グレイトフル・デッドの早死にトラック群 その1 Live/Deadの生き死にの問題
 
同じようにコメントできっかけをいただいて、グランド・ファンクは記事にして、グレイトフル・デッドは記事にしない、ということは、当家の場合はありえないわけでして、当然、今日はデッドです。

ゲーリー・チェスターのつづきもしたいのですが、あちらはアーティストが多様で、時期もスパンが大きく、準備に手間取っています。

◆ アンサンブルとインプロヴの両立 ◆◆
k_guncontrolさんのデッドに関するコメントは短いので、そのまま引用させていただきます。

「『LIVE/DEAD』を『デッド入門にはこれ』という紹介のされ方を良く見るのですが、自分にはあのアルバムのみ妙に他アルバムと異なったものに聞こえます。あのライブ・アルバムはデッド史においてどういう位置付けで、他のアルバムにはどう繋がるのか、その辺りを是非一度お願いします。」

1969年のダブル・ライヴ・アルバム、Live/Deadは、グレイトフル・デッドにとって出世作といっていいのでしょう。それまでの3枚とは異なって、それなりに評判になっていました。

わたしはセカンドのAnthem of the Sunを買ったのですが、中学生にはややハイブロウだったというべきか、それともたんに、それほど出来がよくなかったか(いまだにそれほどいいとは思わない)、つぎのAoxomoxoaは買いませんでした。

そのつぎのLive/Deadも、渋谷百軒店のBYG(はっぴいえんどのマネージメント・オフィスである「風都市」が経営していたロック喫茶)で聴き、おおいに感銘を受けたものの、ダブル・アルバムなので手が出ませんでした(その後、72年のはじめ、大学合格祝に友人にプレゼントされた)。

LPのディスク1のA面全体を占めていたこの曲で、グレイトフル・デッドは一躍有名になったといっていいでしょう。いや、シングル・ヒットではないから、アンダーグラウンド的な名声ですが。長い曲なので、以下は冒頭のみのクリップです。

グレイトフル・デッド Dark Star(Live/Deadヴァージョン)


これのどこが高校生に面白かったのか、いまになると明瞭に思い出すことはできません。ヴァース-コーラス-ヴァース-コーラスといった明快な構成ではなく、セカンド・ギターはコード・カッティングではなく、リードにからんでいき、そこにベースもいっしょになって、ふわふわと上昇下降を繰り返すところが面白かった、といったあたりでしょうか。

そういう話は聞いたことがありませんが、時期からいってスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』を意識していた可能性もあると思います。デッドもトリップ・ミュージックと言われていましたが、『2001年宇宙の旅』のいわゆる「スペース・コリダー」シークェンスも「サイケデリック・シーン」などといわれました。

しかし、長い年月がたって、Dark Starはあまり聴かなくなり、最近、このアルバムで聴くのは、この曲、というか、つながった二曲の、とくに接続部分の変化の仕方が好きです。以下、その二曲のクリップを並べますが、問題はその中間なのでありまして……。

グレイトフル・デッド Saint Stephen(Live/Deadヴァージョン)


ぶつっと切れていますが、このままつぎのElevenに突入しているのです。

グレイトフル・デッド Eleven(Live/Deadヴァージョン)


この曲もぶつっと終わっているのは、そのままつぎのTurn on Your Lovelightに突入しているからです。無茶なことをやったものだ、なんていいたくなりますが、デッドはいつだってそうなのだということが、のちのちわかってくることになります。

Elevenというのは、タイトルが示しているように11拍子です。このクリップでいうと、3:30ごろに4/4から11拍子に切り替わります。11拍子といっても、この場合は3+3+3+2と勘定すれば適応可能です。途中に変拍子が入る3/4としてプレイするのです。

とはいえ、それを滑らかに、自然に聞かせるのは、やはり簡単ではないでしょう。すくなくともこの時期は、ラリパッパのイメージに反して、デッドはむやみにリハーサルしたそうですが、バンドが一体となってこういう変拍子をものともせずに突き進むには、徹底的に練習するしかなかったと、エーと、フィル・レッシュだったかが、そのようにコメントしていました。じっさい、この一糸乱れぬ突進はいまでもスリリングです。

◆ 色は匂えど ◆◆
しかし、この時点ではLive/Deadは買わず、つぎにデッドを買ったのは、Live/Dead以上に大きな評判となり、一気にデッドのファン基盤が形成されることになった1970年のWorkingman's Deadでした。

グレイトフル・デッド Uncle John's Band(スタジオ録音ヴァージョン)


ついでに、以前、「オーヴァーサンプルのUncle John's Bandをダウンサンプルする」という記事につけた、DVD-AをMP3にしたヴァージョンも再度貼り付けておきます。

サンプル Grateful Dead "Uncle John's Band" (downsampled from DVD audio)

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いくら、ライヴとスタジオは異なるとはいえ、Live/DeadとWorkingman's Deadという二枚がほぼ同じころに録音されたのだから、変なものです。Workingman's Deadは、アルバム全体がアコースティックというわけではありませんが、フォーク、ジャグバンド・ミュージックのルーツを強く意識していたのはまちがいありません。

もう一曲、Workingman's Deadから、ほんとうはCumberland Bluesをと思ったのですが、クリップがなかったので、こちらを。以前、「Dire Wolf by Grateful Dead」という記事で取り上げた曲です。ペダル・スティールはジェリー・ガルシア。

グレイトフル・デッド Dire Wolf


k_guncontrolさんの、Live/Deadだけがちがっている、という見解におこたえしようとしているのですが、なかなかそこにたどりつけません。

それは、ひとつには、この時期のデッドは、すくなくとも盤を通して聴くかぎりにおいては、ころころスタイルとサウンドが変わっていったせいです。

それともうひとつ、機材も変化します。Live/Deadのとき、ジェリー・ガルシアはギブソンSGだったようです。レッシュのベースもそのあたりだったようです。

あいだに二枚のスタジオ盤をはさんで、つぎのライヴ・アルバムのときには、ジェリー・ガルシアはたぶんストラトキャスターにしていました。おそらく、70年の二枚のアコースティック・アルバムのときから、メインはストラトになっていたと思いますが。

グレイトフル・デッド Sing Me Back Home (1971)


1972年のヨーロッパ・ツアーは全面的にストラトだったのではないでしょうか。

グレイトフル・デッド Jack Straw(72年ヨーロッパ・ツアーより)


レッシュはギブソンのセミアコ・ベース、ボブ・ウィアはエピフォンのセミアコでしょうか。もっと大きな違いは、ミッキー・ハートが抜け、ドラムがビル・クルツマンひとりになったことと、トム・コンスタンティンに代わってキース・ゴッドショーが入り、オルガンではなく、主としてピアノが使われるようになったことです。

時間がなくなってきたので、駆け足で。

Live/Deadの最大の制作動機は、アンペクスの8トラックを手に入れたことだそうです。以後、デッドは、あらゆるライヴ・ギグをすべて録音することになり、それがいまCDや配信で洪水のごとくに大放出され、われわれを悩ませているのです。

デッドは68年のセカンド・アルバムのときに、ライヴ録音とスタジオ録音のコラージュを試みています(エンジニアでもあったプロデューサーのデイヴ・ハーシンガーは、おまえら、頭がおかしい、といってスタジオを出て行ってしまい、実質的にデッドの最初のセルフ・プロデュース・アルバムとなった!)。すくなくともデビュー当初は、彼らはライヴのほうが圧倒的に面白いといわれていて(まあ、多数派は全キャリアを通じてそうみなしているだろうが)、デッドとしては、それを実証したかったのでしょう。

しかし、当時の録音技術は彼らを満足させるものではなく、その貧弱な音をカヴァーするために、ライヴ・テープをスタジオ録音とシャッフルしてしまうという、実験音楽の時代にふさわしい手法を思いついたのでしょう。

そこへ、運搬容易なアンペクスの8トラックが登場し、彼らは、これならばまともな音で録音できると考えたようです。

ものすごく中途半端なところで、こういうときはライヴ更新をすることにしているのですが、今日はすでにエネルギー欠乏、半分睡眠状態なので、中途半端で失礼ながら、ここまでとし、次回に持ち越しとさせていただきます。


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グレイトフル・デッド
Live/Dead
Live/Dead


グレイトフル・デッド
Workingman's Dead
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グレイトフル・デッド(DVD-A)
Workingman's Dead
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グレイトフル・デッド
Golden Road
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(ワーナー時代の12枚組ボックス。ライノのマスタリング。現在はばら売りでもこのマスタリングが使われているらしい。いや、ひとつひとつ確認したわけではないが)
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by songsf4s | 2011-06-01 23:59