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熱波と海の混雑もいまや昨日のニュース ドリフターズのI've Got Sand in My Shoes
タイトル
I've Got Sand in My Shoes
アーティスト
The Drifters
ライター
Arthur Resnic, Kenny Young
収録アルバム
Golden Hits
リリース年
1964年
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ほんとうにそうなるかどうか知りませんが、猛暑も今日までとのことなので、それを信じて、夏の終わりの歌を締めくくろうかと思います。いや、たとえ暑さが続いても、夏の終わりの歌には困らないので、よんどころなければ、締めくくらなかったことにしてしまいますが!

夏の終わりは作詞家のイマジネーションをおおいに刺激するものらしく、歌詞のよくできた曲が多いのですが、本日のI've Got Sand in My Shoesも、いかにも昔のプロフェッショナルらしいつくりで、ビートルズ以降の時代とは一線を画す、端正なスタイルで書かれています。

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左からニール・ダイアモンド、ジェフ・バリー、エリー・グリニッジ、そしてI've Got Sand in My Shoesのプロデューサー、バート・バーンズ。ニール・ダイアモンドは、バーンズの会社Bangレコードのアーティストだった。

オリジナル記事 I've Got Sand in My Shoes by the Drifters

どんな分野でもそうですが、小さなアイディアの核をつかむことさえできれば、プロはうまく展開するものです。海に遊びに行ったときに履いていたデッキシューズを、秋になってふと履こうとしたら、砂が残っていた、などという、とくにどうということのない出来事が、じっさいにあったのではないでしょうか。こういう一瞬に、これは歌になる、と気づけば、あとは技術が道を開くでしょう。

サンプル The Drifters "I've Got Sand in My Shoes"

二つのヴァースのどちらにも使われている最後の二行、

The heat wave and the crowds are just old news
But I've still got some sand in my shoes

がこの曲のハイライトで、シングアロングして楽しいラインです。四つのSを並べたところが、音韻的にすぐれていて、口ずさみたくなるのでしょう。

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いまドリフターズを買うなら、2枚組×2セットのGreatest Hits and Moreシリーズが最良だろうが、昔、LPで買ったこのGolden Hitsは、デザイン、選曲、ともに素晴らしかった。これほど「ベスト盤」の名にふさわしいものはめったにないだろう。クライド・マクファーター時代のヒット曲はオミットされているが、それでも、全12曲、すべて出来がいい。

◆ そもそもなぜ靴に砂が入ったかと云えば…… ◆◆
ドリフターズはきっといまでも、なんらかのメンバーで複数のセット(一時期、同時に四種類のドリフターズがアメリカをツアーしていたという伝説がある。どれも海賊版ではなく、名前の所有者が認めた「正規の」ドリフターズだという)がツアーしているのだと思いますが、レコーディング・アーティストとしては、I've Got Sand in My Shoesはほぼ絶壁、つぎのSaturday Night at the Movieが小ヒットして、それでおしまいです。

I've Got Sand in My Shoesは、その直前のUnder the Boardwalkのヒットを受けて、サウンド的にも、歌詞の面でも、続篇としてつくられた曲です。二匹目のドジョウにしては、内容面でも、チャート上でも健闘したといっていいでしょう。

ドリフターズ Under the Boardwalk


近ごろは、わが家の近所にもあるくらいで、ボードウォークなんてものもめずらしくなくなりましたが、海のない土地にお住まいの方は、イメージが湧かないかもしれないので、いちおう写真を貼りつけておきます。

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こういう構造になっていないと「ボードウォークの下で」なにかをしたりはできないのですが、わが家の近所のものはただの海沿いの板道にすぎず、下は浜ではなく海なので、なにもできなかったりします! いや、『ボーン・コレクター』のお祖父さんと孫娘が殺されそうになるシーンのようなものなら撮れるでしょうけれど。

とにかく、このようなところで男女がなんらかの活動をおこなった結果、靴のなかに砂が残り、秋になって、ああ、あのときは○×だったなあ、という感懐を催し、それを歌ったのが続篇であるI've Got Sand in My Shoesだというしだいです。Got it?

ちょっと記憶が曖昧ですが、ダーティー・ハリー・シリーズのサンドラ・ロックがヒロインを演じたもので、ボードウォークが出てきたと思います。と書いておいて、あとで映画を見つけたら、スクリーン・ショットを貼りつけます。

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映画は見つかったので、キャプチャーしてみたが、こんな感じで、暗くてなにがなにやらさっぱりわからなかった! 映画のタイトルはSudden Impactだった。『五瓣の椿』(山本周五郎原作、野村芳太郎監督)か『黒衣の花嫁』(コーネル・ウールリッチ原作、フランソワ・トリュフォー監督)かという復讐譚。

◆ カヴァー ◆◆
わたしと同世代の方の場合、ドリフターズのUnder the Boardwalkがヒットしたときには間に合わず、あとからストーンズのカヴァーでこの曲を知ったというケースが多いかもしれないので、いちおうそちらのクリップも貼りつけておきます。わたし自身は、ドリフターズ盤があれば十分、ストーンズは不要と思いますが。

ローリング・ストーンズ Under the Boardwalk


まあ、初期のストーンズはブラック・ミュージックのコピー・バンドだったので、こういう曲も歌ったのでしょうが、ドリフターズは白人音楽を歌った黒人のグループなんだけどなあ、とブツブツいってしまいます。だいたい、イギリスの連中は日本人と同じで半チクなのだから、云ってもはじまりませんな。

奇妙なことですが、いい曲なのに、Under the Boardwalkのカヴァーは、わがHDDにはこれしかありません。調べてみても、とくに目立ったものはみあたりませんでした。カヴァーしにくい曲とも思えず、不思議なことです。


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The Drifters Greatest Hits and More 1959-1965
Greatest Hits 1959-1965
by songsf4s | 2010-09-13 23:53 | 去りゆく夏を惜しむ歌