カーティス・メイフィールド・ソングブック6 He Will Break Your Heart その2

OS再インストールというのはほんとうに困ったもので、ATOKのCDを発見できないだけで、ちょっとしたストレスです。MS-IMEの使いにくいこと、数時間でも堪えます。

JPEGファイルをダブルクリックすると、SusieではなくOperaが起動してしまう、Ctrl+Escでアプリを起動しようと手が勝手に動くけれど、なにも登録していないから起動できない、といったささやかなことも、大きな厄介ごとです。

なによりも問題は、Seagateが配布しているDisk Wizardというソフトウェアを使って、無理やり大きなHDDを認識させているのですが、その設定が消えているので、いまははみ出た部分(MP3はほとんどそこにある)が読めないことです。新たにDisk Wizardで認識させると、ファイルが消えるのではないかという不安があって、その確認をしてからでないと手をつけられません。

ということで、しばらくのあいだ、時間がとりにくく、映画の記事はむずかしいと思います。なにか忠臣蔵ものを取り上げようかと思ったのですが、それほどいいものを見たことがなく、今年も断念です。昨年は溝口健二、稲垣浩、深作欽二と三種類みたのですが、どれも気に入らず、今年はまだなにも見ていません。

◆ ライチャウス・ブラザーズ盤 ◆◆
さて、途中になっていたカーティス・メイフィールド・ソングブックのHe Will Break Your Heart篇の再開とまいります。

ジェリー・バトラー盤のつぎにヒットしたHe Will Break Your Heartは、ライチャウス・ブラザーズのヴァージョンのようです。ヒットといったって、Hot 100の下のほうをかすっただけのようですが。

ライチャウス・ブラザーズ He Will Break Your Heart


ろくに頭を使っていないアレンジ、プロダクションですが、プレイヤーがいいので、なんとかなっている、というところでしょうか。ハリウッドというインフラストラクチャーのありがたみを感じます。きみたちも感じなさい>プロデューサーおよびアレンジャー。

ドラムはオフミックスで聞き取りにくいのですが、ハル・ブレイン注意報が点滅しています。フィルインに入る直前のスネアの強いアクセントなんて、ムムっと思います。ライチャウスのドラム・ストゥールにはアール・パーマーが坐ることが非常に多いのですが、この曲は、ひょっとしたらめずらしい例外かもしれません。

◆ ボビー・ヴィー盤 ◆◆
つぎはボビー・ヴィーのヴァージョン。とくにヒットはしていないというか、アルバム・トラックだったのでしょう。

ボビー・ヴィー


ボビー自身が作ったわけではありませんが、確固たる「ボビー・ヴィー・サウンド」というものがあったのだな、と改めて感じました。どこに感じるかというと、ボビーのダブル・トラック・ヴォーカル、ストリングスのアレンジ、ドラムのバランシング、そして全体のバランス、ミキシングです。

ボビー・ヴィーのドラマーは時期によってアール・パーマー中心、ハル・ブレイン中心に分かれますが、このトラックはアール・パーマーでしょう。アールがストゥールに坐ったことがはっきりしているRubber Ballなどと同じタイム、同じサウンドです。1961年だから、時期としてもアール・パーマーは大エース、ハル・ブレインはまだアールのおこぼれを拾っていたころです。

アレンジャーはアーニー・フリーマン、というところまでは一定の確度をもって推測することはできませんが、フリーマンのときと同じようなサウンドですし、時期としても、スナッフ・ギャレット・セッションをフリーマンが一手に引き受けていたころです。べつに傑出したヴァージョンなどではありませんが、ボビー・ヴィーのファンなら十分に楽しめる出来と感じます。

◆ ミスター・ゴーゴーのラスト・デイズ ◆◆
ハリウッドのシンガーばかりつづきます。今度はジョニー・リヴァーズ。

ジョニー・リヴァーズ


トリニ・ロペスのパーティー・サウンドに範をとった、初期のダンサブルなスタイルでつくられた最後のアルバム、In Action!に収録されたもので、惜しい、ハル・ブレインではなかった、というトラックです。

このアルバムからのシングル、わたしの中学一年のときのフェイヴァリット、Mountain of Loveからハル・ブレインがジョニー・リヴァーズ・セッションでプレイするようになり、ここにめでたくもジョー・オズボーンとのコンビが(たぶん)スタートするのですが、まだハルはシングル曲のみで、アルバム曲はミッキー・ジョーンズあたりのプレイです。

残念賞というか、ジョー・オズボーンは、リッキー・ネルソン・バンドから、ジョニー・リヴァーズ・バンドに引っ越してきたので、ゴーゴー・スタイルのアルバムがスタートして以来、つねにジョニーの録音には参加していて、He Don't Love Youでも、すぐにそれとわかるサウンドを刻み込んでいます。

ほぼ同じ条件で、異なったドラマーが叩くと、違いがわかる男じゃなくても違いがわかります。ハルがプレイしたMountain of Loveが、ジョー・オズボーンのスーパーソリッドなグルーヴと協力して、すばらしくも快感のサウンドを形成しているのに対して、He Don't Love Youは、ドラマーのタイムがすこし早いために、こくのないグルーヴになっています。

ジョニー・リヴァーズ Mountain of Love


はじめてベース・ラインをコピーしたのはこの曲でした。子どもというのはなにもわかっていないので、簡単そうなのにすごくカッコよく聞こえる、という浅はかな、あるいは志ん生式にいえば「赤坂な」判断でコピーし、結果はあまりカッコよくなかったため、どうすればカッコよくなるのかと悩んでしまいました。ジョー・オズボーンが弾けばカッコよくなり、自分が弾いてもダメだということを理解するまでに何度プレイアロングしてしまったことか!

いや、このソリッドなグルーヴを生んだ人がジョー・オズボーンという名前だと知ったのは、ずっとずっと後年のことで、当時はそんなことは知りませんでした。

前述のように、ジョニー・リヴァーズはこの時期、キャリアを大転換させようとしていました。いつまでも「ミスター・ゴーゴー」でもあるまい、ということです。つぎのアルバムはかのChangesであり、この盤から(ルー・アドラーの反対を押し切って)シングル・カットされたこの曲で、わたしはジョニー・リヴァーズのファンになりました。

ジョニー・リヴァーズ Poor Side of Town


ジョニー自身の解説によると、ハル・ブレイン、ジョー・オズボーン、ラリー・ネクテルのトリオと一緒に、ヴォーカルまで含めてライヴで録音したものに、コーラス、ストリングス、フルート、ギターなどをオーヴァーダブしたそうです。Mountain of Loveはジョー・オズボーンのグルーヴが支配的でしたが、こちらはハル・ブレインもグッド・グルーヴを等分に担っています。

作者のジョニー・リヴァーズがそれを意識していたかどうかは知りませんが、Poor Side of Townの歌詞は、He Don't Love Youの続篇ないしは解決篇のようになっています。貧しい地区に住む男が、金持ちの男に捨てられて戻ってきたかつての恋人に、welcome back to the poor side of townと、やさしく迎えるという設定ですが、たとえば、つぎのようなラインがあります。

That rich guy you've been seeing
must have put you down

これはHe Don't Love Youの、

That handsome guy you've been dating
I've got a feeling he will put you down

に呼応しているように思えます。He Don't Love Youで警告したとおりになって、ほら、だから危ないっていったじゃないか、というような感じ。

もう一カ所、

To him you're nothing
but a little play thing

「あいつにとっては、きみはただの遊び相手にすぎないのさ」というラインも、He Don't Love Youの、

But he's has so many rehearsals
Girl, to him it's just another play

に呼応させたものと読み取れます。以上、当たるも八卦、当たらぬも八卦、ジョニー・リヴァーズのHe don't Love Youを聴いているうちに、彼の代表作であるPoor Side of Townを連想し、憶測を重ねてみました。

まだ数ヴァージョンの積み残しがあるので、He Will Break Your Heart/He Don't Love Youを、さらにもう1イニング延長させていただきます。


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by songsf4s | 2010-12-10 10:52