回想のビリー・ストレンジ、その音楽と時代 その4 ザ・ヴェンチャーズ・セッションズ後編
 
ビリー・ストレンジ・ディスコグラフィーを見ていて、いくつか、ほう、と思った点があります。

ひとつは、ボニー・ギターの1963年のセッションがあげられていたことです(ボニー・ギターについては当家では「Trade Winds by Frank Sinatra」という記事で概略を記している)。

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ボニー・ギターはドールトン・レコードの設立者のひとりです。ドールトンはヴェンチャーズのレーベルでした。ヴェンチャーズをプロデュースしたのは彼女の共同経営者だったボブ・ライスドーフでしたし、そもそもドールトンからヴェンチャーズがデビューしたときには、ボニー・ギターは経営から手を引いていた可能性もあるのですが、しかし、ハリウッドでセッション・ギタリストとして働いた女性が作った会社だったのだから、この関係は非常に興味深いものです。

さて、今回はそのビリー・ストレンジ・ディスコグラフィーに記されたヴェンチャーズのトラックをいくつか並べます。ほんの一握りなのですが。

The Ventures-2,000 Lb. Bee Pt 1 and 2


このクリップのアップローダーのコメントによると、"Walk Don't Run: The Story of the Ventures"というものに、どっちをノーキーが弾いて、どっちをビリー・ストレンジが弾いた、といったことが書かれているようです。ご興味のある方はご一読を。一度通り過ぎたことなので、わたしとしては、もう一度研究し直す気力は湧きませんが。

パート1のドラマーはわかりませんが、パート2はハル・ブレインである可能性が高いと思います。また、ビリー・ストレンジ御大自身は、手製のファズ・ボックスを使っていたということで、モズライトの組み込みファズについては言及したのを見たことがありません。モズライトを使ったことがあるのは、ヴィデオなどでもわかりますし、とくに12弦については、私信でも、非常に弾きやすいと賞賛していました。

つぎはビリー・ストレンジ作なので、当然のコンファームでしょう。

The Ventures - Ya Ya Wobble


残念ながら、セッションで曲が足りなくなり、ちょっとした断片をもとにその場でつくった、といった雰囲気で、典型的なアルバム・フィラーといったところです。蛇足ですが「ウーブル」はないでしょう。カタカナにするなら「ワブル」あたりが妥当です。

ほかに単独のトラックとしては、Tabooという、後年のアウトテイク集で陽の目を見たものとか、Walkin' With My Baybeという、わたしは聴いたこともない楽曲があげられていますが、これは省略します。

さらに、アルバムとしてLet's Goがリストアップされているのですが、その収録曲であるにもかかわらず、単独でリストアップされたトラックを貼りつけます。

The Ventures - Hot Pastrami


この中間部でのソロは、ビリー・ストレンジのアルバムMr. Guitarに収録された、Kansas Cityあたりのロック系の曲と比較してみると面白いだろうと思います。まあ、いずれ、このシリーズでお聴きいただくことになるでしょうが。

以下、アルバムLet's Goの収録曲をいくつか聴いていくことにします。つぎの曲も、かつて、ヴェンチャーズの謎を解こうと奮闘していたときに、インスピレーションを与えてくれました。

The Ventures - Sukiyaki


ビリー・ストレンジかどうかはいざ知らず、前回あげたLolita Ya Ya同様、いかにもハリウッドのセッション・プレイヤーらしい、隅々まできっちりしたアンサンブルの曲もありました。

クリップは埋め込み不可なので、サンプルで。

サンプル The Ventures - More

ドラムはハル・ブレインでしょう。フェイド・アウトのあたりのフィルインに彼のサウンド、スタイルがあらわれています。

つぎの曲もビリー・ストレンジらしさ、ハリウッドのセッション・プレイヤー集団らしさがよく出ています。邦題は「エル・ワッシ」だったようですが、カタカナにするなら「ワトゥーシ」あたりが妥当でしょう。

The Ventures - El Watusi


ギターもきっちりしていますが、全体のアンサンブルが堅固で、The Ventures in Japanの突っ込みまくるグルーヴの気持悪いバンドには似ても似つきません。

十年前は、初期ヴェンチャーズのリード・ギタリストはボブ・ボーグルではない、などというと、いきり立つフーリガンみたいな輩が山ほどいたので、こちらもねじり鉢巻き、たすき掛け、腕まくりで、ビリー・ストレンジやハル・ブレインのプレイだったのだと、熱弁を振るいましたが、もはや時代は変わりました。

メル・テイラーが叩いたトラックはたくさんあるでしょうし、ノーキーがプレイしたものもあるでしょう。しかし、ビリー・ストレンジ、トミー・テデスコ、グレン・キャンベル、ジェイムズ・バートンら、ハリウッドの錚々たるギター・エースたちがプレイした曲もたくさんあります。

たんに、それだけのことだと現在では考えていますし、ヴェンチャーズ・ファンも、ツアー用バンドの録音がたくさん残っているのだから、それを聴いて満足していればいいだけです。War Is Overですよ。呵呵。

Let's Go収録曲としては、Sukiyakiと並んで好きなトラックを本日の締めとします。アルバム・クローザーでした。

The Ventures - Over the Mountain, Across the Sea



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by songsf4s | 2012-02-27 23:53 | 60年代