サイモン&ガーファンクル"So Long Frank Lloyd Wright"―Bridge Over Troubled Water40周年記念盤を巡って
 
Bridge Over Troubled Water40周年記念盤の全曲を検討するつもりはないのですが、あと何曲かサウンドを腑分けしてみようと思います。

わたしはサウンドが好きなので、ヴォーカルにはそれほど強い興味はなく、サイモン&ガーファンクルについても、アコースティック・ギターだけの曲で好きなのはあまりありません。いい曲だとは思っても、それで終わりになってしまうのがほとんどです。

そのなかで例外といえるのは、たとえばLeaves That Are Greenなどがそうですが、それでもなお、ちょっとでもいいから、音を重ねてくれると、好ましさがおおいに増します。

たとえば、Dangling ConversationやOld Friendsなどが、そのような「わずかに音を加えた」好ましい曲の一例ですが、フランク・ロイド・ライトへのオマージュ、So Long Frank Lloyd Wrightも、そのタイプといえます。

「わずか」か否かの境目は、ドラムとフェンダー・ベースのあるなしで、ドラムが強いバックビートを入れていれば、わたしの観点からは「わずかな音」ではなくなるのです。

Simon & Garfunkel - So Long, Frank Lloyd Wright


アート・ガーファンクルはコロンビア大学で建築の勉強をしていて、それでポール・サイモンがこの曲を書いたそうですが、建築家をテーマにした歌というのはほかに知りません。

どなたか、The Late Great Walter Gropiusとか、A Song for Le Corbusierなんてえのをお書きになってみてはいかがでしょうか、ヒットしなくても、ポール・サイモンの曲と並んで、建築家をテーマにしためずらしい歌、と言及されることになるでしょう!

昔のLPにクレジットがあったのかなかったのか、あるいは名前を見たのに、あの時代にはよく知らなかったから忘れてしまったのか、この曲のアレンジはジミー・ハスケルの仕事だということに、今回の再検討で気づきました。

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ショーティー・ロジャーズといっしょに、ボビー・ジェントリーのデビュー・アルバム、Ode to Billie Joeでグラミー編曲賞を得たのがたしか1968年のこと、したがってSo Long, Frank Lloyd Wrightは、ジミー・ハスケルの盛名がもっとも高かったときの仕事ということになります。

The Making of Bridge Over Troubled Waterには、ジミー・ハスケルの仕事ぶりがわずかに出てきます。BとBマイナーでうまくないから、Fシャープのままつづけたほうがいい、マイク(たぶんストリング・セクションのだれか)、いまのきいたか、などといっています。

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アート・ガーファンクルの歌をききながら採譜し、コードを変更して、その場でアレンジし、ストリング・カルテットに指示していった様子がはっきりわかる、貴重なショットです。

たとえば、ビートルズやビーチボーイズなどと同じく、サイモン&ガーファンクルが、スタジオ・タイム使い放題の特権的アーティストだったからこういうことができたのですが、ジミー・ハスケルの仕事の早さのおかげでもあるでしょう。

プロデューサー/エンジニアのロイ・ハリーは、So Long Frank Lloyd Wrightのストリングスを「It's kind of burried, but very tasty」(「やや薄目のミックスにしたが、非常に味わい深いものだった」)といっています。

まさにハリーの言葉の通り、じつにいいラインが出てきます。間奏のフルートのバックグラウンドのラインもいいし、All of the nights we harmonized till dawnの尻尾を、アーティーがずっと伸ばして歌うところのヴァイオリンなど、すごいものです。

ロイ・ハリーがkind of burriedというバランシングも、じつに微妙で、よくこのポイントを見つけたなあ、と感心します。この曲にも、アート・ガーファンクルの薄い声にも、このミキシングがぴったりですし、また、よく聞こえないだけになお一層、ときおり聞こえたときに、おお、いい音だ、とニンマリします。

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ポール・サイモンの曲、ジミー・ハスケルのアレンジ、ロイ・ハリーのエンジニアリングの、バランスのよい三位一体が、このSo Long, Frank Lloyd Wrightの繊細で美しい音を形成しています。

このデュオの歌にケチをつけるわけではないのですが、Bridge Over Troubled Waterというアルバムは、これだけの時間がたってみると、やはりPet Soundsのような、卓越したスタジオ・ワークの産物に思えてきます。そして、そのスタジオ・ワークの中心人物はロイ・ハリーでしょう。

So Long Frank Lloyd Wrightのエンディングのリフレインで、オフマイクの「So long already, Artie」(「もう十分に長いぞ、アーティー」)という声が聞こえます。これはリフレインがあまりにも長いので、ロイ・ハリーが、いい加減に終わりにしたらどうだ、という意味で声をかけたのだそうです。

それでは、この記事もso long alreadyなので、ここらで、ソー・ロングみなさま。


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by songsf4s | 2011-12-13 23:56 | 60年代