回想のビリー・ストレンジ、その音楽と時代 その2 スピーディー・ウェスト、リック・ネルソンほか
 
ビリー・ストレンジは、幼児のころから両親とともにラジオに出演したり、ステージに立ったりしていましたし、シンガー、ギタリストとして出発したものの、ソングライター、アレンジャーの仕事も多く、また、カントリーに基盤をおきながらも、多様なスタイルの音楽をつくりだしたため、そのキャリアをたどるのは容易ではありません。

時系列にしたがって、あるいはその他の基準にしたがい、系統立ててご紹介するのは放棄し、ゆるやかに時系列をたどりながら、あっちに飛び、こっちに横滑りしながら、彼の音楽を聴いていくつもりです。

オフィシャル・サイトのディスコグラフィーにある曲で、クリップを発見できる最古のものは、ジーン・オークウィンのTexas Boogieですが、わたしにはあまりにも古めかしく感じられ、また、ビリー・ストレンジのプレイとして聞くほどのものではないので、これは略します。

前述のように、幼児のころから音楽を仕事にしていた人なので、どこからキャリアをスタートしたと見るかはむずかしいのですが、七十五歳の記念につくられたバイオDVDを見ていて、最初のターニング・ポイントは、このカントリー・スターとの仕事ではないかと感じました。いや、このころから音源が見つけやすくなるという事情もあるのですが。

まだビリー・ストレンジはサイド・ギターでしたが、1952年のこの仕事は彼にとっては重要だっただろうと思います。カントリー・インストを代表する二人の大物のバッキングです。

Jimmy Bryant and Speedy West - Lover


同じく巨人二人のバッキング。こんどは1954年の録音です。こんな人たちとしじゅういっしょにプレイしていたら、イヤでもうまくなったにちがいありません!

Speedy West & Jimmy Bryant - Freettin Fingers


どうせ徒弟奉公をするなら、こういう本物の「親方たち」のほうがいいに決まっています。若いときにこういうプレイをたっぷり裏から見れば、生涯、慢心することはないでしょう。

徒弟奉公が終わったのか、あるいは、今度の親方がギター・プレイヤーではなく、シンガーだったおかげか、翌1955年にはリード・ギターのプレイが記録されることになります。

Cliffie Stone - Barracuda


1955年のカントリー系の盤としては、ちょっと異質なギター・ソロかもしれません。いや、すこし4ビートのニュアンスが入ってくるウェスタン・スウィングと見れば、本流のスタイルでしょうか。どうであれ、わたしの耳には、カントリーにしては洗練されたプレイに響きます。

1950年代のビリー・ストレンジは、おおむねカントリーの世界で、さまざまなアーティストのバッキングを、ステージやスタジオでおこなういっぽう、ラジオやテレビ、さらには映画でプレイし、歌っていた、といっていいでしょう。

50年代後半にはもうひとりの大スター、テネシー・アーニー・フォードがビリー・ストレンジの顧客リストに加わりますが、フォードのカタログも膨大で、御大がプレイした曲も多いので、その検討は後日ということにします。

われわれの視界でビリー・ストレンジの姿が大きくなるのは、むろん、ヴェンチャーズのデビューからです。どういうわけか、肝心のWalk Don't Runのクリップがライヴばかりで貼りつけようがありませんが、それはひとまずおき、気になるのは、この時期のセッション・ワークです。

ヴェンチャーズのデビューである1960年前後で、なにかギター・ソロが聴けないかと思って探してみました。ちょっと変なソロですが、リッキー・ネルソンのアルバム・トラックをサンプルにしました。

サンプル Ricky Nelson "Make Believe (ver. 2)"

ベア・ファミリーの「The American Dream」ボックスのセッショノグラフィーによると、この曲は、1959年10月27日にハリウッドのマスター・レコーダーで録音されています。

ジミー・ハスケル=アレンジ、ウィリアム・エヴァレット・ビリー・ストレンジ=ギター、リロイ・ヴィネガー=ベース、フランク・キャップ=ドラムズ、ジミー・ロウルズ=ピアノというメンバーでベーシックが録音され、後日、ストリングスや女声コーラス(ブロッサムズ)のオーヴァーダブがおこなわれています。

よけいなことですが、これは、わたしが知るかぎり、フランク・キャップの最古のセッション・ワークです。サーフ・インストの時代になると、けっこうクレジットを見るのですが。

あまり土地鑑のないところで、あれこれ聴きくらべをするというのは思いのほか気力を要するもので、リック・ネルソンにたどりついたら、ホッとして、どっと疲れが出ました。

本日はおおいなる助走、というあたりでおさめ、次回から60年代のビリー・ザ・ボスの八面六臂の大活躍を見ていくことにします。


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by songsf4s | 2012-02-24 23:56 | 60年代