回想のビリー・ストレンジ、その音楽と時代 その7 ジョニー・リヴァーズ、フェンスメン
 
1964年、サンセットのウィスキー・ア・ゴーゴーで録音したという、トリニ・ロペス風のパーティー・サウンドに載せたMemphisをヒットさせる以前に、ジョニー・リヴァーズはいくつかアルバムをリリースしています。

それは知っていたのですが、メンフィスか、ルイジアナのどこかでの録音だろうとみなして、手に入れていませんでした。ほかのはほとんど完璧というくらいに揃えてあるのですが。

しかし、1962年にすでにジョニー・リヴァーズはハリウッドで録音していたことが、あとでわかりました。予断、偏見は禁物とあれほど自戒していたのに!

このときの録音は、いったんはお蔵入りしたものの、64年にMemphisの大ヒットを受けて、キャピトルからリリースされたのだそうです。いくつかいい曲はありますが、たしかに、リリースが見送られたのもしかたないかな、という地味なアルバムです。

ユーチューブには、LPリップを切り分けずに、片面ずつまとめてアップしたものしかありません。これを切り分けてMP3にしたものもアップしたので、以下のクリップは気にしないでください。念のためにおくだけです。

The Sensational Johnny Rivers LP side 1


The Sensational Johnny Rivers LP side 2


まだハル・ブレインがエースになる以前で、ハルのように感じるトラックはなく、アール・パーマーかな、というのがいくつかあるだけです。

キャピトルなので、プロデューサーはニック・ヴェネー(Nick Venetと書くが、tはサイレント、アクセントは第二シラブル)、ビーチボーイズの契約の担当プロデューサーです。ビーチボーイズ関係の本ではたいていコケにされていますが、それほど鈍物ではないとわたしは考えています。

さて、このアルバムがビリー・ストレンジ・ディスコグラフィーにリスト・アップされているのですが、不完全なセッショノグラフィーが、判断をかえってむずかしくしているのです。

問題は、1962年11月5日のセッション・リーダーはグレン・キャンベル、とされていることです。ほかに、ラッセル・ブリッジス(リオン・ラッセル)、デイヴィッド・ゲイツ(のちにブレッド。ギター、ベース、さらにはドラムもプレイした)、ジミー・ボーウェン(アップライト・ベース。のちにリプリーズのプロデューサーとなり、ディーン・マーティン、フランク・シナトラをカムバックさせる)の名前があります。

この日に録音されたのは、Everybody But Me、If You Want It、My Heart Is in Your Hands、と記されています。通常のセッションなら、もう一曲録音されているはずで、それはたぶん、アルバム・クローザーのWalkin' Slowlyだと思います。ギターのサウンドとスタイルがMy Heart Is in Your Handsにそっくりだからです。

そういうものを除外していって、ビリー・ストレンジに聞こえるギター・プレイがあるのはこの曲。

サンプル Johnny Rivers "If You Want It, I Got It"

くどくも念押ししますが、これは上掲のクリップをMP4でダウンロードし、それをWAVに変換して切り分けたのち、MP3に変換したものです。それだけジェネレーションが落ちています。いや、思いの外、ふつうの音質なのですが。

ほかに濃厚にビリー・ストレンジ的感触があるのは、A面の最後のDon't Look Nowのアコースティック12弦のプレイと、B面のオープナー、This Could Be the Oneのエレクトリック6弦です。後者はクリップの頭になるので、面倒なしに聴けます。あ、それからB面の3曲目、Double C, Cinnamon Ciderもそうでしょうが、ソロはありません。

ずっと聴いていって、B面の4曲目と5曲目にはギョッとしました。どこからどう見ても正真正銘のブルーズ・ギターなのです。

ビリー・ストレンジ御大がこんなプレイをしたのは、あとにも先にもありません。いや、それどころか、ハリウッドのギター・プレイヤーが、通常ならしないものと断言できます。

不完全なセッショノグラフィーを隅々まで読んで推測すると、どうやら、これはグレン・キャンベルのプレイのようです。驚きました。まあ、彼らはやれといわれれば、なんだってやってみせたので、ビリー・ストレンジでも、トミー・テデスコでも、要求されればやったでしょうけれど。

しかし、グレン・キャンベルもさすがはハリウッドのエースのひとり、いつもブルーズをやっている、根っからのブルーズ・マンのように錯覚させられます。

もうひとつ、ビリー・ストレンジの1962年のセッション・ワークを聴きます。たぶん、このグループは、ワン・ショットのスタジオ・プロジェクトで、シングルまたはEPを一枚リリースしただけだと思われます。しかし、これがちょっとしたものなのです。

The Fencemen - Sunday Stranger


いやあ、オルガンもかっこいいし、ビリー・ストレンジ御大も、強面のプレイで、すっかり気に入ってしまいました。メンバーはわかりませんが、ドラムは90パーセント以上の確度で、アール・パーマーです。

もう一曲、フェンスメン。

The Fencemen - Sour Grapes


一カ所、ミスピッキングがありますが、いや、かっこいい!

こういうインストゥルメンタルは、散々漁られて、すでにめぼしいものは、各種編集盤に採録されているのですが、それでもなお、こういうふうにシングルのまま放置された好プレイがあるのだから、盤は聴いてみないとわからないものだと、つくづく思います。


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by songsf4s | 2012-03-10 23:40 | 60年代