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Clap for the Wolfman by the Guess Who
タイトル
Clap for the Wolfman
アーティスト
The Guess Who
ライター
Burton Cummings, Bill Wallace, Kurt Winter
収録アルバム
Road Food
リリース年
1974年
Clap for the Wolfman by the Guess Who_f0147840_1991452.jpg

本日はあまり時間がとれなかったので、昨日のトッド・ラングレンのWolfman Jackの記事の補足のような曲を2種、簡単にご紹介してお茶を濁します。

トッドのWolfman Jackと、『アメリカン・グラフィティ』のあいだの時期に、もう一度、ウルフマン・ジャックが話題になりました。1974年に、ゲス・フーのClap for the Wolfmanが大ヒットしたのです。トッド・ラングレンのWolfman Jackは、このDJのことを話題にしていただけですが、ゲス・フーの曲にはウルフマン・ジャック自身が、本人の役で登場します。

解釈を試みる時間的余裕がないので、以下にこの曲の歌詞をまとめてペーストし、そのあとに、この曲の趣向を説明することにします。

Clap for the Wolfman
He gonna rate your record high
Clap for the Wolfman
You gonna dig him til the day you die

Do Ron Ron Ron and the Duke of Earl
They were friends of mine
The highway's on my moonlight drive
Snuggled in, said "baby, just one kiss"
She said "no, no, no"
Romance ain't keepin' me alive
I said "hey babe, do you want to coo, coo, coo"
She said "uh, uh, uh"
So I was left out in the cold
I said "you're what I've been dreamin' of"
She said "I don't want to know"
(Wolfman Jack: "Oh you know, she was diggin' the cat on the radio")

Clap for the Wolfman
He gonna rate your record high
(WJ: "Yes baby, I your doctor in love")
Clap for the Wolfman
You gonna dig him til the day you die
(WJ: "Everybody talkin' about the Wolfman's confidence of love")

Seventy five, eighty miles an hour
She hollers "slow, slow, slow"
"Baby I can stop right on a dime"
I said "hey baby, give me just one kiss"
She said "no, no, no"
But how was I to bide my time
I said "Hey baby, do you want to coo, coo, coo"
She said "uh, uh, uh"
Said I'm about to overload
I said "you're what I've been livin' for"
She said "I don't want to know"
(WJ: "Oh, you thought she was digging you but she was digging me")

Clap for the Wolfman
He gonna rate your record high
(WJ: "As long as you got the curves baby, I got the angles")
Clap for the Wolfman
You gonna dig him till the day you die
(WJ: "It's all accoridng to how your boogaloo situation stands, you
understand")

Clap for the Wolfman
He gonna rate your record high
(WJ: "You ain't gonna get 'em, cuz I got 'em")
Clap for the Wolfman
You gonna dig him til the day you die
(WJ: "You might wanna try, but I'm gonna keep 'em")
Clap for the Wolfman
Clap for the Wolfman
(WJ: "And I got 'em all")
Clap for the Wolfman

こういうノヴェルティーには、かならず趣向というものがあります。この曲の語り手は車に女性を乗せていて、ラジオはウルフマン・ジャック・ショウに合わせています。語り手は「ちょっとキスなんかしてみない?」などとしきりに誘いをかけるのですが、まったく相手にされません。そこにすかさずウルフマン・ジャックが割り込んで「彼女はおまえじゃなくて、俺のことが気になるんだよ」とか「女にかけてはウルフマンの腕は有名だからな」などと、いろいろ語り手をおちょくるというしだいです。

◆ 奇怪なほどストイックなバッキング ◆◆
ゲス・フーというのは、とくに好きでも嫌いでもないグループで、2枚組ベストをもっているだけですが、今回、まじめに聴いてみて、違和感をおぼえました。バンドらしさを感じないのです。たしかに編成はロック・コンボ(ドラム、ベース、ピアノ、ギター×2)なのですが、ふつう、ロック・バンドはこういうプレイをしないだろうと思います。

とくに左チャンネルのギターは、終始一貫、決まりきったリック(主としてB-D-E-G-Eというフレーズ)を繰り返すだけです。しかもこのリックが、聴くとやるとでは大違いで、シンプルなわりには、くりかえしているとミスりそうな、ちょっとイヤな指の動きなのです。これを淡々と正確に、機械的に弾くギタリストというのは、どういうんだろうなあ、と首をかしげます。

バンドの人間関係というのは、エゴとエゴのぶつかり合いで、めだちたい、おいしい場面がほしい、という主張が角突き合ったあげくのベクトル合成が、最終的な音になります。こんなに損な役をリード・ギターが引き受けるとしたら、よほどストイックなのか、よほど犠牲的精神に富んでいるのか、よほど……まあ、なにしろ、ふつうじゃないと感じます。

Clap for the Wolfman by the Guess Who_f0147840_0413627.jpgドラムは、とくに素晴らしいプレイヤーではありませんが、タイムは非常に安定しています。ピアノも、右チャンネルでトレモロをきかかせたコードを弾いているギターも、みな献身的で、エゴのかけらも見せません。自分のことはどうでもいい、われわれは歌を引き立てるためなら単調な仕事に耐える、とでもいわんばかりのようすです。そんな献身的なプレイヤー、エゴを殺せるプレイヤーばかりが集まったロック・バンドがあるものでしょうか。

もともと、ゲス・フーというグループはロック・バンド的なニュアンスは薄く、スリー・ドッグ・ナイトあたりと似た位置にあると思っていましたが、本気で意識を集中して聴くと、やはり、ロック・バンドの対極にある音に聞こえてきました。ロック的ニュアンスのバッキングを使ったコーラス・グループ、ロック版レター・メンまたはロック版フォー・フレッシュメン、なにかそういうものじゃないかと感じます。このグループから分裂したバックマン=ターナー・オーヴァードライヴは、昔聴いた印象では、もうすこしロック・バンド的だったと思うのですが、そちらはまた、そのうちチャンスがあったら、まじめに聴いてみます。

◆ ボビー・フラー盤 ◆◆
わが家にはもう一曲、ウルフマン・ジャックが登場するトラックがあります。I Fought the Lawで知られる、ボビー・フラー・フォーのWolfmanです。盤を見つけだして録音時期を確認する余裕がないのですが、ボビー・フラーは1966年に亡くなっているので、当然それ以前、64、5年の録音だと思います。

シンプルな3コードのインスト、それもメロディーらしいものはなく、バディー・ホリーのスタイルに影響を受けた、ボビー・フラーお得意のコード・プレイとインプロヴによるインストゥルメンタルです。

Clap for the Wolfman by the Guess Who_f0147840_0425448.jpgこの曲もウルフマン・ジャック本人が登場し、狼の遠吠えをバックに、なにかいろいろいっていますが、なにをいっているのか、わたしには聴き取れません。この時点ではまだヒットのないバンドとの共演ですから、ウルフマン・ジャックのこの時期の位置がわかります。無名ではないけれど、まだ人気が出はじめたばかり、アメリカのトップDJ集団の下のほうに滑り込んだところ、といったあたりじゃないでしょうか。

わが家にあるウルフマン・ジャックを歌った曲、ウルフマン・ジャック自身が登場する曲は、この3曲ですべてです。
by songsf4s | 2007-10-27 19:09 | Evil Moonの歌