ギター・オン・ギター11 アンドルー・ゴールド篇

同じものばかりやっていると疲れるので、今日はまた箸休めとして、久しぶりに「ギター・オン・ギター」シリーズを引っ張り出します。

ご存知ない方のために駄言を弄すると、「ギター・オン・ギター」シリーズとは、読んで字の如し、ギター・アンサンブルの面白いものを並べてみようというだけのものです。

もうすこしスペシファイすると、ジャズのほうでは、リズム・ギターないしはセカンド・ギターというものを使わないのがふつうですが、あえて複数のギターでやっているトラックを探す、というのがひとつ。ジョニー・スミスやタル・ファーロウのトラックはそういう趣旨で選びました。

ポップ/ロック系では、複数のギターを使うのは当たり前なので、きちんとアレンジされたギター・アンサンブルを選ぶというのが原則です。もっとも、オールマンズなどは、ドゥエイン・オールマンが生きていた時代にはゆるいアレンジしかしていませんでしたが、そのあたりは、わたしの好みに合うか否かという問題にすぎないので、ほっといてくれ、です。

なお、過去の「ギター・オン・ギター」については、このページのいちばん下のメニューをご覧ください。

◆ セッション・ワーク ◆◆
今回はアンドルー・ゴールドです。以前、このシリーズでとりあげたトッド・ラングレンと並ぶオールラウンド・プレイヤーであり、そのせいなのか、あるいは関係ないのか、トッド同様、アンドルー・ゴールドもギターを重ねることを好みます。

では露払いとして、アンドルー・ゴールドの代表的セッション・ワーク、てえんで、リンダ・ロンシュタットのあれこれをもってこようとしたのですが、愕いたことに、スタジオ録音はほとんどなくて、かろうじてこの曲だけ発見しました。オリジナルはむろんバディー・ホリー、クォリーメン時代のジョン・レノンのカヴァーもいまではおなじみです。

リンダ・ロンシュタット That'll Be the Day


アンドルー・ゴールドとワディー・ワクテルがリードをシェアしています(と記憶している。もう手元に盤がないので確認できない)。残念ながら、どっちがどっちかはわかりません。ソロで先に行くほうがゴールドだろうと思いますが。

これだけではあんまりなので、やむをえず、サンプルをアップしました。そんな面倒なことをしないですむだろうという見込みだったのですがねえ。

サンプル Linda Ronstadt "When Will I Be Loved" (feat. Andrew Gold on guitars)

これも手元に盤がないのですが、リードはアンドルー・ゴールドのダブルだったと思います。ひょっとしたら、すべてのギターがゴールドのプレイだったかもしれません。五本ぐらいでしょうか。ソロだけでなく、裏でちょっと鳴らしているオブリガートなんかも、アンドルー・ゴールドのアレンジャーとしてのセンスがあらわれています。こういう現場監督がいると、プロデューサーは左団扇でしょう。わたしでも務まってしまうにちがいありません。「よきにはからえ」といっていれば、シングル曲がin the canです。

わたしもその仲間ですが、基本的に女性シンガーは聴かない、なんていう方がいらっしゃいます。しかし、ギターに関するかぎり、リンダ・ロンシュタットの盤は、ボビー・ジェントリーのつぎぐらいに面白いと思います。ドラムがウームのものが多いのが珠に瑕ですが……。

◆ ソロ・ワーク ◆◆
アンドルー・ゴールドのアルバム・トラックなど、クリップがあるかと心配だったのですが、ひとつだけ候補にあげていたものがありました。モーリス・ウィリアムズ&ザ・ゾディアックスの大ヒットにしてスタンダード。わたしはホリーズのカヴァーから入りましたが、70年代にはジャクソン・ブラウンのカヴァーもありました。

アンドルー・ゴールド Stay


Lonely Boyでとんでもないアクロバットをやって、わたくしをして、驚愕の記事を書かしめた人なので、この曲の間奏も、たんにギター・プレイとして面白いだけでなく、リズム・アレンジがシャープで、ハッとさせられます。ギターもピアノも非常にパーカッシヴに扱っていて、指と脳をきちんと連携させて音楽を作っていたこの人の特徴があらわれています。指を動かせば音楽になると思ったら大間違いなんだぜ>エ×ッ×・ク×プ×ン。

予定していたもう一曲はクリップがないようなので、サンプルで。こんどはエクサイターズのカヴァーというか、やはりマンフレッド・マンのビルボード・チャート・トッパーのカヴァーというべきでしょうね。

サンプル Andrew Gold "Doo Wah Diddy Diddy"

すごく短い間奏ですが、プレイで聞かせるつもりは毛頭なく、ギターを重ねたサウンドのよさを前面に押し立てています。間奏のあとのコーラスの尻尾で、また一瞬だけギター・オン・ギターを使っています。こういうぐあいに、手間を惜しまず、ディテールに凝る人は大好きです。

ギター・オン・ギターではないのですが、ついでなので、前述したLonely Boyのライヴを貼り付けておきます。

アンドルー・ゴールド Lonely Boy (live)


ワッハッハ。ギターがおっかなびっくりで弾いていて、大笑いしました。彼はこの曲のトリックを知っているから、用心に用心を重ね、つねにリズムを意識して体を揺らしているにちがいありません。

なにが問題かというと、この曲で表拍に聞こえるものはじつは裏拍で、裏拍に聞こえるのはじつは表拍なのです。コーラスのあとで、それが明らかになるので、そのときに裏表ひっくり返して弾いたりすると、すごくみっともないことになります。

ピアノ・コードは一見すると表拍を弾いているように聞こえますが、これは裏です。同様に裏を弾いているように聴こえるスネアのサイドスティックとギター・カッティングは表です。だから、彼は裏表を間違えないように必死になっているのです。油断すると、ピアノに引きずられて簡単にひっくり返ってしまいますから。なんとも厄介な曲です。

リンダ・ロンシュタットのトラックにはまだいくつか、アンドルー・ゴールドのギター・オン・ギターがフィーチャーされているのですが、そのあたりはご自分の耳でどうぞ。


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リンダ・ロンシュタット
Greatest Hits 1 & 2
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by songsf4s | 2011-06-30 23:43 | Guitar Instro