ファー・モア・ザン・ノー・ヒット――2ヒットならどうだ!
 
今日は、今年最初の映画をやろうかと思ったのですが、二本の候補があって絞りこめず、両方ともサウンドトラックの切り出しをやっただけで終わってしまいました。

そこで前回のつづき、またワン・ヒッターをやろうかとも思ったのですが、ワン・ヒッター企画をやりながら、気になったことがあるので、そちらをやることにします。

といっても、同工異曲もいいところ、2ヒッターをやろうというだけです。読んで字のごとし、2曲だけヒットのあるアーティスト、というくくりです。いやはや、ただ数字を増やしただけで、どうもスツレイをば。

ワン・ヒッターもけっこういるのですが、2ヒッターもたちどころにいくつか思いつきます。一曲、大ヒットがあって、つぎのもその勢いでそこそこヒットしたものの、そのつぎはもうなかった、なんていうのは、いかにもありそうなパターンです。

わたしがもっとも熱心に聴いた時代の代表的な2ヒッターから。まずは最初の大ヒット。

The Cyrkle - Red Rubber Ball


曲はポール・サイモンとシーカーズのブルース・ウッドリー、マネージャーはブライアン・エプスティーンで、ビートルズと同じようにグループ名は綴り換え(Circle→Cyrkle)などと、パブリシティー材料が豊富で、何度も写真や記事を見ました。

マネージメント・オフィスがビートルズと同じだから、ファブ・フォーの66年のアメリカ・ツアーだったかに帯同して、オープニング・アクトをつとめた、なんていうことも当時、音楽雑誌に写真付きで報道されていました。シェイ・スタジアムでの写真だったと記憶しています。

Red Rubber Ballはビルボード・チャートの2位までいったのですが、そのうえにフランク・シナトラのStrangers in the Nightがどっかと腰を下ろしていて、ついにチャート・トッパーにはなれませんでした。

これはテレビで、リップ・シンクだから、なんとかなっていますが、こんな編成じゃ、まともな音なんか出ないでしょう。子どものときは、ベースにギターのダブルネックって、どうするんだ、と思いましたが、どうするもなにも、どうもなるはずがありません。ライヴはひどい音だったにちがいありません。

ふつうは、いい曲がぞろぞろつづくなんてことはないので、セカンド・シングルはそこそこのヒットでした。

The Cyrkle - Turn Down Day


このあと、トップ40ヒットは出ず、ホット100に引っかかったのが、なにかあったかもしれない程度です。アルバムを聴いても、惜しいなあ、この曲をシングル・カットすればよかったのに、というほどのものはなく、つまるところ、2ヒッターが実力相応だったということでしょう。

こんどはイギリスのマルチレイシャル・グループ、ファウンデイションズです。イギリスではもっとヒットがあったようですが、ビルボード・チャートで見るかぎりは2ヒッターです。まず、最初の大ヒット。

Baby Now That I've Found You


これは大好きでしたが、なぜかシングルは買いませんでした。ギター・バンドが好きだったせいで、管をフィーチャーしたR&B系の音楽はためらってしまったのかもしれません。

クリップではなく、手元のファイルを聴いていて思ったのですが、曲もさるものの、やはりサウンドに反応していたのだと思います。いま聴いても、ピアノの左手とベース、それにドラムのコンビネーションによるイントロのグルーヴはおおいに魅力的に感じます。もちろん、クレム・カーティスの声も好みですが。

セカンド・ヒットも同様に、聴いた瞬間、いい曲、いいサウンドと思いました。

The Foundations - Build Me Up Buttercup


この曲も、Baby Now That I've Found You(近ごろ、邦題を片端から忘れはじめていて不安だが、「星空のベイビー」だったと思う)同様、おおいに好みました。

Baby Now That I've Found You同様、イントロはピアノの左手とベースを重ねていて、依然としてこのサウンドは魅力的ですし、Build Me Up Buttercupのほうは、さらにハモンドのオブリガートが印象的です。

いま聴き直していて思ったのは、このバックグラウンド・ヴォーカルも好きだったことで、シング・アロングするときは、どちらかというと、リードではなく、バックグラウンドを歌っていました。

サークルのアルバム・トラックやノンヒット・シングルにはとくに好きなものはありませんが、ファウンデイションズについては、イギリスだけでヒットしたもののなかには、惜しい曲もあります。

The Foundations - In the Bad Bad Old Days


曲もまずまず、アレンジもサウンドも悪くないし、「古き良き時代」をもじった「古き悪しき時代」という歌詞およびタイトルのアイディアもけっこうで、ビルボード・チャートではダメだったのは、バッド・ラックというべきなのかもしれません。

しかし、つぎの曲も聴くと、ほかにも問題があったことに気づきます。いや、いい曲ですが。

The Foundations - Back on My Feet Again


もうおわかりでしょう。ここまで並べた4曲、すべて文字通り「同工異曲」、同じ系統のサウンド、アレンジで、そこに無理があります。どの曲もそこそこいいけれど、それ以上ではないため、ヒットさせるのはむずかしくなっていって当然でしょう。

4組ぐらいいけるのではないかと思ったのですが、2ヒッターと思いこんでいたら、じつは3ヒッターだった、なんていう勘違いもあったり、前回の記事のミスを訂正したりしていたら時間は飛び去り、もうひと組で終わりにします。

フォーク・ロック系、R&B系ときて、こんどはフォーク・グループです。

The Rooftop Singers - Walk Right In


わたしの世代で、12弦アコースティックを買った人は、たいていこの曲のリフを弾いたのではないでしょうか。非常に印象的なイントロでした。じっさい、60年代前半のアコースティック12弦ブームは、この曲からはじまったのだと思います。

ビリー・ストレンジ御大は私信のなかで、あのころは、なにかというとアコースティック12弦を弾かされて大変だった、ブームが終わったときにはホッとした、12弦はほとんど手放し、いまは一本しかもっていない、もう手が柔らかくなってしまったので弾けない、とおっしゃっていました。

素人がアコースティック12弦を弾くと、Fなんか押さえたくないと思うのですが、12弦のアルバムを出したプレイヤーも、やはりアコースティック12弦は苦手だったかと、ホッとしました。

せっかくだから、ビリー・ストレンジ盤Walk Right Inも貼りつけておきます。

Billy Strange - Walk Right In


さて、ルーフトップ・シンガーズの2曲目です。サークルとファウンデイションズは、2曲ともあの時代に知っていましたが、ルーフトップ・シンガーズはさすがに時代が古くて明確な記憶がありません。

The Rooftop Singers - Tom Cat


これが最後のヒットになったのもしかたない、というところでしょう。Walk Right Inというチャート・トッパーがあったから、その七光りでチャート・インしただけにすぎず、この曲が先だったら、ヒットはしなかったでしょう。

ワン・ヒッターも、ヒットをつづけることのむずかしさを教えてくれますが、2ヒッターは、さらに深く、さらに精妙に、チャートヒットというものの複雑怪奇なメカニズムを語っているように思います。残念ながら、あたくしは凡人なので、そこから処方箋を得られるわけではないのですが。


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サークル
Red Rubber Ball: A Collection
Red Rubber Ball: A Collection


ファウンデイションズ
Baby Now That You've Found You
Baby Now That You've Found You


ルーフトップ・シンガーズ
Best of Vanguard Years
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by songsf4s | 2012-01-04 23:41 | 60年代