人気ブログランキング | 話題のタグを見る
Moonshine by James Burton and Ralph Mooney
タイトル
Moonshine
アーティスト
James Burton and Ralph Mooney
ライター
Ralph Mooney
収録アルバム
Corn Pickin' and Slick Slidin'
リリース年
1968年
Moonshine by James Burton and Ralph Mooney_f0147840_23543565.jpg

昨日のゲーリー・バートンは息抜きのつもりだったのですが、LPジャケットのスキャンまでするハメになり、結果的に、いつもより手間がかかってしまいました。

特集だなんていったところで、いつもたいした準備をするわけではなく、最初の数曲を選んだだけでとりかかってしまい、毎度、途中で、この先、どうするのかねえ、と立ち止まっています。Moons & Junes特集も中盤にさしかかり、今日は検索結果リストをまた眺めたりしました。

そういう特集だからしかたないのですが、見れば見るほどスタンダードだらけで、さすがに倦怠をおぼえます。ロックンロール8に対して、スタンダード2ぐらいが望ましいのですが、Moons & Junesに関しては、この比率はちょうど逆ぐらいになってしまいます。

それで、このところ、ヘヴィー・バックビートがむやみに聴きたくなっていた理由がわかりました。ふわふわした曲ばかり聴いていると、栄養バランスが崩れて、自律神経失調症のようになり、自然に躰が実のあるものを要求するのでしょう。食事同様、音楽もやわらかいものばかりでは、体調を崩します。

◆ ジム・ゴードンへの寄り道 ◆◆
躰が腐りそうだ、なにかシャキッとしたものがほしい、と思ったときは、ジム・ゴードンのトラックを集めたフォルダーをプレイヤーにドラッグします。つくってからだいぶ時間がたつので、そろそろアップデイトしたいのですが、まあ、とにかく、トラック・リストは以下のようになっています。

Derek & the Dominos / Why Does Love Got to Be So Sad
The Souther-Hillman-Furay Band / Border Town
Bobby Whitlock / Song for Paula
The Byrds / Get To You
Maria Muldaur / Midnight At The Oasis
B.W. Stevenson / My Maria
Glen Campbell / Wichita Lineman
Dave Mason / Only You Know and I Know
Delaney and Bonnie / Only You Know and I Know
Bobby Whitlock / The Scenary Has Slowly Changed
Joan Baez / Children And All That Jazz
Bobby Whitlock / Where There's a Will There's a Way
Delaney and Bonnie / Where There Is a Will There Is a Way
Art Garfunkel / Traveling Boy
Gordon Lightfoot / Sundown
The Nitty Gritty Dirt Band / Some Of Shelly's Blues
Harry Nilsson / Don't Leave Me
Steely Dan / Rikki Don't Lose That Number
Carly Simon / You're So Vain
Seals & Crofts / Humming Bird
Derek & the Dominos / Evil
Harry Nilsson / Good Old Desk
Dave Mason / World in Changes
The Byrds / Tribal Gathering
Cashman & West / American City Suite
Chris Hillman / Falling Again
Harry Nilsson / Together
Traffic / Hidden Treasure
James Burton & Ralph Mooney / The Texas Waltz
Bread / Dismal Day
Derek & the Dominos / Let It Rain
George Harrison / You
George Harrison / What Is Life
Gary Wright / Stand for Our Rights
John Lennon / Jealous Guy
Albert Hammond / For the Peace of All Mankind
Joe Cocker / Cry Me a River
Mike Post / The Rockford Files
Tom Scott / Blues For Hari
Gabor Szabo / Are You There?

例によって、バランスをとるために、ハードなもの、ソフトなもの、両方を塩梅よく並べてありますが、スタンダードのせいで惰弱になった心身を引き締めるのに最適なトラックとなると、このリストでいえば、サウザー・ヒルマン・フューレイ・バンドのBorder Townや、B・W・スティーヴンソンのMy Mariaのように、ミディアム・アップで叩きまくっている曲でしょう。気分爽快になること請け合いです。

Moonshine by James Burton and Ralph Mooney_f0147840_074171.jpg
Moonshine by James Burton and Ralph Mooney_f0147840_08937.jpg

デレク&ザ・ドミノーズのWhy Does Love Got to Be So Sadは、スタジオ録音ではなく、フィルモアのライヴ、それもCDはべつのテイクがあるのですが、このフォルダーにドラッグしてあるのは、最初のLPのときのヴァージョンです。

高校のとき、渋谷のBYGでこのアルバムがかかって、イントロのライド・シンバルのプレイに震えました。こんなに美しいライドははじめて聴く、と思ったのです。だから、勘違いしないでいただきたいのは、わたしはクラプトン・ファンなんてものではないということです。つねにエリック・“ノー・インスピレーション”・クラプトンと、罵倒しています。頭が空っぽで、ただ手を動かすだけのギタリストは大嫌いなんです。歌にいたっては、わざわざ下手だなんていうのも馬鹿馬鹿しいくらいで、問題外のひどさですしね。

つまりですな、ドラムを聴くということは、つねにそういう傾向があるのですが、だれがうたっていようが、だれが弾いていようが、どんなに嫌いなヤツであろうが、そんなことは関係ないのです。ジム・ゴードンやハル・ブレインのクラスになると、上に載っかっているものが軽かったり、ダサかったり、馬鹿だったり、下手だったりすると、肩のひと揺すりで振り落としてしまうのです。

Moonshine by James Burton and Ralph Mooney_f0147840_0103857.jpg

◆ ジェイムズ・バートンとラルフ・ムーニー ◆◆
今日はなにも準備していなかったので、軽く(ほんとうに軽く)、なにかインストでも取り上げようと思ったのですが、派手なドラムが聴きたくなり、ブログに関係のないジム・ゴードンを聴いてしまったので、もうシンデレラ・タイムまであますところ一時間弱、考えている余裕はゼロ、よって、ジム・ゴードンが叩いた、ジェイムズ・バートン&ラルフ・ムーニーのMoonshineにしました。

60年代のインスト・アルバムではいたってふつうのことですが、Moonshineを収録したCorn Pickin' and Slick Slidin'という盤も3時間のセットを3回やっただけのものだそうです。午前の部からはじめれば夜にはLP一枚が手に入るのです。

メンバーは、ジェイムズ・バートンがギターとドブロ、ラルフ・ムーニーがペダル・スティール、ジョー・オズボーンがベース、リズム・ギターがアル・ケイシー、そしてドラムがジム・ゴードンです。

メンバーからすれば、すごいものになってもおかしくなかったのですが、50年代のジミー・ブライアントとスピーディー・ウェストのインスト(その多くで、まだ若かったビリー・ストレンジがリズム・ギターを弾いた)の再現という企画意図で、もろのカントリーなのです。

もちろん、バートン、ムーニーはカントリーでも活躍できるのですが、ドラムはねえ。やはり、派手に叩きまくるわけにはいきません。だから、ジム・ゴードンを聴くには適した盤とはいえないのです。しいていうと、ベスト・オヴ・ジム・ゴードンにも入れておいたThe Texas Waltzでのサイドスティックのプレイが、テクニック的には興味深くはあります。しかし、Moonshineでは、ミスもあったりして、活躍しているとはいえません。

◆ カントリー・インスト ◆◆
いま、読み直して、カントリーのインストは面白くないといっているみたいだな、と思いました。そんなことはありません。ドラムを聴くなら、ほかのタイプの音楽がいいと思いますが、カントリーのギタリストには、だれでもご存知のチェット・アトキンズをはじめ、そのチェットのロール・モデルだったマール・トラヴィスだの、当ブログでも昨秋、ご紹介したジョー・メイフィスとか、すごい人がゴロゴロしています。テクニックだけでいうなら、半チクなジャズ・ギタリストなんて、こういうカントリーの大物にくらべたら子どもだとすら思います。

同じように、ジェイムズ・バートンといえども、カントリーのコンテクストでプレイすると、ジョー・メイフィスあたりにはとうてい太刀打ちできないと感じます。やはり、それぞれの人に合った音楽スタイルというのはあるのです。カントリーは、極論するなら、速さ、手数の勝負です。ジェイムズ・バートンはそういうタイプのギタリストではありません。

なんだか、竜頭蛇尾の記事になってしまいましたが、Moonshineはただの看板、スタンダードで腐りそうになった心身の健康を取り戻すには、ジム・ゴードンのバックビートが薬効あらたかであるといいたかっただけです。
by songsf4s | 2008-06-15 23:48 | Moons & Junes