続Q&Aソングス ゴーフィン=キングの自己レス・アンサー・ソング He Takes Good Care of Your Baby
 
以前、べつのブログで「Q&Aソングス」というシリーズをやったことがあります。そのときには、Answer to Everything: Girl Answer of the 60sというアンサー・ソング集を使ったのですが、最近、またこの種のコンピレーションを見かけたので、どういう選曲なのか、ちょっと覗いてみることにします。

例によって知らない曲がたくさんあるのですが、へえ、といったのはこの曲。本歌と同じく、ジェリー・ゴーフィンとキャロル・キングの共作です。

Carol King - He Takes Good Care of Your Baby


メロディーは原曲のママ、タイトルも原曲のもじりになっているので、たいていの方がすぐに本歌がおわかりでしょう。ボビー・ヴィーの大ヒット曲。山ほどクリップがあるのですが、音の悪いものばかりで、やっとみつけた許容できる音質のものを貼りつけます。

Bobby Vee - Take Good Care of My Baby


もう冒頭の数打でアール・パーマーとわかってしまうほど、どこからどうみてもアールのスネア・ワーク、時代を築いたサウンドです。1963年には、わが家でもこのスネアが毎日のように聴かれていました。って、あたしがかけていたのですが。

この時期のボビー・ヴィーのアレンジャーはアーニー・フリーマン、たいていの場合、彼自身がピアノを弾きながらストリングスをコンダクトしたそうです。この曲も、ストリングス・アレンジメントに心惹かれます。

ボビー・ヴィーの回想によれば、ベースはしばしばジョージ・“レッド”・カレンダー、ギターはハワード・ロバーツかバーニー・ケッセルがプレイしたそうです。オーヴァー・スペックといいたくなるようなメンバーです。しかし、ハリウッド音楽界では、こういう「スペック」はいたってノーマルでした。

この豪華なボビー・ヴィー盤にくらべると、キャロル・キングのセルフ・アンサー・ソングは、バッキングは彼女のピアノのみ、わずかにヴォーカルをダブル・トラッキングしていることだけが色づけです。

むろん、これはデモだったのでしょう。調べるとDora Dee & Lora Leeというデュオらしきアーティストの名義によるHe Takes Good Care Of Your Babyがリリースされたことがあるようです。

さて、アンサー・ソングというのは、たいていの場合、メロディーは原曲のものを流用します。違いは、当然ながら、歌詞にあらわれます。まずは原曲、Take Good Care of My Babyの歌詞から。

My tears are fallin'
'Cause you've taken her away
And though it really hurts me so
There's somethin' that I've got to say

Take good care of my baby
Please don't ever make her blue
Just tell her that you love her
Make sure you're thinkin' of her
In everything you say and do

Oh, take good care of my baby
Now don't you ever make her cry
Just let your love surround her
Paint a rainbow all around her
Don't let her see a cloudy sky

Once upon a time
That little girl was mine
If I'd been true
I know she'd never be with you

So, take good care of my baby
Be just as kind as you can be
And if you should discover
That you don't really love her
Just send my baby back home to me

Well, take good care of my baby
Be just as kind as you can be
And if you should discover
That you don't really love her
Just send my baby back home to me

Oh, take good care of my baby
Well, take good care of my baby
Just take good care of my baby

というわけで、ちょっと浮気のようなことをしたばかりに、愛する女性を失うことになった男が、彼女の新しいボーイフレンドに、「俺のベイビーを大事にしてくれよ、お願いだから彼女を悲しませたりしないでくれ」と訴える、いかにもジェリー・ゴーフィンらしい、すぐれたセントラル・アイディアをたくみに展開するストーリーです。

あまり時間がないのですが、コピーしてもってこられるものもないので、自前でやるしかなく、特急でHe Takes Good Care of Your Babyの歌詞を聞き取ります。やっつけ仕事なので、誤脱はご容赦願います。簡単な英語なので、ご自分で修正できるでしょう。

タイトルからおわかりのように、こちらは女性のほうが、かつてのボーイフレンドに語りかける形になっています。まずは前付けヴァース。

Your tears were fallin'
When he took me away
But darlin' now I'm cryin' too
And there's somethin' that I have to say

というように、原曲にほぼ一対一対応させてあります。まあ、当然、そうでなければいけないところです。ここで明かされるのは、別れるときにあなたが泣いたけれど、いまはわたしが泣いている、という、オヤオヤな現状ですw

つづいてファースト・ヴァース。

He takes good care of your baby
He never ever makes me blue
Though he's thinking of me
And always says he loves me
I can't help wishing it were you

これも原曲のファースト・ヴァースに対応させてあります。あなたが頼んだとおり、彼はわたしのことを大事にしてくれているわよ、でも、愛しているといわれるたびに、彼ではなく、あなただったらよかったのに、と思ってしまうの、という、いまのボーイフレンドはもうぜんぜん立場がないという、オイオイな展開です。

セカンド・ヴァース。ここからが、天下のジェリー・ゴーフィンの本領発揮です。いっておきますが、あたしは、キャロル・キングなんかよりはるかにジェリー・ゴーフィンのほうが好きなのです。

He takes good care of your baby
But ever since we said goodbye
When he puts his arms around me
Memories of you surround me
And darling I can't help but cry

ここは本歌の踏まえ方が一段、高度になっています。2行目は本歌「Just let your love surround her」→アンサー「When he puts his arms around me」、3行目は「Paint a rainbow all around her」→「Memories of you surround me」というように、surroundとaroundの置き場所を入れ替えてあるのです。

さすがはジェリー・ゴーフィン、ただ語り手を男から女へと替えるだけでなく、ふたつの曲を横断して詩の形式美も追求するという力業を披露しています。こういうところがこの人の才能であり、キャロル・キングが一山いくらの凡人に見えるほどの世紀の大ソングライターだったと考える所以です。

つづいてブリッジ。

When you were untrue
I said goodbye to you
But darling can't you see
You let me go too easily

あんなに簡単にあきらめることはないじゃない、となじられた男はまた泣いちゃうでしょうな。それにしても、いまのボーイフレンドがなんとも可哀想な展開ですw

ラスト・ヴァース。

He takes good care of your baby
Just like you wanted him to do
He tries to make me happy
But how can I be happy
When my heart knows
I'm still in love with you

技術的にはみごとなもので、ジェリー・ゴーフィン作品として恥ずかしくない仕上がりです。一度はあきらめた彼女にこんなことをいわれたら、男としては矢も楯もたまらない気分になるでしょう。

さりながら、あたくしは年寄りなので、いろいろな男女関係を見てきたわけでして、こういうケースでは、はからずもよけい者となってしまった男のほうにシンパシーがわきます。おまえら、勝手に別れて、勝手に縒りを戻そうとしやがって、それが人の道か、などと道学者じみた言葉が喉元まで迫り上がってきてしまうわけですな。

まあ、所詮、フィクションのなかの他人の色恋、ほうっておくことにして、本歌のほうのカヴァーを貼りつけましょう。

まず、いまやTake Good Care of My Babyのもっとも有名なヴァージョンになりつつあるこの人たちのものを。

The Beatles - Take Good Care of My Baby


うーむ。べつに悪いとはいいませんが、ジョージがリードですし、あの時代のビートルズですから、ハリウッドの精鋭がプレイしたボビー・ヴィー・ヴァージョンと比較しては失礼でしょう。いまだから、逆算して、魅力があるように錯覚するだけです。この曲を歌うならジョンでしょうに。

そろそろ時間切れ、つぎのヴァージョンでおしまいにします。

Dion & The Belmonts - Take Good Care of My Baby


ふたつ聴いて、ボビー・ヴィーのヴァージョンのレベルの高さを深く噛みしめました。アール・パーマーがいることのすごさ!


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ボビー・ヴィー
Very Best of Bobby Vee
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キャロル・キング
Brill Building Legends
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by songsf4s | 2012-02-09 23:59 | 60年代