アル・クーパーのR&Bカヴァーとオリジナル その11 Live Adventures of Mike Bloomfield & Al Kooper篇3

長ったらしいこのシリーズも、ようやく「終」の文字がぼんやりフェイドインしてくるのが見えるところまで来ました。とはいえ、どこまでやって終わりにするかはまだ決めかねていて、エンディングを前に、取りこぼしはないか、点検しました。

BS&Tの1枚目には、R&B的な曲(I Love You More Than You'll Ever Know)は入っていますが、R&Bカヴァーはありません。ニルソンやランディー・ニューマンの曲をカヴァーしていたりします。

その前までいくと、一考を要します。ブルーズ・プロジェクトにはR&Bカヴァーがありそうな気がして、ディスコグラフィーを眺めました。オリジナル・アルバムはもっていなくて、アンソロジーしかないので、よくわからないところもありますが、カヴァーはブルーズが大部分で、R&Bと呼べるようなものはないだろうと思います。しいていうと、You Can't Catch Meが境界線上という感じでしょうか。

R&Bカヴァーがあるか否かはべつとして、ずいぶん長いあいだ聴いていなかったので、懐かしく感じました。いちばん好きなのは……。

ブルーズ・プロジェクト No Time Like the Right Time


同率首位という感じで、こちらも好きでした。

ブルーズ・プロジェクト Wake Me, Shake Me


ファンのあいだで人気が高いのは、リリカルなこちらのほうでしょうか、

ブルーズ・プロジェクト Flute Thing


あっはっは。あの時代はいわばロックンロールの思春期で、ちょっと背伸びして大人っぽくやってみたかったのです。そして、われわれ子どもリスナーも、ちょっと背伸びして大人っぽい音が聴きたかったのです。可愛い気取り、ということにしておきましょう。

ブルーズ・プロジェクト Violets of Dawn


ブルーズ・プロジェクトというのは、ついに熟さないまま終わったバンドで、惜しいなあと思います。このViolets of Dawnなんか、アレンジに時間をかけ、トミー・フランダースがもっときちんと歌えば、フォーク・ロック・クラシックに数えられたでしょうに、いかにも雑です。アル・クーパーはのちにライヴでやっていますし、チャド・ミッチェル・トリオの悪くないヴァージョンもあります。

◆ 裏声のような愛 ◆◆
Live Adventuresのディスク2もカヴァーだらけですが、一曲が長いので、トラック数は少なめです。サニー・ボーイ・ウィリアムソンのNo More Lonely Nightsは略し、最後の面に移動します。長いので、頭のほうだけ聴くぐらいのつもりでどうぞ。

サンプル Mike Bloomfield & Al Kooper "Don't Throw Your Love on Me So Strong"

またノイズがでてしまっているところがなんですが、ブルームフィールドのプレイは楽しめます。アル・クーパーが、マイケルは伝統的なギターとヴォーカルのやり取りはうまい、といった、そのタイプのギター=ヴォーカル・インターアクションです。

オリジナルはアルバート・キング。

サンプル Albert King "Don't Throw Your Love on Me So Strong"

この曲で耳を引っ張られるラインは、

Your love is like a falsetto, you can turn it off and on

です。「お前の愛は裏声みたいだ」というのが謎かけのようで、どういう意味だ、と思うと、消したり付けたりできる、というサゲだから笑います。あまりノーマルな発想には思えないのですが、シンガーだからでしょう。もうひとつ、フォールセットという単語の語幹は、フォールス=false=まがい物、偽物だからでしょう。

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不思議なことに、マイケル・ブルームフィールドのトーン、音の出にふれたものは、英語日本語を問わず、読んだことがありません。中学生のわたしは、もちろん、速さに惹かれる愚かなギター小僧でしたが、年をとってもまだブルームフィールドを聴いている理由は、エロティックな艶のあるトーンです。あのすばらしいトーンと、ハイパー・スムーズな高音部のランの二つがそろわなくては、ブルームフィールドのプレイとはいえません。

B・B・キングはトーンに艶のあるほうですが、アルバート・キングになると、老婆の背中みたいにつまらねえ音だなあ、と思います。Don't Throw Your Love on Me So Strongも、だから、ブルームフィールドのほうがずっと好きです。

◆ 再びStop ◆◆
このシリーズの第一回目「Super Session篇」で、ハワード・テイトのStopを取り上げ、テイトのオリジナルと、Super Sessionヴァージョンを並べました。

その直後に見落としに気づいたのですが、填めこむ場所を見つけられなかったヴァージョンがあります。サム&デイヴの片割れ、サム・ムーアのものです。

サンプル Sam Moore "Stop"

これはこれで悪くないと思いますが、MG'sの音ではないようなので、データを見ました。パーソネルはありませんが、プロデューサーはキング・カーティスだから、メンフィス録音ではないでしょう。おそらくNY。

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ひとりになると、なんとなく落ち着きが悪いのもので、サム・ムーアも苦しんだそうです。ポップ・ミュージックの世界ではよくある判断ミスというところ。

デイヴ・ポーターとコンビ別れしたのも問題ですが、MG'sのサウンドから切り離されたのも、いいことではないでしょう。「サム・ムーア」の名前を聞いても、だれそれ、だし、しかも、サウンドを聴いてもなじみがないのだから、ゼロから出発のルーキーです。

まあ、そういうのは結果論。ヒットがでていれば問題なかったのでしょうが、そうはならなかったから、サム・ムーア自身も愚痴をいうし、こちらも一言いってみたりするのです。

次回、たぶんKooper Sessionをやって、このシリーズを完了する心づもりです。


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Backstage Passes & Backstabbing Bastards: Memoirs of a Rock 'n' Roll Survivor
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by songsf4s | 2010-11-24 23:35