『八月の濡れた砂』ロケ地再訪

朝っぱらから「今日はクリスマスイブですね」などという前に、eveの意味を辞書で調べたらどうだ、というツイートがあって、笑いました。だって、その直後に「今日はクリスマスイブですね」というツイートがあるんですからね。

両方をリツイートする、なんていう意地の悪いことはしませんでしたが、ご存知のように人柄はひどく悪いので、いろいろなことを思いました。

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朝から「今晩は」というに等しい「今日はクリスマスイブですね」という自己撞着した言葉を発するのは、意味を混乱させ、言語の質を落とす行為です。外来語だからしかたない、という見方もあるでしょうが、このように意味が曖昧になることが外来語導入の最大の問題点なので、外来語を使うなら、できるだけ正確な使用を心がけるべきです。

小津安二郎の『お早よう』の子どもたちがぶんむくれていった言葉も思い出します。大人たちはなんだって、お早うございますだの、今日はだの、今晩はだのと意味のないことを云うのだ、というのです。もちろん、大人の側には立派な言い分があるのですが、子どもたちがそういう疑問を抱懐するのは健全なことです。

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これを思い出したのは、イヴの意味がどうこうという以前に、そもそも「今日はクリスマスイブですね」というのは、いわずもがなではないか、と思ったからです。「今日は啓蟄ですね」とはちがいます。12月24日の夜がクリスマス・イヴにあたることは、99.9999パーセントの人間が知っているでしょう。そんなことを改まって確認されるのは、馬鹿馬鹿しくて、「まあ、挨拶は馬鹿馬鹿しいものだからな、しかたないさ」などと、よけいな心理的手続きを踏まされます。

日本に半世紀以上暮らして、いまだに意味を解しかねていることがあります。商店街、デパート、ショッピング・モールなどといった商業施設に、小旗だのポスターだのといった形で、「Summer」とか「Winter」とか、季節が書いてあるのはなぜなのでしょう。

Summer Bargainだの、Winter Clearanceだのというならわかりますよ。ただ「夏」だの、ただ「冬」だのと、裸で(2010などと年が書き加えられていることはあるが)投げ出された文字を見るたびに、いまが夏だということを知らない人がいると思って確認しているのだろうか、と吹き出しそうになります。英語だから疑問に思わずにそんな無意味なことができるのです。漢字でやってごらんなさい、漢字で!

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◆ ウォーキング・ブルーズ ◆◆
引越しで少しだけへこんだ腹が、また出しゃばりはじめる兆候があるので、このところ、散歩の距離を長くしています。日に10キロを最低目標に、ときにはそれ以上歩いています。どうせ歩いているから、一両日中に散歩ブログを復活させようと考えています。今日はその予告篇として、いくつか写真を貼り付けます。

そういうことはあまり書かなかったのですが、散歩ブログのほうで明らかにするので、この際だからこちらにも書いておきます。わたしは神奈川県横須賀市というところに住んでいます。横浜の中心部から30キロほど南です。

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ふだん歩ける範囲は当然、住んでいる場所に規定されます。鎌倉まで歩いたら、帰路はどうしても電車になります。横浜で云えば、金沢区が往復できる限界で、それ以上は交通機関に頼らざるをえません

鎌倉より近い逗子はどうか? これが微妙な距離というか、トレーニングには適度な距離というか、往復が可能なのです。そのかわり、いまの体力では、誇張するなら「限界に挑戦」の距離になります。横須賀-田浦-東逗子-逗子-葉山-横須賀というコースを一度だけ歩きましたが、路程約30キロ、ほとんど休まずに6時間半かかりました。

強い陽射しを避けるには北上するコースがいいので(困ったことに北東に向かうと3分で海に出てしまうので、このコースは存在しない)、逗子には何度か行っていて、30キロ歩きの前々日、鎌倉まで抜けたときに、そうだ、『八月の濡れた砂』だ、と思い出し、コース変更して、商店街に行ってみました。今日はそのときに撮った写真を数点ご紹介します。

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上(北)にJR横須賀線と逗子駅。目的の場所は真ん中下の「花里生花店」のあたり。

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上の地図を拡大。

◆ 十二月の乾いた砂 ◆◆
警察だの、岩場だのといった、オリジナル記事のときに解決できなかった場所はいまだにわかっていないので、写真を撮ったのは、すでにわかっている場所です。以下、オリジナル記事と重複するものがありますが、説明のために必要なので、どうかあしからず。

『八月の濡れた砂』の冒頭、早苗をいったん無人の海の家に入れ、清は家に帰って彼女のために着るものをもっていこうとします。ここで清の家が登場します。

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それから、健一郎が清の家を訪ねるシークェンスというのもあります。

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また、清の家そのものではなく、そこから見える通りのショットもあります。清が食料品店の二階にある自室から下を見たら、同級生の和子が通りかかったので、声をかけるというシーンです。

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以上、このあたりはオリジナル記事でくわしく検討し、清の家として撮影された食料品店(「宝屋」)の隣にある、ヘンケル理容室という床屋を梃子にして、逗子駅近くの商店街で撮影されたことを突き止めました。

先日、逗子まで歩いたときに、このあたりが現在どうなっているかをたしかめてきたので、今日はその写真をごらんいただきます。

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真ん中、バイクのあるあたりが清の家として撮影された食料品店。店名は異なるがいまも食料品店として営業中。

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ヘンケル理容室。ここは外観も映画撮影当時のまま。すばらしい!

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「浜勇」は休業中だった。建て替わってしまったので、店名がないとわからない。

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そのお隣、花里生花店も建て替わり、モダーンになった。

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映画には富士トーイという店が映っていたが、玩具店は閉じたという。ただし、FUJIの名前でべつの業態の店が同じ場所にあった。商売の種類は失念してしまった。

なんだか微妙な結果です。同じ名前の店がほぼそのまま残っているけれど、当然ながら、建て替わったケースもあり、懐かしいなあ、というべきか、昔を今になすよしもがな、というべきか……。わたしは、思ったより昔をしのぶよすがが残っているなあ、と感心しました。

◆ 田越川の橋の上で ◆◆
健一郎が和子と橋ですれちがうシーンは、オリジナル記事で田越川とアイデンティファイしました。しかし、田越川のどのあたりかとなると、よくわかりませんでした。

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今回、いちおうたしかめようとしたのですが、グーグルのストリート・ヴューで試したときと同様、特定できませんでした。いちおう、つぎにあげた二つの橋が有力な候補だと思います。橋そのものも、あたりの建物もすっかり変わってしまったために、明確にはいえないのが残念です。

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このどちらかの橋ではないかと思うのですがねえ。地元の年配の方なら、映画のスクリーン・ショットから橋を特定できるのではないかと思うのですが、どなたかご存知でしたら、ご連絡を願います。

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べつの日に、小坪を経由して鎌倉まで歩いた。飯島まで来てから、いけね、『八月の濡れた砂』の逗子マリーナ撮影を忘れたと思い、遅ればせながら、あらぬ方向から逗子マリーナを撮影した。飯島というか和賀江島の前から見た逗子マリーナ(のあたり!)。



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by songsf4s | 2010-12-24 12:34 | 映画