった)からリリースしたシングルにもよく似た雰囲気のインストがあります。

The Dave Clark Five - First Love


これは、ドゥエイン・エディーの曲です。

Duane Eddy - First Love First Tears


ドゥエイン・エディーはイギリスで絶大な人気があり、ブリティッシュ・インヴェイジョン時代のバンドのギタリストの多くに影響を与えていますし、前々回に取り上げたヴィック・フリックも、エディーの影響であのようなサウンドをつくったと語っています。

わたしが、ヴィック・フリックを聴いているうちに、なんだかデイヴ・クラーク・ファイヴに似たようなインストがあったな、と思ったのも、あいだにドゥエイン・エディーをはさめば、当然ということになります。

もう少しデイヴ・クラーク・ファイヴのインストを並べてみます。まずは、同じサントラ盤から。

The Dave Clark Five - On The Move


こちらのほうは、セッション・プレイヤーではないか、なんて疑いはまったく感じません。スネアのサウンド、四分三連のフィルをはじめとするプレイ(基本的なタイムは悪くないのだが、けっこうミスが多い。この曲のイントロはかなり危ない)、ともにデイヴ・クラークその人だと感じますし、他のパートのプレイも、録音スタイルもいつものDC5です。

つぎの曲もまた、いかにもDC5らしいサウンドです。前の曲とタイトルが紛らわしいのは困ったものですが。

The Dave Clark Five - Move On


ストレート・ロッカーだから、ドラム・サウンドで判断できるわけですが、バラッドでも、DC5らしいと感じないでもないトラックがあります。

The Dave Clark Five - Theme Without A Name


60年代のポップ・グループによるバラッドの特徴であって、DC5だけの味というわけではないのですが、とりわけDC5のバラッドは、湿度がきわめて低く、さわやかな甘さがあります。

ねっからのファンなので、DC5をあれこれかけていると、止まらなくなります。ヴィック・フリックからの連想で、今回はインスト曲を並べましたが、DC5はマイク・スミスのヴォーカルを中心としたバンドであって、シャドウズのようなインスト・グループではありません。次回以降、数回にわたって、DC5の本線の曲を聴いてみようと思います。


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デイヴ・クラーク・ファイヴ
Vol. 2-Having A Wild Weekend/Weekend In London/Coast To Coast
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デイヴ・クラーク・ファイヴ
Vol. 1-Glad All Over/Return!/American Tour
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by songsf4s | 2011-09-02 23:52 | Guitar Instro
ジェイムズ・ボンド・テーマはだれがつくったのか: ヴィック・フリック・ストーリー
  
何度かご紹介していますが、ヴィック・フリックというイギリスのセッション・ギタリストがいます。

知らない人はいないだろうというフリックの代表作はいうまでもなく、あの曲です。

Vic Flick - James Bond Theme


ヴィック・フリックのオフィシャル・サイトによると、このときのギターは、クリフォード・エセクスのパラゴンで、アンプはヴォックスだったそうですが、その状態を再現したライヴのクリップがありました。

Vic Flick - James Bond Theme (live)


改めてフリックのバイオを読んでいて、以前にも、たとえば「James Bond Theme その1 by John Barry & Orchestra (OST)」といった記事で取り上げた、James Bond Themeはだれが書いたのか、という問題を思い出しました。

ジョン・バリーは、あの曲を書いたのは自分であって、モンティー・ノーマンではないという訴訟を起こし、敗訴しているそうです。

フリックのサイトでは、『ドクター・ノオ』公開まであと三週間という時期になっても、ノーマンはメイン・テーマを書き上げられず、プロデューサーのブロッコリが、ジョン・バリーに話を持ち込み、フリックのすばらしいギター・プレイの助けもあって、無事に間に合わせることができた、としていました。

ヴィック・フリックはジョン・バリー・セヴンのギタリストだったのだから、バリー寄りの見解だという点に留意すべきでしょうが、フリック側のヴァージョンでは、モンティー・ノーマンがメイン・タイトルを書けなかったから、プロデューサーが業を煮やして、ジョン・バリーに依頼した、と読めます。

逆にいうと、モンティー・ノーマンがメイン・タイトルを書いていれば、ジョン・バリーとヴィック・フリックが『ドクター・ノオ』のスコアに関与することはなかったはずで、したがって、法廷の判断とは逆に、バリー勝訴のような気がしてきます。

◆ ヴィック・フリック・サウンド ◆◆
これまた以前にも貼り付けたクリップですが、ヴィック・フリックの話題なので、重複をいとわず、またおいておきます。映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』より。

Ringo's Theme


ジェイムズ・ボンド・テーマとリンゴのテーマの二曲から、子どものわたしは、こういうギターを「イギリスっぽい音」と考えました。しかし、わかってみれば、イギリスがどうしたとかいうあいまいな話ではなく、ヴィック・フリックというプレイヤーが、ドゥエイン・エディーのトワンギン・ギターを参考につくったサウンドだったのです。

当然、こういうサウンドに対するささやかな固着が生まれ、ノスタルジーを感じるようになり、したがって、フリックのほかのものも聴いてみたいとかねてから思っていました。そして、やっとフリック名義のアルバムを聴けました。何度もとりあげたヴィック・フリックのことをまた書く気になったのは、そのせいなのです。

1969年のアルバム、West of Windwardより、アルバム・カット。

Vic Flick Sound - West of Windward


いささか拍子抜けでした。勝手にギター・アルバムを予想したほうがいけないといえばそのとおりなのですが、8ビートのラウンジ・ミュージックというおもむきで、フリックのギターは、それほど活躍しませんし、サウンドも「あの音」ではありません。

まあ、1969年というと、もうギター・インストの時代ではないので、ギターを前面に押し立てたサウンドでは無理、トータルなサウンドで勝負ということなのかもしれませんが、やはりちょっとがっかりです。この曲だけがそうだというわけではなく、アルバム全体を聴いても、やはり、このオープナーに代表されるようなサウンドです。

なんだか竜頭蛇尾で悔しいので、いかにもフリックらしいサウンドの曲を貼り付けます。

The John Barry Seven - Watch Your Step


もう一曲、ぐるっと回って映画のテーマを。

The John Barry 7 - Beat Girl


タイトル・シークェンスを見るかぎりでは無軌道ティーネイジャーものという雰囲気ですが、サウンドとしては、すでにスパイものの雰囲気があり、ブロッコリはちゃんとこういうジョン・バリーの仕事を知ったうえで、『ドクター・ノオ』がピンチにおちいったときに、バリーの起用を思い立ったのだということが推測されます。

ずっとヴィック・フリックのサウンドを聴いていて、思いだした曲があるので、次回はできれば、それを取り上げたいと思います。


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ジョン・バリー・セヴン(MP3ダウンロード)
Seven Faces (1995 - Remaster)
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ジョン・バリー・セヴン(中古CD)
Beat Girl O/S/T
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ジェイムズ・ボンド映画音楽集
Best of Bond: James Bond (Score)
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by songsf4s | 2011-08-31 23:48 | Guitar Instro
クライム・ギターズ: 60年代スパイ、クライム映画音楽
 
このところ無休でやっていたので、たまにはいいかと昨夜はのんびりしていたのですが、なにもしなくても、いちおう当家を開いてみようというお客さんも多数いらっしゃって、そうなると根が貧乏性の小心者、そぞろ落ち着かない心地になります。

どうせ今日はうちにいるのだから、久々のリアルタイム更新をしようと思います。午前中の二時間ほどを使って、曲を並べてみます。が、そのまえに、ちょいと落語を。

今日はそっちのほうに行くつもりはないのですが、8月15日とくれば(大東亜戦争ではなく)怪談だなあ、とひとりごちました。桂小南で知ったのではなかったかと思うのですが、ユーチューブにはこの人のものがありました。

桂枝雀「皿屋敷」


多くの落語がそうですが、骨格だけを取り出せば、この「皿屋敷」も短い噺です。どう引き延ばすのかと興味深く聴きましたが、なるほど、やはり演出の仕方にはその人の地が出るもので、いかにも枝雀らしい肉付けでした。

もうひとつ、こんどはお江戸のほうで、のちの六代目三遊亭圓生によるものがありました。SP盤なら短いから骨格の明瞭なものだろうと思って聴いたのですが、予想はみごとに外れました。

三遊亭圓生(橘家圓蔵)「皿屋敷」


エンタツ・アチャコの早慶戦がヒットしたことを受けたものなのか、「皿屋敷」にラジオの実況中継をはめこむという、後年の圓生とは異なったスタイルの演出で、さすがに若いなあ、と思いました。

芝居などでは、皿屋敷は「番町皿屋敷」の外題で、東京の麹町での出来事に置き換えられていますが、もともとは「播州皿屋敷」で、上方からきた伝説のようです。子どものころに映画を見た記憶があるのですが、だれが主演だったかも記憶から飛んでしまいました。

昔、ライノがCrime Jazzという2枚シリーズをリリースしたとき、そういうのは好きだなあ、でも、俺がなじんできたのは、そっち方面ではなく、ポップ/ロック系なんだけど、と思いました。

先日、サーフ・ミュージックを束にして並べたとき、十代はじめの音楽的気分の在処としては、サーフの隣はスパイだ、なんて思いました。今日はそのあたりを、いい加減かつテキトーに思いつきで並べます。

まずはビリー・ストレンジ御大のダノ・リードで、若き日のジェリー・ゴールドスミスの代表作を。



ライノの編集盤のいう「クライム・ジャズ」というのは、ジュールズ・ダッシンの「裸の町」あたりに代表されるようなフィルム・ノワールないしは犯罪映画に付された、ジャズ系の映画音楽を指しているようです。

OSTとしては、ギターをリード楽器にした8ビートのものというのは少ないのですが、しかし、この分野を切りひらいたとも目されるヘンリー・マンシーニの曲は、8ビートでした。ドゥエイン・エディーのカヴァーでその曲を。

Duane Eddy - Peter Gunn


エディーのギター・サウンドは妙にこの曲に合っていて、楽しいサウンドですが、あのギター・リックを繰り返す以外にはやりようがなかったようで、メロディーはサックスが引き受けているところで、思わず笑ってしまいます。

デビュー・ヒットはアリゾナで録音し、あとからハリウッドでプラズ・ジョンソンのサックスをオーヴァーダブしたといわれていますが(こういうのはうっかり信用すると思わぬうっちゃりを食らうことがあるが)、この曲もプラズのプレイだったりするのでしょうか。

ちょいと予定変更で、つぎの曲でいったんおしまいにし、午後、もう何曲か追加することにします。おあとが気になる方は昼下がりにでもまたおいでください。

The Marketts - Batman


またしても、マイケル・ゴードンの名前がくっつけてありますが、泥棒のことは無視してください。ドラムはハル・ブレイン、ギターはトミー・テデスコ、プロデュースはジョー・サラシーノです。

それではここでおなか入り、午後にまた。

さて、後半です。もっと早くはじめるつもりだったのですが、タイトルを忘れてしまった曲を探して、手間取ってしまいました。

タイトルはわかったものの、ユーチューブに目的のクリップはなく、かわりにカヴァーだというクリップがあったのですが、これがほぼ完璧なコピーで、長い時間をかけて本物と比較していたため、手間取ってしまいました。

映画『077/地獄のカクテル』よりDriftin'


これをお聴きになれば想像がつくでしょうが、もとはシャドウズです。わたしだったら、このクリップにシャドウズと書いてあれば、そのまま信じてしまうくらいに完璧にそっくりです。

ちがうのは、イントロのハイハットの途中で、このカヴァーにはキック一打が入っていることぐらいで、あとはミックスによるニュアンスの違い程度しかわかりません。適当にリミックスしたものを、カヴァーといってアップした、というのが、わたしの推測ですが、はてさて。

映画は、中学のときに見たきりで、なんともいいかねますが、くだらねえな、ジェイムズ・ボンドの物真似のなかでもCクラスだ、とせせら笑ったことだけ記憶に残っています。

予告編を貼りつけますが、まあ、見ないほうが賢明だと思います。この記憶から飛んでしまったマット・モンローもどきの主題歌はエンニオ・モリコーネによるもののようです。



二度出てくる屋根から転げ落ちるスタントはがんばっています。イタリアあたりは、危険なことを平気でやる傾向があったので、そのせいじゃないでしょうか。うーむ、なんだかひどい時代に映画少年をやっていたような気がしてきて、落胆しました。

映画やテレビドラマの曲のカヴァーというわけではなく、スパイ映画をイメージした音楽というのもつくられました。わたしとしてはもっとも意外だったのは、この曲がそうだったということ。レズリー・ギターはビリー・ストレンジ、ドラムズはハル・ブレイン、ベースはキャロル・ケイ。

The Beach Boys - Pet Sounds


このメロディーを思いついたとき、ブライアン・ウィルソンの頭にあったのはスパイ映画だったそうで、そういわれれば、そうかもしれないなあ、と思ういっぽう、ずいぶん原型から遠いテクスチャーへと加工したのだろうとも思いました。

たんなる調査不行届にすぎず、映画ないしはテレビの音楽をカヴァーしたものである可能性も残りますが、つぎの曲も、クライム・ストーリーないしはスパイものをイメージしてつくられたものだろうと思います。

Al Caiola - Underwater Chase


けっこうなサウンドで、どうしてアル・カイオラの人気がないのかと不思議です。曲としても魅力的ですし、カイオラのプレイ、サウンドもけっこうなものです。

つづいて、いまもって人気の高いイギリスのドラマのテーマ曲。「プリズナーNo.6」



「秘密情報部員ジョン・ドレイク」の主演だったパトリック・マグーハンの新しいドラマというので、スパイものだと思って見はじめたら、あれですから、中学生はびっくりしました。家族にはひどい不評でした。まあ、そうでしょうね。

以前にも書きましたが、この曲でギターをプレイしたのはヴィック・フリックという人で、ジェイムズ・ボンド・テーマや『ア・ハード・デイズ・ナイト』に出てくるThis Boyのインスト・カヴァー、Ringo's Themeも、フリックのプレイです。フリックはジョン・バリーのバンドでギターを弾いていたそうで、それで映画のテーマをプレイすることになったようです。

それではそのJames Bond Themeを。



やはりよくできたテーマで、曲としてもちょっとしたものですが、ヴィック・フリックのサウンドは耳に残りますし、じっさい、この分野のスタンダードとなった印象があります。

やはりジェイムズ・ボンドのテーマ曲、こんどはビリー・ストレンジのカヴァーで。ドラムズはいつものようにハル・ブレイン。

Billy Strange - Goldfinger


おつぎは、わたしらの世代の子どもがギターをもつと、かならずといっていいほど弾いた曲です。1弦を開放にして、2弦を開放から半音ずつ上げ下げしながら2本の弦を交互にピッキングするだけなので、まだコードもわからないうちに弾けるリックでした。

Sandy Nelson - Secret Agent Man


サンディー・ネルソンの盤でじっさいにドラムをプレイしたのはたいていの場合、アール・パーマーであったことはすでに何度か書きました。この曲も、精確なタイムで、ネルソンのプレイである可能性はゼロ、アール・パーマーと断言します。

サンディー・ネルソンは、フィル・スペクターの知り合いで、彼のデビュー・ヒット、To Know Him Is to Love Himでストゥールに坐ったことで知られます。

ゴールド・スター・スタジオのオーナー、スタン・ロスだったか、デイヴ・ゴールドだったか、どちらかがそのときのことを回想して、ひどいドラマーだった、といっていました。才能あるドラマーは、テクニックは未熟であっても、若いころからタイムだけは精確なものです。

ロスないしはゴールドが、ひどいドラマーだったといったとき、当然、タイムが不安定なことを指しているに違いありません。そんなにひどいタイムのドラマーは、長年プレイしても、タイムが安定することはありません。このSecret Agent Manのドラマーが、名義人のサンディー・ネルソンのはずがない、と断言するゆえんです。

こういう商売のやり方は60年代のハリウッドでは日常茶飯事でした。だから、ヴェンチャーズがスタジオ版とツアー版でメンバーが異なるなんていうのは、べつに驚くようなことではないのですがねえ。いやまったく、疲れることです。

疲れたところで、本日は擱筆します。この続きはやるかもしれませんし、やらないかもしれません。


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ビリー・ストレンジ(MP3)
Secret Agent File
Secret Agent File


ドゥエイン・エディー(ライノ2枚組)
Twang Thang-Anthology
Twang Thang-Anthology


マーケッツ
Batman Theme
Batman Theme


シャドウズ
Complete A's & B's
Complete A's & B's


ビーチボーイズ(モノ/ステレオ)
ペット・サウンズ(MONO&STEREO)
ペット・サウンズ(MONO&STEREO)


ジェイムズ・ボンド編集盤
Best of Bond: James Bond (Score)
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by songsf4s | 2011-08-15 09:25 | Guitar Instro
エレクトリック・シタール・クレイズ ヴィニー・ベル篇
 
今日は一日外で遊んでいたので、ごく軽く、先日の「エレクトリック・シタール・クレイズ」の補足のようなことをやります。

エレクトリック・シタール・ファン(なんて人がいると仮定して。いや、ひとりだけ、ツイッターでご近所の方が公言されていたが)にとっては、貴重な時代の証言がユーチューブにアップされていました。ていうか、思わず笑いますが。

The original electric sitar craze!!!


いったい、これはなんなの、です。スタイルはニュースですが、エレクトリック・シタールはすごいぞ、なんてニュースにならんでしょう。ニュース風につくったCMでしょうか。If you play guitar, you can play the sitarというのがCMっぽい語呂合わせです。

彼の名前を冠したエレクトリック・シタール・モデル(ダンエレクトロ)があるくらいで、ヴィニー・(ヴィンセント・)ベルは、エレクトリック・シタール・プレイヤーとして有名だったようです(当時はそんなことは知らなかった)。そもそもエレクトリック・シタールを発明したのはベルだったともいわれているようですが、これはべつの見方もあるようです。

ベルがエレクトリック・シタールをプレイしたヒット曲をどうぞ。

Ferrante & Teicher with Vincent Bell - Midnight Cowboy


あたくしはエレクトリック・シタールをもっていないのでよくわからないのですが、共鳴弦だとばかり思っていたものを、ベルはひと撫でしています。まあ、張ってある弦だから音は出るでしょうけれど。

この曲がヒットしていたときは、なぜサウンドトラックではなくて、こちらなのだろうと思いましたが、まあ、たしかにエレクトリック・シタールを使ったことが効果的だったのかもしれないと思います。あたしはピアノに強い関心がないので、ファランテ&タイチャーというピアノ・デュオの魅力はよくわからないのですが。

ベルはトニー・モトーラ、アル・カイオラといったNYセッション・ギタリストの巨人たちのつぎの世代にあたり、60年代から70年代にかけて活躍したことは、当家では何度かご紹介しています。最初はオオノさんがオフィシャル・サイトを見つけて教えてくれたのでした。

もうすこしベルのエレクトリック・シタール・プレイを並べてみます。

Vinnie Bell - Nikki


この曲を聴いても、シタール風の音が出る楽器、なんてもともとの発想はどうでもよくなっているのだということを感じます。「変わった音の出る珍奇なガジェット」という方向にシフトしているようです。

もう一曲だけ。

Vincent Bell - That Happy Feeling


リード楽器だけでは音楽は成り立たず、全体のサウンドが重要で、その意味でアレンジに物足りなさを感じます。こういうことをやったら、ハリウッドはNYを圧倒します。

ともあれ、エレクトリック・シタールだけにかぎるなら、この曲は面白いほうかもしれません。低いほうの弦がなかなかいい音で鳴っていて、さすがはパイオニアと思います。

変なことをテーマに3回も書いてしまって、どうもお退屈さまでした。自分自身がずっと気になっていたことなので、改めて曲を並べ、まとめて聴いたら、だいぶすっきりしました。これで、エレクトリック・シタールについて知っておくべきことはもうない、という気分です。


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フェランテ&タイチャー
All-Time Greatest Hits
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by songsf4s | 2011-08-11 23:44 | Guitar Instro
Cool guitars for a hot summer night II
 
すぐに思念がよそに流れ出ていく傾向があるため、ギターの話だったはずのものが、メンフィスのアメリカン・サウンド・スタジオにまつわるあれこれへと横滑りしたせいで、前回は、用意したトラックを使い切らずに終わってしまいました。

わが友、と呼べるこの世でただひとりのギター・プレイヤー、ビリー・ストレンジさんのトラックから今宵はそろりと入ります。クリップをあげたのもわが友、オオノさん。

Billy Strange - Maria Elena


以前にも書きましたが、わたしは御大に質問したことがあります。あなたのアルバムには複数のリード・ギターがからむ曲がたくさんあるが、ご自分でオーヴァーダブをしたのか、それとも、トミー・テデスコやグレン・キャンベルなどを相方に一発で録ったのか、と。

愚かな質問というしかないのですが、予想したとおりの答えが返ってきました。ケース・バイ・ケースである、と。では、このMaria Elenaの場合はどうだったか?

後半のフェンダーらしきエレクトリックは、いかにもボスらしいサウンド、ボスらしいフレージング、まちがいなくビリー・ストレンジのプレイ、といえます。

しかし、前半のリードをとるガット・ギター(彼らはSpanish guitarないしはflamenco guitarという名詞を使い、gutという言葉を使ったのは見たことがない。やはり「はらわた」という単語は避けたいのだろう)はちょっとした難問で、今回も、ボスか否かを考えながら、じっくり聴いてしまいました。

とりあえずの結論は、こちらもボス自身のプレイである、です。トミー・テデスコだったら、どこかで飛び出しそうな高速ランが、この曲では使われていませんし、トミーのトレードマークである強いヴィブラートのかかった音もありません。そう思って聴くと、なんとなく、フレーズ尻のまとめ方がビリー・ストレンジ・スタイルのように思えてきました。

しかし、そんなことは詰まるところどうでもいいような気もします。このトラックの最大の魅力は、後半のエレクトリックによるプレイ、このソリッド・ボディーのエレクトリック・ギターという楽器の根元にふれるような、柔らかい音の出にあります。

そして、この音が描出しているのは、わたしが知っている、剛胆であると同時に繊細なビリー・ストレンジというキャラクターそのものだと感じます。

同じアルバムから、もうひとつ、涼しい曲をいってみます。

Billy Strange - Deep Purple


オオノさんがクリップに書き写してくださったライナーによれば、ドラムはハル・ブレイン、アップライト・ベースはジミー・ボンド、リズム・ギターはビル・ピットマンというラインアップだそうです。

ビリー・ストレンジはニュアンスのギタリストです。音のニュアンスは、音色、強弱、タイミングによって表現されますが、とりわけ彼が得意としたのは、タイミングのコントロールによるディテールの表現でした。この曲をなぞってみて、彼の「球持ちのよさ」、なかなか音を出さないタイミングのコントロールを実感しました。

ビリー・ストレンジとくれば、やはりこの人を出さないとバランスがとれないでしょう。

Tommy Tedesco - Quiet Night of Quiet Stars


playing for living、生きるためにプレイする、と断言した人ですから、たとえ自分の名義の盤でも、トミー・テデスコは注文に応じてさまざまなタイプの音楽を、さまざまなスタイルで「演じ」ました。

自分でやりたかったのは、後年のオーセンティックなジャズ・コンボのものでしょうが、ガット・ギターによるものも、彼が嫌わなかったものだろうと思います。「マーケッツのギタリスト」とはいわれたくない、と書いていたので、嫌いだったのはポップ系のギター・インストだったことははっきりしています。まあ、さもあらん、ですが!

たまにはカントリー方向に曲がってみるのもチェンジアップになるかもしれません。

Merle Travis - The Sheik of Araby


マール・トラヴィスの「独演会」といった雰囲気の、テレビ・スタジオらしき小さな会場でのリラックスしたライヴ・ヴィデオを見たのですが、なかなか興味深いものでした。ほう、と思ったのは、チェット・アトキンズについての逸話です。

マール・トラヴィスはキャピトルと契約して大人気を博したのですが、それを見て、RCAが対抗馬として見つけてきたのがチェット・アトキンズだったのだそうです。しかし、チェットのギターに満足したRCAのだれとかが、ところで、きみは歌はどうなんだ、ときいたら、ぜんぜん歌えない、というのでがっかりした、というくだりをマール・トラヴィスが仕方話でやって、客を湧かせていました。

チェット・アトキンズのものと信じていたスタイルは、じつはマール・トラヴィスのものだった、なんていわれたら、信じちゃいそうなほど、彼らのギター・プレイには近縁性があります。

一度でもクリップを見たことがおありになればわかりますが、マール・トラヴィスもチェットと同じように、ひとりでプレイしたものがたくさんあり、上掲The Sheik of Arabyも、親指でベースないしはコードを入れながらのプレイです。

それでは、キャピトルのスターと、RCAが見つけたその対抗馬のデュエットを。

Chet Atkins and Merle Travis - Muskrat Ramble


いやあ、カントリー・ピッカーの頂点に立つ二人なので、ただただ感心するばかりです。速さより、音の美しさに技がにじみ出ています。

カントリー・ピッカーに傾きはじめると、どこまでもずぶずぶとはまりこんでいき、ジョー・メイフィスだの、ジェリー・リードだのと、永遠に終わらなくなってしまいます。いずれ、ギター・オン・ギター・シリーズの続編として、カントリー・ピッカー・ギター・デュオというので改めて特集を組むことにします。

できるだけ好きなギター・プレイヤーを網羅しようとしているのですが、そんなことをいったら、あと10回ぐらいはやらないと収まりそうもありません。忘れないうちにこのお父さんを。

Les Paul - How High The Moon (1991)


この曲は、レス・ポールがメアリー・フォードと組んでいた時代の大ヒットです。じっさい、そちらは圧倒的なヴァージョンで、なんだ、ロックンロールというのはレス・ポールがつくったのか、と口をあんぐりしますが、あえて、年をとってからのライヴ・クリップを貼りつけました。やはり指の動きが見たいのと、マルチ・トラッキング抜きでも上手いことを知っていただくためです。

レス・ポールのことを話しはじめると長くなるので、一点だけ。彼の発明や開発は驚くべきものですが、一プレイヤーとして振り返ると、印象に残るのは、華やかさ、明るさです。

だれがだれより上手いなんてことをいったところで、つまるところ、比較のしようがありませんが、レス・ポールの生来の明るさは、彼のキャリアと、われわれが彼のサウンドに抱くイメージを決定したと感じます、その意味で、バディー・リッチ、ハル・ブレイン、レス・ポールはわたしの頭のなかの同じ部屋に住んでいます。

しかし、好きなドラマーを並べたら、あっというまに終わるでしょうが、ギタリストは無限につづけられそうです。最近、ジョー・オズボーンのインタヴューを読んで、へえ、そういう関係だったのかと、新たな目で見るようになったプレイヤーの曲を。

Roy Buchanan - Misty


ロイ・ブキャナンのプレイをじっと見守り、最後にちょっとだけ加わるのはマンデル・ロウで、この人のクリップも用意したのですが、置き場所がなくなってしまいました。

ジョー・オズボーンがルイジアナでジェイムズ・バートンといっしょにプレイしていたというのは知っていましたが、ベースに転じるきっかけになったのは、ロイ・ブキャナンとバンドメイトになってしまったことなのだそうです。エディ幡にじゃんけんで負けたルイズ・ルイス加部が、ギターからベースに転じたようなものです。

しかし、60年代ハリウッドを代表する3人のフェンダー・ベース・プレイヤー、レイ・ポールマン、キャロル・ケイ、ジョー・オズボーンが、いずれも本来はギタリストだったことになり、やはりそういうものか、と思いました。ちがうのはラリー・ネクテルだけ、といいたくなりますが、彼もギターをプレイしたことがありました。

例によって、話があらぬほうに流れたので、本日はここまで。まだ材料はありますが、つづけるか否かは未定です。


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ビリー・ストレンジ
Mr. Guitar
Mr. Guitar


マール・トラヴィス
The Merle Travis Guitar
The Merle Travis Guitar
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by songsf4s | 2011-08-10 23:55 | Guitar Instro
Cool guitars for a hot summer night
 
「えー、四万六千日、お暑い盛りでございます」

と、八世桂文楽が「船徳」のなかでいっています。



近ごろは新暦とやらで、季節感がめちゃくちゃですが、ほんとうなら今日八月九日が旧暦の七月十日、すなわち四万六千日だそうです。当の浅草の観音様自体が、新暦で四万六千日をやるものだから、わけがわからなくなってしまいました。間違った日にお参りしても、四万六千日分の御利益なんか、あるはずがないと思いますが。

七月のはじめなんかでは、お江戸は「お暑い盛り」ではありません。どうしたって四万六千日は八月でないといけないのに、そのころには「立秋」だなどと奇怪なことをいっているのだから、助かりません。仙台や平塚の七夕だけは据わりがよくて助かります。

当地では昨日今日と、たいへんな暑さで、変則的ながら、やっとほんとうの夏が来たと感じます。こういう日に船に乗るのは、涼しいか涼しくないかはさておき、気分はいいでしょう。

子どものころ、「船徳」の主人公、徳さんというのは、ろくに舟も操れないマヌケな三枚目、というイメージをもっていました。

しかし、この噺の源である「お初徳三郎」までたどると、たいへんな色男で、柳橋の芸者衆の予約引きも切らず、まるで60年代中期のハル・ブレイン、来月まで予定がびっしり(だったのはハル・ブレインだが)というぐらいの売れっ子として描かれています。

桂文楽の描く徳さんは、竿も櫓も半人前、でもカッコだけは一人前の色男が匂い立つようです。あの「へい、ちょいと顔をあたってまいりました」の演出のすごいこと。

近々、できるだけユーチューブにあるクリップを使って、番組を組んでみようと思い、まずは「船徳」を検索してみたので、予告編として貼りつけてみた次第です。予告編だけでおわっちゃう恐れもたぶんにありますが。

◆ クール、クール・ギターズ ◆◆
暑いときは鍋にかぎる、という論法で、今日はホットなホットなR&Bだ、まずはオーティス・レディングのI Can't Turn You Looseから、なんて嫌がらせをやってみようかと思ったのですが、わたしのほうが先に辟易して、やめにしました。

暑いときには、わたしの場合、歌というのがそもそもあまり聴きたくありません。インスト、それもギターなんかは、非常にけっこうな消夏サウンドを提供してくれると思います。

いや、ギターといってもいろいろあるのでありまして、やはりイフェクターなどは使わない、ストレートな澄んだ音のほうが夏向きでしょう。となると、4ビート方面に偏ることになりそうです。

加えて、ギター以外の楽器の選択というのも、涼しさを左右しそうです。まずはヴァイブラフォーンを相方にしたものから。

Red Norvo Trio - Strike Up the Band


ヴァイブはもちろんレッド・ノーヴォ、ギターはジミー・レイニー、ベースはレッド・ミッチェルだそうです。

中学3年から高校1年にかけてのごく短いあいだ、ジャズに関心を持ち、十数枚のLPを買いましたが、そのなかの一枚がジミー・レイニーのものでした。しかし、みごとに記憶が消去されて、アルバム・タイトルがでてきません。あのときに買ったものは全部、あげたか、トレードに出してしまいました。ジム・ホールとズート・シムズっていうのもあったと思うのですが。

もう一曲、ギターとヴァイブラフォーンの組み合わせをいってみます。ちょっと音が小さいのですが。

The Gary Burton Quartet - General Mojo's Well Laid Plan


この時期のゲーリー・バートンは中学の終わりから高校にかけて、徹底的に聴きました。スーパーインポーズのタイトルは間違いで、正しくはGeneral Mojo's Well Laid Planです。ゲーリー・バートン・カルテットにはじめてラリー・コリエルが加わったアルバム、Dusterからの曲です。

メンバーも書いてありませんが、ヴァイブ=バートン、ギター=コリエル、ベース=スティーヴ・スワロウ、ドラムズ=ボビー・モージーズです。この曲のスタジオ録音のドラマーはロイ・ヘインズでしたが、その後のツアーや録音では、かつてコリエルとロック・バンドをやっていたモージーズに交代しています。ヘインズは録音のときだけだったのではないでしょうか。

この曲では、モージーズは、右手はブラシ、左手はマレットという、ヘンチクリンな組み合わせで叩いています。右足は下駄、左足はカウボーイ・ブーツなんて組み合わせで歩くようなもので、気色悪いだろうと想像するのですが!

いまになるとわからないかもしれませんが、当時はジャズの臭みのないサウンドに感じました。わたしが日常聴いている盤のあいだにはさまっても違和感がなく、あの時代、そんな4ビート音楽はわたしが知るかぎりゲーリー・バートン・カルテットだけでした。

昔のジャズ・ギタリストは、ベンドをかけたりなんかしませんでした。いまならふつうに聞こえるコリエルのプレイも、当時はひどく不作法に思えたのではないでしょうか。

もうひとつ、ラリー・コリエルのプレイを。こんどはちがう組み合わせで。

Herbie Mann - Memphis Underground


ギター・ソロは歪んだサウンドで、あまり涼しくありませんが、フルートというのも、やはりヴァイブと並んで涼しい音がでるなあ、と再認識しました。

しかし、この曲で印象的なのは、やはりジーン・クリスマンのドラミングです。子どものときはわけもわからず、なんだか妙にカッコいい音だと思っただけですが、改めて聴くと、ハードヒットしているわけでもないのに、バックビートに独特の重さがある(ロジャー・ホーキンズに似ている)ところが、最大の魅力だと感じます。

当家で過去に取り上げた曲としては、ボビー・ウォマックのFly Me to the Moonが、アメリカン・サウンド・スタジオで、ジーン・クリスマンがストゥールに坐って録音されたものです。メンバーは記憶していませんが、エルヴィス・プレスリーのIn the GhettoやSuspicious Mindもここで録音されました。

Bobby Womack - Fly Me to the Moon


こういう文脈においてみると、これはこれでなかなか涼しげな音に感じます。

さらに寄り道ですが、先日、エレクトリック・シタールの曲としてCry Like a Babyをとりあげたボックス・トップスもやはりここで録音していました。それで、はたと膝を叩きました。

あのとき、ドラムはセッション・プレイヤーに聞こえる、ロジャー・ホーキンズが候補だと書きましたが、クリスマンのバックビートはホーキンズに似ていると自分で書いて、そうか、ボックス・トップスのドラマーはジーン・クリスマンだったのか、と納得がいきました。

これ、確度98パーセントぐらいの自信があります。もう一回貼りつけちゃいましょう。このドラマーは、Memphis Undergroundのプレイヤーと同一人物にちがいありません。

The Box Tops - Cry Like a Baby


クラッシュ・シンバルを軽めにヒットするところなんざあ、この人のスタイルなのね、です。キックのタイムもけっこうなものです。Memphis UndergroundもCry Like a Babyも同じころによく聴いていたのですが、さすがに、これは似ているぞ、なんて思いませんでしたねえ。やっぱり年はとっているみるものです。

閑話休題。つい、8ビートに傾斜した時代へとのめっていきますが、そんなことはまだ夢にも思っていなかった時代の、オーソドクスなジャズ・ギターを。

Wes Montgomery - Round Midnight


ウェス・モンゴメリーのRound Midnightはいくつかクリップがあがっていましたが、わたしはこの1959年録音のDynamic New Sound収録のヴァージョンがいちばんいいと思います。相方はピアノより、オルガンのほうがずっと合っていると感じます。

ウェス・モンゴメリーを聴こうとすると、ジミー・スミスと同じで、しばしばグレイディー・テイトのドラムを聴かされるのが悩みの種なのですが、初期ならその心配はありません。それに、まだオクターヴ奏法一辺倒になっていないのも助かります。いくら上手くても、それだけで盤を聴くのは苦痛です。

もはや時間切れですが、ポップ・プロパーを一曲だけ押し込んでおきます。涼しいギター・インストといえばやっぱりこの人たちがナンバー1のような気がします。

The Shadows - Atlantis


シャドウズといっしょに弾くのなら、この曲やWonderful Landなどの系統が気持いいと思います。

シャドウズを出してヴェンチャーズなしというのもなんなので、一曲だけ。

The Ventures - Gemini


わたしは、64年あたりからのヴェンチャーズのメンバーの聞き分けを不得手としています。ギターはビリー・ストレンジ御大とは思えないプレイヤーばかりになり、ドラムはメル・テイラーのように思えるトラックが多くなります。でも、この曲は大丈夫でしょう。テンポは速いにもかかわらず懐が深く、タイムが寸詰まっている人はいません。ツアー用ではなく、ほんもののプロフェッショナルの仕事でしょう。

寄り道がひどくて、用意していた曲がいくつか残ってしまったので、次回か、そのつぎあたりか、続編をやるつもりです。


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八代目桂文楽
昭和の名人~古典落語名演集 八代目桂文楽 二
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ハービー・マン
Memphis Underground
Memphis Underground


ボビー・ウォマック
Fly Me to the Moon / My Prescription
Fly Me to the Moon / My Prescription


ボックス・トップス
Soul Deep: the Best of..
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ウェス・モンゴメリー
Wes Montgomery Trio
Wes Montgomery Trio


シャドウズ
Complete A's & B's
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by songsf4s | 2011-08-09 23:58 | Guitar Instro
ギター・オン・ギター11 アンドルー・ゴールド篇

同じものばかりやっていると疲れるので、今日はまた箸休めとして、久しぶりに「ギター・オン・ギター」シリーズを引っ張り出します。

ご存知ない方のために駄言を弄すると、「ギター・オン・ギター」シリーズとは、読んで字の如し、ギター・アンサンブルの面白いものを並べてみようというだけのものです。

もうすこしスペシファイすると、ジャズのほうでは、リズム・ギターないしはセカンド・ギターというものを使わないのがふつうですが、あえて複数のギターでやっているトラックを探す、というのがひとつ。ジョニー・スミスやタル・ファーロウのトラックはそういう趣旨で選びました。

ポップ/ロック系では、複数のギターを使うのは当たり前なので、きちんとアレンジされたギター・アンサンブルを選ぶというのが原則です。もっとも、オールマンズなどは、ドゥエイン・オールマンが生きていた時代にはゆるいアレンジしかしていませんでしたが、そのあたりは、わたしの好みに合うか否かという問題にすぎないので、ほっといてくれ、です。

なお、過去の「ギター・オン・ギター」については、このページのいちばん下のメニューをご覧ください。

◆ セッション・ワーク ◆◆
今回はアンドルー・ゴールドです。以前、このシリーズでとりあげたトッド・ラングレンと並ぶオールラウンド・プレイヤーであり、そのせいなのか、あるいは関係ないのか、トッド同様、アンドルー・ゴールドもギターを重ねることを好みます。

では露払いとして、アンドルー・ゴールドの代表的セッション・ワーク、てえんで、リンダ・ロンシュタットのあれこれをもってこようとしたのですが、愕いたことに、スタジオ録音はほとんどなくて、かろうじてこの曲だけ発見しました。オリジナルはむろんバディー・ホリー、クォリーメン時代のジョン・レノンのカヴァーもいまではおなじみです。

リンダ・ロンシュタット That'll Be the Day


アンドルー・ゴールドとワディー・ワクテルがリードをシェアしています(と記憶している。もう手元に盤がないので確認できない)。残念ながら、どっちがどっちかはわかりません。ソロで先に行くほうがゴールドだろうと思いますが。

これだけではあんまりなので、やむをえず、サンプルをアップしました。そんな面倒なことをしないですむだろうという見込みだったのですがねえ。

サンプル Linda Ronstadt "When Will I Be Loved" (feat. Andrew Gold on guitars)

これも手元に盤がないのですが、リードはアンドルー・ゴールドのダブルだったと思います。ひょっとしたら、すべてのギターがゴールドのプレイだったかもしれません。五本ぐらいでしょうか。ソロだけでなく、裏でちょっと鳴らしているオブリガートなんかも、アンドルー・ゴールドのアレンジャーとしてのセンスがあらわれています。こういう現場監督がいると、プロデューサーは左団扇でしょう。わたしでも務まってしまうにちがいありません。「よきにはからえ」といっていれば、シングル曲がin the canです。

わたしもその仲間ですが、基本的に女性シンガーは聴かない、なんていう方がいらっしゃいます。しかし、ギターに関するかぎり、リンダ・ロンシュタットの盤は、ボビー・ジェントリーのつぎぐらいに面白いと思います。ドラムがウームのものが多いのが珠に瑕ですが……。

◆ ソロ・ワーク ◆◆
アンドルー・ゴールドのアルバム・トラックなど、クリップがあるかと心配だったのですが、ひとつだけ候補にあげていたものがありました。モーリス・ウィリアムズ&ザ・ゾディアックスの大ヒットにしてスタンダード。わたしはホリーズのカヴァーから入りましたが、70年代にはジャクソン・ブラウンのカヴァーもありました。

アンドルー・ゴールド Stay


Lonely Boyでとんでもないアクロバットをやって、わたくしをして、驚愕の記事を書かしめた人なので、この曲の間奏も、たんにギター・プレイとして面白いだけでなく、リズム・アレンジがシャープで、ハッとさせられます。ギターもピアノも非常にパーカッシヴに扱っていて、指と脳をきちんと連携させて音楽を作っていたこの人の特徴があらわれています。指を動かせば音楽になると思ったら大間違いなんだぜ>エ×ッ×・ク×プ×ン。

予定していたもう一曲はクリップがないようなので、サンプルで。こんどはエクサイターズのカヴァーというか、やはりマンフレッド・マンのビルボード・チャート・トッパーのカヴァーというべきでしょうね。

サンプル Andrew Gold "Doo Wah Diddy Diddy"

すごく短い間奏ですが、プレイで聞かせるつもりは毛頭なく、ギターを重ねたサウンドのよさを前面に押し立てています。間奏のあとのコーラスの尻尾で、また一瞬だけギター・オン・ギターを使っています。こういうぐあいに、手間を惜しまず、ディテールに凝る人は大好きです。

ギター・オン・ギターではないのですが、ついでなので、前述したLonely Boyのライヴを貼り付けておきます。

アンドルー・ゴールド Lonely Boy (live)


ワッハッハ。ギターがおっかなびっくりで弾いていて、大笑いしました。彼はこの曲のトリックを知っているから、用心に用心を重ね、つねにリズムを意識して体を揺らしているにちがいありません。

なにが問題かというと、この曲で表拍に聞こえるものはじつは裏拍で、裏拍に聞こえるのはじつは表拍なのです。コーラスのあとで、それが明らかになるので、そのときに裏表ひっくり返して弾いたりすると、すごくみっともないことになります。

ピアノ・コードは一見すると表拍を弾いているように聞こえますが、これは裏です。同様に裏を弾いているように聴こえるスネアのサイドスティックとギター・カッティングは表です。だから、彼は裏表を間違えないように必死になっているのです。油断すると、ピアノに引きずられて簡単にひっくり返ってしまいますから。なんとも厄介な曲です。

リンダ・ロンシュタットのトラックにはまだいくつか、アンドルー・ゴールドのギター・オン・ギターがフィーチャーされているのですが、そのあたりはご自分の耳でどうぞ。


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リンダ・ロンシュタット
Greatest Hits 1 & 2
Greatest Hits 1 & 2


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by songsf4s | 2011-06-30 23:43 | Guitar Instro
Remembering Tommy Tedesco 2: Out of Limits (The Marketts)
 
本題の前に、例によって、お知らせです。散歩ブログを更新しました。外題は、

「ツバメの電線音頭」

です。前回は、こちらとツイッターの両方に更新情報を書いたら、本来は閑散たるはずのわが散歩ブログとしては前代未聞の多数のお客さんがいらしたので、今回はツイッターはなし、こちらだけにしました。プレッシャーがかかるのは当家だけで十分、あちらはまだしばらく、気ままにやりたいと思っています。

◆ 二の枕: 長門裕之 ◆◆
すでにご存知のように、長門裕之没だそうです。かつて日活で活躍した俳優ではありますが、当家で取り上げた映画で、長門裕之が出演したのはたった一本、『狂った果実』だけです。

いちおう、リンクを張っておきましたが、ご覧になるほどのことは書いていません。なにしろ、この映画の長門裕之はあくまでもカメオ・アピアランス、『太陽の季節』と出演者やスタッフが重なるからという理由と、映画初出演の弟・津川雅彦への激励という意味で登場しただけでしょう。

もうひとりの出演者の兄・石原慎太郎といっしょに、不良学生として登場し、石原裕次郎たちと浜辺でもめて、あっさりのされてしまいます。あちらの記事を開くのも面倒だという方のために、その部分をコピーしておきます。写真とそのキャプションでしか言及していないのです。

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カメオ・アピアランスと特別出演は、『太陽の季節』に主演した(というより津川雅彦の兄としてか)長門裕之と、裕次郎の兄で、この映画の原作、脚本を書いた東京都知事。海岸の遊園地で岡田真澄にからんだばかりに、裕次郎たちとゴロをまくハメになり、二人ともあっさり片づけられてしまう。痛そうかつ悔しそうな顔の都知事は、素人にしては演技派!

以上、ペースト終わり。

◆ プレイヤー、トム・テデスコ ◆◆
今日もトミー・テデスコについて少々。

まず、ウェブ上でもっともたくさんトミー・テデスコのトラックが聴ける、オオノさんのブログへのリンクを。右のサイド・バーにあるリンクと同じものですが。

オオノさんのブログ

オオノさんのブログのトミー・テデスコ・タグ

このタグで引っかかるページにおかれたサンプルを聴けば、トミーのプレイの概要は簡単にわかります。わたしの記事ではまだるっこしいという方は、直接、オオノさんのサンプルをお聴きになってください。

先日、ご紹介したAdd More Musicの「レア・インスト」および「50ギターズ」、さらに上記のオオノさんのブログを合わせると、相当なトラック数になるので、トミーの紹介はそれで十分かもしれません。でもまあ、わたしなりに、好きなトラックもあれば、ちょっと書きたいこともあるので、いろいろダブりはありますが、しばらくは、Remembering Tommy Tedescoシリーズをつづけようと思います。

とりあえず一曲、オオノさんがユーチューブにアップされたものを。

トミー・テデスコ Dee Dee's Dilemma


オオノさんがクリップに注記されていますが、これはトミー・テデスコとピート・ジョリー・トリオの共演です。わたしはピアノを聴かない人間ですが、ピート・ジョリーとリオン・ラッセルは例外で、ピアノ単体でも面白いと感じます。

ピート・ジョリー・トリオのベースはチャック・バーグホーファーで、この人もまたジョリー同様、ハリウッドのスタジオでセッション・プレイヤーとして活躍しました。二人ともクリス・モンテイズ・セッションの常連でした。

また、バーグホーファーはハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラスのメイン・ベース・プレイヤーでもあったそうで、二人ともA&Mレコードとのつながりが強かったことになります。ピート・ジョリー、チャック・バーグホーファー、ともにタイムがいいのでスタジオ・ワークの適性がありました。

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写真上 右からピート・ジョリー、ひとりおいてハル・ブレイン、ジェリー・マリガン。写真下 チャック・バーグホーファー(中央)

ドラムのニコラス・マーティニスというプレイヤーは、ピート・ジョリーの盤でしか見た記憶がありませんが、マックス・ローチやグレイディー・テイトのような、ひどいタイムではなく、安定しています。タイムのいい人は、概してタイムの悪いプレイヤーを嫌うものなので、ピート・ジョリーとチャック・バーグホーファーのいるところには、やはりそれにふさわしいドラマーがやってきたのでしょう。

トミー・テデスコは、このトラックでは当然、L5あたりのギブソン・ジャズ・ギターを使っていると思われます。テレキャスターのときとはちがって、ギブソンをもったときのトミー・テデスコはまじめに弾きます。

このGuitars of Tom Tedescoというアルバムは、企画者側の考え(すなわちセールス重視)と、トミーの考えが入り混じったような選曲に見えますが、この曲はトミーの考えで選ばれたのではないでしょうか。

◆ 雇われガンマン、トミー・テデスコ ◆◆
トミー・テデスコは、自伝のなかで、「マーケッツのギタリスト」などとは呼ばれたくないと明言しています。嫌がらせをするわけではないのですが、実物を聴くと、トミーのコメントの意味がより明確になるので、おひとつどうぞ。

マーケッツ Out of Limits


こちらはテレキャスターでしょう。バーニー・ケッセルやハワード・ロバーツなど、ジャズ・プレイヤーがセッション・ワークにしばしばテレキャスターを使っているのを不思議に思ったことがあります。ケッセルがいっていたのだと思いますが、その理由は、軽くて持ち運びが楽だからだそうです!

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フェンダー・テレキャスターとバーニー・ケッセル

トミーがなぜマーケッツでのプレイを嫌ったかは、たちどころにおわかりでしょう。ギター・プレイヤー、などと胸を張れるような仕事はしていません。アレンジャー(このアルバムはギタリストでもあるレイ・ポールマンが譜面を書いたのだろう)に指定されたとおりに弾いているだけです。彼は読譜と運指とピッキングの技術を提供したのであって、音楽的な意味では貢献していません。

このあたりはひとそれぞれですが、トミーは傍観者的タイプだったのだと思います。要求されたことはなんでもする(あるいは「できる」)かわりに、要求されないことはまったくしないタイプだと考えています。

しかし、できあがったアルバムをトータルで見れば、プロデューサーのジョー・サラシーノの意図したとおりになったのだと感じます。ハル・ブレインが叩きまくっていることや、管のアレンジやレズリー・ギターの効果的な使用などのおかげで、なかなか楽しめるものになっています。

もう一曲いこうと思い、ユーチューブを検索したら、インチキな再録音ヴァージョン(そんなものがつくられるほど売れているのか?)が転がり出てしまったので、正しいヴァージョンを自分でアップしました。同じく、アルバムOut of Limits収録のトラックです。

サンプル The Marketts "Twilight City"

イントロでハル・ブレインがBe My Babyビートを使っているのが笑えます。セッションによってメンバーはちがいますが、アップライト・ベース=ジミー・ボンド、ピアノ=リオン・ラッセル、パーカッション=アール・パーマー、ギター=トミー・テデスコおよびレイ・ポールマン(および不明のギタリスト)、ダンエレクトロ6弦ベース=ビル・ピットマンといった編成の写真がCDには収録されています。

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このTwilight Cityは、上記パーソネルに近いと感じます。ギターは4本、テレキャスター、レズリー・ギター、アコースティック(ないしはアンプラグドしたフルアコースティック・ジャズ・ギター)、ダンエレクトロ(AFMのコントラクト・シートでは、ベースではなく、ギターと記載される習慣だった。つまり、ベースではなく、1オクターヴ低くチューニングするギターとみなされたので、パーソネルを読むときには注意が必要)=ビル・ピットマンでしょう。

トミーはこの曲でも、譜面に書かれたラインを弾いただけに聴こえます。ポップの世界はジャズやクラシックと違うので、自己主張をするのはプロデューサーひとりだけで十分なケースがしばしばあります。この盤はジョー・サラシーノのものであり、プレイヤーはみな雇われガンマンにすぎません。ハル・ブレインがやりたい放題に叩いているのは、たんに結果というか、サラシーノがそう望んだからにすぎないのだと想像します。

あと二曲用意してあったのですが、長門裕之関連記事のことを書き足したので、今日はここまでで切り上げます。


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マーケッツ
Out of Limits
Out of Limits
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by songsf4s | 2011-05-22 18:04 | Guitar Instro