ローラ・ニーロのR&Bカヴァーとオリジナル9 Nowhere to Run
 
ニック・デカーロのオリジナルのときに、わずか十曲のアルバムに、なんだってスティーヴィー・ワンダーの曲が二種類も入っているのだ、と書きましたが、ローラ・ニーロは、マーサ&ザ・ヴァンデラーズの曲を三つもカヴァーしています。

ローラ・ニーロ Nowhere to Run


毎度同じことを繰り返すだけで恐縮ですが、このスネアには我慢がなりません。ちょっと俺に見せてみろ、まともな音にしてやるから、といいたくなります。1)そもそも安物を使っている、2)間違ったメーカーのヘッドを選択した、3)チューニングの方法を知らない、4)スネア・ワイアの張り方を知らない、のいずれか、または複数の要因が複合したためだと考えられます。ちゃんと、プロ・ショップで買い物しようぜ。それとも、フィリーにはプロ・ショップがない?

◆ オリジナル ◆◆
マーサ&ザ・ヴァンデラーズのほうは、もちろん、ずっとマシな出来です。

マーサ&ザ・ヴァンデラーズ Nowhere to Run


こちらのドラミングもとくに感心はしませんが、フィリーのドラマーのあとだと、ものすごくうまく聞こえてしまいます。フィリーのドラマーはオリジナル・ヴァージョンのフレーズをコピーしそこなったことが読み取れます。まちがった機材、まちがったチューニング、まちがったスネア・ワイアの張り方で、同じフレーズがこうも印象の違うものになるかと感心しちゃいます。

こうして単独で聴くと、それなりの魅力のある曲なのですが、ヴァンデラーズのベスト盤や、モータウンのアンソロジーで聴くと、くすみ沈んで、印象稀薄になってしまうのは、いったいどういうメカニズムなのかと首を傾げます。

妙に印象に残るのは、オフマイクで、というか、なにかほかのものにあてたマイクで拾ったのかと思うような、遠いバックグラウンド・ヴォイスの録り方です。こういう小さな工夫こそが、なにより大事なスタジオ技術だと思います。

◆ ダークホース ◆◆
この曲のカヴァーというのはほとんどないようで、手持ちとしては、あとはマーサ&ザ・ヴァンデラーズのライヴ・ヴァージョンのみですが、とくに面白くもないので、サンプルにはしません。

ユーチューブにはこういうのがありました。

ダスティー・スプリングフィールド


わたしはダスティー・スプリングフィールドを不得手としていますが、これがもっとも楽しめるNowhere to Runではないかという気がしました。ドラムはちょっと早い人で、すこし突っ込んでいますが、ライヴだから、これくらい食ったほうが元気がよくてむしろいいか、と感じます。タイムが早いことをのぞけば、典型的なドラム小僧タイプの叩きっぷりは好ましく、それがこのヴァージョンを精彩あるものにしていると感じます。

寄席でトリの直前のことを「膝がわり」といいます(大阪では「もたれ」というそうな)。目立って場をさらい、「主任」の高座をかすませるなどというのはもってのほかで、案外むずかしいものだそうです。

ローラ・ニーロのNowhere to Runはいわば膝がわり、最後の曲の引き立て役、というふうに考えておくしかないような出来だと思います。次回はいよいよ大詰め、タイトル・カットです。


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ローラ・ニーロ
Gonna Take a Miracle
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マーサ&ザ・ヴァンデラーズ
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by songsf4s | 2011-02-01 23:35