欧州ローカル線の旅 その5ドイツ レインボウズのBalla BallaからHippy Hippy Shakeへ
 
このシリーズをはじめたときに予定していたのは6曲、すくなくともそれだけはやっておこう、というわけで、今日はドイツに移動です。

のちにクラフトワークなんていうグループが輩出したドイツ(厳密には西ドイツ)ですが、わたしが子どものころに知っていたドイツのポップ・ミュージックはただ一曲でした。

レインボウズ Balla Balla


こんなステージ・スタイルだったとは知りませんでしたが、この曲にビルトインされた馬鹿馬鹿しさは、スタジオ録音を聴くより、このライヴを見るほうがストレートに伝わってきます。

盤では、欠点をなんとか押し隠しているのですが(しかし、これだけタイムが不安定なギターもめずらしい。ジョージ・ハリソンは遅れるだけだが、レインボウズのギタリストは遅れたり走ったり忙しく、ノッキングする車の如し)、当時のバンドは、やはりライヴになると、うひゃあ、です。

てなわけで、いちおうスタジオ録音もいってみましょうか。われわれの記憶にあるのはこちらのほうですし。

サンプル The Rainbows "Balla Balla"

ドイツと日本以外の国ではこの曲がヒットした形跡は見当たりません。イギリスのソロウズのヴァージョンとしてアップされているクリップがありましたが、クリップのコメントにあるように、わたしの耳にもレインボウズ盤のマスタリング違いに聞こえました。

唯一のカヴァーは、イギリスのスコーピオンズという、わたしは知らなかったグループのものです(70年代に活躍するドイツのスコーピオンズとは無関係。マンチェスター出身だとか)。

スコーピオンズ


こちらのほうが、レインボウズよりさらに馬鹿馬鹿しいレンディションで、この曲にふさわしいかもしれません。コンボ・オルガンのチープな音が泣かせます。サム・ザ・シャム&ファラオーズか、クエスチョン・マーク&ザ・ミステリアンズか、というムードです。

サム・ザ・シャム&ザ・ファラオーズ Wooly Bully


いやあ、歌の馬鹿馬鹿しさを凌駕するヴィデオの圧倒的な馬鹿馬鹿しさは感動もの!

?&ザ・ミステリアンズ 96 Tears


自分で貼りつけておいて、こういうことを云うのもなんですが、馬鹿馬鹿しくて、最後まで聴く気が起きませんなあ。しかし、absurdityへの情熱というのが、ロックンロールと他の音楽形式を区別するもっとも重要な要素であることも間違いありません。ポール・マッカトニーもabsurdityへの執着を繰り返し強調していました。

ビートルズ You Know My Name


◆ 源流 ◆◆
愚劣さへの降下はそれくらいにして、こんどは水平に時間をさかのぼります。Balla Ballaの原型はこの曲に違いありません。

スウィンギング・ブルー・ジーンズ Hippy Hippy Shake


日本ではBalla Ballaはうんざりするような大ヒットになりましたが、スウィンギング・ブルー・ジーンズのHippy Hippy Shakeが大ヒットしたなどという記憶はありません。これは、Balla Ballaの大ヒットは、ひとつには歌詞の馬鹿馬鹿しさ、単調さに支えられたものだったことの証左のような気もします。

レインボウズはスウィンギング・ブルー・ジーンズのアレンジ、サウンドを模倣したのであって、楽曲の類似は結果に過ぎないと思います。Hippy Hippy Shakeも、オリジナルまでいくと、Balla Ballaとの縁戚関係は薄くなります。

チャン・ロメロ Hippy Hippy Shake


チャン・ロメロのHippy Hippy Shakeは、リッチー・ヴァレンズのLa Bambaと並ぶチカーノ・ロックの代表曲ということになっています。いわれると、まあ、共通項があるかなあ、とは思うのですが、プレイしているのはあの時代の他の音楽もやっていた一線級で、ドラムはアール・パーマーです。出典は失念しましたが、ギターはルネ・ホール(サム・クックのアレンジャー)だったという記憶があります。つまり、リッチー・ヴァレンズのLa Bambaと同様のメンバーで録音されたわけで、サウンドが似たのはそのせいにすぎず、チカーノ・ロック云々は関係ないような気もします。

リッチー・ヴァレンズ La Bamba


こちらのほうはメンバーがほぼ明らかになっています。ドラムズ=アール・パーマー、ダンエレクトロ6弦ベース=ルネ・ホール、ギター(ソロを含む)=リッチー・ヴァレンズ、リズム・ギター=キャロル・ケイ、ベースがはっきりしないのですが、ジョージ・“レッド”・カレンダーだという説があります。また、ミックス・アウトされていますが、アーニー・フリーマンはこのセッションでピアノをプレイしたと主張していたそうです。

どうであれ、二種類のHippy Hippy Shakeを並べると、ブリティッシュ・ビート・グループが、アメリカ音楽にどのような加工を施して世界を席巻したかがわかります。大雑把に云えばビートの強調なのですが、さらにいえば、(主としてリズム・)ギターのドライヴの強調です。ささやかなトーンとバランスの変化にすぎないのですが、それが時代の感覚の違いを如実に反映していたと思います。

◆ シンプル&愚劣派の形成 ◆◆
こんどは同じ水平移動でも、同時代の曲です。

トミー・ジェイムズ&ザ・ションデルズ Hanky Panky


日本では、Balla BallaとHanky Pankyは同じころにヒットしたような記憶があります。どちらも、シンプルなコードと呪文のようなラインの繰り返しからなる歌詞という、「愚劣さの魅力」で売れたもので、「そういう時代」だったのかもしれないと思います。

いや、つまり、ビートルズがシリアスで複雑な方向にシフトし、それに引きずられたアーティストが続出するという流れがいっぽうにあり、その反作用として、痴呆的な音楽に対する嗜好が生まれた、という印象でした。

Balla BallaもHanky Pankyも、おそろしく簡単なので、プロ、アマ問わず、あの時代のバンドはこぞってコピーしました。この「あの時代のバンド」には、われわれの中学のバンドも含まれていたわけで、やれやれ、というしかありません! 耳タコなんか通り越して、意識遮断、流れても、ぜんぜん聞こえないふりをしました。

それにしても、いまだにBalla Ballaとはなんなのかということを知らないのですが、どなたかご存知でしょうか? Babyのあとにくるのだから、女性名と考えたくなりますが、ドイツは地理も言語もまったく不案内なのでした。

なお、Hanky Pankyについては、わたしの別のブログの「エリー・グリニッチ追悼 その10 トミー・ジェイムズ&ザ・ションデルズ“ハンキー・パンキー”」という記事で詳細に検討していますので、ご興味のある方はそちらをどうぞ。


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by songsf4s | 2011-02-24 23:52